課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

■ 会社の経営の基本方針

当社グループのミッションは、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会をステークホルダーの皆さまと共に創ることにあります。

当社グループがめざすのは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和と拡大です。そのために、すべてをステークホルダーの視点で考え、行動することにより共有できる価値づくりに取り組み、結果として企業価値の向上を図る「ステークホルダー経営」を進めていきます。

当社グループの「ステークホルダー経営」の詳細については、「共創経営レポート2021」「VISION BOOK 2050」をご覧ください。

共創経営レポート(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html)

VISION BOOK 2050(https://www.0101maruigroup.co.jp/sustainability/lib/s-report.html)

 


 

■ 中期経営計画について

急速な事業環境の変化が予測される中、2026年3月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画を達成し、さらなる企業価値の向上をめざします。

ⅰ.事業環境の変化

2030年に向けた今後の10年においては、「現役世代から将来世代へ」、「デジタル技術は導入期から展開期へ」、「有形資産から無形資産へ」という3つの大きな転換が起き、社会の世代交代により、デジタル、サステナビリティ、Well-beingといった将来世代の常識に対応できない企業は急速に支持を失うリスクがあります。

 

 

ⅱ.今後の方向性

・将来世代との共創を通じて、社会課題解決と企業価値向上を両立
・店舗とフィンテックを通じて、「オンラインとオフラインを融合するプラットフォーマー」をめざす
・人材、ソフトウェアに加え、新規事業、共創投資への無形投資を拡大、知識創造型企業へと進化

・ステークホルダーをボードメンバーに迎え、「利益としあわせの調和」に向けたステークホルダー経営を推進

 

ⅲ.具体的な取り組み

<事業戦略>

(グループ事業の全体像)

・小売、フィンテックに「未来投資」を加えた三位一体のビジネスモデルを創出します。未来投資には、共創投資と新規事業投資が含まれます。
 


 

(小売)

・新型コロナウイルス感染症の影響による市況の悪化が懸念される中、これまで取り組んできた百貨店業態のトランスフォーメーションをさらに推進し、新たな成長を実現します。店舗を「オンラインとオフラインの融合」のプラットフォームと位置づけ、ECを中心に展開する新規事業がさまざまなイベントを開催し、このイベントが来店動機となる店づくりを進めます。また、これらのイベントをフィンテックと連携し、丸井の店舗だけでなく全国の商業施設で展開することを視野に、事業化をめざします。

 

(フィンテック)

・2021年4月からスタートした新カード、新アプリを通じて、UXを飛躍的に高め、LTVのさらなる向上をめざします。また、ゴールドカードに次ぐ第二の柱に成長してきた、アニメに代表されるコンテンツカードなど、「一人ひとりの『好き』を応援する」カードを拡大します。

・リアル店舗中心の会員募集を見直し、ネット入会の比率を高めるほか、拡大が見込まれるEC・ネット関連サービス、家賃などを中心に家計シェア最大化の取り組みを強化することで、2026年3月期の取扱高は2021年3月期の2倍以上の5.3兆円をめざします。

・また、再生可能エネルギーをエポスカード払いで50万人のお客さまにご利用いただき、CO2削減とLTV向上の両立に挑戦します。

 

(未来投資)

・未来投資は、サステナビリティ、Well-beingなどのインパクトと収益の両立をめざしてイノベーションを創出します。新規事業投資は社内からのイノベーション創出、共創投資は社外からのイノベーション導入をめざします。

・新規事業は、ECを中心にメディア、店舗、フィンテックを掛け合わせた独自のビジネスモデルを構築します。

・共創投資は、共創の理念に基づき、共に成長し価値をつくる取り組みを進め、小売・フィンテックへの貢献利益と、ファイナンシャルリターンの両方を追求します。

 

 

<資本政策>

・小売は、店舗の定借化による業態転換にともない収益改善および利益の安定化は進んだものの、自己資本比率は依然として高い水準にあるため、余剰資本を再配分し、連結自己資本比率25%前後を目標にバランスシートの見直しを進めます。

