当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種率の向上や各種施策等の効果により、一部に弱さが見られたものの、緩やかに持ち直しの動きが続きました。しかしながら、新たな変異株(オミクロン株)による感染拡大、原材料価格の上昇等の影響もあり、依然として先行き不透明な状況で推移しております。
このような環境の中、当社グループは、お客さま、お取引先さま、従業員の安全確保を最優先に、「安心・安全」なATMサービス等を提供し続ける社会インフラとしての使命を果たすことに努めてまいりました。ATM総利用件数は増加したものの、銀行向けの新たなATM受入手数料体系の導入、第4世代ATMを含む将来へ向けた成長投資・費用増加を主因に当連結会計年度の当社連結業績は、経常収益136,667百万円(前連結会計年度比0.4%減)、経常利益28,255百万円(同20.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益20,827百万円(同19.6%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
国内事業セグメントにおきましては、経常収益112,012百万円(前連結会計年度比0.7%減)、経常利益27,035百万円(同19.8%減)となりました。ATM総利用件数は910百万件(同8.8%増)となりました。
海外事業セグメントにおきましては、経常収益24,693百万円(同0.1%増)、経常利益1,282百万円(同30.1%減)となりました。
当連結会計年度の当社財政状態は、総資産1,221,623百万円(前連結会計年度末比24,464百万円増)、負債977,509百万円(同15,027百万円増)、純資産244,113百万円(同9,437百万円増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、931,404百万円(前連結会計年度末比6,541百万円減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益27,154百万円、減価償却費16,388百万円等の増加要因が、法人税等の支払額△8,734百万円等の減少要因を上回ったことにより、41,311百万円の収入(前連結会計年度比94,728百万円減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得による支出△23,739百万円、有形固定資産の取得による支出△12,468百万円等の減少要因が、有価証券の償還による収入11,892百万円等の増加要因を上回ったことにより36,114百万円の支出(同3,343百万円減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額△12,967百万円、自己株式の取得による支出△97百万円等の減少要因により、12,727百万円の支出(同827百万円増)となりました。
銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたっての重要な事項は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表」の「注記事項」に記載のとおりであります。
なお、有価証券の減損要否の判断に当たり、一部の出資先については新型コロナウイルス感染症の影響を反映したうえで会計上の見積りを行っております。概要は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表」の「注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から引続き厳しい状態にありましたが、預貯金金融機関の取引件数が持ち直したことに加え、当社ATMを利用した各種キャッシュレス決済への現金でのチャージ取引件数が順調に増加したことにより、ATM総利用件数は前年同期を大きく上回る水準で推移いたしました。
ATMの運営代替やグループ外への積極的な設置を通じ、いつでもどこでもサービスが受けられる環境づくりに加え、ATMによるマイナンバーカードの健康保険証利用申込み、実証実験としてATM本人確認サービスを開始し、「ATM+(プラス)」への進化を着実に進めております。
2022年3月末現在のATM設置台数は26,253台(2021年3月末比2.2%増)、当連結会計年度のATM1日1台当たり平均利用件数は96.5件(前年同期間比6.5%増)、ATM総利用件数は910百万件(同8.8%増)となりました。なお、2022年3月末現在の提携金融機関等は620社(注)、第4世代ATMの2022年3月末時点での設置台数は10,178台(2021年3月末比69.0%増)となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響、原材料価格の動向等により、依然として先行き不透明な事業環境が予想されますが、ATMの社会的価値を現金プラットフォームから「ATM+」へと進化させ、社会の変化・お客さまニーズの変化に柔軟に対応したATMプラットフォーム戦略を今後も推進してまいります。
(注)JAバンク及びJFマリンバンクについては、業態としてそれぞれ1つとしております。
また、スマートフォンアプリ「Myセブン銀行」は、オンラインでの本人確認に対応し最短10分で口座開設ができる即時口座開設サービスに加え、シンプルで使いやすいUI・UXを高く評価いただき、2022年3月末現在、累計ダウンロード数は151万件となっております。個人のお客さまの預金口座数は2,528千口座(2021年3月末比6.9%増)と順調に増加し、個人向け預金残高は5,507億円(同6.1%増)、個人向けローンサービスの残高は280億円(同15.3%増)となりました。
2021年9月21日より「セブン銀行後払いサービス」を開始しており、2022年3月末までの累計取扱高は210億円となりました。
また、2022年2月に、株式会社スマートプラスと共同でセブン銀行口座保有者へ証券取引サービスを提供することに合意、金融仲介業者として「Myセブン銀行」アプリを通じたサービスの開始に向け準備を進めております。
当社は社会の変化をビジネス機会と捉え、これまで培ったノウハウに加え、外部企業とも連携し、さまざまなお客さまのニーズに応じた新たな金融サービスを提供することを目指してまいります。
