業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 

当連結会計年度における当社グループ (当社、連結子会社及び持分法適用会社) の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下、「経営成績等」という。) の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 

a.経営成績

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大により経済活動、消費動向は厳しい状況が続いておりましたが、ワクチン接種の進展等により緩やかな回復基調が期待されたものの、2022年1月以降、新型変異株による感染再拡大により景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

靴業界におきましても、行動制限の緩和による消費動向は持ち直しが期待されたものの、コロナ禍を契機とした消費動向や価値観の変化、ワークスタイルの多様化等の影響により、革靴の市場規模全体が縮小傾向にあり、加えて原油や原材料価格の高騰等により厳しい経営環境が続いております。

このような環境のなか、当社グループは、構造改革による収益性の早期改善を重点課題に掲げ、グループ全体の経営資源の再配分等を行うことで各種コストを削減するとともに、新たな顧客創造に向けマーケットニーズに適切かつ迅速に対応できるような組織体制の構築と商品開発、ウェブ環境整備によるビジネスモデル改革の推進に取り組んでまいりました。更に靴製造業としての強みを生かし既存の取引先に拘ることなく、多種多様な新規事業の提案・開発を行うことで新たな販路を開拓してまいります。

 

売上高につきましては、2021年10月以降、緊急事態宣言解除に伴い消費動向は一時的に持ち直したものの、2022年1月以降、新型変異株による感染再拡大により厳しい状況となりました。

靴小売事業では、各種販促施策の効果もあり前年同期比で16.5%の増収となる一方で靴卸売事業では、取引先の売場縮小・撤退・廃業等の影響により、前年同期比で1.2%の減収となるなどセグメント間で格差が出ておりますが、全体では当連結会計年度の売上高は、前年同期比で8.4%の増収となりました。

利益面につきましては、販売費及び一般管理費は、コロナ禍における事業継続を目的とした希望退職者募集や緊急的な人件費削減等の事業構造改善施策及び不採算店舗の閉店等により前年同期比で5.2%減少、コロナ禍以前の2019年同期比では28.6%減少いたしました。また、売上総利益率につきましても展開アイテムの適正化及び在庫効率改善施策等により、5.5ポイント改善いたしました。これらの施策効果もあり、当連結会計年度は各利益ともに利益計上となりました。

以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は 20,814百万円 (前年同期比8.4%増) 、営業利益は 159百万円 (前年同期は営業損失 2,181百万円) 、経常利益は 299百万円 (前年同期は経常損失 2,087百万円) 、親会社株主に帰属する当期純利益は 138百万円 (前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失 4,417百万円) の計上となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は96百万円減少し、営業利益及び経常利益はそれぞれ22百万円増加しております。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

靴小売事業

 

靴小売事業では、主力の「リーガルシューズ店」を中心に国内の直営小売店では、2021年9月下旬から12月にかけて「リーガル」ブランド日本上陸60周年を記念し、SNS等インターネットを介した広告活動、有名ブランド・企業とのコラボレーションモデルを発売するなど当社が主力としている革靴の魅力訴求に注力いたしました。加えて、年間通しての最需要期である3月には、当社創立120周年を記念した販促キャンペーンを行うなど各種販促施策が功を奏し、年間売上高の増収に貢献いたしました。

当連結会計年度の店舗展開につきましては、3店舗を出店し、不採算店舗7店舗を閉店いたしました。(直営小売店の店舗数118店舗、前連結会計年度末比4店舗減)

この結果、当連結会計年度の売上高は 12,252百万円 (前年同期比 16.5%増) 、営業利益は 248百万円 (前年同期は営業損失 1,069百万円) となりました。

 

靴卸売事業

 

靴卸売事業では、第3四半期までの売上高につきましては、前年同四半期比で6.2%の減収、第4四半期(2022年1月から2022年3月まで)の売上高は、前年同四半期比で12.6%の増収と回復傾向にはあるものの、年間では1.2%の減収と靴小売事業と比較して未だに厳しい状況は続いております。

主力の百貨店業態を中心に各業態ともに売場・店舗の縮小、撤退・廃業等の影響が著しく、更に婦人靴やカジュアルシューズを中心に、海外生産拠点における外出規制の影響等による大幅な納期遅延も発生し、計画どおりの商品展開ができない状況が続いております。

また、一部のフランチャイズ加盟店においても、長引くコロナ禍の影響により収益状況が悪化し、店舗の閉店、当社への営業譲渡(直営小売店化)が見られるようになり、取引先の減少傾向に歯止めが掛かっておりません。

