業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の本格化によって感染者数が一時減少傾向となり持ち直しへの期待がされましたが、その後の新たな変異ウイルスの再拡大によりリスクは依然として解消されず、雇用、所得環境の改善や個人消費への回復には時間を要することが想定される等厳しい状況で推移しました。加えて国際的な情勢不安による経済への影響の懸念も重なり、先行きは一層不安定な状況となっております。

 ホームセンター業界におきましても、前期は新型コロナウイルス感染症の影響によって一部商品に対して例年以上に需要が高まる等、個人消費に大きな変化が生じることとなりましたが、その動きは徐々に平常時に戻る推移を見せております。また、業態を超えた販売競争が更に激化している中、原油等の原材料価格の高騰による物価上昇や、物流費や人件費等の店舗運営に係るコストの増加リスクもあり、依然として厳しい経営環境にあります。

 このような状況の中で当社グループは、生活必需品を提供する社会的なインフラとしての役割を全うし、地域の皆様の生活を支えるべく、感染拡大防止に努めながら店舗営業を継続致しました。

 また、「共に学び 共に成長する 繋がる全ての人に幸せを創造する企業」を目指し、中期経営計画スローガンとして「3つの進化(伸化、深化、新化)で企業価値を高める」を掲げ、地域に根差した品揃えの最適化や専門店事業推進による「収益力向上」、事業間連携体制の強化や買物環境の向上による「集客力強化」、電子化やWEB化等によって業務効率化や労働環境の改善を図る「働き方改革」の取り組みを推し進めました。

 店舗につきましては、2021年7月に愛知県一宮市にアウトドアショップ「SWEN一宮店」、10月に神奈川県小田原市にアウトドアショップ「SWENフレスポ小田原店」をオープン致しました。また、11月に「casa&SWEN島田店」を業態変更し「SWEN島田店」としてリニューアルオープンを行った他、ホームセンター既存店4店舗の全面改装を行っております。以上、2店舗を新規出店、1店舗を業態変更、1店舗を閉店した結果、当連結会計年度末現在における店舗数は57店舗(ホームセンター23店、ハードストック11店、ダイソー2店、ズースクエア3店、casa2店、SWEN16店)となりました。

 販売につきましては、ホームセンター事業において、前期に大きく増加した新型コロナウイルス感染防止に関する商品や「巣ごもり消費」によって増加したDIY用品等は、堅調に推移してはいるものの徐々に平常時に戻ってきた他、季節品が低調に推移した影響により、売上高は減収となりました。専門店事業においては、ハードウェアショップは既存店が堅調に推移したことに加えて、前期にオープンした新店の寄与により売上高は増収となりました。また、アウトドアショップはキャンプ用品を中心として既存店、新店共に好調に推移し、売上高は増収となりました。なお、全体の売上高は、第1四半期及び第2四半期連結会計期間は減収でしたが、専門店事業が好調に推移している影響により、第3四半期及び第4四半期連結会計期間は増収となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は37,277百万円(前年同期比97.7%)となりました。利益につきましては、営業利益は703百万円(同61.4%)、経常利益は571百万円(同56.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は406百万円(同48.9%)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。また、当該会計基準等の適用については、「収益認識に関する会計基準」第84項に定める原則的な取扱いに従って、新たな会計方針を前連結会計年度の期首から遡及適用しているため、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

事業別の状況は、次のとおりであります。

 なお、従来報告セグメントとして記載しておりました「ソフトウェア開発事業」及び「ビルメンテナンス事業」については、量的な重要性が乏しくなったため、「その他」に含めて記載しております。

 

<ホームセンター事業>

・ DIY用品

 資材高騰による影響を受け合板、鋼材、内装材等の建築資材が増加しましたが、在宅時間の拡大に伴って前期に大きく増加していた工作材、電動工具、塗料等のDIY商材や、アクリル素材等の飛沫防止を目的とした商材は、引き続き需要はあるものの、需要が平常時に戻ってきたため減少しました。この結果、売上高は8,559百万円(前年同期比91.8%)となりました。

 

・ 園芸・ペット・カーレジャー用品

 園芸用品関連では、生花や観葉植物が増加しましたが、用土、肥料等、散水用品が減少しました。ペット用品関連では前期にオープンした新店の寄与もあり堅調に推移しました。この結果、売上高は10,033百万円(同100.7%)となりました。

・ 家庭用品

 日用品、雑貨関連では、前期に大きく増加した新型コロナウイルス感染防止に関連する商品は、引き続き需要はあるものの、特需となった前期までには至らず減少しました。また、冷房用品、暖房用品をはじめとして、夏物、冬物共に季節品が低調に推移しました。この結果、売上高は8,703百万円(同88.2%)となりました。

<専門店事業>

 ハードウェアショップは既存店が堅調に推移したことに加えて前期にオープンした新店の寄与もあり、木材、塗料、工具金物、電動工具等が増加しました。アウトドアショップは既存店、新店共にキャンプ用品を中心に好調に推移しました。この結果、売上高は8,804百万円(同112.5%)となりました。

