課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社グループは創業以来、各取引先からの「信頼」を得て、企業活動を通じ社会に「貢献」することを企業理念として掲げ経営に取り組んでまいりました。今後も、創立80周年に向けて、環境・エネルギーに強い機械総合商社としての地位確立を目指してまいります。

長年にわたり培ってきた機械商社の経験・実績を活かして、エネルギー・グローバルビジネスを伸ばし、新規事業との相乗効果で、環境の変化に柔軟に対応し得る企業として更なる成長を実現してまいります。

 

(2) 経営環境と事業上および財務上の対処すべき課題

当社グループにおいては、一部販売活動が制限されるなどの影響が出ているものの、新型コロナウイルス禍が2022年3月期の業績に与える影響は軽微でありました。

(電力事業)

当社グループの事業の中心である電力業界は、国際的な脱石炭・脱CO2の流れに沿い、火力発電の高効率化など低炭素化と電力の安定供給に総力を挙げて対応してまいります。加えて、政府の電源構成計画や2050年カーボンニュートラル宣言を踏まえ、バイオマス等再生可能エネルギー分野への展開を積極的に進め、新たな収益の柱として引き続き注力してまいります。

 

(環境・化学・機械事業)

環境分野への取組みの一環として、自社売電・発電所建設工事請負、また、FIT後に向けた発電所の保守メンテナンスやPPAをはじめとした取引先への再エネ活用提案など、太陽光発電関連ビジネスを積極的に推進します。また、化学業界や自動車業界をはじめとした製造業のユーザーに対し、労働人口の減少やコロナ禍の影響で高まっている省人化やDXに関連するニーズの取り込みに努めてまいります。加えて、中国、アセアン地域、北中米、欧州といった海外拠点を積極的に活用し、国内外における生産拠点設立・設備投資の需要に応えてまいります。

 

(生活産業事業)

植物由来ポリエチレンを含有した包装資材などの環境にやさしい原料を用いた商品のラインナップ強化および節水型トイレ自動流水器の拡販等、SDGsの達成を意識した活動に取り組んでまいります。

上記事業と並行して、企業買収による商圏や取扱商品の拡大等、今までの事業領域にとらわれない新規事業を開拓してまいります。

 

(財務上の対処すべき課題)

各事業の持続的な成長と競争力強化には株主資本の有効活用等資本効率の向上が不可欠であり、2020年4月よりスタートした中期経営計画において設定した資本効率の目標値達成に向けて取り組んでまいります。

これらの課題につきましては、中期経営計画を推進するプロセスにおいて対処してまいります。

 

(3) 中期経営計画

当社グループは2020年3月期において2017年に策定した長期計画の第一フェーズである3ヵ年計画を完了し、第二フェーズとして新たに策定した3ヵ年中期経営計画を公表いたしました。

なお、中期経営計画の最終年度にあたる2023年3月期における各経営指標の目標値は、①売上高1,350億円(注)、②営業利益37億円、③親会社株主に帰属する当期純利益27億円、④ROE9.0%以上であります。

今後は、新中期経営計画第二フェーズの達成に向け、以下の5つの成長戦略

 

① 地球環境とエネルギーミックスへの対応拡大

SDGs達成も意識しつつ、エネルギーミックスを通じた電力の安定供給に資するべく、一気通貫的なエネルギー事業に積極的に取組む

② モノづくり・デジタルイノベーションへの取組強化

IoT・ロボット活用・5Gなど製造業の技術革新やスマートファクトリーへの対応、次世代モビリティ技術への積極的関与ならびにデジタル技術を使用したビジネスの創出と強化

③ 新規事業創出の継続

機械商社の強みは残しつつ、M&Aによるメーカーの取込みなど川上からコントロールする体制を構築するなどし、新規事業の発掘・開拓に取組む

④ グローバルビジネスの更なる展開

海外顧客基盤の更なる拡充と、良質な海外製品の展開力強化、ならびにODA(政府開発援助)等海外インフラ案件にも引き続き参画

⑤ 働き方改革への対応と人財の育成

採用の強化・OJTの充実を通じた人材の早期戦力化・グローバル化・マルチタレント化を推進すると同時に業務の電子化・効率化を図り、働き方の多様化への対応

を着実に実行することにより、業績の拡大を推進するSDGsを意識した持続的な発展と企業価値のさらなる向上を図るべく、今後ともコーポレートガバナンスの強化に努めてまいります。

 

(注)2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用し、顧客への商品の提供における当社の役割が代理人に該当する取引について、従来は顧客から受け取る対価の総額を収益として認識しておりましたが、顧客から受け取る額から商品の仕入先に支払う額を控除した純額で収益を認識する方法に変更いたします。
 上記の2023年3月期の連結売上高の目標値は、当該基準適用前の金額となっており、適用前後で比較しますと、以下の通りとなります。なお、営業利益・親会社株主に帰属する当期純利益への影響はございません。

 

連結売上高の目標値

2023年3月期(適用前)

1,350億円

2023年3月期(適用後)

900億円

 

 

(4) 中期経営計画における資本政策

(基本方針)

・当社は、中長期的な株主価値の向上のために、「持続的成長に向けた投資の継続」と「株主への安定的な利益還元」をテーマに資本政策を進めてまいります。

・株主資本の有効活用を図る経営指標のひとつとして、株主資本当期純利益率(ROE)の目標値を設定します。

・安定配当は、当社を取り巻く事業環境の見通し、業績見込み、財務状況等を総合的に勘案の上、配当性向30%超の継続に努めます。

・今後も株主への利益還元と会社の成長のバランスを最適化し、中長期的な株主価値の向上を目指してまいります。

 

(目標数値)

・中期経営計画最終年度となる2022年度にROE9.0%以上。

・2026年度までにROE10.0%。

 

