「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を
当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して減少しており、以下の経営成績に関する説明の売上高については、前期比(%)を記載せずに説明しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経済環境
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)による影響が緩和されるなか、米国や欧州ユーロ圏では、景気は持ち直しの動きとなりました。中国では、感染症の感染再拡大により一部地域で経済活動が抑制されたものの、景気は持ち直しの動きとなりました。アジア新興国では、タイが依然として厳しい状況ですが、インドネシアやインドでは、景気持ち直しの動きとなりました。
一方、日本経済は、感染症の影響による厳しい状況が残るなか、個人消費の足踏みや雇用情勢の弱さなど一部に弱い動きもみられましたが、企業収益が改善傾向となるなど、景気持ち直しの動きが続きました。
②財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ35,831百万円増加(対前期比10.1%増)し、389,059百万円となりました。
流動資産の増加54,522百万円は、主に商品及び製品並びに売掛金が増加したこと等によるものであります。
固定資産の減少18,690百万円は、主に退職給付に係る資産が増加したものの、投資有価証券が保有株式の売却や時価下落に伴い減少したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ34,720百万円増加(同19.6%増)し、212,144百万円となりました。
流動負債の増加42,593百万円は、主に短期借入金並びに支払手形及び買掛金が増加したこと等によるものであります。
固定負債の減少7,873百万円は、主に繰延税金負債及び長期借入金が減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,110百万円増加(同0.6%増)し、176,914百万円となりました。これは、主にその他有価証券評価差額金の減少及び自己株式の取得等による減少があったものの、利益剰余金及び為替換算調整勘定が増加したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は45.0%(前連結会計年度末より4.2ポイント減少)となりました。期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は3,062円46銭(前連結会計年度末より175円17銭増加)となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は、前期の感染症の影響による大幅な落ち込みから回復し、680,962百万円(前期は577,583百万円)となり過去最高を達成しました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は25,279百万円減少しております。利益面では、営業利益20,052百万円(対前期比33.9%増)、経常利益21,648百万円(同31.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益22,351百万円(同62.0%増)となり、売上高同様、いずれも過去最高を達成しました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
《情報電子事業》
情報電子事業は、主要商材の販売が堅調に推移し、売上が増加しました。
液晶関連では、TV・ノートPC用パネルの生産好調により、関連部材の販売が増加しました。有機EL関連では、新規商材の販売が伸長しました。
LED関連では、関連材料の販売が伸長しました。
インクジェットプリンター関連では、在宅印刷需要の継続によりコンシューマー分野が好調に推移するとともに、産業印刷需要も回復し、全体として関連材料の販売が増加しました。
複写機関連では、感染症の影響によるオフィス用トナーの需要減少から回復し、関連材料の販売が増加しました。
太陽電池関連は、国内外で関連材料の販売が好調でした。二次電池関連は、EV車向けが好調に推移し、関連材料の販売が伸長しました。
フォトマスク関連は、中国向けを中心に関連材料の販売が伸長しました。
半導体・電子部品関連は、データセンター、5G、車載向けが好調に推移し、関連材料の販売が好調でした。半導体装置の販売は好調でした。
これらの結果、売上高は247,713百万円(前期は224,534百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は13,801百万円減少しております。セグメント利益(営業利益)は、6,422百万円(対前期比1.5%増)となりました。
《化学品事業》
化学品事業は、前期の感染症の影響による大幅な落ち込みから回復し、売上が大きく増加しました。
樹脂原料・添加剤の販売は、難燃剤やウレタン原料など総じて好調でした。
自動車部品用の原料販売は、減産による影響はありましたが、堅調でした。
塗料・インキ・接着剤分野では、自動車用の原料販売が横ばい、建築用が堅調でした。
製紙用の薬剤の販売は、衛生紙・段ボール向けが堅調でした。
建築資材関連では、住宅着工件数が回復するなか、欧州材の販売が好調でした。
これらの結果、売上高は78,644百万円(前期は66,626百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は5,718百万円減少しております。セグメント利益(営業利益)は、2,207百万円(対前期比67.2%増)となりました。
《生活産業事業》
生活産業事業は、全般に好調に推移し、売上が増加しました。
ライフサイエンス関連では、化粧品原料や日用品原料の販売は堅調でした。医薬品原料の国内販売が感染症の影響もあり低調でした。
