業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、個人消費、雇用情勢等に弱さが見られ、原油を中心とした原材料価格の高騰をきっかけに国内企業物価も上昇が続くとともにそれを消費者物価に転嫁する動きもあり、加えてウクライナ情勢の先行きが極めて不透明であることから、景気の回復にはしばらく時間を要するものと思われます。

当社グループにおける出版物・雑貨等の輸出事業は、音楽ソフト、語学書、文具・雑貨類はネット事業者向けを中心として好調に推移、特に文具・雑貨類はリアル店舗からの注文も復活し売上に寄与したほか、北米を中心とする図書館も平常運営に移行し図書の発注がされるようになった結果、増収となりました。また、洋書・メディアの輸入事業は、英語学習書、日本語学習書、日本文化紹介書のいずれも販売が振るいませんでしたが、K-POPは新譜、旧譜の受注が極めて好調に推移したことに加え、ネット事業者向けの販売、洋楽、代理店商品なども好調に推移したことから増収となり、売上高は100億円を超えることができました。

利益面では、原価率の悪い販売チャネルの売上が増加し、売上総利益率は若干悪化したものの増収効果により売上総利益額は増加、対して経費は売上増に伴う変動費の増加、営業体制強化を目的とした人員の採用などにより増加しましたが、売上総利益の増加額を下回る金額に抑制できたため、営業利益は増益となりました。

営業外損益に大きく影響を与える為替につきましては、前連結会計年度が1千7百万円の為替差損であったのに対し、当連結会計年度は急速な円安の影響を受け、3千6百万円の為替差益を計上、営業外損益における大きなプラス要因となり、経常利益を押し上げました。

また、本社の建替えに伴う諸費用等を予定計上したために特別損失が多額となり、当期純利益は減益となりました。

その結果、当連結会計年度の売上高107億3千6百万円(前連結会計年度比13.1%増)、営業利益3億9千7百万円(前連結会計年度比61.9%増)、経常利益4億5千3百万円(前連結会計年度比92.9%増)、当期純利益は9千4百万円(前連結会計年度比40.0%減)となりました。

 

事業の種類別セグメントの業績は以下のとおりであります。

 

(出版物・雑貨輸出事業)

音楽ソフトにつきましては、ネット事業者向けに開示アイテムを強化したことによる受注増、東アジアを中心に新規顧客を獲得、アナログレコードも受注増、オリジナルレコード制作も行うなど好調に推移、語学書も堅調に推移したほか、文具、雑貨はメーカーとのタイアップ効果もあり受注増となりました。加えて、前年コロナ禍の影響が続き売上の回復が遅れていた北米を中心とする大学図書館からの受注も平常に戻りつつあることから増収となりました。

利益面では、原価率の高い販売チャネルの売上シェアが増大したことから原価率は悪化、経費も人件費、システム関連費用などの増加により増加したものの、増収の効果は大きく営業利益は増加いたしました。

その結果、当部門の売上高は21億9千5百万円(前連結会計年度比31.2%増)、営業利益は1億4千3百万円(前連結会計年度比103.8%増)となりました。

 

(洋書事業)

新学期に向けた英語学習書販売につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンライン授業が拡大、結果的に英語学習書を利用する授業が減少し受注低迷につながっているように思われます。加えて、実質的な鎖国状態が続いているため、留学生向けの日本語学習書、外国人観光客向けの英文書の売上も低迷、代理店を務める科学誌も売上減少に歯止めがかからないなどマイナス要因が大きく、新規代理店の獲得、新規取引先の拡大やオンライン英会話の生徒数拡大など、売上の補填に努めたものの及ばず、減収となりました。

利益面では、原価率の高い販売チャネル販売不振の影響で原価率が改善、対して経費は運賃、業務委託費用を始めとする変動費の削減に加え、人員の適正配置による固定費の削減等を実施し、圧縮に努めましたが、減収の影響は大きく、営業利益は減少いたしました。

その結果、当部門の売上高は24億4千万円(前連結会計年度比19.8%減)、営業利益は3千8百万円(前連結会計年度比24.3%減)となりました。

(メディア事業)

前連結会計年度の衛生関連商品や「鬼滅の刃」関連商品の特需が消失したマイナス要因があったものの、主力商材である輸入CDにつきましては、K-POPが新譜、旧譜の受注ともに極めて好調に推移いたしました。K-POPは既存店舗の売上も好調でありますが、取扱店舗の数も増加しており売上増に寄与しております。また、ネット事業者向けの販売も好調、代理店商品の受注も増加、ワゴンセールを中心とした催事事業も堅調であったことから増収となりました。

利益面では、K-POPの価格競争の激化、ウォン高が続いたことによる利ザヤの低下、利益率の低い販売チャネルの売上増などの要因により原価率が悪化、経費に関しては増収に伴う変動費の増加もありましたが、固定費は前年並みに抑制でき、増収効果によって営業利益は増加いたしました。

その結果、当部門の売上高は50億7千7百万円(前連結会計年度比28.3%増)、営業利益は2億1千9百万円(前連結会計年度比40.8%増)となりました。

 

(不動産賃貸事業)