(投資方針について)

・当社事業ポートフォリオにおいて、電力事業の大きな割合を占める火力発電設備の保守・メンテ需要は、世界的な温室効果ガス削減の潮流から今後減少していくことが見込まれます。それを補完するため、国の定める長期エネルギー需給見通しに沿った、太陽光発電・バイオマス発電等再生可能エネルギー関連への投資を注力してまいります。具体的には、自社での太陽光発電所運営やバイオマス関連事業への出資等がこれにあたります。

・このほか、廃プラスチック問題への対応として、環境配慮型包装資材の拡販や、循環社会に適応した廃プラの資源化へも積極的に関与していきます。これら事業を通じ、SDGsへの取り組みを加速させます。

・また、販売・製造業問わず、時代に合った商品のラインアップ・顧客基盤・ビジネスエリアの拡充を図るため、資本提携やM&Aなども積極的に進めてまいります。

・これら新事業への投資については適切にリスクをコントロールしながら、持続的成長に向け継続的に行ってまいります。既存ビジネスの成長を組み合わせることにより、更なる収益率の向上を図ります。

 

(政策保有株式について)

・資本効率の向上を図るため、政策保有株式の縮減にも引き続き取り組んでまいります。

2022年3月期においては、相互保有株式の一部縮減を実施しております。また2021年7月から2022年1月にかけて10億円の自己株買いを実施しております。引き続き持ち合い解消による当社株式の受け皿として個人投資家および外国人投資家への訴求を高めるため、政策保有株式の売却を原資とした自己株買いなどについて検討してまいります。

 

(5) サステナビリティへの取り組み

 当社は、サステナビリティ経営を推進することにより、当社グループの持続的成長と企業価値の向上を図るため、取締役会において「サステナブル行動指針」と「人材方針」を策定・決議しています。

 

(東京産業株式会社 サステナブル行動指針)

 東京産業グループはサステナビリティ経営を実行することにより、持続的な成長と企業理念である「信頼と貢献」を実践してまいります。

 その中で、SDGs達成に向けた取り組みを積極的に推進し、変化の激しいビジネス環境へ柔軟に対応することにより「環境・エネルギーに強い機械総合商社」という地位の確立を目指します。

 

具体的には、サステナビリティ経営に向け取締役会にで特定したマテリアリティ(重要課題)への対応策を実行してまいります。また、このような当社のサステナビリティ経営に関する目標や取り組みについて適切に開示し、様々なステークホルダーに対して説明責任を果たしてまいります。

 

(当社のサステナビリティ経営に向けたマテリアリティ(重要課題))

「サステナブル行動指針」にもとづき、当社のサステナビリティ経営に向けたマテリアリティ(重要課題)を以下のとおり取締役で特定しております。

 (重要課題)

 ・「事業を通じたグリーン社会」実現への取り組み

 ・「社会と調和する多様な働き方」への積極的な対応

 ・「コーポレートガバナンスの強化」

 

(サステナビリティ経営の具体的取り組み)

 当社は上記マテリアリティ(重要課題)に対する具体的な取り組みについて、中期経営計画にて掲げる5つの成長戦略を通じ実施しております。また、サステナビリティ課題への取り組みを推進・監督するため、サステナビリティ推進担当役員およびサステナビリティ推進チームを設置しております。サステナビリティ推進担当役員は、取締役会へ当社のサステナビリティ経営の状況を定期的に報告しております。

 

(人財方針)

 東京産業グループは人が財産との認識の下、成長を続ける強固な組織を目標に掲げ、人財の「早期戦力化」、「グローバル化」、「マルチタレント化」を3つの柱とする人的投資を積極的に実行してまいります。

 

「ダイバーシティ」と「働き方改革」対応を人財にかかわる重要課題と定め、企業理念に基づき、従業員の多様性と人権を尊重することで、イノベーションの創出、ひいては企業価値向上を目指してまいります。また、多様な働き方を提供できる環境整備、社内DXおよび健康的な職場作りを強力に推進してまいります。

 

(6) TCFDに基づく情報開示

(ガバナンス)

(a) 気候変動のリスクと機会に関する取締役会の監督

取締役会はサステナブル行動指針に基づいたサステナビリティ経営の推進状況について、サステナビリティ推進担当役員から定期的に報告を受けることとなっており、気候変動のリスクと機会に関しても、サステナビリティ推進担当役員から、その内容や対応策について適宜報告を受け、必要に応じて取締役会は当社の経営会議である本部長会と連携して対応策を講じる体制となっております。

(b) 気候変動リスクをマネジメントするための組織のプロセス

気候変動のリスクと機会のうち、特に移行リスクへの対応は当社の中期経営計画の達成に密接に関連することから、本部長会の中からサステナビリティ推進担当役員を選任し、その責任において気候変動のリスクと機会の特定作業や対応策の策定・実行を行っています。

 

(リスクマネジメント)

(a+b) 気候変動リスクの識別・評価・マネジメントに関する組織プロセス

気候変動のリスクと機会はサステナビリティ推進チームメンバーを中心に識別・評価を実施しております。

サステナビリティ推進チームは当社の各本部毎に主管部長と選抜された社員で構成されており、全社的な気候変動のリスクと機会を適切に識別・評価できる体制を整えています。

識別・評価された気候変動のリスクと機会は、サステナビリティ推進担当役員とサステナビリティ推進チームの協議の中で、中期経営計画との関連性の精査・対応策の検討を行い、本部長会を経て取締役会へ報告し、全社においてその対応策を実施してまいります。

 

(戦略)

(a) 組織が特定した、短期・中期・長期の気候変動のリスクと機会

当社が識別している気候変動のリスクと機会は以下の通りです。


 

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