(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が依然として続いており、社会生活、経済活動が様々な制約を受ける状況が続きました。2021年の後半は感染拡大防止策とワクチン接種の進展により経済活動正常化への動きがあったものの、2022年に入り、国内一部の都道府県でのまん延防止等重点措置の実施及び延長に加え、ロシア・ウクライナ情勢等により国内外において経済活動の停滞が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループは、外出自粛による自宅需要の高まりなどから受注が増えた部門もありましたが、生産活動の一部におきまして、新型コロナウイルス感染症拡大防止策等に伴う経済活動の停滞により売上高は減少で推移しました。利益面におきましては、販売価格を修正したことに加え、業務プロセスのデジタル化、自動化の整備などを推進した結果、営業利益、経常利益とも改善いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益におきましては、東京支店の移転に伴う、既存建物の解体工事費及び固定資産除却損等の特別損失の発生により減少いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は130億83百万円(前期比0.1%減)、営業利益は1億33百万円(前期比52.5%増)、経常利益は1億43百万円(前期比15.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は10百万円(前期比87.4%減)となりました。
なお、当社グループの売上概況につきましては、次のとおりであります。
a. 商業印刷部門
当部門のカタログ・パンフレット類の商業印刷は、新型コロナウイルス感染症の長期化の影響により、イベント・展示会等が中止、延期あるいは規模が縮小されるなどの影響を受け、需要が大きく停滞減少しております。また、紙媒体からデジタル化への動きが急速に高まるなどの影響を受け、この部門全体の売上高は12億30百万円(前期比11.4%減)となりました。
b. 包装資材及び紙器、紙工品部門
当部門の軟包装、紙器類は、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景としたビジネススタイルの変化や、生活スタイルの変化による需要の増加により物流業、食品メーカーなどからの受注増が寄与したことなどにより、緩やかに回復いたしましたが、袋類は長期間にわたる緊急事態宣言の発出等による人流抑制の影響を受け、流通業界、小売業界等の消費構造の変化を受け需要が後退したことに加え、2020年7月に実施されたレジ袋有料化により、ポリ袋や紙袋の需要が大きく減少しました。また、ビジネスフォームの需要が減少したことなど、この部門全体の売上高は69億11百万円(前期比0.5%減)となりました。
c. 情報機器及びサプライ品部門
当部門のタグ・ラベルは、工場系製造業、食品流通業界、物流業の回復傾向により需要が増加いたしました。情報機器類におきましては、世界的な半導体不足や電子部品の調達が困難な影響を受け、プリンター類を中心に生産に遅れが生じているものの需要は堅調で、特に小型プリンターの販売が順調に推移しており、この部門全体の売上高は40億99百万円(前期比3.5%増)となりました。
d. その他の部門
当部門の化成品は、新型コロナウイルス感染症対応の衛生関連商品などの需要が堅調に推移していることなどにより、この部門全体の売上高は8億42百万円(前期比3.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は12億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億58百万円増加しております。その内訳は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、9億42百万円(前期は3億16百万円の増加)となりました。これは仕入債務の減少1億5百万円等資金が減少したものの、減価償却費6億95百万円、売上債権の減少3億3百万円等資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、4億12百万円(前期は2億75百万円の減少)となりました。これは有形固定資産の取得3億83百万円等資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、3億72百万円(前期は68百万円の増加)となりました。これは長期借入れにより5億円等資金が増加したものの、長期借入金の返済5億83百万円、短期借入金の純減少2億50百万円等資金が減少したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
事業部門 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
商業印刷 |
1,055,128 |
△9.1 |
包装資材及び紙器、紙工品 |
4,003,722 |
△1.0 |
情報機器及びサプライ品 |
2,729,750 |
3.5 |
その他 |
- |
- |
合計 |
7,788,601 |
△0.7 |
(注)1 事業部門間の取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
b. 仕入実績
事業部門 |
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
商業印刷 |
205,706 |
△2.1 |
包装資材及び紙器、紙工品 |
1,649,722 |
△0.1 |
情報機器及びサプライ品 |
638,706 |
6.9 |
その他 |
611,522 |
5.5 |
合計 |
3,105,657 |
2.1 |
(注) 事業部門間の取引については、相殺消去しております。
c. 受注実績
事業部門 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
商業印刷 |
1,229,163 |
△10.0 |
73,456 |
△1.4 |
包装資材及び紙器、紙工品 |
6,873,148 |
△0.3 |
805,480 |
△4.5 |
情報機器及びサプライ品 |
4,090,246 |
3.7 |
210,411 |
△4.0 |
その他 |
844,000 |
3.7 |
19,498 |
5.4 |
合計 |
13,036,559 |
0.1 |
1,108,847 |
△4.0 |
(注)1 事業部門間の取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
d. 販売実績
事業部門 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
商業印刷 |
1,230,249 |
△11.4 |
包装資材及び紙器、紙工品 |
6,911,150 |
△0.5 |
情報機器及びサプライ品 |
4,099,178 |
3.5 |
その他 |
842,985 |
3.8 |
合計 |
13,083,565 |
△0.1 |
(注) 事業部門間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な見積り、判断及び仮定を行う必要があります。特に重要と考える事項は、連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますので、ご参照ください。会計方針を適用するにあたり、注記事項以外で、財政状態及び経営成績に影響を与える項目は下記のとおりであります。
