当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績等に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。収益認識会計基準等の適用が経営成績等に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、経済及び社会が不安定に推移しました。当連結会計年度の上期においてはワクチン接種の進行による感染者数の減少に加えて感染防止対策が行き渡ったこともあり、2021年9月末の緊急事態宣言の全面解除以降は、消費環境が回復基調に転じつつありましたが、当連結会計年度の下期においてはオミクロン株の感染が急拡大したことなどから各自治体によりまん延防止等重点措置が講じられたことで、再び急速に悪化いたしました。
このような環境下にあって当社グループは、和装事業におきましては、収益認識会計基準等の適用により売上減となりました。洋装事業におきましては、衛生商品の受注獲得が減少したことに加え、ASEANでの生産遅延の影響もあり大幅な売上減となりました。ホームファニシング事業におきましては、緊急事態宣言の発令及びまん延防止等重点措置の適用により、大型商業施設に対する休業や時短営業の再要請はあったものの前年ほどの影響は受けず大幅な売上増となりました。
厳しい経営環境下ではありますが、当社グループにおきましては、2021年度は2019-2021年度を計画期間とする中期経営計画「START UP!NEW TSUKAMOTO -これからの新しいツカモト-」の最終年度にあたり、効率経営の推進と経営資源の有効活用による生産性の向上を図り、経営基盤の強化を進めるとともに、社内の業務改革、意識改革、風土改革を推進し、活力のある集団として働きがいのある会社となって、企業価値の向上につなげてまいりました。引き続き業務の効率化、在庫の効率化を図ることで全営業部門の黒字化の達成を目指すとともに、モノを製造するだけではなく、そこから生まれるサービスをどう広げられるかを追求し、改革を実行することで、ツカモトグループならではの付加価値の高い事業を開発してまいります。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高は15,658百万円(前連結会計年度は17,849百万円)、営業利益は229百万円 (前連結会計年度は188百万円)、経常利益は300百万円(前連結会計年度は264百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は329百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益146百万円)となりました。
セグメントの状況は次のとおりです。
<和装事業>
ツカモト市田株式会社における和装事業につきましては、収益認識会計基準等の適用により売上減となりましたが、利益率の改善及び経費削減の効果もあり損益は改善しました。
以上の結果、当事業分野の売上高は1,283百万円(前連結会計年度は1,866百万円)、セグメント損失(営業損失)は192百万円(前連結会計年度はセグメント損失277百万円)となりました。
<洋装事業>
メンズ事業、レディス・OEM事業につきましては、アパレルの店頭不振の影響により、受注額が減少して減収となりました。
ユニフォーム事業につきましては、前年と比較しまして衛生商品の受注が大幅に減少したことに加えて、コロナ禍の影響による既存顧客の買い控え、新規案件の減少により大幅な減収となりましたが、利益率の改善及び経費の削減により、損益に関しましては前年並みに推移しました。
以上の結果、当事業分野の売上高は5,689百万円(前連結会計年度は7,625百万円)、セグメント利益(営業利益)は63百万円(前連結会計年度はセグメント利益63百万円)となりました。
<ホームファニシング事業>
ホームファニシング事業につきましては、新型コロナウイルスの感染者数が増減を繰り返し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されたことによる外出自粛や一部施設での営業時間短縮の影響はありましたが、感染者数が減少に転じてからは店頭販売が好調に推移し、売上増となり損益も改善し黒字となりました。
以上の結果、当事業分野の売上高は3,987百万円(前連結会計年度は3,494百万円)、セグメント利益(営業利益)は36百万円(前連結会計年度はセグメント損失48百万円)となりました。
<健康・生活事業>
健康・生活事業につきましては、巣ごもり需要が減速するも、取り扱いアイテムを増やしたことで通信販売は好調を維持しました。しかし、加湿器や衛生商品の店頭販売が不振に終わったことに加えて、新規事業への投資により経費が増加したため減収減益となりました。