<その他の事業>

 その他の事業には、木材及びDIY関連商品の卸売事業、ソフトウェア開発・販売事業、ビルメンテナンス・清掃・警備業務の受託事業、ショッピングセンターの運営管理事業等が含まれております。このうち、木材の卸売販売等が伸長しました。この結果、売上高は1,175百万円(同99.9%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による支出88百万円、投資活動による支出109百万円、財務活動による支出84百万円の結果、前連結会計年度末に比べ278百万円減少し、1,806百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は88百万円(前年同期は2,630百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益568百万円、減価償却費672百万円、退職給付に係る資産の増加額133百万円、売上債権の増加額100百万円、棚卸資産の増加額521百万円、法人税等の支払額463百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は109百万円(前年同期比670百万円の支出減)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出284百万円、敷金及び保証金の回収による収入72百万円、投資活動のその他の収入126百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は84百万円(前年同期比1,836百万円の支出減)となりました。この主な要因は、長短借入金の減少額652百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出240百万円、セール・アンド・リースバックによる収入1,004百万円、配当金の支払額150百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

 当社グループは、ホームセンター事業及び専門店事業を主たる事業としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。

  (販売実績)

   当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

ホームセンター事業(百万円)

27,297

93.6

専門店事業(百万円)

8,804

112.5

報告セグメント計(百万円)

36,101

97.6

その他の事業(百万円)

1,175

99.9

合計(百万円)

37,277

97.7

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、その作成には、経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り項目特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、前連結会計年度において、ホームセンター事業を中心として一部商品に対して例年以上に需要が高まる等、個人消費に大きな変化が生じることとなりました。当連結会計年度においては、徐々に平常時に戻る推移は見せているものの堅調に推移しており、翌連結会計年度においても暫くは続くと見込んで将来の業績見積りを行っております。

 具体的な見積りとして、固定資産の減損につきましては、将来キャッシュ・フローの見積りに関して、上記新型コロナウイルス感染症の影響を加味した見積りを行っており、繰延税金資産の回収可能性につきましては、将来課税所得の見積りに関して、上記新型コロナウイルス感染症の影響を加味した見積りを行っております。なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の収束時期を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

②財政状態
(資産)

 資産合計は前連結会計年度末に比べ11百万円減少し、36,243百万円となりました。
 流動資産は前連結会計年度末に比べ381百万円増加し、13,294百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金の減少278百万円、売掛金の増加94百万円、商品の増加480百万円によるものであります。
 固定資産は前連結会計年度末に比べ393百万円減少し、22,949百万円となりました。この主な要因は、建物及び構築物の減少324百万円、リース資産の増加56百万円、長期貸付金の減少100百万円、敷金及び保証金の減少56百万円、退職給付に係る資産の増加133百万円によるものであります。

(負債)

 負債合計は前連結会計年度末に比べ241百万円減少し、26,441百万円となりました。

 流動負債は前連結会計年度末に比べ547百万円減少し、16,513百万円となりました。この主な要因は、短期借入金の減少65百万円、未払法人税等の減少286百万円、リース債務の増加81百万円、流動負債のその他の減少285百万円によるものであります。

 固定負債は前連結会計年度末に比べ306百万円増加し、9,927百万円となりました。この主な要因は、長期借入金の減少550百万円、リース債務の増加891百万円によるものであります。

(純資産)

 純資産合計は前連結会計年度末に比べ229百万円増加し、9,802百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加256百万円、退職給付に係る調整累計額の減少28百万円によるものであります。なお、当連結会計年度末における自己資本比率は27.0%(前連結会計年度末の自己資本比率は26.4%)となりました。

③経営成績
(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ889百万円減少し、37,277百万円(前年同期比97.7%)となりました。ホームセンター事業におけるカテゴリー別の売上高としましては、DIY用品は8,559百万円(同91.8%)、園芸・ペット・カーレジャー用品は10,033百万円(同100.7%)、家庭用品は8,703百万円(同88.2%)となっております。

(売上原価及び売上総利益)
 売上原価は、26,400百万円(同98.0%)となり、売上総利益は10,877百万円(同96.8%)となりました。売上総利益率は29.2%となりました。

(販売費及び一般管理費)
 販売費及び一般管理費は、11,325百万円(同100.9%)となりました。

(営業利益)
 営業利益は、703百万円(同61.4%)となりました。営業利益率は1.9%となりました。

(営業外損益)
 営業外収益は、69百万円(同111.4%)となりました。営業外費用は、200百万円(同98.9%)となりました。

(経常利益)
 経常利益は、571百万円(同56.9%)となりました。経常利益率は1.5%となりました。

(特別損益)

 一部店舗の固定資産において減損損失3百万円を特別損失に計上致しました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)
 親会社株主に帰属する当期純利益は、406百万円(同48.9%)となりました。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー)

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

23.8

26.4

27.0

時価ベースの自己資本比率(%)

17.4

21.3

19.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

6.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

22.5

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.営業キャッシュ・フロー及び利払いは連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を利用しております。

4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

5.2020年3月期及び2022年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」及び「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。

 

(資金需要)

 資金需要のうち主なものは、新規出店に係る設備資金であります。

(財務政策)

 主として金融機関からの借入にて資金調達を行っております。

 

⑥経営者の問題認識と今後の見通しについて

 経営者の問題認識と今後の見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。

なお、2023年3月期業績予想数値については、売上高38,200百万円(前年同期比102.5%)、営業利益710百万円(同101.0%)、経常利益580百万円(同101.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益410百万円(同100.8%)を見込んでおります。

 

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