a. 貸倒見積高の算定
債権の貸倒の可能性について予測する必要があるため、一般債権については貸倒実績率に基づき計上し、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については回収可能性を勘案して個別に検討しております。相手先の財務状況等が悪化し回収可能額が見積りより減少する可能性が発生した場合は、貸倒引当金を積み増すことで、損益に影響を与える可能性があります。
b. 投資有価証券の減損
長期的な取引関係の維持のために、取引先の株式の一部を所有しております。これらの株式のうち市場価格のない株式等以外のものについては、時価の下落率が取得原価に対して30~50%に達した場合、個別銘柄毎に過去一定期間の高値等、時価水準を把握するとともに、公表財務諸表での財務比率の検討等を行い、減損の実施を総合的に判断しております。将来、株式市況の悪化又は投資先の業績不振により、減損が必要となり、損益に影響を与える可能性があります。
②財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4億96百万円減少の102億3百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1億19百万円減少の46億39百万円となりました。これは現金及び預金が1億58百万円増加したものの、受取手形が1億84百万円、売掛金が1億23百万円減少したことなどによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ3億77百万円減少の55億63百万円となりました。これは機械装置及び運搬具が1億70百万円、建物及び構築物が1億15百万円減少したことなどによるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ4億79百万円減少の66億76百万円となりました。これは短期借入金が2億50百万円、支払手形及び買掛金が1億46百万円、長期借入金が1億7百万円減少したことなどによるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ17百万円減少の35億27百万円となりました。
③経営成績の分析
a. 概要
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いており、社会生活、経済活動が様々な制約を受ける状況が続きました。また、ロシア・ウクライナ情勢等により国内外において経済活動の停滞が懸念されるなど、先行きが見通せない状況で当連結会計年度が終了いたしました。
当社グループは、保有する経営資源を最大限に活用し、総資産利益率(ROA)、売上高当期純利益率(ROS)の向上を図ることを目指して、更なる効率化・省エネルギー化を促進するとともに、生産力向上を目指し設備の改善を持続的に行ってまいりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止策に伴う経済活動の停滞から、売上高が減少しました。利益面につきましては、販売価格を修正したことに加え、業務プロセスのデジタル化、自動化の整備・強化を進めた結果、営業成績は堅調に推移いたしました。
b. 売上高
連結売上高は前連結会計年度に比べ0.1%減少し、130億83百万円となりました。
商業印刷部門のカタログ・パンフレット類の商業印刷は、新型コロナウイルス感染症の長期化の影響により、イベント・展示会が中止、延期あるいは規模が縮小されるなどの影響を受け、需要が大きく停滞減少しております。また、紙媒体からデジタル化への動きが急速に高まるなどの影響を受け、前連結会計年度に比べ11.4%減少し12億30百万円となりました。
包装資材及び紙器、紙工品部門のうち紙器は、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景としたビジネススタイルの変化や、生活スタイルの変化による需要の増加により物流業・食品メーカーなどからの受注増が寄与したことなどにより、緩やかに回復いたしましたが、袋類は長期間にわたる緊急事態宣言の発出等による人流抑制の影響を受け、流通業界、小売業界の消費構造の変化を受け、需要が後退したことに加え、2020年7月に実施されたレジ袋有料化により、ポリ袋や紙袋の需要が大きく減少いたしました。また、ビジネスフォームの需要が減少したことなどから部門全体では前連結会計年度に比べ0.5%減少し69億11百万円となりました。
情報機器及びサプライ品部門は、タグ・ラベル類におきまして、工場系製造業、食品流通業界、物流業の回復により需要が増加しました。情報機器類におきましては、世界的な半導体不足や電子部品の調達が困難な影響を受け、プリンター類を中心に生産に遅れが生じているものの需要は堅調で、特に小型プリンターの販売が堅調に推移したことなどから部門全体では前連結会計年度に比べ3.5%増加し40億99百万円となりました。
その他の部門のうち、化成品は、新型コロナウイルス感染症対応の衛生関連商品などの需要が堅調に推移したことなどから、前連結会計年度に比べ3.8%増加し8億42百万円となりました。
c. 営業利益
販売価格を修正したことに加え、業務プロセスのデジタル化・自動化の整備などを推進した結果、営業利益は前連結会計年度に比べ52.5%増加し1億33百万円となりました。
d. 親会社株主に帰属する当期純利益
特別損失は固定資産処分損などにより77百万円となり、税金等調整前当期純利益は67百万円、法人税等は51百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ87.4%減少し10百万円となりました。
当社グループが所属する印刷メディア市場では、商業印刷事業においてデジタル化の進歩による急激な市場の縮小が進むものと認識しておりますが、当社の企画力や印刷技術を駆使することで付加価値の高い製品を提供し販路拡大に努めます。
包装資材及び紙器、紙工品事業については、環境に配慮した製品の積極的な提案、提供をすることで、水性フレキソ包装や軟包装、パッケージ等幅広い販売の拡充に努めます。
情報機器事業については、顧客の要望に応じた省力化機器の提案をすることで、製造業や物流業への販路拡大に努めます。
当連結会計年度における総資産利益率(ROA)は0.09%(前連結会計年度は0.75%)、売上高当期純利益率(ROS)は0.07%(前連結会計年度は0.61%)となりました。省力化・効率化の需要が更に高まることが予想されるなか、お客様へ「グリーン」と「デジタル」に注目した提案型営業を積極的に展開するとともに、業務改善や生産ラインの省エネルギー化を継続して推し進め、総資産利益率(ROA)、売上高当期純利益率(ROS)の向上と経営基盤の強化に取り組み企業価値向上に努めてまいります。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
価格競争の激化による受注価格の低下については、生産ラインの効率化やシステム化を進めることで製品原価の見直しを図るとともに、競合先企業の動向、お取引先の要望をいち早く察知するなど競争力を強化することに努めます。
原材料価格の動向を常に注視し、調達先との価格交渉をしながら収益に与える影響を回避することに努めます。
情報機器類は競合先企業の動向を注視し、新製品の開発を進めることで、市場の要望にお応えできる製品作りに努めながら陳腐化を防ぎます。
⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、生産設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
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