当社グループは、粘着応用技術、表面改質技術、システム化技術、並びに特殊紙・剥離材製造技術を基盤に、印刷・情報材料、産業工業材料、半導体関連材料、光学機能材料などの多岐にわたる製品を開発・製造・販売し、その研究開発活動の大部分を提出会社である当社が行っております。当期は前期に引き続き、中・長期研究開発計画に基づいた新技術や新製品、特に機能性材料とその加工技術の開発に積極的に取り組み、ユーザーニーズを重視したマーケット対話型の研究開発に努めてまいりました。
また、当社グループの海外における研究機関であるNano-Science & Technology Center(米国テキサス州)では、近未来の新製品創出に向けて、カーボンナノチューブ関連や人工筋肉関連の研究とそれぞれの応用開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発費の総額は
なお、セグメント別の主な研究開発活動の状況は次のとおりです。
環境負荷低減に寄与する製品の開発に注力しており、その一環として粘着剤にバイオマス素材を用いた強粘着タイプのラベル素材や表面基材にバイオマス素材を採用したラミネートフィルムなどを開発して、ラインアップの拡充を図っています。当期は、きれいに剥がせるラベルの需要が容器のリユース・リサイクルを目的として近年高まっていることから、バイオマス素材を用いた再剥離タイプの粘着剤を開発しました。一般社団法人日本有機資源協会が運営するバイオマスマークの認定を取得しており、CO2排出量の削減にも貢献します。
さまざまな産業向けや建物用の機能性粘着素材の開発を継続しています。エア抜け性に優れる施工しやすいマーキングフィルムや壁紙の開発に注力し、幅広い易貼付製品の提供を目指しています。
またデジタルプリントに対応するビジュアルマーキングフィルムの拡充や、自動車の塗装面を汚れや傷から守る保護フィルムの改良も継続しています。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は
スマートフォンなどに用いられるウェハレベルパッケージ半導体の生産性向上に寄与するチップ裏面保護テープのほか、帯電防止性能を付与した環境負荷の少ないダイシングテープを開発しました。加えて、薄型ウェハが使用されるインテリジェントセンサーや3D NANDフラッシュメモリーの製造に不可欠な高機能ダイシングテープ、表面保護テープ、ダイシング・ダイボンディングテープなどの開発・上市を継続し、急速に進むDX化、AIや次世代通信の普及・拡大の一翼を担っています。
また、スマートフォンや車載用途向けの積層セラミックコンデンサ(MLCC)の需要が拡大しており、MLCCの小型化・高機能化に伴う剥離フィルムのさらなる高品質化や新規アイテムに対応した剥離フィルムの開発に取り組んでいます。将来の電気自動車や5G向け半導体の普及などによる需要増を見込んで生産体制の増強も進めています。
大型テレビやタブレット、スマートフォンといった各種ディスプレイに用いられる機能性粘着剤と機能性コート剤を引き続き開発しています。
車載ディスプレイ用粘着剤では、プラスチックパネルに対する耐ブリスター性と耐湿熱白化性を向上させたほか、着色や光拡散などの機能を追加した製品も含めて開発を進めています。
また、タッチセンサーに使用される金属細線の腐食を抑制し、かつ紫外線の遮蔽性を兼ね備えた粘着剤や、フレキシブルディスプレイに使用される耐折り曲げ性を付与した粘着剤など、新規のディスプレイ製品に対応した素材開発を進めています。また、抗菌・抗ウイルス性を付与したガラス飛散防止フィルムなどの開発も行いました。
光の拡散領域が制御可能な光拡散フィルムについては、顧客ニーズにマッチした特性にカスタマイズすることでさらに優位性を発現し、スマートウオッチなどの超低消費電力の反射型液晶ディスプレイへの採用が加速しました。そのほか、プロジェクションスクリーンや反射型サイン用としてのデモ試験を活発に継続しています。これら製品のさらなる開発・拡販を目指すとともに、新たな機能性粘着剤と機能性コート剤の開発も進めていきます。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は
包装容器をはじめとした消費材の環境負荷低減に貢献できる特殊紙の開発に取り組んでいます。具体的にはポリエチレンのラミネートをせずにプラスチック代替用途で使用できる特殊紙や、食の安全性への期待に応えるフッ素を使用しない耐油耐水紙の開発を進めています。
靴やかばんなどに使われる合成皮革の表面に光沢感や柄を付与するための型紙として工程紙が用いられており、当社ではトレンドに合わせたさまざまな柄の工程紙を開発し、ラインアップを拡充しています。
また、剥離紙や剥離フィルムに塗布されている剥離処理層は、ナノメートルオーダーという極薄膜であることから、これまでは有機溶剤で希釈して塗布するのが主流でした。しかし、環境保全の観点からVOC(揮発性有機化合物)の排出量削減に向けた処方開発に注力しており、今後も剥離紙の無溶剤化を積極的に推進してまいります。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は
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