食品関連では、水産加工品の販売が回復しました。回転寿司向け加工品の販売は好調でした。米国では外食業界の急回復により、シーフード商品の販売が伸長しました。
農産品では、量販店・宅配向けの冷凍野菜・果実の販売が好調でした。
これらの結果、売上高は38,203百万円(前期は37,361百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は3,254百万円減少しております。セグメント利益(営業利益)は、2,618百万円(対前期比67.5%増)となりました。
《合成樹脂事業》
合成樹脂事業は、前期の感染症の影響による大幅な落ち込みからの回復と樹脂価格の上昇により、売上が大きく増加しました。
汎用樹脂関連では、日用品関連、食品関連、ゲーム機関連など、総じて好調でした。
高機能樹脂関連では、自動車関連が、減産の影響があったものの、国内外ともに販売が回復しました。OA関連は販売が伸長しました。
コンパウンド事業は、全体的に収益が改善しました。
ポリオレフィン原料の販売は、価格の上昇もあり好調でした。
フィルム関連では、コンビニ向けや行楽向けが回復しました。
シート関連では、感染症の影響が継続し、テイクアウト飲料用の販売が低調でした。
スポーツ資材関連では、海外を中心にグリップテープの販売が回復しました。
これらの結果、売上高は316,226百万円(前期は248,888百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は2,504百万円減少しております。セグメント利益(営業利益)は8,677百万円(対前期比54.1%増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、税金等調整前当期純利益、短期借入金の純増加額及び投資有価証券の売却による収入が、棚卸資産の増加額、売上債権の増加額、投資有価証券売却益、自己株式の取得による支出、法人税等の支払額及び配当金の支払額を上回ったこと等により、前連結会計年度末に比べ2,268百万円増加し、28,251百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は11,448百万円(前連結会計年度は17,613百万円の獲得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額、売上債権の増加額、投資有価証券売却益及び法人税等の支払額が、税金等調整前当期純利益及び仕入債務の増加額を上回ったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は5,446百万円(前連結会計年度は423百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入及び定期預金の払戻による収入が、定期預金の預入による支出、有形固定資産の取得による支出、子会社株式の取得による支出、無形固定資産の取得による支出及び投資有価証券の取得による支出を上回ったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は5,999百万円(前連結会計年度は17,582百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額が、自己株式の取得による支出、配当金の支払額及び長期借入金の返済による支出を上回ったこと等によるものであります。
④販売及び仕入の実績
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
情報電子 |
247,713 |
- |
化学品 |
78,644 |
- |
生活産業 |
38,203 |
- |
合成樹脂 |
316,226 |
- |
その他 |
174 |
- |
合計 |
680,962 |
- |
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
情報電子 |
231,592 |
112.3 |
化学品 |
69,718 |
116.2 |
生活産業 |
31,611 |
102.0 |
合成樹脂 |
298,666 |
135.6 |
その他 |
47 |
113.1 |
合計 |
631,635 |
122.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①中期経営計画「NC2023」初年度の進捗分析
当連結会計年度は、3カ年の「NC2023」の初年度となります。経営成績を踏まえた、初年度の進捗分析は以下の通りであります。
(百万円) |
NC2023 第161期 初年度実績 |
NC2023 第161期 初年度計画 |
NC2023 第163期 最終年度目標 |
売上高 |
680,962 |
600,000 |
(注)1. 670,000 |
営業利益 |
20,052 |
14,500 |
16,500 |
売上高営業利益率 |
2.9% |
2.4% |
2.5% |
経常利益 |
21,648 |
15,000 |
17,000 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
22,351 |
14,000 |
16,000 |
ROE |
12.8% |
8%以上 |
8%以上 |
ネットD/Eレシオ (倍)(注)2 |
0.17倍 |
0.3倍以下 |
0.3倍以下 |
自己資本比率 |
45.0% |
50%以上 |
50%以上 |
想定為替レート |
112.39円/USD |
105.00円/USD |
105.00円/USD |
(注)1. 新収益認識基準適用前ベースの売上高目標値:700,000百万円
(注)2. ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)/自己資本
売上高は、前連結会計年度の新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な落ち込みから回復するとともに、樹脂をはじめとする原材料の販売価格の上昇や円安が寄与し、初年度の計画を大きく上回りました。その結果、最終年度の目標も達成しました。
