業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末において判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染状況が一時的に落ち着きを見せつつありますが、ウクライナ情勢等を背景に先行きには不透明感が増す状況となっております。
 このような事業環境の中、呼吸用保護具を中心に労働安全衛生保護具を供給している当社は、主要顧客である製造業からの受注が景気減速の影響を大きく受けることも無く、呼吸用保護具全般の受注は堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症対策としてN95マスク等の受注が急増した前事業年度と比べると、売上高は6.2%減の119億18百万円となりました。
 また、利益面でも、売上高の減少が影響したこともあり、売上総利益は前事業年度比9.5%減の37億2百万円となりました。
 販売費及び一般管理費は、営業活動方法の見直しによる諸経費削減効果に加え、売上高の減少に伴う運送費等の低減もあって、前事業年度比では5.2%減の30億97百万円となりました。
 以上の結果、営業利益は前事業年度比26.5%減の6億5百万円(前事業年度8億23百万円)、経常利益は23.9%減の6億53百万円(前事業年度8億59百万円)、当期純利益は福島県の産業復興企業立地補助金1億68百万円を特別利益に計上した結果、9.5%減の5億89百万円(前事業年度6億51百万円)の減益決算となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用による当期純利益に与える影響はありません。

総資産が前事業年度と比べて3億37百万円増加しております。これは生産設備の増強で固定資産が増えたものです。この結果、当事業年度の経営指標ROEは、9.7%となりました。今後、生産効率化を中心に利益率改善を図り、引き続きROEの向上に努めてまいります。

なお、収益認識会計基準等の適用による利益剰余金の当期首残高への影響はありません。

 

② キャッシュ・フローの状況
 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)については、税引前当期純利益8億4百万円、減価償却費6億43百万円、棚卸資産、売上債権の増加、未払費用の減少、有形固定資産の取得、長期借入金の返済等の要因により、資金残高は、前事業年度末比で1億79百万円減少の5億36百万円となりました。

 当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は、4億90百万円(前事業年度比2億72百万円減)となりました。これは主として、税引前当期純利益8億4百万円、減価償却費6億43百万円、棚卸資産の増加1億9百万円、仕入債務の減少4億29百万円、未払費用の減少1億46百万円、売上債権の増加21百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は、4億96百万円(前事業年度比6億35百万円減)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出4億63百万円、無形固定資産の取得による支出34百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は、1億73百万円(前事業年度は、得られた資金が3億99百万円)となりました。これは主として、短期借入金の減少7億円、長期借入れによる収入14億円、長期借入金の返済による支出7億75百万円、配当金の支払額88百万円等によるものであります。

 なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりです。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

当社は、労働安全衛生保護具の製造販売事業の単一セグメントであるため生産、受注及び販売の状況については、品種別に記載しております。

a. 生産実績

 

区分

生産高(千円)

前年同期比(%)

呼吸用
保護具

防毒マスク

2,812,700

△7.0

防じんマスク

2,977,918

△16.0

送気マスク

327,958

△22.0

その他の呼吸用保護具

1,558,043

△1.9

めがね・シールド

37,484

△66.9

その他

321,536

△6.1

合計

8,035,643

△11.1

 

(注) 上記の金額は販売価額で表示してあります。

 

b. 主要仕入商品の仕入実績

 

区分

仕入高(千円)

前年同期比(%)

呼吸用
保護具

自給式呼吸器

1,873,356

1.7

送気マスク

38,306

30.9

酸素計・ガス検知器

155,548

68.7

保護衣・保護手袋

643,546

△25.4

その他

216,358

△42.2

合計

2,927,117

△8.5

 

(注) 上記の金額は仕入価額で表示してあります。

 

c. 受注実績

当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

d. 販売実績

 

区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

製品

呼吸用
保護具

防毒マスク

2,806,727

△0.9

防じんマスク

3,017,023

△10.2

送気マスク

404,976

2.2

その他の呼吸用保護具

1,507,249

9.2

7,735,977

△2.9

めがね・シールド

39,835

△16.0

その他

329,497

△14.9

小計

8,105,309

△3.5

商品

呼吸用
保護具

自給式呼吸器

2,384,985

△7.0

送気マスク

47,816

8.0

2,432,802

△6.8

酸素計・ガス検知器

227,479

71.8

保護衣・保護手袋

839,932

△17.6

その他

313,357

△41.5

小計

3,813,572

△11.3

合計

11,918,882

△6.2

 

