業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」とい

 う。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出の増加や生産の持ち直しの動きがみられたものの、変異株による新型コロナウイルス感染症の再拡大による経済活動の制限を受け、2021 年7~9月期のGDPはマイナス成長となるなど、厳しい状況が続きました。ワクチンの追加接種や治療薬の開発に伴い、経済活動の回復期待が高まる一方で、海外における感染の再拡大、米国や欧州のインフレ加速懸念、中国経済の減速懸念、一部地域による地政学リスクなどから、依然として先行きは不透明な状況にあります。

当グループを取り巻く事業環境におきましては、各種政策効果や感染拡大防止策による経済活動活性化の期待感はあるものの、新型コロナウイルスの変異株の世界的な感染再拡大、とくにベトナムの一部地域における一時的な都市封鎖が実施されたことにより、エフシー ベトナム コーポレーション(当社子会社)の生産体制が影響を受けたほか、原油価格の高止まりによる原材料費の上昇、世界的な海上コンテナ需要逼迫による物流の混乱やそのコストの高騰など、主力のサーマルトランスファーメディアの市場をはじめとして厳しい環境が継続しております。

こうした状況のもと、当グループの強みである創造型企業としての技術基盤をもとに、新製品の開発および新市場の開拓を重点課題とし、多様化・高度化する顧客のニーズに対応する開発に努めてまいりました。

とくに、当連結会計年度における販売面につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を比較的受けにくい市場への販売に注力するなどの拡販活動を展開いたしました。

一方、生産面におきましては、海外生産拠点であるエフシー ベトナム コーポレーションの活用強化による生産効率化、グループ全体でのコスト削減の推進による収益の改善に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、連結売上高が85億9千8百万円(前年同期比14.0%増)となり、営業利益は3億4千9百万円(前年同期 営業損失1億1千5百万円)経常利益は4億2千5百万円(前年同期 経常損失8千万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等の計上などにより、3億6千9百万円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純損失1億8千万円)となりました。

また、財政状態については次の通りです。

当連結会計年度末の総資産は、162億2千1百万円(前連結会計年度末比2.0%増)と、前連結会計年度末に比べ3億1千6百万円の増加となりました。

負債は、57億4千2百万円(前連結会計年度末比1.2%減)と、前連結会計年度末に比べ6千9百万円の減少となりました。

純資産は、104億7千8百万円(前連結会計年度末比3.8%増)と、前連結会計年度末に比べ3億8千6百万円の増加となりました。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントを「印字記録媒体および事務用消耗品関連事業」の単一セグメントから、「印字記録媒体および事務用消耗品関連事業」、「プラスチック成形関連事業」の2区分に変更しております。前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。セグメント別の業績は、次のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を除いた売上高で表示しております。

印字記録媒体および事務用消耗品関連事業は、売上高81億2千9百万円(前年同期比13.5%増)、セグメント利益(売上総利益)は21億4千7百万円(前年同期比36.6%増)となりました。

プラスチック成形関連事業は、売上高4億6千8百万円(前年同期比21.9%増)、セグメント利益(売上総利益)は1億4千4百万円(前年同期比12.5%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、期首残高に比べ2億5千2百万円減少し、43億2千5百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費の内部留保などにより、8億9千8百万円の収入となり、前年同期比では1億3百万円の収入の増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、7億2千8百万円の支出となり、前年同期比では5千4百万円の支出の増加となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などにより、4億5千1百万円の支出となり、前年同期比では1億4千1百万円の支出の増加となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

品目別

生産高(千円)

前年同期比(%)

印字記録媒体および

事務用消耗品関連事業

サーマルトランスファーメディア

4,616,301

11.3

インパクトリボン

607,993

13.1

テープ類

1,977,017

35.9

機能性フィルム

447,435

23.1

その他

109,877

△43.2

プラスチック

成形関連事業

プラスチック成形品

480,136

21.5

8,238,761

16.1

 

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

品目別

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高

(千円)

前年同期比(%)

印字記録媒体

および事務用

消耗品関連事業

サーマルトランスファーメディア

4,905,540

16.4

518,741

30.3

インパクトリボン

729,146

7.1

107,541

6.2

テープ類

2,011,931

35.5

417,855

26.0

機能性フィルム

447,708

14.1

43,329

14.7

その他

268,748

△19.2

46,095

47.3

プラスチック

成形関連事業

プラスチック成形品

459,457

16.9

31,552

△22.9

8,822,533

17.7

1,165,115

23.8

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

品目別

販売高(千円)