以上の結果、当事業分野の売上高は3,827百万円(前連結会計年度は3,943百万円)、セグメント利益(営業利益)は5百万円(前連結会計年度はセグメント利益49百万円)となりました。
<建物の賃貸業>
建物の賃貸業につきましては、一部に空きテナントが発生し減収減益となりました。
以上の結果、当事業分野の売上高は963百万円(前連結会計年度は1,043百万円)、セグメント利益(営業利益)は564百万円(前連結会計年度はセグメント利益612百万円)となりました。
セグメントごとの仕入及び販売の状況は以下の通りです。
(注) 1 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
(注) 1 売上高に対し10%以上に該当する販売先はありません。
2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
当連結会計年度末における資産の部は、流動資産における現金及び預金が1,827百万円(前連結会計年度末は2,359百万円)、棚卸資産が2,239百万円(前連結会計年度末は2,381百万円)となったことに加え、投資その他の資産では貸倒引当金が△135百万円(前連結会計年度末は△2百万円)となったこと等により、資産合計は26,524百万円(前連結会計年度末は27,237百万円)となりました。
負債の部は、流動負債における支払手形及び買掛金が1,510百万円(前連結会計年度末は1,930百万円)、短期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が6,564百万円(前連結会計年度末は5,573百万円)となり、固定負債においては長期借入金が1,930百万円(前連結会計年度末は3,230百万円)、また、ライセンス契約終了によってアウトレット店舗の資産除去債務が消滅し、10百万円(前連結会計年度末は52百万円)となったこと等により14,995百万円(前連結会計年度末は15,406百万円)となりました。短期借入金、長期借入金の変動は主に返済期限による長期、短期の振替によるものであります。また、収益認識会計基準等を適用したことにより、当連結会計年度期首より返品調整引当金を計上しておりません。
純資産の部は、利益剰余金が6,864百万円(前連結会計年度末は7,315百万円)、株主資本合計が10,318百万円(前連結会計年度末は10,749百万円)、その他の包括利益累計額におけるその他有価証券評価差額金が1,088百万円(前連結会計年度末は927百万円)となったこと等により、純資産合計は11,528百万円(前連結会計年度末は11,830百万円)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,817百万円となり前連結会計年度末から532百万円の減少となりました(前連結会計年度末は942百万円の増加)。この主な要因は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は45百万円(前連結会計年度は894百万円の増加)となりました。これは売上債権、仕入債務の減少が前年同期と比べ少なかったことに加え、棚卸資産の増加も重なった事が主な要因であります。この結果、前連結会計年度と比べて848百万円の収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は124百万円(前連結会計年度は157百万円の減少)となりました。これは主に、ホームファニシング事業による出店により生じた有形及び無形固定資産の取得による支出158百万円が主な要因となります。この結果、前連結会計年度と比べて32百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は453百万円(前連結会計年度は205百万円の増加)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出と配当金の支払額によるものです。この結果、前連結会計年度と比べて659百万円の支出の増加となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、業績目標の達成とともに経費節減に努め、資本の財源は利益による積み上げを継続的に行うことを基本方針とし、安定的な配当政策の継続を図っております。
資金の流動性につきましては、利益の確保、滞留債権の削減及び在庫の圧縮により必要運転資金の増加を抑えることで、キャッシュ・フローの安定的な確保に努めております。
また、当連結会計年度には、為替の変動や物価上昇による仕入れコストの増加や新型コロナウイルス感染症の影響として、商業施設の営業自粛や展示会、催事の制限、または各自治体によるまん延防止等重点措置による営業時間の短縮要請等による販売機会の損失が影響しております。このような状況下において当社グループでは経費削減は勿論のこと、在庫管理を重要なテーマとして掲げ、資金効率の向上を目指してまいります。
