業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ75億2千2百万円増加し、1,151億1千5百万円となりました。

流動資産は、43億2百万円減少し、416億4千5百万円となりました。これは主に、有価証券の減少によるものです。

固定資産は、118億2千4百万円増加し、734億7千万円となりました。これは主に、投資有価証券の増加によるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ33億7千5百万円増加し、350億2千4百万円となりました。

流動負債は、7億5千3百万円増加し、185億8千7百万円となりました。これは主に、設備関係支払手形の増加によるものです。

固定負債は、26億2千1百万円増加し、164億3千7百万円となりました。これは主に、繰延税金負債の増加によるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ41億4千7百万円増加し、800億9千万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金の増加によるものです。

 

b.経営成績

当期におけるわが国経済は、企業収益が堅調に推移し、個人消費や雇用環境についても改善が続くなど、緩やかな回復基調が続きました。印刷業界におきましては、インターネット広告を中心とした企業の広告宣伝費の拡大や電子書籍が増加するなどデジタルメディアが拡大する一方で、ペーパーメディア需要の縮小には歯止めがかからず、また、教育業界についても、少子化の影響が懸念され、依然として厳しい経営環境が継続しました。

このような環境の中で当社グループは、情報に付加価値を提供してお客様へ届ける「情報をデザインする企業」への変革を目指し、中期経営計画に掲げた「市場変化を見据えた事業構造転換」「新しい市場創出に向けた積極投資」「文化・教育分野の事業領域拡大」について引き続き取り組んでまいりました。

その結果、当社グループの通期の業績は、売上高は524億3千5百万円(前期比2.3%減)、売上総利益は95億4千9百万円(前期比6.6%増)、営業損失は4千8百万円(前期は営業利益5千5百万円)、経常利益は5億1千1百万円(前期比11.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億4百万円(前期比88.1%減)となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 (情報デザイン事業)

情報デザイン事業セグメントは、出版印刷分野とマーケティング分野から構成されております。

出版印刷分野では、学習参考書や絵本などが増加したものの、雑誌、コミックなどが減少した結果、当分野の売上高は308億5千9百万円(前期比5.3%減)となりました。マーケティング分野では、カタログ・パンフレット、POPなどが増加したものの、リーフ・チラシなどが減少した結果、当分野の売上高は163億7千万円(前期比3.7%減)となりました。

その結果、当事業の売上高は472億2千9百万円(前期比4.8%減)と減少したものの、営業活動における利益管理の徹底や生産部門の固定費圧縮により、セグメント利益は3億4千万円(前期はセグメント損失1億2千2百万円)と増加しました。

 (教育ソリューション事業)

当事業では、2017年11月に連結子会社化した株式会社桐原書店の売上について、今期は通年分全てを計上したことで、売上高は52億6百万円(前期比27.1%増)と増加しましたが、教科書、指導書の売上減と株式会社桐原書店の赤字期間の業績を取り込んだことで、セグメント損失は3億6千6百万円(前期はセグメント利益1億8千1百万円)となりました。

 

(注)消費税等の処理方法は税抜方式によっているため、記載している金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ20億2千1百万円減少し、165億5千5百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、16億1千8百万円(前連結会計年度は38億8百万円の減少)となりました。主な増加要因は減価償却費の計上17億8千2百万円、主な減少要因はたな卸資産の増加5億2百万円、仕入債務の減少4億5千6百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は、27億8千1百万円(前連結会計年度は42億1千3百万円の増加)となりました。主な減少要因は有形固定資産の取得による支出13億6千2百万円、子会社株式の取得による支出12億7千9百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は、8億5千8百万円(前連結会計年度は12億1千4百万円の減少)となりました。主な減少要因は配当金の支払いによる支出8億5千3百万円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

情報デザイン事業

47,394

△4.1

教育ソリューション事業

5,206

27.1

合計

52,600

△1.7

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

情報デザイン事業

47,433

△4.5

2,533

8.8

教育ソリューション事業

5,206

27.1

合計

52,639

△2.1

2,533

8.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

情報デザイン事業

47,229

△4.8

教育ソリューション事業

5,206

27.1

合計

52,435

△2.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結決算日における貸借対照表の残高、当連結会計年度における損益計算書の数値に影響を与える見積りは、主に退職給付に係る負債、貸倒引当金、賞与引当金、有価証券、繰延税金資産、繰延税金負債等であり、継続して評価を行っております。

なお、見積り及び判断については、会計基準に基づき、過去の実績や現況に応じて合理的と考えられる方法等により行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。

a.経営成績等の状況

当連結会計年度は、2017年2月に公表した中期経営計画の第1ステージの2年目にあたり、「市場変化を見据えた事業構造転換」「新しい市場創出に向けた積極投資」「文化・教育分野の事業領域拡大」について引き続き取り組んでまいりました。
 情報デザイン事業では、事業構造の転換を図るため、採算性重視の営業活動へのシフトや、固定費の圧縮による収益改善に取り組んでまいりました。製造部門においては、お客様の業務負荷軽減を図るため効率的なWEB校正システムの稼働を開始するとともに、工場の繁閑差に対応するため人員配置の見直し、多能工化、省力化により、市場環境に見合った最適生産体制の整備に努めてまいりました。また、物流収支の改善に努めるとともに、全社的な業務効率の改善を図るための新業務システムの2020年度導入に向けた開発を進めてまいりました。新しい市場創出に向けては、小ロット印刷に対応した高品質なデジタル印刷システム「デジタルショートラン(デジタル印刷機を活用した印刷ビジネスモデル)」を2018年10月に導入し、当社主力商品である教材やコミックスなどを中心に新たなニーズの掘り起こしを進めてまいりました。加えて、高付加価値印刷機による新商材の開発や特徴のある各種設備の導入を進めてまいりました。デジタルソリューション分野では、IT系人財の採用と育成を進め、デジタルマーケティング体制整備を進めてまいりました。
 教育ソリューション事業では、文化・教育分野の多面的な発展を図るため、2018年10月に企業向け語学研修サービスを提供しております株式会社シー・ティー・エスを子会社化し、既存の教科書等のコンテンツの提供や語学留学サービスなどとあわせて、英語教育を軸とした事業領域拡大の体制整備を進めました。さらに、デジタル教科書の開発や「BIZSTEP」などの教育デジタルサービスの拡販に努めてまいりました。

また、管理職層に対する人事制度を抜本的に見直し、会社が求める職責に対する実行性を高めるための「役割等級制度」を導入し、組織の再構築に取り組んでまいりました。加えて、人財開発への取り組みとして、新たにお客様の課題解決型人財を育成するための研修を導入するなど、市場の変化に適応した人財の育成を進めてまいりました。
 以上のように、経営全般にわたる諸施策を実施しました結果、当社グループの通期の業績は、売上高は524億3千5百万円(前期比2.3%減)、売上総利益は95億4千9百万円(前期比6.6%増)、営業損失は4千8百万円(前期は営業利益5千5百万円)、経常利益は5億1千1百万円(前期比11.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億4百万円(前期比88.1%減)となりました。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
・資金需要
 当社グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料、部品の購入及び設備投資のほか、事業構造改革、事業領域拡大を目的とした投資によるものであります。
・財務政策
 当社グループは、必要な運転資金及び投資資金については、自己資金と営業活動によるキャッシュ・フローから創出することを基本とし、必要に応じて借入金等による調達も実施いたします。

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