 

(注) 1 前事業年度及び当事業年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりであります。

前事業年度

当事業年度

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

1,408,033

11.1

1,193,504

10.0

 

 

2 主な輸出先及び輸出販売高に対する割合は次のとおりであります。

輸出先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

アジア

906,105

64.4

725,684

60.8

欧州

316,196

22.5

171,368

14.4

米国

75,029

5.3

254,836

21.4

その他

110,702

7.9

41,615

3.5

合計

1,408,033

100.0

1,193,504

100.0

 

 

3 輸出については、本社担当部門が直接販売を行っているほか、輸出業者等を通じて海外市場に販売しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①財政状態

(総資産)

総資産は、前事業年度末に比べて3億37百万円増加し、143億22百万円となりました。

(流動資産)

流動資産は、前事業年度末に比べて、40百万円減少し、86億26百万円となりました。

これは主に、現金及び預金が1億79百万円、受取手形が1億29百万円減少、商品及び製品が1億10百万円増加したこと等によるものです。

(固定資産)

固定資産は、前事業年度末に比べて、3億78百万円増加し、56億95百万円となりました。

これは主に、投資有価証券が5億44百万円増加したこと等によるものです。

 

(流動負債)

流動負債は、前事業年度末に比べて、12億16百万円減少し、51億55百万円となりました。

これは主に、短期借入金が7億円、電子記録債務が3億19百万円、買掛金が1億54百万円減少したこと等によるものです。

(固定負債)

固定負債は、前事業年度末に比べて、6億76百万円増加し、26億69百万円となりました。

これは主に、長期借入金が5億5百万円増加したこと等によるものです。

(純資産)

純資産合計は、前事業年度末に比べて、8億77百万円増加し、64億97百万円となりました。

これは主に、利益剰余金合計が5億円、評価・換算差額等合計が3億77百万円増加したことによるものです。

この結果、自己資本比率は、前事業年度の40.2%から45.4%となりました。

  

② 経営成績

当事業年度は、売上高119億18百万円(前事業年度比6.2%減)、営業利益6億5百万円(前事業年度比26.5%減)、経常利益6億53百万円(前事業年度比23.9%減)、当期純利益5億89百万円(前事業年度比9.5%減)となりました。

(売上高)

売上高は、主要顧客である製造業からの受注が景気減速の影響を大きく受けることも無く、呼吸用保護具全般の受注は堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症対策としてN95マスク等の受注が急増した前事業年度と比べると、前事業年度比6.2%減119億18百万円となりました。

(売上原価)

売上原価は、前事業年度に比べ3億94百万円減少82億16百万円となりました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ1億68百万円減少30億97百万円となりました。

(営業利益)

営業利益は、6億5百万円となり、前事業年度に比べ2億17百万円の減少となりました。

(営業外損益)

営業外収益は、88百万円となり、前事業年度とほぼ同水準となりました。営業外費用は、40百万円となり、前事業年度とほぼ同水準となりました。

(経常利益)

経常利益は、6億53百万円となり、前事業年度に比べ2億5百万円の減少となりました。

 (特別利益)

特別利益は、前期には福島県の産業復興企業立地補助金があったことから、1億69百万円増加となりました。

(特別損失)

特別損失は、固定資産の除却をおこなったことから18百万円となり、前事業年度とほぼ同水準となりました。

以上の結果、税引前当期純利益は、8億4百万円となり、前事業年度に比べ44百万円の減少となりました。また、当期純利益は、5億89百万円となり、前事業年度に比べ61百万円の減少となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
 a.キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 また、当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

40.0

40.2

45.4

時価ベースの自己資本比率(%)

89.3

52.1

45.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

304.2

451.6

684.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

61.3

49.3

24.1

 

(注) 1 各指標の算出基準は以下のとおりであります。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの株主資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金需要に必要な資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、設備投資等の大きい資金需要に対応する場合は、事業継続に必要な流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入を行う方針です。なお、資金調達を行う際は、借入期間や市場金利動向等を勘案しながら、最適な調達を実施します。
 


④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。こ
の財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
 その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表[注記事項](重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
 

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