経営者の視点における経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
<重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定>
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、当連結会計年度末現在において上記以外にも以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
① 有価証券
有価証券の保有に際しては、市場価格のない株式等以外のものについては時価法、市場価格のない株式等については原価法で計上していますが、市況が悪化した場合や投資先の業績不安により評価損の計上が必要となる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の影響や不安定な国際情勢、物価上昇等により、市況が悪化した場合は、更なる評価損の計上も考えられます。
② 棚卸資産
主として月次総平均法による原価法を採用していますが、正味売却価額が取得原価よりも下落し評価減が必要となる可能性があります。
③ 貸倒引当金
債権の貸倒れに備えるため一般債権につきましては貸倒実績率法により、貸倒懸念債権につきましてはキャッシュ・フロー見積法または財務内容評価法、破産更生債権等につきましては財務内容評価法にて計上しております。
また、国際情勢の変化や新型コロナウイルス感染症の今後の影響等により顧客の財務状態が予想以上に悪化した場合には、追加での引当計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、お客様の生活美の創造を実現するために、時代の変化に合わせた商品・サービスを提供し続けることを目指して、「成長と変革に向けての新たな挑戦」を掲げて、既存事業の黒字化と新規事業の立ち上げ、上記事業を支える組織体制を変更してこの4月より新中期経営計画期間のスタートを切りました。①消費者へのダイレクト提案、②成長拡大路線への回帰、③全営業部門の黒字化、④効率経営の実践と生産性の向上、⑤コア事業の強靭化と新規事業開発の促進を5つの基本方針として、攻めと守りのメリハリをきかせた全社ポートフォリオの変革と事業単位の最適化を図り、事業部横断型の新規事業部門を設立することで全社的な取組みとしての新事業領域の開発を推進して事業規模の縮小に歯止めをかけ、1株当たり年間配当額30円をベースとした継続的な株主還元の実施を目指してまいります。
既存事業につきましては、和装事業は催事に依存したビジネスモデルからの脱却と改革を図るべく、不採算催事、不採算取組得意先からの撤退、縮小を継続していくと共に、消費者ダイレクト販売の強化、組織再編による加工サービス部門の拡大によって事業構造の変革と収益の黒字化を目指してまいります。洋装事業におけるアパレル事業は、生産背景の整備を進め、素材開発力、提案力を強化して、規模は小さくとも価値のある企業としてのポジションを確立して収益の黒字化を目指してまいります。ユニフォーム事業では、既存事業におきましては直需販売の拡大、ワーキング・サービスウエアの拡大、レンタルの拡大に注力しながら、新規事業の創出として環境対応事業やEC販売・コンサル事業を推進し、卸売りからの脱却を図りながらコア事業として高収益体制の維持に努めてまいります。健康・生活事業はコア事業の基盤強化と新たな成長事業の創出を目指し、新規事業の構築と直販事業の拡大、競争優位性の高い商品開発による利益率の向上に加え、在庫適正化、経費の効率化による経営効率の向上を図ってまいります。ホームファニシング事業は米国ラルフ ローレン社認定のグローバル・マニュファクチャリング・パートナーとして国内販売の製品供給にとどまらず世界中のラルフ ローレン社のマーケットへ日本製品を輸出できるよう努めてまいります。
既存事業の全営業部門の黒字化に向けて中規模事業を集約した組織のスリム化と新規事業部設立による事業部横断の推進を狙いとした組織再編を実施して施策に取組むと共に、営業キャッシュ・フローを重視した事業運営により、一層の財務戦略の強化も引き続き図ってまいります。
ESG対応につきましては、サステナビリティ基本方針にてその視点を取り入れたマテリアリティ(重要課題)を特定しており、経営理念、環境方針の基本理念・行動方針、行動規範に基づき、具体策に取組んでいくことで、全てのステークホルダーに誠実・公正に対応し、事業活動を行うことにより、持続可能な社会の構築に積極的に役割を果たすと共に、企業価値の向上と持続的な成長を目指してまいります。
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