・5年間の基礎営業キャッシュ・フローを2,300億円と見込み、未来投資を含めた成長投資に800億円、資本最適化のための自社株取得に500億円、株主還元に1,000億円(うち配当800億円、自社株取得200億円)を配分する計画です。

 


 

<インパクト>

・2019年に策定した「丸井グループビジョン2050」に基づき、サステナビリティとWell-beingに関わる目標を「インパクト」として定義しました。「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの『しあわせ』を共に創る」「共創のプラットフォームをつくる」の3つの目標を達成すべく、主要な取り組み項目を中期経営計画の主要KPIとして設定しました。今後は具体的な取り組み方法や価値創造ストーリーを策定していきます。

・また、ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎えることで、ガバナンス体制を進化させていきます。


 

 

ⅳ.主要KPI

2026年3月期の目標として、インパクトについては、「CO2排出削減量100万トン以上」「将来世代との共創の取り組み150件以上」など6つのKPI達成をめざします。そして、これらのインパクトを実現することで、EPS200円以上、ROE13%以上、ROIC4%以上をめざします。

 


 

■ 株主還元

2026年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づき、成長投資と株主還元を強化します。具体的には、中期経営計画5年間の基礎営業キャッシュ・フローは2,300億円を見込み、そのうち株主還元に1,000億円程度を配分します。その内訳は、配当金800億円、自己株式の取得200億円の予定です。

配当については、EPSの長期的な成長に応じた継続的な配当水準の向上に努め、「高成長」と「高還元」の両立を図ります。連結配当性向は、2024年3月期以降55%程度を目標に、長期・継続的な増配をめざします。

自己株式の取得については、キャッシュ・フローの状況等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて連結総還元性向70%を目処に適切な時期に実施します。加えて、中期経営計画の期間中に、資本最適化を目的とした自己株式の取得を500億円実施する予定です。なお、取得した自己株式は原則として消却します。

 

(株主還元指標のイメージ)


 

■ 人的資本経営の取り組み

当社グループでは「人の成長=企業の成長」という理念のもと、継続的な企業価値向上をめざし、2005年より17年間にわたり企業文化の変革に取り組んできました。企業文化の変革に向けて、「企業理念」「対話の文化」「働き方改革」「多様性の推進」「手挙げの文化」「グループ間職種変更異動」「パフォーマンスとバリューの二軸評価」「Well-being」等の施策を同時進行で進めてきました。

 

<企業文化変革のための取り組み>

1)企業理念

当社グループの人的資本経営は「人の成長=企業の成長」という経営理念が根本となっています。この理念について、働く理由や会社に入って成し遂げたいことなどを対話の場を設けて話し合うことで、会社のパーパスと個人のパーパスのすり合わせを行い、10年以上で4,500名以上の社員が参加しました。その結果、理念を共有できない人が退職したことで一時的に退職率は上がりましたが、その後、退職率(定年退職者を除く)は約3%前後の低水準で定着しています。また、入社3年以内の離職率は約11%と世の中の平均を大きく下回る水準で推移しており、会社と個人との「選び選ばれる関係」の基盤が構築されています。

 

2)対話の文化

かつての一方通行から、双方向のコミュニケーションを通じた「対話の文化」が醸成されてきました。「1.安全な場宣言から始める」「2.特に目的を定めない」「3.結論を求めない」「4.傾聴する」「5.人の発言を受けて発言する」「6.人の意見を否定しない」「7.間隔を置いて熟成させる」の7つの目安に沿って、会議やミーティングは必ず対話を交えて行われています。

 

3)働き方改革

働きやすい環境の実現のみならず、仕事の本質を「時間の提供」から「価値の創出」と考える企業文化の転換をめざしています。社員によるプロジェクト活動の結果、2008年3月期には月間11時間だった1人当たり残業時間は、2022年3月期には約4.5時間まで大幅に減少しました。

 