営業利益は、主に売上高が初年度の計画を大幅に上回ったことにより、初年度の計画を大きく上回りました。その結果、最終年度の目標も達成しました。
経常利益は、主に営業利益が初年度の計画を大幅に上回ったことにより、初年度の計画を大きく上回りました。その結果、最終年度の目標も達成しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に経常利益が初年度の計画を大幅に上回ったことに加え、投資有価証券売却益が増加したことにより初年度の計画を大きく上回りました。その結果、最終年度の目標も達成しました。
ROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が大きく増加したことに加え、政策保有株式の売却が進みその他有価証券評価差額金が減少したこと及び自己株式取得の実施により、自己資本の増加が前連結会計年度末に比べ小幅となったため、最終年度の目標を達成しました。資本の効率性が改善されています。
ネットD/Eレシオは、主に有利子負債の増加により前連結会計年度に比べ上昇しておりますが、最終年度の目標を満たしています。財務の健全性が継続して維持されています。
自己資本比率は、有利子負債が増加したこと及び自己資本の増加が前連結会計年度末に比べ小幅となったことにより前連結会計年度に比べ下回る結果となりましたが、財務の健全性は十分確保されています。
報告セグメント別の進捗は、以下のとおりであります。
《情報電子事業》
(百万円) |
NC2023 第161期 初年度実績 |
NC2023 第161期 初年度計画 |
NC2023 第163期 最終年度目標 |
売上高 |
247,713 |
226,000 |
246,000 |
セグメント利益 |
6,422 |
5,050 |
5,650 |
セグメント利益率 |
2.6% |
2.2% |
2.3% |
(注)NC2023第161期初年度売上高の実績は、収益認識会計基準等の適用により、13,801百万円減少しています。
売上高は、液晶などFPD(フラットパネルディスプレイ)関連、OA関連、太陽電地関連など主要商材の販売が堅調に推移したことにより、初年度の計画を上回りました。
セグメント利益(営業利益)は、主に売上高が増加したことにより、計画を上回りました。
その結果、売上高・セグメント利益(営業利益)ともに最終年度の目標を達成しました。
なお、同事業において、NC2023策定時に想定した主な収益基盤商材と成長分野商材は以下の通りです。
収益基盤商材 |
フラットパネルディスプレイ(PFD)関連 デジタル印刷関連 |
成長分野商材 |
リチウムイオン電池関連 再生可能エネルギー |
《化学品事業》
(百万円) |
NC2023 第161期 初年度実績 |
NC2023 第161期 初年度計画 |
NC2023 第163期 最終年度目標 |
売上高 |
78,644 |
68,000 |
77,000 |
セグメント利益 |
2,207 |
1,200 |
1,500 |
セグメント利益率 |
2.8% |
1.8% |
1.9% |
(注)NC2023第161期初年度売上高の実績は、収益認識会計基準等の適用により、5,718百万円減少しています。
売上高は、樹脂原料・添加剤関連、自動車部品用原料関連、建築資材関連などの販売が、全般に前期の感染症の影響による大幅な落ち込みから回復し、初年度の計画を上回りました。
セグメント利益(営業利益)は、主に売上高が増加したことにより、計画を上回りました。
その結果、売上高・セグメント利益(営業利益)ともに最終年度の目標を達成しました。
なお、同事業において、NC2023策定時に想定した主な収益基盤商材と成長分野商材は以下の通りです。
収益基盤商材 |
樹脂原料・添加剤関連 コーティング(塗料・インキ)関連 |
成長分野商材 |
自動車部品原料関連 環境配慮型樹脂原料等 新規商材 |
《生活産業事業》
(百万円) |
NC2023 第161期 初年度実績 |
NC2023 第161期 初年度計画 |
NC2023 第163期 最終年度目標 |
売上高 |
38,203 |
38,800 |
46,000 |
セグメント利益 |
2,618 |
1,900 |
2,200 |
セグメント利益率 |
6.9% |
4.9% |
4.8% |
(注)NC2023第161期初年度売上高の実績は、収益認識会計基準等の適用により、3,254百万円減少しています。
売上高は、食品関連における水産加工品や農産品の販売、およびライフサイエンス関連における化粧品原料や日用品原料の販売が堅調に推移し、概ね初年度の計画通りとなりました。
セグメント利益(営業利益)は、主に米国でのシーフード商品の販売好調など食品ビジネスの伸長により、計画を上回りました。
その結果、セグメント利益(営業利益)は最終年度の目標を達成しました。
なお、同事業において、NC2023策定時に想定した主な収益基盤商材と成長分野商材は以下の通りです。
収益基盤商材 |
医薬原料(新薬) ホームプロダクツ関連原料 |
成長分野商材 |
再生医療などの先端医療 ブルーベリーを中心とした農産品 |
《合成樹脂事業》
(百万円) |
NC2023 第161期 初年度実績 |
NC2023 第161期 初年度計画 |
NC2023 第163期 最終年度目標 |
売上高 |
316,226 |
267,000 |
300,800 |
セグメント利益 |
8,677 |
6,250 |
7,050 |
セグメント利益率 |
2.7% |
2.3% |
2.3% |
(注)NC2023第161期初年度売上高の実績は、収益認識会計基準等の適用により、2,504百万円減少しています。
売上高は、自動車関連、OA関連、日用品、食品関連など全般的に前期の感染症の影響による大幅な落ち込みから回復したこと、および樹脂価格が上昇したことにより、初年度の計画を上回りました。
セグメント利益(営業利益)は、主に売上高が増加したことにより、計画を上回りました。
その結果、売上高・セグメント利益(営業利益)ともに最終年度の目標を達成しました。
