当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
(1) 財政状態及び経営成績
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の世界経済は、ワクチン接種の進展や各国政府が実施した各種施策の効果等により、新型コロナウイルス感染の影響が沈静化する好材料があったものの、ロシアのウクライナ軍事侵攻への制裁による資源価格高騰、インフレ高進、さらには急激な金利上昇や円安進行等、下押し圧力が拡大しました。
わが国経済は、海外経済の回復を背景とした輸出増加や製造業全般における設備投資や生産活動が底堅く推移する等、持ち直しの動きだったものの、オミクロン株の感染拡大や資源価格高騰等の影響を受け、回復ペースは鈍化しました。
このようなマクロ環境下、当社が属するエレクトロニクス業界は、半導体や電子部品の供給制約は継続したものの、自動車向けが回復、産業機器向けでは拡大する等、総じて需要は高い水準で推移しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りです。
① 財政状態
総資産は、前連結会計年度末に比べ424億61百万円増加して、1,905億48百万円となりました。これは現金及び預金が86億18百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が214億85百万円、商品及び製品が169億63百万円増加したこと等によるものであります。
ロ 負債
負債は、前連結会計年度末に比べ373億46百万円増加して、958億23百万円となりました。これは短期借入金が195億28百万円、買掛金が99億92万円増加したこと等によるものであります。
ハ 純資産
純資産は、前連結会計年度末に比べ51億14百万円増加して、947億24百万円となりました。これは配当金の支払いが28億11百万円あったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が53億59百万円あったこと等によるものであります。なお、自己資本比率は、前連結会計年度の60.5%から49.7%に減少しました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用による財政状態への影響は軽微であります。
② 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は自動車や産業機器向けを中心に幅広い分野で伸長したことに加え、新たに商権獲得したビジネスや円安が寄与した他、従前から注力してきた外資系半導体ビジネスや中華圏ローカルビジネスも奏功した結果、2,726億47百万円(前期比24.0%増)となりました。
売上高増加や産業機器向け等の高付加価値製品の販売好調により、営業利益は88億57百万円(前期比91.4%増)、経常利益は80億85百万円(前期比57.8%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は前期に特別利益に計上した政策保有株式売却益等の反動減から53億59百万円(前期比16.8%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による経営成績への影響は軽微であります。
セグメント別の経営成績は次の通りであります。
なお、当社は、「第1 企業の概況3 事業の内容」に記載のとおり、報告セグメントを変更しました。以下の前連結会計年度との比較は変更後の区分に基づいております。
売上高は、自動車や産業機器向け等の製品を中心に販売が増加したことに加え、商権獲得した新規ビジネスの奏功等もあり、2,408億31百万円(前期比25.5%増)、営業利益は高付加価値製品の販売好調等もあり、75億82百万円(前期比86.8%増)となりました。
ロ ソリューション事業
設備機器と情報通信向け大型案件が寄与したことに加え、自動車向けビジネスが前期比で伸長したこと等により、売上高は318億16百万円(前期比13.6%増)、営業利益は14億21百万円(前期比98.3%増)となりました。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況」、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて86億19百万円減少し、120億16百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が81億23百万円あったものの、売上債権が189億37百万円、棚卸資産が148億89百万円、未収入金が138億70百万円それぞれ増加したこと等により、全体で289億45百万円の資金の減少となりました。なお前連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは37億82百万円の資金の減少でした。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、保険積立金の解約による収入10億83百万円等により、全体で8億94百万円の資金の増加となりました。なお前連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは10億29百万円の資金の増加でした。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金が169億41百万円、コマーシャル・ペーパーが49億99百万円それぞれ増加したため、配当金の支払が28億5百万円あったものの、全体で189億51百万円の資金の増加となりました。なお前連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは15億71百万円の資金の減少でした。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要は主に、商品の仕入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用等であり、銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行により調達しております。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(4) 重要な会計方針・会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」にて記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 貸倒引当金の計上基準
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
② 棚卸資産の評価基準
当社グループが販売する棚卸資産は市場の需給の影響を受け、市場価格が低下する場合があるため、評価基準として、原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。当該評価基準の適用に当たっては、保有理由区分及び回転率に基づいて評価を行う一般在庫評価と、個別に将来の販売可能性に基づいて評価を行う個別在庫評価により見積りを行っておりますが、顧客の所要数量が急激に下落する等、見積りの前提と実績が乖離した場合には、廃棄や評価の見直しが必要となり、翌期の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 有価証券の減損処理
当社グループは、金融機関や販売又は仕入に係る取引会社の株式を保有しております。市場価格のある上場株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づき有価証券の減損処理を行っております。減損処理に係る合理的な基準は、第5「経理の状況」の有価証券関係の注記に記載しております。また、市場価格のない非上場株式は実質価額が著しく下落し、かつ、その下落が一時的でないと判断した場合には、その下落した額について減損処理を行うこととしております。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積り額が減少した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
⑤ 固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の認識及び測定に当たっては、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、追加の減損処理又は新たな減損処理が必要となる可能性があります。
また、新型コロナウイルスによる影響は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「追加情報」にて記載しております。
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