文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループを取り巻く事業環境は、パンデミックによる大変化にとどまらず、それ以上の速度、規模、多様性をもって、今後も急激に進展していくことが予見されます。イオンは、急速に変化する環境下でこそ、常に変革し続ける企業集団であるべきと考えています。このように過去にない規模の環境変化を飛躍的成長の機会と捉え、2021年4月、「2021~2025年度 中期経営計画」(以下、新中期経営計画)を策定いたしました。新中期経営計画では、2030年に“イオンのありたい姿”を掲げており、事業展開する日本、中国、アセアン、それぞれの地域の豊かさに結びつく循環型かつ持続可能な経営の実現を目指しています。この実現に向けて、2025年度以降の持続的成長を支える事業基盤確立を着実に成し遂げていく上で、グループ共通で推進する重点取り組みは以下のとおりです。
① デジタルシフトの加速と進化
お客さまにとって、店舗やEコマースといったチャネルの概念が希薄化する中、これまでのリアルかつ物販中心のビジネスから、リアルとデジタルを融合し、利便性と満足度の高い顧客体験の提供を目指しています。
グループ各社では、ネットスーパーの拡大、店舗での利便性向上に向けた取り組み、加えてオペレーション効率化等、多様性に富むデジタル施策を積極的に推進しています。同時に、グループで利用可能なポイントの共通化や、グループ各社が提供するサービスを1つにまとめたトータルアプリ「iAEON」の配信等、イオンとお客さまとをつなぐための重要な基盤構築をグループとして強化しています。リアル・デジタル双方で顧客接点を拡大することにより、お客さまの生活情報データを活用し、ネット専業企業にはないリアルの現場視点から新たなイノベーションへとつなげてまいります。
② サプライチェーン発想での独自価値の創造
業態やチャネル等あらゆる垣根が希薄化し、シームレスな競争環境へと変化する中、プライベートブランド商品を中心に、イオンの理念・思想を反映した独自性のある商品・サービスの創造に向けた様々な取り組みを、グループの総力を挙げて推進しています。
植物性原料への置換えによるサステナビリティに配慮した商品等、ナショナルブランドが手掛けていない新たな領域での独自商品開発を加速しています。加えて、デリカ・生鮮食品等、食のSPA化に向けた基盤強化や、非食品領域で他社にはないコンセプトの商品を生み出している均一価格雑貨販売業態の子会社化等、独自価値の開発・提案力強化に向けた取り組みを推進することにより、これまで以上にご支持いただけるよう変革を進めてまいります。
③ 新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化
ウエルシアの事業拡大の推進に加えて、医療と健康を軸とした地域のコミュニティ拠点の展開や、未病改善・予防に向けて積極的に支援を行う保険サービスの提供等、「健康」の要素を組合せた新たな提供価値の構築を各事業領域において推進しています。グループ各社の取り組みをより魅力的、且つ満足度の高い水準へ引き上げ、グループ間連携、他社・他業界連携により、お客さまニーズを様々な角度から包括的に満たす新たな商品・サービスの提案につなげてまいります。
④ イオン生活圏の創造
これまで進めていた「リージョナルシフト」の次ステップとして、地域に根差した商品、サービス、生活基盤の提供に向けた地域会社化の推進や、各地域に必要なサービス・機能、社会資本が補完された地域の核となる拠点づくり等を通じて「イオン生活圏」の構築に取り組んでいます。より豊かなくらしの実現と、地域社会の課題解決に積極的に参画し、地域の発展に最も貢献する企業体へと進化することを目指してまいります。
⑤ アジアシフトの更なる加速
マルチフォーマットの店舗網拡充に加え、社会のデジタル化が進むアジアにおいて、ECプラットフォームとの協業によりオンラインとリアルの融合を加速する取り組みを推進しています。併せて、商業流通の一気通貫サービスの提供等、新たな需要に着目した新規事業展開をはかっています。アジアの成長ポテンシャルを着実に取り込み、次の収益の柱にすべく事業成長を加速してまいります。
⑥ GX(グリーン・トランスフォーメーション)
急激に進む気候変動や生物多様性の逸失といった環境問題に対して、あらゆるステークホルダーがカーボンニュートラル(脱炭素)をはじめ、環境問題の解決に向けて動き出しています。今後、地球環境にやさしい暮らしのニーズはますます高まり、企業における環境の取り組みは、事業活動の前提になると認識しています。
私たちは、すべてのステークホルダー、とりわけお客さまと従業員とともに事業活動を通じて地球環境に負荷をかけない取り組みを強化してまいります。加えて、これまで推進してきた植樹活動等、環境改善につながる施策に同時並行で取り組んでまいります。
これら2つのアプローチを通じて積極的にリーダーシップを発揮し、地域の豊かさにつながるサステナブルな社会の実現に向けて貢献してまいります。
当社はダイバーシティ&インクルージョンの推進を経営戦略の一つとして捉え、多様な人材が能力を十分に活かし、革新し続ける組織の実現を目指しています。女性管理職比率については、50%を目標とし2021年度は、26%となりました。国内外のグループ会社の役員900名が参加した役員コンプライアンス研修をはじめ、のべ2,000名以上の管理職が参加したオンライン研修を通じ、多様性と心理的安全性が尊重された組織を堅持し、現在求められるマネジメントへの意識改革を強化しました。育児・介護休業法の改正を機に、「仕事と育児の両立支援」オンライン研修にも男性育休促進の要素を取り入れ、女性社員に限らず育児中の男性社員、上司、人事担当者等350名が参加し、グループ企業の好事例紹介等を通じ、意識改革の一助となりました。また、次世代管理職候補となる若年層の女性を対象に、ライフプランを多面的に捉える研修を新規に導入し、グループ各社の従業員の交流を深める機会を設ける等、女性が持続的に活躍できる環境作りに努めました。
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