当社連結子会社のFCTI, Inc.は、第1四半期に実施された米国政府による給付金支給等の景気刺激策によるATM利用件数の押上効果があったものの、新型コロナウイルス感染症の長期化による影響を受け、前年同期を下回るATM利用件数となりました。米国セブン‐イレブン店舗以外に設置している低採算ATMを計画的に整理し、2021年12月末時点でATM設置台数は9,004台(2020年12月末比3.8%減)、うち米国セブン‐イレブン店舗内設置ATMは8,688台(同1.5%増)となりました。
また、FCTI, Inc.の連結対象期間(2021年1~12月)の業績は、以前より実施している米国セブン‐イレブン店舗以外に設置している低採算ATMの整理に加え、第3四半期以降の新型コロナウイルスの感染再拡大に伴うATM利用件数の減少等により、経常収益206.3百万米ドル(前年同期間比9.1%減)、経常利益16.4百万米ドル(同28.2%減)、当期純利益35.9百万米ドル(同45.9%増)となりました。
インドネシアにおける当社連結子会社PT. ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONALは、コロナ禍においても堅調に事業を推進し、2021年12月末時点のATM設置台数は2,551台(2020年12月末比249.4%増)と大幅に増加しております。
また、フィリピンにおける当社連結子会社Pito AxM Platform, Inc.は、2021年2月にATM運営事業を開始し、フィリピン国内のセブン‐イレブン店舗へATM設置を行い、2021年12月末時点のATM設置台数は1,249台となっております。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金・設備資金については、預金を主とする負債及び自己資本により充当しております。
当社グループの資金調達は、ATM装填用現金等の運転資金及びATM・システム関連投資等の設備投資資金の調達に大別され、金利動向等を踏まえてベースとなる資金を預金、長期借入や社債発行等により確保した上で、日々の調達額の変動をコール市場からの調達により賄っております。
当連結会計年度末における現金預け金は931,404百万円であり、上記運転資金・設備資金を十分な水準にて確保しており、また、資金流動性確保に懸念はないものと考えております。
なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、上記「(1)② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、当社は、取巻く事業環境の大きな変化に対応し持続的に企業価値を向上させるため、収益構造に厚みを持たすべく事業の多角化を推進しております。2021年5月に長期的な当社グループの持続成長を果たすための戦略や目標を示す為に策定した中期経営計画では、連結経常収益拡大を最重視した施策を推進しております。次期の連結業績については、経常収益149,000百万円(前年同期間比9.0%増)、経常利益28,000百万円(同0.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益19,500百万円(同6.3%減)を予想しております。
また、セブン銀行単体では、経常収益116,500百万円(同5.6%増)、経常利益27,500百万円(同3.2%減)、当期純利益19,000百万円(同4.7%増)を予想しております。
当連結会計年度の資金運用収支は前連結会計年度比359百万円増加し3,429百万円、役務取引等収支は同846百万円減少し95,503百万円、その他業務収支は同188百万円増加し390百万円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)でありま
す。
2.「海外」とは、海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。
3.特定取引収支はありません。
4.「相殺消去額」には、「国内」、「海外」間の内部取引の相殺消去額等を記載しております。
当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前連結会計年度比21,284百万円増加し179,602百万円、利息は同423百万円増加し4,032百万円、利回りは同0.03%減少し2.24%となりました。また、資金調達勘定平均残高は同35,506百万円増加し937,206百万円、利息は同63百万円増加し602百万円、利回りは0.06%となりました。
(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しております。
2.「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。
3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。
(注)1.一部の海外連結子会社については、原則として月末毎の残高に基づく平均残高等を利用しております。
2.「海外」とは、海外連結子会社であります。
(注)「相殺消去額」とは、連結会社間に係る相殺消去額であります。
当連結会計年度の役務取引等収益は、ATM関連業務121,731百万円及び為替業務3,362百万円等により合計で前連結会計年度比389百万円減少し131,320百万円となりました。役務取引等費用は、ATM関連業務30,673百万円及び為替業務1,631百万円等により合計で同456百万円増加し35,816百万円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、海外連結子会社であります。
(注)1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、海外連結子会社であります。
3.流動性預金=普通預金
4.定期性預金=定期預金
(注)「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。また、海外の貸出金期末残高はありません。
(注)1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、海外連結子会社であります。
3.「その他の証券」には、外国株式を含んでおります。
4.「相殺消去額」には、当社及び海外連結子会社の資本連結に伴い相殺消去した金額を記載しております。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当社の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
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