課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは『人を中心とした事業構築を図りケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる。』の企業理念を掲げ、次のとおり取り組んでおります。

 

『がんばらない経営』

 無理をして自分の力以上の力を出すことは短期的には可能であっても、終わりのない会社経営には適切ではありません。無理をすれば必ずその反動があります。

 お客様にご満足いただくためにあるべき姿に向かって、正しいことを無理をせず、確実に実行していく経営方針を『がんばらない経営』と表現しております。

 

『1、従業員 2、お取引先 3、お客様 4、株主』

 お客様を大切にするためには、まず従業員を大切にしなければ「本当の親切」は実現しないと考え、1、従業員 2、お取引先 3、お客様 4、株主の順で大切にしようと考えております。

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(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、下記の通り、重点取組事項及び目標とする経営指標を掲げ、2021年5月6日に公表しました「中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)」において、2024年3月期売上高8,100億円、営業利益490億円、経常利益540億円、親会社株主に帰属する当期純利益340億円の達成に向け取り組んでおります。

 

(重点取組事項)

 既存店売上高は、前年対比100%の水準を維持することを目標とし、加えて出店によるシェアの拡大を図る。

 高付加価値商品の販売強化と、商品開発で利益を確保すると同時に経費をコントロールする。

 

(経営指標)

 連結ROE10%、連結配当性向30%を目指す。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 新型コロナウイルス感染症拡大により、当社を取り巻く経営環境は大きく変化いたしました。2021年3月期は巣ごもり需要、特別定額給付金の支給や郊外に多く立地する当社店舗の相対的優位等により過去最高の増収増益となりました。その後も新型コロナウイルス感染症再拡大による影響が未だ払拭されてはおりませんが、アフターコロナは、郊外立地の相対的優位性が剥落し、特需の反動減が来るのではないかと懸念する見方もあります。しかしながら、当社グループは、巣ごもり需要によって、商品の買い増しや、高付加価値商品への買い替えが発生し、家電需要全体は底上げされたと考えております。当社グループの取り扱う家電品は、衣食住に関わる安定的な生活を確保するために必要な生活必需品であり買い替え需要は決してなくなることはありません。

 国際情勢の悪化による物価上昇、生活費の支出増が引き起こす消費マインド減退への懸念はありますが、家電製品は毎年底堅い買い替え需要に支えられております。特に、家庭での光熱費の上昇により、省エネ性能の高い高付加価値商品に対するお客様の買い替えニーズは高い状況が続くと思われます。

 また、コロナ以前は、ECでの買い物が主流になり、リアル店舗の価値が低下するのではないかと懸念する見方もありました。しかし、コロナ禍を通し、自宅から車で15分圏内に店舗があるという利便性と、リアル店舗でお買い物をすることの楽しさが再認識されたものと考えております。そのため、少子高齢化の中であっても、当社グループはしっかりと買い替え需要をとらえ、シェアアップを図ってまいります。

 

 当社グループは、これらの認識を踏まえ、次のとおり、取り組んでおります。

 

① 家庭用電化製品に特化

 当社グループは家電専門店の「ケーズデンキ」を運営しております。取扱商品を家電品に絞ることによって、ローコスト経営と従業員の専門性の高さを保持しております。また、家電品を試用・体験できる売り場づくりなど、家電専門店ならではの特徴のある店舗作りに取り組んでおります。

 

② 高付加価値商品の販売、プラスワン販売の強化

 当社グループは一人当たり単価を伸ばすことに注力しております。お客様のご要望を伺い、お客様に合ったよりよい商品のご提案をすることで高付加価値商品の販売構成比を上げることに取り組んでおります。また、関連品のお勧めをすることで、お買い上げ点数のアップを図っております。人口減少によって来店客数が減少傾向にある地域もありますが、これらの取り組みにより客単価を上げることでシェアの拡大を図り、着実に成長していくことを目指してまいります。

 

