経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」とい
う。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高は 85,703百万円(前年同期は 67,520百万円)、営業利益は 6,696百万円(前年同期は 3,492百万円)、経常利益は 7,304百万円(前年同期は 4,002百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は 5,046百万円(前年同期は 2,579百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は7百万円増加し、営業利益は7百万円増加しております。
当社グループは第6次中期経営計画「Resonate 2021」(2020年3月期から2022年3月期)の最終年度として、2027年に迎える『創立100周年』とさらにその先の継続的な発展に向け、企業価値・ブランド力の向上と持続的な成長に取り組みました。
こうした中で、昨年10月にポーランドで開催された『第18回ショパン国際ピアノコンクール』において、公式ピアノである当社Shigeru Kawaiフルコンサートピアノ『SK-EX』を弾いたアレクサンダー・ガジェヴ氏(イタリア/スロヴェニア)が第2位、ジェイ・ジェイ・ジュン・リー・ブイ氏(カナダ)が第6位という当社にとって大きなトピックがありました。
商品政策としては、ハイブリッドピアノ『NVシリーズ』において、アップグレード機種『NV5S』『NV10S』を昨年5月に発売、グランドピアノ『GXシリーズ』のコンパクトモデル『GX-1LE』を昨年7月に限定発売、更にハイブリッドピアノ『AURESシリーズ』に新たなラインナップ『AR2』を本年2月に発売いたしました。
財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、現金及び預金の増加などにより 46,436百万円(前期末は 38,215百万円)となりました。また固定資産は、投資有価証券の減少などにより 21,955百万円(前期末は 22,484百万円)となり、資産合計は 68,391百万円(前期末は 60,699百万円)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、20,572百万円(前期末は 17,096百万円)となりました。これは支払手形及び買掛金や未払法人税等などが増加したことによるものです。また固定負債は、長期借入金の減少などにより 14,259百万円(前期末は 15,668百万円)となり、負債合計は 34,831百万円(前期末は 32,765百万円)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は 33,559百万円(前期末は 27,934百万円)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益などによるものです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(楽器教育事業)
楽器教育事業は、『Shigeru Kawai』の伸長をはじめ、前期からの世界各地での巣ごもり需要を背景に鍵盤楽器の販売が好調に推移しました。また音楽教室や体育教室においては、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努める中、生徒募集やイベント開催などに取り組んだ結果、売上が増加しました。これらの結果、売上高は 69,039百万円(前年同期は 55,147百万円)となり、営業利益は高付加価値商品の販売増加や費用の削減などにより 4,862百万円(前年同期は 2,241百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は7百万円増加し、営業利益は7百万円増加しております。
(素材加工事業)
素材加工事業は、需要変動に対応する中、半導体関連部品や自動車関連部品の受注が堅調に推移したことなどにより、売上高は11,380百万円(前年同期は 9,112百万円)となり、営業利益は費用削減などにより 1,765百万円(前年同期は 1,291百万円)となりました。
(その他)
その他の事業は、医療機関向けIT機器の受注回復などにより、売上高は 5,283百万円(前年同期は 3,259百万円)となり、営業利益は 115百万円(前年同期は 49百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は 5,082百万円(前年同期に得られた資金は 4,942百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益 7,314百万円、減価償却費 1,527百万円、法人税等の支払額 1,212百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は 877百万円(前年同期に使用した資金は 899百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出 899百万円、無形固定資産の取得による支出 154百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は 1,800百万円(前年同期に得られた資金は 4,803百万円)となりました。これは長期借入金の返済による支出 915百万円などによるものであります。
これらにより、当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、換算差額等を含め前連結会計年度末に比べ 3,072百万円増加したことなどにより、当連結会計年度末には 21,489百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金需要のうち主なものは楽器製造のための材料費、楽器製造・販売及び音楽教室等の運営に携わる要員の給料手当、福利厚生費などの人件費の他、販売並びに役務提供に関する販売促進費、運送・保管料、物件費等であり、営業キャッシュ・フローによる充当を基本としています。また、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入れによっております。
当連結会計年度末において複数の金融機関との間で機動的な資金調達が可能となるコミットメントライン契約及び当座貸越契約等を締結し、15,302百万円の資金調達枠を設定しており、事業展開での資金需要に伴う手元資金の一時的な減少を防ぎ、経営の更なる安定化を図っております。(借入実行額残高 4,857百万円、借入未実行残 10,445百万円)
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度末現在における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りについては、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性がありますため、実際の結果は異なる場合があります。
会計上の見積りの重要なものについては以下のとおりであります。
(棚卸資産)
当社グループは、棚卸資産については、主として総平均法による原価法を採用し、期末における正味売却価額が収益性の低下により取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額に帳簿価額を切り下げております。正味売却価額は期末前の一定期間の販売実績等を用いて算定しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響等により、将来の市場状況の変化や販売価格の下落等が生じた場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識すべきであると判定し、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として処理しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、主として取締役会により承認された翌連結会計年度の計画及び中期経営計画等に基づき慎重に検討を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響等により、その見積もりの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、資産及び負債の金額についての、会計上と税務上の差額である一時差異に係る税金の額について、将来の会計期間において回収または支払が見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産または繰延税金負債として計上しております。繰延税金資産につきましては、合理的な仮定に基づく業績予測によって見積もられた、将来の課税所得または税務上の欠損金に基づき、将来の回収可能見込額を毎期見直しております。当社グループは、将来の課税所得の見積りについて、主として取締役会により承認された翌連結会計年度の計画及び中期経営計画を基礎として見積りを行っております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異のスケジューリングに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産の取崩が発生する可能性があります。
なお、詳細に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
楽器教育 |
34,156 |
132.0 |
素材加工 |
11,903 |
127.1 |
報告セグメント計 |
46,060 |
130.7 |
その他 |
180 |
95.4 |
合計 |
46,240 |
130.5 |
(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
楽器教育 |
16,204 |
142.5 |
素材加工 |
218 |
119.2 |
報告セグメント計 |
16,423 |
142.1 |
その他 |
4,258 |
191.4 |
合計 |
20,682 |
150.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、その他の仕入金額に著しい変動がありました。これは、IT機器の仕入が増加したことによるものであります。
c.受注実績
当連結会計年度における素材加工事業及びその他の事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。
なお、素材加工事業、その他の事業の一部を除く製品については主に見込み生産を行っております。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
素材加工 |
8,961 |
127.7 |
701 |
92.7 |
その他 |
4,995 |
119.0 |
1,919 |
91.1 |
合計 |
13,957 |
124.4 |
2,620 |
91.5 |
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
楽器教育 |
69,039 |
125.2 |
素材加工 |
11,380 |
124.9 |
報告セグメント計 |
80,419 |
125.1 |
その他 |
5,283 |
162.1 |
合計 |
85,703 |
126.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、その他の販売金額に著しい変動がありました。これは、IT機器の販売が増加したことによるものです。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
パーソンズ ミュージック コーポレーション グループ |
10,373 |
15.4 |
15,969 |
18.6 |
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