今後は、取扱いブランド、展開アイテム数の更なる適正化と効率化を図り、在庫効率の改善と販売・販促方法の見直しを早急に行うことにより、収益性の向上に注力してまいります。

この結果、当連結会計年度の売上高は 8,557百万円 (前年同期比 1.2%減) 、営業損失は 203百万円 (前年同期は営業損失 1,221百万円) となりました。

 

その他

報告セグメントに含まれない不動産賃貸料の収入など、その他事業の当連結会計年度の売上高は 113百万円 (前年同期比 37.0%減)、 営業利益は 15百万円 (前年同期比 50.3%減) となりました。

 

 

b.財政状態
 

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ 488百万円減少し、27,383百万円となりました。

このうち、流動資産の残高は 17,835百万円と、前連結会計年度末に比べ 189百万円減少しております。

これは、現金及び預金が1,073百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が107百万円増加したものの、商品及び製品が1,348百万円減少したことなどが主な要因であります。

固定資産の残高は 9,547百万円と、前連結会計年度末に比べ 299百万円減少しております。

これは、不採算店舗による減損損失などにより、有形固定資産が152百万円減少したことや、破産更生債権等が 39百万円、敷金及び保証金が45百万円減少するなど、投資その他の資産が220百万円減少したことなどが主な要因であります。

当連結会計年度末における負債の部の合計は、前連結会計年度末に比べ 484百万円減少し、17,101百万円となりました。

このうち、流動負債の残高は 10,615百万円と、前連結会計年度末に比べ 2,632百万円減少しております。

これは、短期借入金が2,866百万円減少したことなどが主な要因であります。

固定負債の残高は 6,485百万円と、前連結会計年度末に比べ 2,148百万円増加しております。

これは、早期退職制度を実施したことにより退職給付に係る負債が160百万円減少したものの、長期借入金が2,305百万円増加したことなどが主な要因であります。

当連結会計年度末における純資産の部の合計は、10,281百万円と、前連結会計年度末に比べ 3百万円減少しております。

これは、為替相場の影響で為替換算調整勘定が74百万円増加したものの、保有株式の株価の下落によるその他有価証券評価差額金が52百万円減少したことなどが主な要因であります。

また、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が169百万円減少しております。

 

② キャッシュ・フローの状況
 

当連結会計年度における現金及び現金同等物は 7,809百万円と前連結会計年度末と比べ 1,052百万円の増加 (前年同期比 15.6%増) となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,543百万円の増加 (前連結会計年度は 2,498百万円の減少) となりました。

主な要因としては税金等調整前当期純利益204百万円、棚卸資産の減少額1,419百万円、仕入債務の増加額461百万円などの増加要因と、事業構造改善費用の支払額621百万円などの減少要因によるものであります。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、45百万円の収入 (前連結会計年度は 445百万円の収入) となりました。

主な要因としては、店舗敷金の返還など、投資活動によるキャッシュ・フローのその他の収入180百万円、有形固定資産の売却による収入30百万円などの増加要因と、有形固定資産の取得による支出88百万円、ソフトウエアの取得による支出91百万円などの減少要因によるものであります。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、593百万円の支出 (前連結会計年度は 5,672百万円の収入) となりました。

主な要因としては、長期借入金の返済による支出501百万円などの減少要因によるものであります。

 

③ 生産、商品仕入、受注及び販売の実績

 

当社グループでは、生産実績及び商品仕入実績については、セグメント別に把握することが困難であるため、扱い品目の合計額を記載しております。

 

 

a. 生産実績

 

品 目

生産高(百万円)

前年同期比(%)

紳士靴・婦人靴

5,355

14.9

 

(注) 金額は、卸売価格によっております。

 

b. 商品仕入実績

 

品 目

商品仕入高(百万円)

前年同期比(%)

紳士靴・婦人靴

5,821

△1.6

 

(注) 金額は、仕入金額によっております。

 

c. 受注実績

 

当社グループは、見込生産を主としており、受注高及び受注残高に重要性がないため、記載しておりません。

 

d. 販売実績

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

靴小売事業

12,252

16.5

靴卸売事業

8,557

△1.2

その他

5

△77.2

合計

20,814

8.4

 

(注) 「その他」の販売高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を除いております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

a. 経営成績

当連結会計年度の売上高は20,814百万円 (前年同期比8.4%増) を計上しております。

当期におきましては、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展、行動制限の緩和などによる消費動向の持ち直しや靴小売事業の各種販促施策の効果などもあり、売上高は前年同期に比べ増加しておりますが、コロナ禍を契機とした消費動向や価値観の変化、ワークスタイルの多様化の影響により、厳しい経営環境が続いていると認識しております。