③ 「ケーズデンキあんしんパスポート」アプリ会員の獲得推進

 当社グループの「ケーズデンキあんしんパスポート」会員は4,500万人を超えておりますが、更なる新規会員の獲得及び紙のカードからスマートフォンアプリへの移行に注力しております。このアプリは、会員様へ会員限定クーポンの配信や、WEBチラシの閲覧を容易にすることなどが可能で折込チラシに代わる販売促進策の一つになっております。コロナ禍を機に、チラシの発行部数・折込エリアの見直しを行う反面、アプリでの販促活動は、今後更に重要さを増すものと認識しております。「ケーズデンキあんしんパスポート」アプリ会員はコロナ禍においても新規顧客を伸ばすことができました。これは今まで当社グループを利用したことが無いお客様にもご来店いただけたものと分析しております。新規顧客に対してもケーズデンキファンになっていただけるよう魅力ある店舗づくりに注力してまいります。

 

④ 都市部、空白地帯への出店

 当社グループの出店強化エリアは、人口が多い都市部と未出店地域です。当社グループが認識する“都市部”とは、人が多く住んでいる大都市周辺のベッドタウンを指しております。これらの地域に積極的に出店し、未完成の国内店舗網を構築することにより、ドミナント戦略の効果をより発揮することが可能になります。同時に既存店はスクラップ&ビルドを行い、常に周辺環境に合致した新しい店舗づくりを目指してまいります。2023年3月期は18店舗の出店と1店舗の閉鎖を計画し、更なる業容の拡大を図ってまいります。

 

 

⑤ ECへの取り組み

 当社グループには自社ECサイト(ケーズデンキオンラインショップ)があり、PayPayモール、楽天市場にも出店しております。新型コロナウイルス感染症拡大でECサイトの売上高はコロナ禍以前のおよそ2倍に伸長し、その後も高い水準を保っております。当社グループでは、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン等の配達、設置工事を伴う商品はECに適しにくく、小物商品や消耗品がECでの購買に適していると分析しております。それらの商品群に対してはオリジナル商品を投入し、訴求力のある価格でなおかつ利益を確保できる体制を整えてまいります。

 

⑥ 人材の確保

 当社グループは、お客様を大切にするためには、まず従業員を大切にしなければ「本当の親切」は実現しないと考えています。コロナ禍の中、働く従業員に報いるために2023年3月期についても、定期昇格・昇給に加え、体系是正・格差是正を実施し、給与の引き上げを行ってまいります。また、少子高齢化により労働人口も減少傾向にありますが、人材派遣業を営む当社グループの株式会社ケーズキャリアスタッフにて、能力のあるシニアの再雇用を促進し、安定した労働力を確保してまいります。

 

⑦ コロナ禍での店舗運営

 新型コロナウイルス感染症拡大防止対策といたしましては、出勤前の検温、こまめな手洗い、うがいの徹底、マスク着用、消毒液の設置、レジ及び契約カウンターでの飛沫防止ビニールカーテン設置、定期的な入口開放による店内換気、お客様への積極的なお声がけの自粛、一定の距離を保った接客などに取り組んでまいりました。店舗の運営状況は、2020年3月期末より、新型コロナウイルス感染症対策として継続的に一部店舗での1時間程度の営業時間の短縮を行っております。営業時間については、感染の状況や周辺の生活環境、従業員のワクチン接種に伴う特別休暇等を勘案し、随時柔軟に変更しております。当社は今後とも、お客様、従業員、お取引先様をはじめとする当社と関わる全ての関係者の皆様の健康を守ることを第一に、出来うる限り最大限の新型コロナウイルス感染症拡大防止策を講じてまいります。

 

⑧ 商品供給

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴うアジア諸国をはじめとする都市封鎖(ロックダウン)に伴う工場の閉鎖、輸送コンテナ不足、長引く半導体不足、世界情勢の悪化等により、取引先からの商品供給について一部遅れが出る可能性がありますが、対面販売の強みである接客による臨機応変な対応により、お客様にご満足いただけるご対応ができるよう取り組んでまいります。

 

⑨ ESG経営

 当社グループでは、『人を中心とした事業構築を図りケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる。』を企業理念として掲げ、ESG経営に取り組んでおります。2021年6月には、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、2022年4月1日には、サステナビリティ委員会を発足させました。TCFD提言に沿い、気候関連のリスク・機会を洗い出し、その両面において事業及び財務へ与える影響を分析し、今後の経営戦略に反映してまいります。

 

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