業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の概要

(1) 経営成績の分析

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により緊急事態宣言等が断続的に発出されておりましたが、10月には緊急事態宣言等の対象となっていたすべての地域で宣言が解除されたものの、海外においては新型コロナウイルス変異株の感染が拡大するなど、感染症再拡大のリスクは依然として残る状態が続き、先行きは引き続き不透明な状況にあります。
 当社が主力に展開している小売業界につきましては、オンラインによる業態については、販売額は堅調に推移しているものの、実店舗を有する業態や半導体をはじめとする部品の供給不足による生産活動の停滞、原材料価格の高騰等に影響される業態については、販売額が伸び悩んでおります。また、インバウンド情勢は依然として海外からの渡航制限が継続しており、現在も回復の目途は立っておりません。
 当社グループにおいては、このような厳しい環境下において、引き続き徹底したコスト圧縮による収益改善に継続的に取り組むとともに、専門性の追求による事業基盤の強化を進めてまいりました。
 海外へ行けない国内のお客様向けにアジア食品やアジアコスメの品揃えを拡充し、「先行発売」や「日本初上陸」など限定商品を導入した新業態店舗を開店いたしましたが、その一方で、一層のキャッシュ・フロー改善、コスト圧縮を図るべく、国内リテール事業のインバウンドに特化した既存店舗の閉店を加速いたしました。
 また、新たな収益改善の取り組みとして、日本企業の中国展開を物流面で支援する機能を強化するべく、中国・山東省済南市で保税倉庫の運営を開始し、保税倉庫の手配や各種通関業務サービスを提供していきます。
 更に、中国の世界遺産や統合型リゾート施設など数多くの観光資源を有するマカオ特別行政区にも合弁会社設立の準備を進め、今後の成長戦略に向けた取り組みを推進いたしました。
なお、グループの事業構造の見直しのため、生活ファッションセグメントにおいて靴事業を展開する株式会社オギツ、株式会社モード・エ・ジャコモおよび恒和総業株式会社の株式を株式会社アイティエルホールディングスへ譲渡いたしました。


 以上の結果、当連結会計年度の連結業績は、新型コロナウイルス感染症の影響により店舗の一時休業や集客の苦戦を余儀なくされた国内リテール事業の減収に加えて、アセット事業における不動産案件の減少や成約時期の遅延により、売上高は68,149百万円(前年同期比17.9%減)となりました。損益面は、営業損失2,846百万円(前年同期は3,359百万円の損失)、経常損失2,151百万円(前年同期は3,444百万円の損失)となりましたものの、貸付金に対する
貸倒引当金繰入額に加え、当該感染症による事業環境の低迷を受け、店舗撤退に係る諸費用や、転貸物件の将来発生する損失の可能性に備えるため、当連結会計年度に特別損失として計上しており、親会社株主に帰属する当期純損失は7,110百万円(前年同期は16,641百万円の損失)となりました。

 

(国内リテール事業)
 国内リテール事業では、新型コロナウイルス感染症の影響によって海外からのお客様が実質ゼロとなる状況が継続する中、インバウンドに特化した店舗の閉店を進める事により一層の収益改善を図りました。その一方で、日本国内のお客様へ向けて、本場・本物のアジアの味を日本の食卓へお届けするアジア食品専門店『亜州太陽市場』、お客様のコスメ・ビューティーの旅路の場所をコンセプトに、空港をイメージした店舗デザインのもと、アジア化粧品専門店『LAOX BEAUTY AIRPORT』を、それぞれ開店し、「先行発売」や「日本初上陸」など限定商品の導入により、お客様の生活を彩り、新たな発見や価値提供の創造を目指した取り組みを進めてまいりました。
 また、実店舗とオンラインストアの連携を加速させ、お客様がどちらを利用していただいてもスムーズにお買い物が出来る場所の提供を目指しECサイトの強化をはかり、各新業態店舗はメディアにも注目されるなかで好調なスタートを切っております。
 以上の結果、新たな国内のお客様は着実に増えつつあるものの、新型コロナウイルスによる訪日客の減少等の影響により、当連結会計年度の売上高は2,989百万円(前年同期比53.5%減)と減収となりました。また、損益面では年初より推進してきた店頭販売商品のマージンミックスの改善に加え、前年度に推進した構造改革の成果や、店舗閉店等によりコスト圧縮の結果、損失額は大幅に縮小し、853百万円のセグメント損失(前年同期は1,505百万円の損失)となりました。