前年同期比(%)

印字記録媒体および

事務用消耗品関連事業

サーマルトランスファーメディア

4,784,980

11.8

インパクトリボン

722,916

4.1

テープ類

1,925,673

31.8

機能性フィルム

442,143

18.7

その他

253,945

△27.5

プラスチック

成形関連事業

プラスチック成形品

468,850

21.9

8,598,509

14.0

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

まず、当グループは、目指すべき長期ビジョンとして「FCL VISION ~ありたい姿、志~」を掲げ、一層厳しさを増す経営環境においても体幹をきたえつつ成長するとの決意を込めて、2020年度から2022年度までの3年間を「挑戦する3年」と位置づけ、新たな中期経営計画を打ち立てました。この計画目標を達成するべく、重点経営課題として、「新製品・新規事業の開発」、「ものづくり力・生産性の強化」、「人財育成」および「基幹系システムの再構築による業務改革」の4つに取り組みました。

 

『目標』 (2021年2月12日公表)

 

2021年度 目標

連結売上高

8,100百万円
連結売上高9.8%ダウン
(2019年度比)

連結営業利益

150百万円
連結売上高営業利益率1.9%

 

『実績』

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

連結売上高

9,383百万円

8,977百万円

7,544百万円

8,598百万円

 

(2019年度比増減率)

(―)

(―)

(△16.0%)

(△4.2%)

連結営業利益

650百万円

429百万円

△115百万円

349百万円

 

(連結売上高営業利益率)

(6.9%)

(4.8%)

(―)

(4.1%)

 

 

 

2021年度は、米国や欧州のインフレ加速懸念、中国経済の減速懸念、一部地域における地政学リスクなどに加え、変異株による新型コロナウイルス感染症の再拡大による経済活動の制限を受け経済活動が停滞し、経済環境が引き続き悪化いたしました。当グループを取り巻く事業環境におきましても、各種政策効果や感染拡大防止策による経済活動活性化の期待感はあるものの、新型コロナウイルスの変異株の世界的な感染再拡大、原油価格の高止まりによる原材料費の上昇、世界的な海上コンテナ需要逼迫による物流の混乱やそのコストの高騰など、主力のサーマルトランスファーメディアの市場をはじめとして厳しい環境が継続いたしました。

こうした状況のもと、当グループの強みである創造型企業としての技術基盤をもとに、新製品の開発および新市場の開拓を重点課題とし、多様化・高度化する顧客のニーズに対応する開発に努めてまいりました。なお、研究開発費の総額は、新型コロナウイルスの影響による移動制限等の緩和もあり、4億1千2百万円と前年同期に比べて2千4百万円増加となりましたが、引き続き将来の成長に向けた投資を継続してまいります。

一方、生産面におきましては、海外生産拠点であるエフシー ベトナム コーポレーション(当社子会社)の活用強化による生産効率化、グループ全体でのコスト削減の推進による収益の改善に取り組んでまいりました。

この結果、2021年度の連結売上高、連結営業利益(率)のいずれにつきましても、目標(2021年2月12日公表)を上回る結果となりました。

中期経営計画最終年度である2022年度の数値目標といたしましては、新型コロナウイルス感染症の再拡大により再び世界レベルでの経済への影響が懸念されるなど、極めて厳しい経営環境が続くと予想されますが、連結売上高91億円、連結営業利益4億5千万円としております。この目標達成に向けて、新製品、新規事業の開発や新規顧客開拓を従来にもましてスピードを上げ、全社一丸となって取り組んでまいります。また、国内外の拠点を活用して、特長ある付加価値の高い新製品を積極的に市場投入していくほか、既存製品のコストダウン実現によるシェアアップなどにより、販売拡大を図るとともに収益の確保に努めてまいります。

 

 

次に、当連結会計年度における当グループの経営成績の分析は次のとおりです。

a. 売上高

当連結会計年度の売上高は、85億9千8百万円(前年同期比14.0%増)と、前連結会計年度に比べ10億5千3百万円の増収となりました。これは主として、主力製品を中心に新型コロナウイルス感染拡大の影響を比較的受けにくい市場への販売に注力するなどの拡販活動を展開したことなどによるものであります。

