課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、中央卸売市場の卸売業者としての公共的使命を担い、生産から消費に至る流通全般の動向を見極め、グループ会社と連携して水産物の安定的供給を通じて消費者に健康的で安全な食生活の支援を目途としてまいります。当社グループは内外より集荷し、販売に努め、経営の効率化・合理化により収益力を強化し、会社の財務内容の充実を図り、将来にわたる安定した健全経営を基本方針としてまいります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

・当社グループは、「消費者の皆様の豊かで魅力的な食生活を第一義に考え、その満足度向上に貢献する」ことを社会的使命・存在意義(ミッション)と定め、このミッションのもと「ワンランク上の対応ができる水産物流通企業」をめざします(ビジョン)。

・当社は、上記ビジョンの実現に向けて、東京中央卸売市場という「伝統的で信頼性の高い」市場の維持・発展に貢献するとともに、時代の変化に即した「革新的で将来性のある」新しい流通市場を創出していきます。

・当社グループは、新たな事業への挑戦とリスクの適切なコントロールを両立させ、持続的な成長を達成するため、「変化に興味を持つ」「広い視野を持つ」「鮮度と旬を極める」という行動指針(バリュー)を掲げています。こうした行動指針に従いながら、高度な倫理観にもとづくフェアで透明性の高い組織運営を実現し、社会的責任の遂行に努めます。

(2)経営戦略等

当社グループは、持続的な企業価値の向上を図るため、「着実な成長の実現」「さらなる成長への挑戦」「事業基盤強化への改革」を3つの基本方針とし、それら方針のもと具体的な戦略・戦術へと展開してまいります。

 

<持続的な企業価値向上のための基本方針>

①  着実な成長の実現

*資源アクセスの強化

*粗利益率向上へのこだわり

*直接販売経費のさらなる削減

*強化すべき商品カテゴリーの見極め

*高付加価値商品の深耕

*新たな販売先の選定

*AERO TRADING社の持続的成長

②  さらなる成長への挑戦

*海外事業の積極的拡大

*業務提携事業の積極的展開・推進

*機動的なM&Aの検討

③  事業基盤強化への改革

*業務の効率化によるさらなる生産性向上

*人材投資の拡大

*強固なグループ経営の深耕

*選択と集中の継続

*株主還元の充実

*DX(デジタルトランスフォーメーション)への積極的取組み

*ESG経営の推進

 

さらに、サステナビリティに関してはESGの観点からその取組みを進め、働き方改革の積極的な推進によりワークライフバランスの向上を図り、さらなる生産性向上、人財基盤の強化を目指すとともに、水産物卸売事業を継続していくための根幹である水産資源の持続可能性に配慮した取組みにも努めてまいります。グループ運営においては、より実効的なガバナンス体制の構築に努めるとともに、選択と集中によるグループ横断的な経営・人的資源の再配分を実施し、他方、リスク管理体制についても、引き続きコンプライアンス経営を核とした内部統制システムとともに検証し、さらなる改善を目指してまいります。

中央卸売市場における卸売業者である当社は、市民の豊かな食生活を支える基幹的インフラとしての機能を担っており、集荷、分荷、価格形成、決済と公正な取引等の役割を引き続き果たす矜持をもって、80余年を超える豊富な経験やグループ内外のネットワークを背景に新たな商流・新たなサービス・新たなドメインに果敢に挑戦し、勝ち残るのではなく勝ち進む企業として、一層の企業価値向上と株主共同の利益の最大化に取り組んでまいります。

(3)経営環境

今後の当社グループを取り巻く経営環境は、人手・車両不足による物流コストの上昇や、原材料価格の上昇による商品の値上げが進行するなか、消費者の節約志向は続き、更には2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の拡大が、飲食店やホテル向け等の高単価商材を中心とした取扱数量に影響を与える可能性があります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上課題

水産物卸売市場業界におきましては、国内人口の減少、消費形態の変化等により魚食が減少する状況にあり、また、水産資源の減少やそれに伴う漁獲規制、市場外流通や市場間競争の激化、さらに、海外の魚食普及による調達コストの上昇から、取扱数量が伸び悩む傾向が恒常化し、引き続き厳しい事業環境で推移するものと思われます。

また、2020年初頭から続く新型コロナウイルス感染症は当社グループの主力事業である水産物卸売事業にも多大な影響を及ぼし、内食関連需要で伸長する商品がみられるものの、高単価商材をメインとして扱う外食・観光関連需要の回復は緩やかなものにとどまり、さらに、ロシアによるウクライナ侵攻は、サケ・マス類やカニ、ウニを始めとするロシア産水産物の流通に重大な影響を及ぼしかねず、加えて円安に伴う相場上昇リスクなど、先行きにつきましても予断を許さない状況が継続しております。

このような状況のなか当社グループにおきましては、社会・事業環境の変化に対応すべく、機動的かつサステナブルな事業遂行と経営基盤の強化が必須であるとの考えのもと、高収益構造と強固な財務体質の確立のため、主力事業である水産物卸売事業についての持続的成長を経営の最優先課題と認識して取り組み、在外子会社であるAERO TRADING社(カナダ・バンクーバー市)における漁業権の取得等、資源アクセスの強化や新たな取引先の開拓、海外事業の積極的拡大、直接販売経費の削減等の施策を推し進めてまいりました。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上高だけではなく利益を重視した業績管理の徹底と一層のコストの削減及び効率性の高い投資により自己資本利益率(ROE)を8%を上回ることを目標とし、企業価値を高めることを目指してまいります。

 

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