経営者による当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響から世界経済が徐々に回復に向かう中、輸出の増加等を背景に持ち直しの動きがみられました。一方で期の終盤では、ロシア・ウクライナ情勢等による原材料価格の上昇や、円安の進行が発生しており、今後も引き続き下振れリスクに注意を要する状況が続いております。
当社グループに関係の深い化学産業を中心とする国内製造業につきましては、生産回復の動きはみられたものの、断続的な感染症の蔓延や、半導体不足等の影響により、年度を通じて生産動向は一進一退の状況となりました。
このような環境のもと、当社グループにおきましては感染防止に充分に配慮の上、今後の社会・産業界の環境変化を見据え、業績の早期回復とビジネスモデルの変革に向けた各種取り組みを進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高55,508百万円、販売費及び一般管理費は、運賃及び諸掛が188百万円、給与手当が229百万円それぞれ増加したこと等から6,071百万円と前連結会計年度に比べ402百万円(7.1%)増加し、営業利益は1,252百万円と前連結会計年度に比べ471百万円(60.4%)の増益となりました。営業外損益につきましては、営業外収益は438百万円と前連結会計年度に比べ90百万円(26.0%)の増加、営業外費用は138百万円と前連結会計年度に比べ81百万円(143.4%)の増加となり、経常利益は1,553百万円と前連結会計年度に比べ480百万円(44.8%)の増益となりました。特別損益につきましては、特別利益は、負ののれん発生益が90百万円、投資有価証券売却益が321百万円、特別損失は、損害補償損失引当金繰入額が14百万円、投資有価証券評価損が27百万円、投資有価証券売却損が13百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,367百万円と前連結会計年度に比べ566百万円(70.8%)の増益となりました。
なお、当社グループは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。そのため、売上高については、増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
当社グループは、長期ビジョン「Go foward」を策定し、そのあるべき姿を追い求めております。「Go foward STAGE2」は、この長期ビジョン達成に向けた第2ステージに当たり、「将来の飛躍に向けた、成長軌道を切り開くステージ」と位置づけております。
また、DXの伸展や新型コロナウイルス感染症の影響などにより変化する社会・経済情勢の中で、早期の業績回復とビジネスモデルの変革加速を狙いに、当期期初に中期経営計画「Go foward STAGE2」を再構築しております。その狙いのひとつである早期の業績回復については、当期、マーケットの追い風もありコロナ禍以前の水準まで回復し、来期も同水準での推移を予想しております。再構築後の主な取り組みである各施策の状況においても、総じて、事業基盤の強化や今後の成長に向けた種まきが順調に進んでいると認識しております。具体的には、収益基盤の徹底強化においては、国内拠点網の拡充と物流機能の強化を狙いとする中で、手薄なエリアでの地元企業との協働、M&Aを進め、そのネットワークを活用した新たな商材・サービスの展開などに向けて準備が進んでおります。また、商社としての機能拡充に向けた物流機能の強化も進めており、広島大野ケミカルセンターの能力増強に2021年12月より取り組んでおり、第1期工事の完成を2023年の初旬を予定しております。この第1期工事では同ケミカルセンターの薬品貯蔵能力の増強を行い中国地区での需要増に応えてまいります。パッケージ分野をはじめとする再構築市場へのアプローチにおいては、ビジネスモデルの見直しを図り、従来の原材料販売スタイルから完成品のOEM製造提案へと、川下側へ事業分野を広げることで多くの実績の積上げております。さらに同分野では、子会社との連携強化によるグループ全体の収益力向上を目指し、新たな設備投資計画の検討を進めております。一方、戦略遂行を下支えする経営基盤の強化については、人事政策において、テレワーク制度やフレックスタイム制度をコロナ対策としてではなく恒常的制度として取り入れ、新たな働き方への準備を進めております。加えて、専門性の高い人材の獲得に向けて中途採用を積極的に行いながら階層別の研修を取り入れ、人材活性化を推進しております。また、財務政策においては、株主還元、成長投資への資金対応、上場維持基準達成等のバランスを考慮した総合的な政策を継続して進めております。当社グループは、「Go foward STAGE2」の完遂に努めるとともに、新たな成長軌道の構築に向けて前進してまいります。
セグメント別の営業概況は次のとおりであります。
化学品事業
売上高は36,091百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期に比べ12.5%増の2,500百万円となりました。セグメント利益への影響を基準とした、商品群別の取引推移等は以下のとおりであります。
ソーダ関連薬品は堅調に推移いたしました。主力のか性ソーダは、期の前半にかけて一部市況変動の影響を受けましたが、エレクトロニクス業界や素材産業における需要の増加及び稼働の回復により取引増加となりました。また炭酸ソーダは日用品業界における需要の拡大等により、塩酸は一時的な特別需要の発生により取引増加となりました。
その他の無機薬品は好調に推移いたしました。硫酸及びカルシウム化合物は製紙業界や化学業界の稼働の回復等により取引増加となりました。また鉄化合物及びチタン化合物は化粧品業界の需要回復により取引増加となりました。
有機薬品は好調に推移いたしました。フッ素系溶剤は販売競争激化により取引減少となりましたが、一方で酢酸及び誘導品は需給逼迫に対する代替供給により取引増加となりました。加えてシリコーン及び製紙用ラテックスは、原料高騰による単価変動及びシェア・需要の拡大等により取引増加となりました。
機能材事業
売上高は12,662百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期に比べ9.9%増の623百万円となりました。セグメント利益への影響を基準とした、商品群別の取引推移等は以下のとおりであります。包装関連商品は好調に推移いたしました。ナイロンフィルムは中国における食品用途需要の拡大により輸出取引が増加となりました。また包装関連機器は食品業界向け及び海外向け案件の新規受注により取引増加となりました。
合成樹脂関連商品は好調に推移いたしました。ガラス長繊維は樹脂業界の稼働回復により、またその他の熱可塑性樹脂も医療用途向けの新規取引開始により取引増加となりました。
設備・工事・産業材料はやや低調に推移いたしました。排水処理装置はエレクトロニクス業界向けのメンテナンス案件の受注により取引増加となりましたが、機械器具設置工事及び排ガス処理装置は案件の減少により取引減少となりました。
その他事業
売上高は6,754百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期に比べ52.3%増の110百万円となりました。
当社及び連結子会社は各種物品の販売を行っており、生産実績はありません。