4)多様性の推進

2014年から「男女」「年代」「個人」の3つの多様性を掲げ、組織改革を推進しています。「男女」の多様性については、2014年3月期から女性活躍推進のプロジェクトをスタートし、「女性イキイキ指数」という独自のKPIを掲げて取り組みを進めた結果、2022年3月期には男性社員の育休取得率が4年連続で100%を達成し、さらに女性の上位職志向も64%まで向上しました。2022年3月期からは新たに「男性の産休取得」と「男女の性別役割分担の見直し」を目標に掲げ、より本質的な取り組みにも着手しています。

 


 

 

5)手挙げの文化

10年以上にわたり、社員が自ら手を挙げて参画する「手挙げの文化」づくりを進めてきました。手挙げの文化の目的は、社員一人ひとりの自主性を促し、自律的な組織をつくり、イノベーションを創出する企業になることです。「公認プロジェクト・イニシアティブ」「中期経営推進会議」など、幅広い手挙げの機会を設け、2022年3月期には、自ら手を挙げて参画した社員の割合は約8割に達しました。

 


 

6)グループ間職種変更異動

社員の手挙げに基づいて、当社グループ内の様々な事業を跨ぐ「グループ間職種変更異動」を2013年から本格的に推進し、2022年3月期までに、全グループ社員の約77%が職種変更を経験しています。2016年実施のアンケートでは、約86%が「異動後に成長を実感した」と回答しており、個人の中の多様性とレジリエンス力が育まれています。今後は、共創投資先を中心に他企業への出向にも拡げ、より変化に強い人材の育成を進めます。

 


 

7)パフォーマンスとバリューの二軸評価

人事評価制度においては、業績に基づく評価だけでなく、バリューに関わる上司、同僚、部下からの360度評価を実施することで、「人の成長」という企業理念の実現をめざします。

 

8)Well-being

当社グループでは、一人ひとりがやりがいを持ってイキイキと仕事に取り組める活力のある組織をめざして、2016年からWell-beingに取り組んできました。CWO(チーフウェルビーイングオフィサー)で取締役執行役員の小島玲子氏が中心となり、「幹部向けのレジリエンスプログラム」や社員の手挙げによる「Well-being推進プロジェクト」を通して、組織の中での一人ひとりのしあわせを実現していきます。

 

 

<ガバナンス>

経営戦略と人材戦略の連動を図るため、2022年4月から取締役会の諮問機関として、人材戦略委員会を新設しました。委員長にはCHRO(チーフヒューマンリソースオフィサー)で専務執行役員の石井友夫氏が就任し、委員には社外取締役の岡島悦子氏が就任しました。人材戦略委員会は戦略検討委員会と連携し、人材戦略を取締役会に提言する役割を果たします。

 

<新たな成長に向けた「人的資本投資」>

2022年3月期において、経営管理上の費用を見直し、これまで人材投資としていた教育・研修費に加え、 単年度の損益項目の中で中長期的に企業価値向上につながる項目として、研究開発費に含めていた新規事業に係る人件費や共創チームの人件費、さらにグループ間職種変更異動した社員の1年目の人件費などを「人的資本投資」として再定義しています。この再定義による2022年3月期の人的資本投資は77億円となりました。これを2026年3月期に120億円まで拡大することで、持続的な企業価値の向上をめざします。

 

 


 

 


 

(参考)人的資本に関する指標


 

 


 

 

■ 会社の考えるサステナビリティ

当社グループでは、2016年から環境への配慮、社会的課題の解決、ガバナンスへの取り組みがビジネスと一体となった未来志向のサステナビリティ経営への第一歩を踏み出しました。それまで取り組んできた「すべての人」に向けたビジネスを「インクルージョン(包摂)」というテーマでとらえ直し、重点テーマを整理し、取り組みを進めてきました。これらは、国連の持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」の実現にも寄与するものです。

そして、2019年には本格的なサステナビリティ経営に向け、2050年を見据えた長期ビジョン「丸井グループビジョン2050」を策定し、「ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る」ことを宣言しました。