 

 

(海外事業)
 海外事業では、事業構造改革の一環として、アウトバウンド需要の取り込みや、中国・東南アジアの新たな市場開拓にむけた準備を推進いたしました。中国向け事業では、小型家電、化粧品、ゲーム機の販売は堅調に推移していたものの、新型コロナウイルスの感染者が確認された事から防疫対策の強化が継続しており、国際物流の遅延などの影響や、中国国内のEC事業においても競争の激化により売上高は減少することとなりました。
 一方で、お客様に人気の高い商品を取り揃えたセレクトショップを出店することにより販売強化を図るとともに、日本企業の中国進出や中国全土への展開を支援する機能を強化するために保税倉庫の運営を開始し、新規事業展開の加速を着実に進めてまいりました。
 以上の結果、当連結会計年度における売上高は18,097百万円(前年同期比11.7%減)、損益面においては、販売促進費や物流費・人件費の増加に加え、売掛債権に対する貸倒引当金繰入額を計上したことによりセグメント損失は581百万円(前年同期は268百万円の利益)となりました。

 

(生活ファッション事業)
 ギフト販売事業では、前年に引き続き新型コロナウイルスの感染拡大による婚礼や仏事の需要低迷や、返礼ギフトの伸び悩みなどの影響が継続する状況となっておりますが、主力商戦の一つである中元・歳暮については、帰省に代わる贈り物としての需要もあり、底堅いフォーマルギフト需要の獲得を図ることが出来ました。加えて、自宅時間の増加や対面での接触を控える傾向にある背景から、自家需要商品やカジュアルギフト(誕生日プレゼントやクリスマス等のワンデイイベントギフト、シーズンギフト)のニーズも堅調に推移いたしました。
 また、オリジナル商品や人気商品をアソート化したギフトやスイーツ、冷凍食品やお取り寄せグルメ等の商品を継続して強化するとともに、EC事業については当該感染症による外出控えの影響や商品拡充の効果により既存店では前年を大きく上回る実績を上げるなど、底堅く推移いたしました。
一方で、物流改革や販促費等の販売管理費の徹底的なコスト削減を継続する事により、損益面は大幅に改善し、営業利益は前年同期比で増益となりました。
 以上の結果、当連結会計年度の売上高は42,721百万円(前年同期比11.8%減)、セグメント利益は670百万円(前年同期比110.8%増)と大幅に改善いたしました。

 

(アセット事業)
 アセット事業では、引き続き運営する商業施設の効率化およびグループ遊休不動産の売却に取り組んでまいりました。しかしながら、緊急事態宣言等が断続的に発出された影響により、運営する商業施設や飲食店においては休業や時間短縮を余儀なくされ、さらに天候不順等の影響もあり、来店客数が伸び悩む結果となりました。
 その他、日本の世界遺産や古典芸能を発信するイベントを企画するラオックス・メディアソリューションズ株式会社においても、イベントの延期や中止が続いた事から、売上減少の要因となりました。
グループ遊休不動産の売却については、一定の売却が実現したものの、案件規模の減少と売買成約日が想定より遅れたことなどにより、売上高は前年を下回る実績となりました。
 以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,341百万円(前年同期比43.1%減)、セグメント損失は887百万円(前年同期は1,233百万円の損失)となりました。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、46,720百万円(前連結会計年度末63,523百万円)となりました。総資産の減少は、主に、現金及び預金が2,038百万円、受取手形及び売掛金が1,238百万円、たな卸資産が4,472百万円、投資不動産が3,063百万円、敷金及び保証金が1,072百万円それぞれ減少した一方で、貸倒引当金が3,734百万円増加したことによるものです。

