課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、2030年に向けた「長期ビジョンCCC2030」において、より長期視点での経営をおこなっていくための経営モデルとして「森林経営モデル」を掲げ、「自律協働社会」の実現に向けた自らの役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と定め、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、豊かな生き方を創造する企業となるべく取り組んでおります。

これまで当社グループでは、社会の変化を捉え、「共感共創」という強みを生かして、顧客やパートナーと共に新しい体験をデザインし、家具から多様な「働き方」を支える「オフィス空間」、文具から「学び方と暮らし方」を支える「道具・サービス」など、「モノだけでないコトのニーズ」に対応する事業に発展させてまいりました。これからは、未来の自律協働社会に向けた社会課題や顧客ニーズの解決のために、「モノからコトへ」提供価値の拡大を進め、「働く」「学ぶ・暮らす」領域における新しい顧客体験価値を創出していきます。既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡張や新規ニーズの事業化を通じて事業領域の拡大を進め、様々な顧客ニーズに応えながら持続的に成長する多様な事業の集合体(森林)へと変化することを目指してまいります。

また、顧客の体験をデザインするために、「顧客や社会の課題を、誰よりも早く自分たちの社内に取り込んで試し、楽しく体験すること」を行ってきました。今回、これを「実験カルチャー」として言語化し、社内でこの行動やポリシーを浸透、醸成することで、新たな挑戦を現場から次々と引き出していきます。コクヨの強みである「共感共創」を支える「実験カルチャー」をさらに加速させ、新しい発想を重ねて形にしてまいります。

当社は、「長期ビジョンCCC2030」 において、自律協働社会の実現に貢献するために、企業理念を「be Unique.」とし、社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と定め、「共感共創」を大切な価値観とし、顧客の体験価値を拡張するモノだけでないコトのニーズも捉え、「実験カルチャー」による多様な発想の重なりで、事業領域を広げながら、2030年には売上高5,000億円規模の多様な事業の集合体になることを目指します。

 

(2)目標とする経営指標

 2024年度を最終年度とする第3次中期経営計画の目標数値として、売上高3,600億円、売上総利益1,437億円、営業利益275億円、営業利益率7.6%、自己資本当期純利益率(ROE)8%の達成を目指します。

 なお、2022年12月期より「収益認識に関する会計基準」等の適用を予定しておりますので、2021年12月期の実績につきましても、参考までに補正して表示しております。

(単位:億円)

 

2021年12月期

2024年12月期

実績

目標

2021年12月期比

売上高

2,926

3,600

+23.0%

売上総利益

(率)

1,135

(38.8%)

1,437

(39.9%)

+26.6%

(+1.1pt)

営業利益

(率)

199

(6.8%)

275

(7.6%)

+38.1%

(+0.8pt)

ROE(率)

(6.0%)

(8.0%)

(+2.0pt)

 

(3)経営環境

 当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」をご参照ください。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループでは、「長期ビジョンCCC2030」達成に向けた第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」において、既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡大を推進します。

 

・4つの全社テーマ

 この3カ年で取り組む重要な4つの全社テーマは下記のとおりです。

①「ダイナミックな成長投資」:投資・研究開発の枠を決定し、検討、意思決定、責任者の設定などPDCAのルールと体制など投資ガバナンスを設計し実行する。

②「人材の活躍と成長」:社内の人材の流動性を高め、多様な人材の活躍の機会を増やす。

③「イノベーションの活性化」:インキュベーションの場としくみを構築する。

④「社会価値と経済価値の両立」:社員が社会課題を体験する機会を増やす。

 

・事業戦略

当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」の達成に向けて、自らの社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義し、「働く」「学ぶ・暮らす」のドメインで、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造する企業となることを目指します。

これにより、2022年12月期から事業領域を「ワークスタイル領域」と「ライフスタイル領域」の2つに整理し、報告セグメントを4つに変更します。

 

①ワークスタイル領域

新型コロナウイルス感染拡大によって定着した働く場の分散と働き方の多様化により定着したハイブリッドワークにおける新しいニーズに着目します。

ファニチャー事業は、働き方の変化に伴うオフィスリニューアル需要の獲得と、デジタルや内装など事業領域の拡張をベースに増収増益に向けてコクヨ全社の業績を牽引することを目指します。

ビジネスサプライ流通事業は、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにEC購買が広がった通販市場の成長をベースに、カウネットにおいては、ECマーケティングの強化により、顧客数の拡大による増収と収益性の改善に取り組んでまいります。

これによりワークスタイル領域全体として働き方の変化を捉え大幅な増収増益を目指してまいります。

 

②ライフスタイル領域

学びや生活の道具におけるライフスタイルツールにおいて、より自分らしく生きることへのこだわりのニーズの高まりに着目します。

ステーショナリー事業においては、SNSなど自己表現ニーズの高まりなどにより付加価値文具市場は拡大する中で、国内の既存事業のブラッシュアップに加えて、国内外でデジタルマーケティングの強化に取り組み、増収増益を目指します。

インテリアリテール事業のアクタスにおいては、巣ごもり需要だけでなく、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略(OMO、Online Merges with Offline)に取り組み、増収増益を目指します。

これによりライフスタイル領域全体として、自分らしい生き方の探求と社会の共生のニーズへの対応で増収増益を目指してまいります。

 

・資本政策

これらの計画を進める上で、投資及び株主還元等との間で適切な資源配分を実施致します。そのために、事業資産の効率向上に向けた取り組みを推進するとともに、資本コストを明確に意識した投資決定と事業評価を推進してまいります。

また、持続的な企業価値向上に向けた戦略投資として、定常投資200億円に加え、事業領域拡大に向けた成長投資300億円を実施致します。社会価値向上に向けて社会貢献目的の寄付枠(経常利益の1%=約2億円)とESG活動費枠を設定し、投資推進部門とサステナブル推進部門が全社横串でクライテリアを明確にしながら推進してまいります。

更に、配当性向40%及び安定的な増配を達成すべく株主還元を実施することで、株主との積極的な対話を通じて、中長期の成長ストーリーに関して説明責任を果たしてまいります。

以上のような取り組みを通じて2024年度ROE8%を実現してまいります。

 

以上の経営方針に基づき、当社グループにおける持続的成長の獲得を目指してまいります。

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得