前述の「中期経営計画について」に記載のとおり、2021年には「丸井グループビジョン2050」に基づき、サステナビリティとWell-beingに関わる目標を「インパクト」として定義しました。インパクトは、「丸井グループビジョン2050」に定める取り組みをアップデートして、「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの『しあわせ』を共に創る」「共創のプラットフォームをつくる」という共創をベースとする3つの目標を定め、それぞれ重点項目、取り組み方法、数値目標に落とし込んでいきます。なお、このうち主要な取り組み項目を、中期経営計画の主要KPIとして設定しています。

サステナビリティ経営をさらに加速させ、ステークホルダーが求める「利益」と「しあわせ」を調和し、拡大していくことをめざします。

 

1.将来世代の未来を共に創る

脱炭素社会やサーキュラーエコノミーの実現により、地球と共存する持続可能な未来を将来世代につなげます。

 

<脱炭素社会の実現>

丸井グループの排出削減

(自社排出)

温室効果ガス削減への取り組みとして、2019年9月に策定した新たな温室効果ガス削減の中長期目標は、国際的なイニシアチブである「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」により「1.5℃目標」として認定されました。グループ全体の温室効果ガス削減目標は次のとおりです。

 

2030年までに、2017年3月期比で

・Scope1(※1)+Scope2(※2)を80%削減

・Scope3(※3)を35%削減

 

2050年までに、2017年3月期比で

・Scope1+Scope2を90%削減

 

2022年3月期の実績

・Scope1(10,540トン)+Scope2(29,983トン)合計40,523トン

 2017年3月期比 65.7%削減

・Scope3(258,224トン)2017年3月期比 47.2%削減

温室効果ガス排出量原単位(※4)は8.1(前年比40.3%)となりました。

 

2018年7月にRE100に加盟し、2030年までにグループの事業で使用する電力を、すべて再生可能エネルギー化していくこととしています。2022年3月期の再生可能エネルギー比率は61%となりました。
 ※1自社の燃料の使用による温室効果ガスの排出量
 ※2自社の電力等の使用による温室効果ガスの排出量
 ※3自社のバリューチェーンに関わる温室効果ガスの排出量
 ※4温室効果ガス排出量(トン)/連結営業利益(百万円)にて算出

お客さまとの共創による

社会排出の削減

当社グループは、株式会社UPDATER(旧みんな電力株式会社)と共に、「みんなで再エネ」プロジェクトをスタートしました。カード会員の皆さまに対し、再エネ電力をかんたんに申し込めるサービスをご提供し、お客さまと共にCO2の社会排出削減に取り組みます。2026年3月期には、50万人のお客さまとCO2 100万トンの削減をめざします

 

 

 

<サーキュラーエコノミーの実現>

丸井グループの資源リサイクル

(自社排出)

ファミリー溝口など、4店舗において、施設内ゴミ集積所の設備改修や運用変更などによる分別促進および排出量削減に取り組み、2022年3月期の資源リサイクル率は70%となりました。今後もお取引先さまからのご協力や設備改修の推進によって、リサイクル率の向上に努め、2026年3月期のリサイクル率75%をめざします。

お客さま・お取引先さまとの
共創による社会的廃棄の削減

お客さま・お取引先さまとの共創により、大量生産・大量消費・大量廃棄という社会課題解決や社会的廃棄の削減を推進していきます。
お取引先さまとの共創・協業で、さまざまなサーキュラーなライフスタイルの選択肢をご提供し、2026年3月期には、100万人以上のお客さまのご利用をめざします。

 

 

2.一人ひとりの「しあわせ」を共に創る

誰もが「しあわせ」に自分らしく生きられる選択肢を提供することで、一人ひとりの「自己実現」や「好き」を応援し、個がエンパワーできる社会の実現を加速させます。

 

<一人ひとりの 自己実現を応援>

信用の共創に基づく

金融サービスの提供

当社グループの考える「フィンテック」は、収入や世代を問わず、すべての人が必要な時に必要なサービスを受けることができるファイナンシャル・インクルージョンです。一人ひとりの自己実現を応援するため、若者や在留外国人などすべての人へ金融サービスを提供します。2026年3月期には、450万人以上をめざします。