(負債)

負債合計は、26,605百万円(前連結会計年度末35,947百万円)となりました。負債の減少は、主に、支払手形及び買掛金が1,261百万円、短期借入金3,805百万円、流動負債その他が2,642百万円、固定負債その他が1,084百万円減少したことによるものです。

(純資産)

 純資産合計は、20,115百万円(前連結会計年度末27,575百万円)となりました。純資産の減少は、主に、親会社株主に帰属する当期純損失7,110百万円を計上したことによるものです。

 

 (3)キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,853百万円減少し、10,246百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、928百万円の収入(前年同期は1,424百万円の収入)となりました。
 これは主に、税金等調整前当期純損失7,770百万円、仕入債務の減少1,866百万円があったものの、減価償却費1,363百万円、貸倒引当金の増加3,326百万円、契約損失引当金の増加902百万円、構造改革損失1,305百万円、売上債権の減少1,175百万円、たな卸資産の減少2,411百万円があった事によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,213百万円の収入(前年同期は78百万円の収入)となりました。
 これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出1,904百万円、投資不動産の取得による支出477百万円、事業譲渡による支出192百万円があったものの、投資不動産の売却による収入2,950百万円、短期貸付金の回収による収入1,044百万円があった事によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、4,202百万円の支出(前年同期は3,037百万円の支出)となりました。
 これは主に、短期借入金の純増減額の減少3,955百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出200百万円があった事によるものです。

 

(4)生産、受注及び販売の状況

①生産実績

連結子会社において、生産を行っておりますが、連結全体における重要性が低いため、生産実績については記載しておりません。

 

②受注状況

該当事項はありません。

 

③仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内リテール事業

888

40.5

海外事業

14,839

74.3

生活ファッション事業

32,013

92.5

アセット事業

1,153

100.0

合計

48,894

84.4

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 記載の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

④販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内リテール事業

2,989

46.5

海外事業

18,097

88.3

生活ファッション事業

42,721

88.2

アセット事業

4,341

56.9

合計

68,149

82.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 記載の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性がございます。

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針につきましては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては一定の会計基準の範囲内で見積りがなされ、たな卸資産の評価、引当金の計上等の数値に反映されております。これらの見積りについては、必要に応じて見直しを行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合があります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

売上高は、前連結会計年度に比べて、14,839百万円減少し68,149百万円となりました。売上高の内訳の詳細については、「1.経営成績等の概要(1)経営成績の分析」をご参照ください。

 

②売上原価

売上原価は、前期比11,239百万円減少の52,460百万円となりました。また、売上原価率は76.9%(前期比0.2ポイント増加)となりました。

 

③販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、前期比4,112百万円減少の18,535百万円となりました。また、売上高に対する比率は、27.3%から27.2%へと0.1ポイント減少しました。

 

④損益の状況

営業利益は、販売費及び一般管理費率の改善はあったものの、売上高の減収や原価率の悪化等により、2,846百万円の営業損失(前年同期は3,359百万円の営業損失)となりました。経常利益は、為替差益を計上したこと等により、2,151百万円の経常損失(前年同期は3,444百万円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、貸倒引当金繰入額2,531百万円や構造改革損失1,305百万円を計上したこと等により、7,110百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年同期は16,641百万円の当期純損失)となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループが事業を展開していくうえで、経営成績に重要な影響を与える要因については、「2.事業等のリスク」に記載しておりますので、ご参照ください。

 

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入のほか、人件費、店舗家賃および物流費などの営業費用によるものです。また、設備投資資金需要のうち主なものは、新規出店および既存店の改装などによる有形固定資産投資、敷金や保証金の差し入れ等によるものです。

これらの資金需要は、主として営業活動によって得られた自己資金を充当し、必要に応じて借入金等による資金調達を実施する方針としております。当連結会計年度末においては、取引銀行3行と当座借越契約を締結しております。

 

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