当期におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による、厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、変異株の出現による感染再拡大への懸念が生じていること等から、景気持ち直しの動きには引き続き弱さが見られます。個人消費は、持ち直しの動きがみられるものの、旅行や外食を中心に引き続き低調な状況が続いています。企業の設備投資については、海外経済の改善等もあり、持ち直しの動きが見られます。特に、IT投資については、金融業や製造業で投資意欲が高い状態にあり、好調に推移しています。なお、半導体不足やサプライチェーンの混乱による供給制約や、原材料価格の動向を背景に、製造業の一部で弱さが見られます。
このような経済環境のもと、当社グループは、注力している中高級のミラーレスカメラやRFマウントの交換レンズの販売拡大、企業の積極的なIT投資を背景としたSIサービスやデータセンターの売上拡大等により、売上高は5,520億85百万円(前期比1.3%増)となりました。
利益については、売上の増加に伴い、売上総利益が増加したことにより、営業利益は396億99百万円(前期比26.8%増)、経常利益は410億96百万円(前期比16.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は294億20百万円(前期比33.7%増)となりました。
各報告セグメントの業績は以下のとおりです。増減に関する記載は、前期との比較に基づいています。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、当期の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
コンスーマ
レンズ交換式デジタルカメラは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い市場は落ち込んだものの、当社はEOS Rシリーズ等の高単価なミラーレスカメラや、RFマウントの交換レンズ等が好調に推移し、売上は大幅に増加しました。
家庭用インクジェットプリンターについては、前期に在宅勤務やオンライン学習の需要が増加していたことに伴い台数が大きく伸びていた反動等により、出荷台数は減少となりました。一方で、高付加価値製品の構成比が高まったことや特大容量タンク「GIGA TANK」を搭載した製品が伸びたことから、インクジェットプリンター全体の売上は増加しました。一方、インクカートリッジについては、カラープリントの減少等による市場の縮小に伴い、売上は減少しました。
ITプロダクトは、PC周辺機器やゲーミングPCの販売の伸びにより、売上は増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,294億71百万円(前期比3.8%増)となりました。セグメント利益については、135億72百万円(前期比10.5%増)となりました。
エンタープライズ
当セグメントは、以前から担当していた大手企業に加えて、2021年1月にエリアセグメントから準大手・中堅向けのビジネスを移管し、大手、準大手・中堅企業向けの営業活動を行っております。
主要ビジネス機器については、引き続き大手企業のオフィス機器への設備投資が抑制傾向にあることに加え、製品の供給不足の影響を受け、オフィスMFP、レーザープリンターの売上は減少しました。オフィスMFPの保守サービスについては、大手企業のテレワークが継続し、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したことにより、売上は減少しました。レーザープリンターカートリッジは、金融業を中心に販売が増加しており、売上は増加しました。
ITソリューションについては、金融業向けのSI案件や文教向けのデジタル化ニーズに対応した案件、データセンター2号棟やセキュリティ案件が順調に推移したことや、大型BPO案件があったこと等により、売上は増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,905億94百万円(前期比3.3%増)となりました。セグメント利益については、138億56百万円(前期比46.9%増)となりました。
エリア
主要ビジネス機器については、製品の供給不足の影響を受け、オフィスMFP、レーザープリンターの売上は減少しました。一方、オフィスMFPの保守サービス、レーザープリンターカートリッジについては、大都市圏を中心にしたテレワークは拡大しているものの、前期の減少が大きかった反動により、売上は増加しました。
ITソリューションについては、テレワーク環境の構築需要が継続しており、IT支援クラウドサービス「HOME」やウイルス対策ソフト「ESET」等のセキュリティの売上が増加しました。また、お客さまのIT機器等の保守や運用サービスについては、獲得に引き続き注力し、受注件数を伸ばしました。しかしながら、ビジネスPC等のITプロダクトで商品供給不足の影響を受けたことで、ITソリューション全体の売上は前期並みとなりました。
これらの結果、当セグメントの売上高は2,208億26百万円(前期比1.3%減)となりました。セグメント利益については、高付加価値製品、サービスの増加による売上総利益の増加や、販管費の削減に努めたことにより120億45百万円(前期比34.1%増)となりました。
プロフェッショナル
(プロダクションプリンティング)
プロダクションプリンティング事業では、主に印刷業向けに、高速連帳プリンター及び高速カット紙プリンター等を提供しています。また、小売業向けにPOP制作関連のビジネスも提供しています。当期は、連帳プリンターの売上が増加したものの、プリントボリューム低下等に伴う消耗品販売が減少したこと等により、売上は減少しました。
(産業機器)
産業機器事業では、主に半導体メーカー向けに製造関連装置、検査計測装置等を提供しております。当期は、検査計測装置や半導体製造関連装置の保守サービス等が増加し、売上は増加しました。
(ヘルスケア)
ヘルスケア事業では、主に病院や診療所向けに電子カルテを中心としたシステム開発や基盤構築を提供するとともに、調剤薬局向けにレセコン等を提供しております。当期は、診療所向けの案件が増加しましたが、前期にあった病院向けの電子カルテ及び医療IT基盤の構築等にかかる複数の大型案件の剥落や、調剤薬局向けの案件数が減少したこと等により、売上は減少しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は315億36百万円(前期比2.7%増)となりました。セグメント利益については、24億88百万円(前期比30.8%増)となりました。
(注)1 文中の数値には、消費税等は含まれておりません。
(注)2 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものであります。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は、327億56百万円(前連結会計年度は384億90百万円の増加)、投資活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は、158億94百万円(前連結会計年度は261億74百万円の減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は、91億60百万円(前連結会計年度は65億87百万円の減少)となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ78億97百万円増加して、680億28百万円となりました。
当社グループの事業形態は主に国内外から仕入を行い、国内での販売を主要業務としているため、生産実績及び受注実績に代えて仕入実績を記載しております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.総販売実績に対して10%以上に該当する販売先はありません。
3.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月29日)現在において、当社グループが判断しております。
