有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当行及び連結子会社(以下、本項目においては当行と総称)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当行では、業務において保有するすべてのリスクを的確に把握し、当行の安全かつ健全な経営基盤を確立するため、「統合的リスク管理規程」を定め、総体的に捉えたリスクを当行の経営体力(自己資本)と比較・対照する、自己管理型のリスク管理態勢を整備しています。リスクの種類ごとに本部の主管部を定め、これらが組織横断的に所管するリスクの管理を行うとともに、これらのリスクをリスク統轄部が統合的に管理することにより、リスク管理の一層の強化、充実をはかっております。
同時に当行では、主要なリスク(信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスク)の計量化を進め、これらに対する資本配賦を行っております。リスク量については、半期ごとに見直しを行うリスク管理方針に基づき、配賦資本額をその限度額として管理しており、算出したリスク量を毎月のALM会議において経営へ報告する体制としております。加えて、リスク包括的なシナリオに基づき、各種リスクが同時に顕在化した場合を想定した統合ストレステストを実施しております。
なお、リスク管理体制の整備状況等については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
(1)信用リスク
当行は、資産の健全性確保を経営上の最重要課題と認識し、6か月毎の自己査定の実施により、資産の正確な実態把握を行い、現在想定される全ての不良資産について適正な処理を行っています。しかし、わが国の景気の動向、不動産価格の変動、当行融資先の経営状況、及び世界の経済環境の変動等によっては、当行の不良債権及び与信関係費用は想定以上に増加する恐れがあります。具体的には、実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における前提及び見積りと乖離し、貸倒引当金を大幅に超過する可能性があります。また、経済情勢全般の悪化、担保価値の下落、その他の予期せざる理由により、貸倒引当金の計上にあたり設定していた前提及び見積りを変更せざるを得なくなり、後日、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。
(2)市場リスク
当行は、預金等による調達資金を主な原資として、貸出金・国債・株式・外貨建資産をはじめとする様々な金融商品等を対象に広範な投融資活動を継続的に行っており、かかる活動に伴うリスクを管理する必要があります。本投融資活動に伴う主要なリスクとしては、特に、金利、株価、為替等の相場の変動が挙げられます。例えば、①景気回復等に伴い市場金利が上昇した場合には、当行の貸出金・債券ポートフォリオ(特に中長期の固定金利運用)等の価値が減少(評価損の発生、資金利鞘の縮小等)、②景気悪化等に伴い株価が大幅に下落した場合には、当行の株式ポートフォリオ等の価値が減少(減損処理、評価損の発生等)することとなります。また、③外貨建資産・負債について、ネット・ベースで資産超又は負債超のポジションが造成されていた場合に、為替相場が変動した場合には、外貨建資産・負債の財務諸表上の価値が減少(円貨建収益の減少等)する可能性があります。
(3)流動性リスク
当行は、預金等の相対的に期間の短い資金で調達を行う一方で、貸出金、有価証券等の相対的に期間の長い資金で運用を行っています。このため、万一においては当行の財務内容の悪化等により必要な資金が確保できなくなる場合や、資金の確保に通常よりも著しく高い金利で資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク(資金繰りリスク)が発生する可能性があります。また、当行には直接の責務がない場合においても、何らかの事由による市場の混乱等のため、市場において取引が出来なくなったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)が発生する可能性があります。
(4)オペレーショナル・リスク
当行は、オペレーショナル・リスク管理が重要な経営課題の一つであると位置付けており、オペレーショナル・リスクに係る問題点等を一元的に把握・分析し、対応策を組織横断的に協議する体制を整備しております。しかしながら、以下のようなリスクが発生する可能性があります。
①法務リスク
当行は、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つと位置付け、取締役会で決定した基本方針、コンプライアンス・プログラム等に基づき、適切な法令等遵守態勢の構築に努めております。しかしながら、業務の遂行に際して、顧客に対する過失による義務違反及び不適切なビジネス・マーケット慣行等から生じる損失(監督上の措置並びに和解等により生じる罰金、違約金及び損害賠償金等を含む)を被る可能性があります。
②事務リスク
当行は、諸規程を遵守した正確な事務取扱を徹底するとともに、事務処理の自動化・システム化によるチェック機能の強化を図るなど、強固な事務処理体制の構築を進めています。しかしながら、役職員が正確な事務を怠る、あるいは不正を行うなどにより損失を被るリスクが発生する可能性があります。
③情報セキュリティリスク
当行は、お客さまに関する情報を含め多くの情報を保有しております。また情報を取得、蓄積する仕組みとして、かつ蓄積された膨大な情報を有効に活用するため、各種の情報システムを構築しております。これらの情報資産(情報と情報システム)を適切に保護し管理することは当行の社会的責任であり、お客さまの保護及び利便性向上の観点から極めて重要となっております。これらの状況に対応するため、情報資産の保護に向けての安全対策に関する基本方針として「情報セキュリティポリシー」を、また、より具体的な安全対策基準として「情報セキュリティスタンダード」を制定し、本部・営業店に情報セキュリティ管理責任者を設置するなど、万全の管理体制を構築するとともに、お客さまに関する情報の管理の徹底に努めております。しかしながら、以下のようなリスクが発生する可能性があります。
(ア)情報リスク
当行では、保有する膨大な情報を適切に管理するため、保護すべき情報を重要度に応じて分類し、重要度が高い情報に対してはその重要度に応じた管理方法を定めるなど、情報保護の徹底に努め、安全管理対策を積極的に実施しております。しかしながら、「情報」の喪失・改ざん・不正使用・外部への漏洩等により損失を被るリスクが発生する可能性があります。
(イ)システムリスク
当行にとってコンピュータシステムは、業務の多様化・高度化や取引量の増加に伴い欠くことのできない存在となっており、さまざまな金融サービスを提供するうえで重要な役割を果たしております。このため当行では、コンピュータセンターの被災に備えたバックアップセンターを整備するほか、システム障害発生時の詳細な対応方法やサイバー攻撃等のコンピュータ犯罪・事故を未然に防止するためのルールを規程化するなどの諸施策を講じております。しかしながら、予期せぬコンピュータシステムのダウンや誤作動等、「情報システム」の不備やコンピュータシステムが不正に使用されることによって損失を被るリスクが発生する可能性があります。
④人的リスク