将来世代の起業支援

すべてのステークホルダーの利益としあわせにつながる新たな価値を創造するため、未来の当事者であり、デジタルネイティブ/サステナビリティネイティブである将来世代との共創によるビジネス創出が不可欠と考えています。「Future Accelerator Gateway」「Marui Co-Creation Pitch」等の共創の場をつくり、将来世代の起業を支援します。

 

 

<一人ひとりの「好き」 を応援>

新規事業創出・共創投資

パンやヴィーガン、Kコスメなどの新規事業の創出や共創投資を通じて、お客さま一人ひとりの「好き・推し」を応援する選択肢を提供します。2021年には、新規事業の創出と育成を目的とするインキュベーション会社「株式会社okos」を設立しました。起業家精神を持った人材を育成し、内部からイノベーションを起こす組織文化を醸成することで、2026年3月期には、累計20件以上の新規事業創出をめざします。

アフィニティカード創出

アニメコンテンツカードに代表されるカードの取り組みは、当社グループの独自性の高いカード戦略です。店舗でのイベントやお取引先さまとの共創によるファンクラブサイトの運営など、独自性の高い取り組みを推進し、一人ひとりの「好き・大切」を応援するカードの創出をめざします。

 

 

3.共創のプラットフォームをつくる

丸井グループが持つアセットをステークホルダーの皆さまと共有することで、共創のプラットフォームをつくり、イノベーションの創出をめざします。

 

<共創の「場」づくり>

共創の「場」としての店舗の活用

株式会社COUNTERWORKSとの共創の取り組みとして、個人やスモールプレイヤーを含めた誰もが出店できるオンラインサービス「OMEMIE」や、丸井グループのアセットである「店舗」や「店舗運営のノウハウと接客ができる人材」を共有し成長をめざす「運営受託」など、リアル店舗に気軽に出店していただける仕組みを強化することで、共創を進めるテナントさまの「しあわせ」を共に創り、互いに成長し合う「テナントサクセス」をめざします。

共創の「場」としてのカードの活用

株式会社エーツーとの提携カード「駿河屋エポスカード」や株式会社グローバルトラストネットワークス(GTN)との国内初の外国人専用カード「GTNエポスカード」の発行など共創の「場」としてカードを活用することで、新たな顧客接点を提供していきます。

 

 

 

<社内外に開かれた働き方の実現>

オープンイノベーションの実践

投資先との協業の実行までの効率化や責任と成果を追求するため、グループ横断での「共創チーム」を組成することで、「共創チーム」を起爆剤としたオープンイノベーションを実施していきます。各チームのチームリーダーを執行役員が努め、対象のスタートアップとの協業に最も適したメンバーを集めています。2022年3月期では、「共創チーム」は24チーム(合計212名)体制となり、投資先・協業先との取り組みをグループ全体で加速していきます。

イノベーティブな組織の醸成

これまでの社内中心の働き方から社外にも開かれた働き方を推進していきます。副業やシェアワーカー、長期インターンなど年齢や経験年数にかかわらず能力とスキルとやる気さえあればすぐに活躍できる働き方や、スタートアップ企業への出向や共創チームによる「協業が本業」となる働き方を通して、着実にイノベーションを起こしやすい「場づくり」を進めていきます。

 

 

■ 共創経営のガバナンス

すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和と拡大に向け、ステークホルダーをインクルードした経営の仕組みづくりに着手します。

ステークホルダー経営

ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎えることで、ガバナンス体制を進化させていきます。

サステナビリティマネジメントの推進

サステナビリティ経営の推進に向けて適時活動を検証するとともに、サステナビリティとビジネスの両立をめざす重点指標(KPI)の進捗を確認しています。サステナビリティマネジメント体制の強化に向け、2019年にサステナビリティアドバイザーおよび取締役会の諮問機関としてのサステナビリティ委員会を設置しました。2021年には、外部有識者や将来世代を新たに加え、グループ全体のサステナビリティ戦略および取り組みなど、未来に向けた対話を深め、積極的に取締役会に報告・提言を行っています。