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(流動資産)
当社グループにおける実質的資金である現金及び預金、有価証券、短期貸付金の合計額の増加78億94百万円、商品及び製品の増加74億87百万円、受取手形及び売掛金の増加20億39百万円等により、前連結会計年度末より157億32百万円増加し、3,960億82百万円となりました。
なお、売掛債権の保有日数は、前連結会計年度末と比べて3日長くなり、71日となっております。
また、在庫回転日数は、前連結会計年度末と比べて5日長くなり、23日となっております。
(固定資産)
保有上場株式の時価評価等による投資有価証券の増加60億50百万円、繰延税金資産の減少42億44百万円、主に西東京データセンター2号棟建設に伴う建物及び構築物の増加25億13百万円と建設仮勘定の増加8億15百万円等により、前連結会計年度末より40億80百万円増加し、1,303億36百万円となりました。
なお、有形固定資産は、新規取得による増加104億3百万円、減価償却による減少88億84百万円等により、前連結会計年度末より14億24百万円増加し、851億54百万円となりました。
また、無形固定資産は、新規取得による増加22億31百万円、減価償却による減少13億62百万円等により、前連結会計年度末より8億60百万円増加し、65億30百万円となりました。
(流動負債)
賞与引当金の減少15億16百万円等により、前連結会計年度末より13億30百万円減少し、1,071億9百万円となりました。
(固定負債)
退職給付に係る負債の減少69億69百万円等により、前連結会計年度末より74億17百万円減少し、446億32百万円となりました。
(純資産)
親会社株主に帰属する当期純利益による増加294億20百万円、配当金の支払90億76百万円、退職給付に係る調整累計額の増加43億11百万円、その他有価証券評価差額金の増加36億42百万円等により、前連結会計年度末より285億62百万円増加し、3,746億76百万円となりました。
これらの結果、総資産は前連結会計年度末より198億13百万円増加し、5,264億18百万円となりました。
(売上高)
売上高は、注力している中高級のミラーレスカメラやRFマウントの交換レンズの販売拡大、企業の積極的なIT投資を背景としたSIサービスやデータセンターの売上拡大等により、前連結会計年度と比べて1.3%増加し、5,520億85百万円となりました。
詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(売上原価)
売上原価は、開発部門及びサービス部門の人件費が含まれます。前連結会計年度と比べて0.2%増加し、3,618億9百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度と比べて3.4%増加し、1,902億76百万円となりました。
また、売上総利益率は、前連結会計年度と比べて0.7ポイント上昇し、34.5%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、グループとして経費削減に努めたこと等により、前連結会計年度と比べて1.4%減少し、1,505億76百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、徹底した販管費の削減を継続して行うと共に、主に大手、準大手・中堅企業向けに高付加価値製品の売上構成比が上昇したことにより、前連結会計年度と比べて26.8%増加し、396億99百万円となりました。
また、営業利益率は、前連結会計年度と比べて1.5ポイント上昇し、7.2%となりました。
詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(営業外損益)
営業外損益は、前年に雇用調整助成金の計上があったことにより、前連結会計年度の39億18百万円の利益から、13億96百万円の利益となりました。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度と比べて16.6%増加し、410億96百万円となりました。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の17億73百万円の損失から、19億98百万円の利益となりました。主に、投資有価証券売却益を12億55百万円、関係会社株式売却益を8億95百万円計上したことによるものであります。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度と比べて28.8%増加し、430億94百万円となりました。また、売上高に対する比率は、前連結会計年度と比べて1.7ポイント上昇し、7.8%となりました。
(法人税等)
法人税等は、前連結会計年度の113億92百万円から、当連結会計年度は135億98百万円となりました。なお、実効税率は、31.6%でした。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べて33.7%増加し、294億20百万円となりました。
また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度より57円23銭増加し、226円88銭となりました。株主資本利益率(ROE)は、前連結会計年度と比べて1.6ポイント上昇し、8.2%となりました。
なおセグメント別業績の分析については「1.経営成績等の状況の概要 (1)業績」をご参照ください。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ78億97百万円増加して、680億28百万円となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は327億56百万円(前連結会計年度は384億90百万円の増加)となりました。税金等調整前当期純利益430億94百万円、減価償却費102億46百万円、仕入債務の増加22億22百万円等による資金の増加と、たな卸資産の増加74億67百万円、売上債権の増加19億87百万円、法人税等の支払131億3百万円等による資金の減少によるものであります。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は158億94百万円(前連結会計年度は261億74百万円の減少)となりました。有形固定資産の取得による支出145億87百万円、無形固定資産の取得による支出22億42百万円等による資金の減少によるものであります。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローの資金の増加は、168億62百万円(前連結会計年度は123億15百万円の増加)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は91億60百万円(前連結会計年度は65億87百万円の減少)となりました。配当金の支払90億73百万円等によるものであります。
当社グループの資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローによっております。また、当社と連結子会社間におけるグループファイナンスの実施により、グループ内資金の有効活用を図っております。
運転資金、設備資金等、通常の資金需要につきましては、原則として営業活動によるキャッシュ・フローによる自己資金で充当することとしております。
当社グループは、「中期経営計画(2021年~2023年)」を策定し、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として下記の項目を掲げています。
当連結会計年度の計画に対しては、主要製品の市場の減少、世界的な半導体不足による製品の供給不足などの影響等により、売上高は未達となりました。
一方で、高付加価値製品の拡販や、徹底した販管費の削減によって営業利益、営業利益率、親会社株主に帰属する当期純利益は当初の目標を達成いたしました。
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