当連結会計年度の営業利益は 159百万円 (前年同期は営業損失 2,181百万円)、経常利益は 299百万円 (前年同期は経常損失 2,087百万円) を計上しております。

在庫効率改善施策等により売上総利益率を改善し、希望退職者募集や緊急的な人件費削減等の事業構造改善施策を行い、販売管理費を全般的に削減はいたしましたが、売上高対営業利益率 0.8%、売上高対経常利益率 1.4%となっております。

 

当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、構造改革による収益性の早期改善を重要課題に掲げ、目標とする各経営指標の向上に取り組んでまいります。

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

靴小売事業におきましては、新型コロナウイルスの影響による消費行動の落ち込みがありましたが、「リーガル」ブランド日本上陸60周年を記念した販促活動を行ったことなどにより、売上高は12,252百万円 (前年同期比16.5%増)、営業利益は248百万円 (前年同期は営業損失1,069百万円) となりました。

今後は、ウェブコンテンツやSNSの強化を図り、オムニチャネルの推進や外部ECを含めたEコマースの強化施策に注力してまいります。

靴卸売事業におきましては、主力の百貨店業態を中心に各業態ともに売場・店舗の縮小、撤退・廃業等による影響が大きく、売上高は 8,557百万円 (前年同期比1.2%減)、営業損失は203百万円 (前年同期は営業損失1,221百万円) となりました。

今後は、取り扱いブランド、展開アイテム数の更なる適正化と効率化を図り、在庫効率の改善と販売・販促方法の見直しを早急に行うことに注力してまいります。

 

b. 財政状態

(流動資産)

前連結会計年度末に比べ、現金及び預金が 1,073百万円増加し、商品及び製品が 1,348百万円減少しております。

現金及び預金は、新型コロナウイルス感染拡大の長期化に備えて、経営の安定化を図るべく手元資金を厚めに維持し手元流動性は充分と認識しております。

商品及び製品は、展開アイテムの適正化及び在庫効率改善施策等を行ったことにより減少しておりますが、更なる在庫効率の改善に向けた取り組みが必要と認識しております。

 

(固定資産)

前連結会計年度末に比べ、有形固定資産が 152百万円、投資その他の資産が 220百万円それぞれ減少しております。

有形固定資産は、設備投資を抑制したことや不採算店舗の固定資産に対して減損損失を計上したことなどによるものであります。

投資その他の資産は、投資有価証券20百万円、破産更生債権等39百万円、不採算店舗を閉店したことにより敷金及び保証金が45百万円減少したことなどによるものであります。

今後も適切な投資への取り組みが必要と認識しております。

 

(流動負債、固定負債)

前連結会計年度末に比べ、流動負債が 2,632百万円減少し、固定負債が 2,148百万円増加しております。

第1四半期連結会計期間において、新型コロナウイルス感染拡大の長期化に備えて、既存借入金の返済及び中長期的な財務基盤の安定化を目的として、タームローン契約による 3,000百万円の借入を実行したことにより、短期借入金が 2,866百万減少し、長期借入金が 2,305百万円増加しました。

資金調達に関しましては、今後も金利水準や市場環境等を踏まえた資金調達を行うとともに、取引先金融機関との良好な関係維持を図り手元流動性の確保が必要と認識しております。

 

(純資産)

純資産は10,281百万円となり、前連結会計年度末に比べ 4百万円減少しましたが、自己資本比率は37.3%と前連結会計年度末に比べ 0.7%微増しており、経営基盤の安定性は引き続き確保しているものと認識しております。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

当連結会計年度における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は、11,400百万円 (前年同期は11,930百万円) となっております。また、当連結会計年度における現金同等物の残高は 7,809百万円 (前年同期は 6,756百万円) となっております。

当連結会計年度における設備投資につきましては生産工場の空調設備設置工事や基幹システムのリース資産の取得などを行いました。この結果、当連結会計年度における有形固定資産の取得による支出は88百万円となりました。

これらの投資のための所要資金は、自己資金及び借入により資金調達いたしました。

なお、第1四半期連結会計期間において、新型コロナウイルス感染拡大の長期化に備えて、経営の安定を図るべく手元資金を厚くすることを目的とし、金融機関から 3,000百万円の資金の借入を行っており、手元流動性は充分と認識しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
 

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

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