リスクマネジメントの推進

サステナビリティ経営の礎として、「グループ行動規範」を定め、そのもとに「丸井グループ人権方針」「丸井グループ安全衛生方針」「丸井グループ環境方針」等を定めています。外部環境の変化に対応し、デジタル化・技術革新の事業構造転換のさらなるスピードアップに向けて、CDO(Chief Digital Officer)を配置しています。また、情報セキュリティリスクへの対応を強化するため、情報セキュリティ委員会を設置し、グループ全体の情報資産などを保護・管理する最高セキュリティ責任者としてCSO(Chief Security Officer)を配置しています。そして、2021年には新たに「ITサービスマネジメント基本方針」を策定しました。規範・各種方針は、実効性を年1回検証するとともに、研修などを通じてグループ社員へ周知を図っています。今後も適宜見直しを行い、時代に合わせたリスクマネジメントを推進していきます。

次世代リーダーの育成

2017年4月より次世代経営者育成プログラム「共創経営塾(CMA)」を開設しました。毎年10人~20人程度を選抜し、社外取締役の監修のもと、次世代の経営を担う人材の発掘と育成をめざします。

 

 

■ 気候変動への取り組みとTCFDへの対応

気候変動は、もはや気候危機としてとらえるべきことであり、当社グループは、重要な経営課題のーつと認識し、パリ協定が示す「平均気温上昇を1.5℃に抑えた世界」の実現をめざしています。「丸井グループ環境方針(2020年4月改定)」に基づき、パリ協定の長期目標を踏まえた脱炭素社会へ積極的に対応すべく、ガバナンス体制を強化するとともに、事業への影響分析や気候変動による成長機会の取り込みおよびリスクへの適切な対応への取り組みを推進しています。当社グループはFSB(金融安定理事会)により設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、有価証券報告書(2019年3月期)にて、提言を踏まえ情報を開示しました。さらに分析を重ね、有価証券報告書(2020年3月期)にて、気候変動による機会および物理的リスク等の内容を拡充しました。今後も情報開示の充実を図るとともに、TCFD提言を当社グループの気候変動対応の適切さを検証するベンチマークとして活用し、サステナビリティ経営を進めていきます。

 

<ガバナンス>

気候変動に関わる基本方針や重要事項等を検討・審議する組織として、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会を設置しています。また、関連リスクの管理水準の向上を図る機関としてESG委員会を設置し、代表取締役を長とするコンプライアンス推進会議を通じて、当社グループ全体のリスク管理を行っています。事業戦略の策定や投融資等に際しては、こうした体制をもとに「丸井グループ環境方針」や気候変動に係る重要事項を踏まえ総合的に審議し決定することで、気候変動に関するガバナンスの強化を進めていきます。

 

<事業戦略>

(事業のリスクと機会)

気候変動による世界的な平均気温の4℃上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を1.5℃以下に抑制することをめざす動きにともに貢献していくことが重要であると考えています。2℃以下シナリオ(1.5℃目標)への対応力を強化すべく、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定を進めています。

当社グループは、小売・フィンテックに、経営理念やビジョンを共感しあえるスタートアップ企業等への投資により、相互の発展につなげる「未来投資」を加えた、三位一体のビジネスモデルの創出をめざしています。気候変動は、台風・豪雨等の水害による店舗・施設等への被害や規制強化にともなう炭素税の導入による費用の増加等のリスクが考えられます。一方、消費者の環境意識の向上に対応した商品・サービスの提供や環境配慮に取り組む企業への投資は当社グループのビジネスの機会であるととらえています。

 

(財務影響の分析・算定)

事業への財務的影響については、気候変動シナリオ等に基づき分析し2050年までの期間内に想定される利益への影響額として項目別に算定しています。リスクについては、物理的リスクとして、気温上昇が1.5℃以下に抑制されたとしても急性的に台風・豪雨等での水害が発生しうると予測しています。店舗の営業休止による不動産賃貸収入等への影響(約19億円)および建物被害(約30億円)を算定。移行リスクとしては、将来のエネルギー関連費用の増加を予測し、再生可能エネルギーの調達コストの増加(約8億円)および炭素税導入による増税(約22億円)を算定しています。機会については、環境意識が高い消費者へのライフスタイル提案による店舗収益への影響(約19億円)およびカード会員の増加による長期的収益(約26億円)、環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン(約9億円)を算定。カード会員の再生可能エネルギー電力の利用によりリカーリングが増加しゴールドカード会員化につながることでの長期的収益(約20億円)、電力小売事業への参入による調達コストの削減(約3億円)および炭素税の非課税(約22億円)を算定しています。今後もさまざまな動向を踏まえ定期的に分析し、評価の見直しと情報開示の充実を進めていきます。