当行は、働きやすい職場環境の確保と健全な職場環境の維持に努めております。しかしながら、予期せぬ人事管理上の問題、不適切な職場労働環境、差別的な行為等により損失を被るリスクが発生する可能性があります。
⑤有形資産リスク
当行は、様々な事故や災害等に備え、「非常事態対策マニュアル」、「コンティンジェンシープラン」及び「危機管理マニュアル」等を整備し、有形資産リスクの顕在化防止に努めております。しかしながら、自然災害、社会インフラの停止、新型コロナウイルス感染症等の感染拡大、テロ等の外部事象が発生した結果、又は業務上の有形資産の毀損等により、当行の業務運営や業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)マネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスク
当行は、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止を経営の最重要課題の一つと位置付け、取締役会で決定した基本方針、運営方針等に基づき、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の高度化に取り組んでおります。しかしながら、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の不備等を契機として、銀行業務がマネー・ローンダリング等に利用され、内外の金融当局から制裁等が課せられる、あるいは海外の金融機関等からコルレス契約を解消され、当行の業務運営や業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)評判リスク
当行は、積極的な情報開示を進めるとともに、評判リスクの顕在化につながる又はその恐れがあるリスク情報の早期収集や顕在化防止のための対応体制を構築しております。また、万一、リスクが顕在化した場合や顕在化の恐れがある場合の対応策を定めることにより、評判リスクの抑止・極小化に努めております。しかしながら、マスコミ報道やインターネットを通じた情報等がきっかけとなり、市場やお客さまの間で事実と異なる風説・風評が流布し、当行の評判が悪化することにより損害を被るリスクが発生する可能性があります。
(7)自己資本比率
当行は、現在、海外営業拠点を有しておりませんので、連結自己資本比率、及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められる国内基準(4%)以上に維持しなければなりません。当行の自己資本比率は、現在のところこの最低基準を大幅に上回っておりますが、この法令により求められている水準を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。なお、当行の自己資本比率に影響を与える要因には、以下のものが含まれます。
・不良債権の処理や債務者の信用力の悪化に際して生じうる与信関係費用や信用リスクアセットの増加
・金利の上昇や株価の下落を起因とした資金利鞘の悪化並びに減損処理の発生
・為替レートの不利益な変動
・当行が将来の課税所得の予測・仮定に基づき計上している繰延税金資産の額を変更せざるを得ないと判断し、
減額した場合
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更、並びに会計上の諸法令等の変更
・その他、本項記載の当行にとって不利益な事象が顕在化した場合
(8)当行の業績等に影響しうる他の要因
①競争に伴うリスク
近年の金融制度の規制緩和に伴い、業態を超えた競争が激化してきております。当行がこうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
②当行の営業戦略が奏功しないリスク
当行は、収益力強化のために様々な営業戦略を実施していますが、以下のような要因が生じた場合には、これらの戦略が功を奏しないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。
・貸出金の量の増大が進まないこと
・既存の貸出金についての利鞘拡大が進まないこと
・手数料収入の増加が期待通りの結果とならないこと
・経営の効率化を図る戦略が期待通りに進まないこと
③特定地域の経済動向に影響を受けるリスク
地方銀行である当行には、特定の地域(京都府)を主な営業基盤としていることに起因する地域特性に係るリスクがあります。
④格付け低下のリスク
外部格付け機関が当行の格付けを引き下げた場合、当行の資本・資金調達等において不利な条件を承諾せざるを得なくなったり、一定の取引を行うことが出来なくなる可能性があります。
⑤退職給付債務に係るリスク
当行の退職給付費用及び債務は、年金数理計算上設定される前提条件に基づき算出されています。これらの前提、仮定等に変更があった場合や、実際の年金資産の時価が下落した場合などには、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行は、固定資産の減損に係る会計基準及びその適用指針を適用しており、所有する固定資産の収益性の低下や価格の下落等により、減損損失が発生した場合には、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦各種規制の変更に伴うリスク
将来における規制、法律、政策、実務慣行、解釈等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当行の事業や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧新型コロナウイルス感染拡大に伴うリスク
当行では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、お客さまと、従業員とその家族の安全と健康の確保を最優先とした感染拡大防止、お客さまの資金決済や事業資金のご支援など金融サービスの提供及び安定的な窓口営業の継続に取り組んでおります。
しかしながら、今後、更なる事態の長期化や感染拡大が進行すれば、世界的な景気の低迷や、それに伴う金利、株価、為替等の相場の変動、取引先の業況悪化、当行の営業活動の縮小等により、当行の業績や財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨気候変動に関するリスク
当行の気候変動に関するリスクとしては、水害時の自然災害の発生により取引先や当行の資産が毀損する「物理的リスク」と、脱炭素社会への移行において法規則の変更や需給バランスの変化等により、取引先の業績が悪化する「移行リスク」があります。これらのリスクが顕在化した場合、与信関係費用の増加や営業活動の縮小等を通じて当行の業績や財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当行では「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言へ賛同し、サステナビリティ経営のもと事業活動を通じた社会課題・環境問題の解決に取り組んでおりますが、当行の気候変動に関する取組みや情報開示が不十分と見做された場合には、当行の企業価値の毀損に繋がる可能性があります。
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