本社でのテナント事業は、満室稼働が継続しており、大きな修繕費用も発生していないことから堅調に推移いたしました。

その結果、当部門の売上高は7千2百万円(前連結会計年度比3.2%減)、営業利益は4千1百万円(前連結会計年度比5.1%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は7千8百万円増加(前連結会計年度は2千万円の資金の増加)し、当連結会計年度は8億1千8百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は4億3千7百万円(前連結会計年度は7千6百万円の資金の減少)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益1億2千万円、減価償却費3千9百万円を計上し、売上債権が1千万円減少し、仕入債務が9千1百万円、未払金が2億3千8百万円それぞれ増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は1億2千2百万円(前連結会計年度は1千8百万円の資金の減少)となりました。

これは主に有形固定資産の取得に4千9百万円、無形固定資産の取得に1千2百万それぞれ支出したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は2億4千7百万円(前連結会計年度は1億2千6百万円の資金の増加)となりました。

これは主に借入金の約定返済により短期借入金の返済1億円及び長期借入金の返済1億1千5百万円を行ったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

出版物・雑貨輸出事業

2,195,426

131.18

洋書事業

2,440,896

80.15

メディア事業

5,077,788

128.26

不動産賃貸事業

72,667

96.82

その他

949,382

128.29

合計

10,736,162

113.09

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

      あります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

 アマゾン・ドット・コム インターナショナル セールス インク

1,924,845

20.28

2,848,002

26.53

 丸善雄松堂株式会社

1,134,314

11.95

1,074,067

10.00

 

(b)受注実績

 当社グループは取次を主体とした営業を行っており、顧客が不特定多数であり、かつ注文から販売に至るまでの日数も短期間であるため、記載を省略しております。

(c)仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

出版物・雑貨輸出事業

2,350,061

129.55

洋書事業

1,931,592

75.12

メディア事業

4,535,215

130.51

その他

691,833

148.38

合計

9,508,703

114.20

 (注)1.不動産賃貸原価は29,501千円であります。

    2.金額は仕入価格によっておりセグメント間の内部振替前の数値によっております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億5百万円増加し70億9千3百万円となりました。

これは主に返品資産が3億1千8百万円、繰延税金資産が1億6百万円増加したことが要因です。

(負債)

当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4億9千万円増加し、52億5千6百万円となりました。

これは主に支払手形及び買掛金が1億1千1百万円、返金負債が3億7千8百万円増加した一方、短期借入金が1億6百万円、長期借入金が1億9百万円減少したことが要因です。借入金の約定返済により短期借入金及び長期借入金が減少しております。

(純資産)

当連結会計年度の純資産合計は18億3千7百万円となり前連結会計年度末に比べ1億1千5百万円増加しております。

親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が9千4百万円増加した一方、配当金の支払いにより利益剰余金が2千万円減少しております。

以上の結果、自己資本比率は25.9%(前連結会計年度末は26.5%)となり0.6ポイント減少しております。

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は107億3千6百万円(前連結会計年度比13.1%増)となり、前連結会計年度と比べ12億4千2百万円増加いたしました。セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は17億8千1百万円(前連結会計年度比11.1%増)となり、前連結会計年度と比べ1億7千8百万円増加いたしました。売上総利益率は前連結会計年度と比べ0.3ポイント減少し、16.6%となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は3億9千7百万円(前連結会計年度比61.9%増)となり、前連結会計年度と比べ1億5千2百万円増加いたしました。営業利益率については販売費及び一般管理費が前連結会計年度と比べ2千6百万円増加しましたが、前連結会計年度と比べ1.1ポイント増加し、3.7%となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は4億5千3百万円(前連結会計年度比92.9%増)となり、前連結会計年度と比べ2億1千8百万円増加いたしました。営業外収益は6千2百万円(前連結会計年度比332.2%増)となり、前連結会計年度と比べ4千8百万円増加いたしました。営業外費用は7百万円(前連結会計年度比70.6%減)となり、前連結会計年度と比べ1千7百万円減少いたしました。

(税金等調整前当期純利益)

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は1億2千万円(前連結会計年度比48.8%減)となり、前連結会計年度と比べ1億1千4百万円減少いたしました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は9千4百万円(前連結会計年度比40.0%減)となり、前連結会計年度と比べ6千2百万円減少いたしました。法人税等は2千6百万円(前連結会計年度比66.6%減)となり、5千1百万円減少いたしました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資産の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資金需要については、事業活動に必要な仕入・人件費・外注費、受注のための販促費・運営管理費等が主な内容であリます。

 今後も新規事業開発・商材開発等に投資を継続し、市場環境や受注動向を踏まえ、有効かつ適正な投資活動を進めて参ります。

資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローにより資金を調達することを主としております。取引銀行とは当座貸越契約を締結しており、一時的な不測の事態への資金確保については十分であると認識しております。投資活動にかかる資金は内部資金および借入金により調達しております。

 当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は9億4千5百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は8億1千8百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績に影響を与える見積り予測を使用することが必要であります。当社グループは、過去の実績値や最新の入手可能な信頼のおける情報に基づき、見積り・予測を行っております。しかしながら、これらの見積り・予測は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 新型コロナウイルス感染症の影響については、一定期間続く仮定を前提条件として当社グループが把握している情報に基づいて会計上の見積りを算出しておりますが、収束時期等により、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす場合には、経営者の判断のもと合理的に会計上見積りの再評価を行います

 

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