当連結会計年度における工事関係の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは機能材事業におきまして、設備工事
等の受注が増加したことによるものであります。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用して
おり、2022年3月期に係る売上高については、当該会計基準を適用した後の数字となっており、対前期増減
率は記載しておりません。
品目別販売実績
(注) 2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用して
おり、2022年3月期に係る売上高については、当該会計基準を適用した後の数字となっており、対前期増減
率は記載しておりません。
(2)財政状態の分析
①資産合計は、60,854百万円(前連結会計年度末比581百万円減)となりました。内容は次のとおりであります。
<流動資産>
流動資産は、45,213百万円(同340百万円減)となりました。
現金及び預金の減少(10,833百万円から7,482百万円へ3,351百万円減)及び受取手形及び売掛金の増加(32,715百万円から35,903百万円へ3,187百万円増)及びその他に含まれております前渡金の減少(666百万円から475百万円へ191百万円減)が主な要因であります。
<固定資産>
固定資産合計は、15,641百万円(同241百万円減)となりました。
投資有価証券の減少(13,186百万円から12,471百万円へ715百万円減)が主な要因であります。
②負債合計は、35,625百万円(同185百万円増)となりました。内容は次のとおりであります。
<流動負債>
流動負債合計は、31,877百万円(同72百万円増)となりました。
未払法人税等の増加(288百万円から314百万円へ26百万円増)及びその他に含まれております未払金の増加(110百万円から156百万円へ45百万円増)が主な要因であります。
<固定負債>
固定負債合計は、3,747百万円(同113百万円増)となりました。
その他に含まれております長期借入金(131百万円)が新たに発生したことが主な要因であります。
③純資産合計は、25,229百万円(同767百万円減)となりました。
自己株式の増加(△45百万円から△930百万円へ884百万円増)が主な要因であります。
この結果、1株当たり純資産額は、1,112.99円(同73.44円増)、自己資本比率は、42.3%から41.5%となりました。
(3)キャッシュ・フローに関する分析
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は7,352百万円となり、前連結会計年度末より3,332百万円減少致しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、452百万円(前連結会計年度比811百万円減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が1,909百万円でありましたが、売上債権の増加が2,832百万円、仕入債務の増加が1,774百万円、法人税等の支払額が530百万円となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は、594百万円(前連結会計年度比994百万円増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出143百万円、投資有価証券の売却による収入809百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、4,424百万円(前連結会計年度比4,073百万円減)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出2,506百万円、自己株式の取得による支出1,546百万円、配当金の支払額365百万円によるものであります。
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローの変動要因は、主に税金等調整前当期純利益及び売上債権、棚卸資産、仕入債務の増減によるものであります。
②営業キャッシュ・フローの区分別内訳
(単位:百万円)
③キャッシュ・フロー指標のトレンド
(注) 自己資本比率:純資産額/総資産額
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表により算出しております。
※株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ811百万円減少し452百万円の収入となりました。前連結会計年度との差額は、主に売上債権の増減額△3,610百万円及び仕入債務の増減額2,257百万円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ994百万円増加し594百万円の収入となりました。前連結会計年度との差額は、投資有価証券の取得による支出が274百万円増加したこと及び投資有価証券の売却による収入が556百万円増加したこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ4,073百万円減少し4,424百万円の支出となりました。前連結会計年度との差額は、短期借入金の返済による支出が2,506百万円減少したこと及び自己株式の取得による支出が1,546百万円減少したこと等によるものであります。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ3,332百万円減少し、7,352百万円となりました。
なお、現時点においては重要な資本的支出はありません。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。特に以下の事項につきましては、会計上の見積りが連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えております。
・貸倒引当金
第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積りを参照ください。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大による業績への影響といたしましては、オミクロン株による第6波の発生など、経済活動への影響は継続したものの、期初の状況よりは半導体・自動車産業などをはじめ多くの産業が回復傾向で推移し、また、資源価格の高騰による各種材料・商品価格の上昇は、商社の立場からは業績に対してプラスの面を持ち、短期的には、総じて当社グループにとって追い風の市況環境となっております。しかしながら、コロナ禍による国際的な物流の混乱、ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の更なる高騰や需給の逼迫などが予想され、世界経済の成長鈍化、景気後退につながることで、産業の基礎物資を扱う当社グループにとっては、中期的には厳しい経営環境に陥る可能性もございます。
なお、連結財務諸表作成にあたって、当社グループが採用しております重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
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