 

(前提要件)

対象期間

2020年~2050年

対象範囲

丸井グループの全事業

算定要件

気候変動シナリオ(IPCC・IEA等)に基づき分析

項目別に対象期間内に想定される利益影響額を算定

リスクは事象が発生した際の影響額で算定

機会は原則、長期的な収益(LTV)で算定

公共事業等のインフラ強化やテクノロジーの進化等は考慮しない

 

 

 

(気候変動によるリスクおよび機会)

 

世の中の変化

丸井グループのリスク

リスクの内容

利益影響額

台風・豪雨等
による水害
※1

店舗の営業休止

営業休止による不動産賃貸収入等への影響

約19億円

浸水による建物被害(電源設備等の復旧)

約30億円

システムセンター

の停止

システムダウンによるグループ全体の営業活動休止

 対応済
※2

再エネ需要の

増加

再エネ価格の上昇

再エネ調達によるエネルギーコストの増加

約8億円

(年間)

政府の

環境規制の強化

炭素税の導入

炭素税による増税

約22億円

(年間)

 

 

 

世の中の変化

丸井グループの機会

機会の内容

利益影響額

機会

環境意識の向上・

ライフスタイルの変化

サステナブルな
ライフスタイルの提案

環境配慮に取り組むテナント導入等による収益

約19億円

※3

サステナブル志向の高いカード会員の増加

約26億円
※4

環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン

約9億円

一般家庭の再エネ需要
への対応

カード会員の再エネ電力利用による収益

約20億円
※5

電力調達の
多様化

電力小売事業への参入

電力の直接仕入れによる中間コストの削減

約3億円

(年間)

政府の

環境規制の強化

炭素税の導入

温室効果ガス排出量ゼロの達成による炭素税非課税

約22億円

(年間)

 

 

※ 1 ハザードマップに基づき影響が最も大きい河川(荒川)の氾濫を想定(流域の2店舗に3カ月の影響)

※ 2 バックアップセンター設置済みのため利益影響は無いと想定

※ 3 不動産賃貸収入の増加およびクレジットカード利用の増加

※ 4 クレジットカードの新規入会や利用による収益を算定

※ 5 リカーリング等でのゴールドカード会員の増加による収益を算定

 

<リスク管理>

当社グループは、グループの事業が気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、シナリオの分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。特定したリスク・機会はサステナビリティ推進体制のもと、戦略策定・個別事業運営の両面で管理しています。グループ会社(クレジットカード業務・小売業・施設運営・物流・総合ビルマネジメント等)の役員で構成されるESG委員会で議論された内容は、代表取締役を長とするコンプライアンス推進会議や、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会において定期的に報告し協議を行い、案件に応じて、取締役会への報告・提言を行っています。企業戦略に影響する気候変動を含めた世の中の動向や法制度・規制変更等の外部要因の共有や、グループ各社の施策の進捗状況や今後のリスク・機会等の内部要因を踏まえて、戦略・施策等の検討を実施していきます。

 

<指標と目標>

・温室効果ガスの削減については、グループ全体の温室効果ガス削減目標「2030年までに2017年3月期比Scope1+Scope2を80%削減、Scope3を35%削減(2050年までに2017年3月期比Scope1+Scope2を90%削減)」が、2019年9月にSBTイニシアチブにより「1.5℃目標」として認定されています。

・2030年までにグループの事業活動で消費する電力の100%(中間目標:2025年までに70%)を再生可能エネルギーから調達することを目標として、2018年7月にRE100に加盟しています。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得