また、当連結会計年度より「印字記録媒体および事務用消耗品関連事業」は売上高81億2千9百万円(前年同期比

13.5%増)における品目別売上高の状況は、次のとおりであります。

サーマルトランスファーメディアは、新型コロナウイルスの影響を受けにくい分野に対して、主力のバーコード用リボンを中心に拡販に努めました結果、47億8千4百万円(前年同期比11.8%増)となりました。

インパクトリボンは、市場の縮小傾向が続くなか、選択と集中にもとづく営業活動を展開し、7億2千2百万円(前年同期比4.1%増)となりました。

テープ類は、主要顧客を中心に需要が回復基調にあり、19億2千5百万円(前年同期比31.8%増)となりました。

機能性フィルムは、電子材料分野を中心に拡販に努めるとともに、新規開発分野の売上が徐々に寄与しはじめて

おり、4億4千2百万円(前年同期比18.7%増)となりました。

その他は、2億5千3百万円(前年同期比27.5%減)となりました。

 プラスチック成形関連事業は、取引先各社の需要が総じて好調に推移したことから、4億6千8百万円(前年同

期比21.9%増)となりました。

b. 営業損益

売上原価は、生産面において、海外生産拠点であるエフシー ベトナム コーポレーション(当社子会社)の活用強化による生産効率化、グループ全体でのコスト削減の推進に努めたなかで、売上高増収にともない、63億6百万円(前年同期比7.9%増)と、前連結会計年度に比べ4億6千2百万円の増加となりました。

販売費及び一般管理費は、19億4千2百万円(前年同期比7.0%増)と、前連結会計年度に比べ1億2千6百万円の増加となりました。

営業利益は、高付加価値製品の販売増加およびグループを挙げた生産の効率化によるコスト削減などにより3億4千9百万円(前年同期 営業損失1億1千5百万円)となりました。

c. 営業外損益および経常損益

営業外損益は、前年同期に比べ為替差損益が好転したことなどにより7千6百万円の利益(純額)となり、前連結会計年度に比べ4千万円の増加となりました。

この結果、経常利益は4億2千5百万円(前年同期 経常損失8千万円)となりました。

d. 特別損益および税金等調整前当期純損益

特別損益は、固定資産廃棄損の計上により、1千1百万円の損失(純額)となり、前連結会計年度に比べ3千5百万円の損失の減少となりました。

この結果、税金等調整前当期純利益は4億1千4百万円(前年同期 税金等調整前当期純損失1億2千6百万円)となりました。

e. 法人税等(法人税等調整額を含む)および親会社株主に帰属する当期純損益

法人税等(法人税等調整額を含む)は4千4百万円と、前連結会計年度に比べ9百万円の減少となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3億6千9百万円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純損失1億8千万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析、検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

当グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、次の通りです。

営業活動による資金の増加は、売上債権の増加、減価償却費の内部留保などによるものです。

投資活動による資金の減少は、有形固定資産の取得による支出などによるものです。

財務活動による資金の減少は、長期借入金の返済などによるものです。

これらの影響により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、期首残高に比べ2億5千2百万円減少し、43億2千5百万円となりました。

 

当グループの資本の財源及び資金の流動性の分析につきましては、次の通りです。

当グループにおける運転資金需要の主なものは、製品を製造するための原材料および部品の購入のほか、製造費用や販売費及び一般管理費(研究開発費を含みます。)の営業費用によるものです。また当グループの投資資金需要の主なものは、国内の製造拠点である岡山工場での生産性向上のための設備投資であります。

また、株主への配当金については、将来の成長に必要なキャッシュ・フローや内部留保等を勘案しつつ、経営成績に応じ、安定した配当を実施することを基本方針としております。これまで、連結配当性向25%から30%程度を目安に、安定的な配当を維持していくこととしておりましたが、2022年12月期決算以降につきましては、株主還元の一層の強化により企業価値の向上を図るため、連結配当性向30%以上を方針といたします。

続いて、当グループの資金調達は、主として営業活動によるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入となります。

流動性につきましては、新型コロナウイルス感染症等により先行きが不透明な中、不測の事態に備え、金融機関からの長期借入金を行うなど、事業活動を行う上で十分な運転資金を有するとともに、金融機関からの借入金につきましては、引き続き今後の成長に必要となる資金を適切に調達することが可能であると考えております。また、緊急時の流動性確保に備えて、金融機関との間に借入枠を確保しており、機動的な資金調達に備えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって見積りが必要な事項につきましては合理的な基準にもとづき会計上の見積りを行っております。当グループは、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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