なお、同事業において、NC2023策定時に想定した主な収益基盤商材と成長分野商材は以下の通りです。
収益基盤商材 |
自動車、OA、家電分野向け樹脂 製造・加工を含むフィルム関連 |
成長分野商材 |
自動車向け高機能樹脂 スポーツ関連商材(グリップテープ) |
なお、上記の通り、初年度である当連結会計年度の業績が最終年度となる2024年3月期の目標数値を売上高及び利益で上回ることとなりました。
こうした足元の事業状況や、計画策定時からの様々な状況変化、今後の見通し、また2022年2月7日付適時開示「株主還元の基本方針の一部変更に関するお知らせ」において公表いたしました株主還元の基本方針の一部変更等を踏まえ、NC2023の最終年度となる2024年3月期の目標数値・指標について、見直しを行いました。見直し後の最終年度の目標数値・指標については、「第2.事業の状況 1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中期経営計画「New Challenge 2023」(略称「NC2023」)の見直しについて」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に営業活動及び政策保有株式の売却等により獲得した資金を、当社の配当政策に基づく現金配当及び自己株式の取得による株主還元の実施、中期経営計画「New Challenge 2023」の計画達成に向け、事業の拡大・新規ビジネスの開拓・グローバルな経営情報インフラの高度化等に使用しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ2,268百万円増加し、28,251百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、各営業部門の事業計画・投融資計画に照らして、必要な資金を内部留保や金融機関からの借入金を中心に調達し、その資金を運転資金や事業拡大に向けた投融資に使用しており、金融商品での運用や投機的な取引は行わないこととしております。
当連結会計年度は、前期の新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響による大幅な落ち込みから回復し、売上高及び利益面でも過去最高となりました。営業活動と政策保有株式の売却を積極的に進めたことで獲得した資金を事業拡大のための設備投資や株主還元等に使用しました。
資金の流動性の維持、国内及び海外におけるグループ全体の運転資金の機動的かつ安定的な調達を行うため、取引銀行4行と200百万米ドル相当額の貸出コミットメント契約(複数通貨型)を締結しております。
また、国内の連結子会社及び海外の一部の連結子会社において、キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、資金の効率化と流動性の確保を図っております。
今般の感染症による資金繰りへの影響は軽微ではありますが、上記の施策等により不測の事態に備え資金の流動性を維持しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産、負債、収益、費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、感染症の影響につきましては、連結財務諸表作成時点の状況を踏まえて見積りを行っており、当連結会計年度におけるその影響額は軽微であります。
a.棚卸資産の評価
主として移動平均法及び先入先出法による原価法によっており、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。
正味売却価額の算定方法については、期末前後での販売実績に基づく価額を用いる等、合理的に算定された価額を正味売却価額としております。なお、長期滞留等により営業循環過程から外れた棚卸資産など正味売却価額を合理的に算定することが困難な棚卸資産につきましては、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げる等の方法により、収益性の低下を適切に貸借対照表に反映させております。
前期に計上した簿価切下額の戻入れにつきましては、主に洗替え法により当期に戻入れをおこなう方法を採用しております。
b.貸倒引当金の評価
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
c.退職給付会計について
当社グループの従業員の退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用は、簡便法を採用している連結子会社を除き、割引率、退職率、予想昇給率、長期期待運用収益率、死亡率等の計算基礎を設定の上、数理計算結果に基づき算定しております。
退職給付債務の計算に用いる割引率と年金資産(企業年金制度に対して設定した退職給付信託を含む)の長期期待運用収益率は、特に重要な前提条件であります。割引率は安全性の高い債券(主として長期国債)の利回りを基礎として主として0.4%、年金資産の長期期待運用収益率は年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績及び運用方針等を総合的に考慮して主として3.0%を使用しております。
また、他の基礎率も定期的に見直しており、基礎率を見直した場合や、退職給付債務の数理計算に用いた見積り数値と実績との差異、年金資産の期待運用収益と実際の運用収益との差異が生じた場合には、数理計算上の差異が発生し、将来の退職給付に係る負債及び退職給付費用を増加させるおそれがあります。
数理計算上の差異については、平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として13年)で按分する方法により費用処理しております。
未認識数理計算上の差異については、税効果会計を適用の上、純資産の部におけるその他の包括利益累計額の退職給付に係る調整累計額に計上しております。
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