本中金における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営方針
本中金は、次のような経営理念と運営方針に基づき事業運営を行っております。
① 経営理念
信用金庫の中央金融機関として、信用金庫業界の発展につとめ、もってわが国経済社会の繁栄に貢献する。
② 運営方針
a.信用金庫の経営基盤の強化、業務機能の補完、信用力の維持・向上につとめる。
b.信用金庫からの安定的な資金調達につとめるとともに、資金調達手段の多様化をはかる。
c.市場運用力の強化、金融サービスの拡充をはかる。
d.金融環境の変化に柔軟に対応するとともに、新規業務にも積極的に取り組む。
e.地域の一員として、信用金庫とともに地域の発展と活性化に貢献する。
f.健全経営の理念のもと、経営の効率化、自己資本の充実、リスク管理の強化につとめる。
g.プロフェッショナルな人材の養成と魅力ある職場づくりをはかる。
h.社会一般に高く評価される金融機関を目指す。
(2) 経営環境
わが国経済は、新たな変異株の出現など新型コロナウイルス感染症の拡大状況の変化に伴い、経済活動が回復・停滞を繰り返すこととなったほか、世界的な物価急変動や、ロシア・ウクライナ情勢の悪化に見られる地政学リスクの高まり等を受け、経済の成長鈍化が懸念されております。
また、信用金庫を取り巻く経営環境は、地域社会が抱える構造的な問題や日本銀行によるマイナス金利政策の継続に加え、コロナ禍による地域経済の悪化や急速に浸透するDX、環境・社会問題への意識の高まりなど、これまで以上に大きな変化が見られております。
このような中で、地域を支える信用金庫には、これまでにも増して、持続可能な社会の実現や地域活性化に向けた取組みが求められており、本中金としては、信用金庫と協働して地域に貢献することが、ますます重要となっております。
また、気候変動をはじめ環境・社会問題が深刻化する中、グローバルに投融資を行っている金融グループとして、その果たすべき役割は重要となっております。
(3) 対処すべき課題
① 経営戦略
本中金は、2022年度から2024年度までの3か年を計画期間とする中期経営計画「SCBストラテジー2022」を策定し、各種施策に取り組んでまいります。
a.中期経営計画の全体像
b.4つのストラテジー
(a) ストラテジー1「地域の課題を解決する機能の向上」
・コロナ禍で高まった地域からの期待に応えるべく、地域の課題解決に対する貢献度の高い
取組みに重点を置き、施策の実効性を高めてまいります。
・信用金庫業界がこれらの取組みに対する適正な対価を受領し、持続的に地域に対して良質
なサービスを提供する仕組みの構築を目指します。
(b) ストラテジー2「信用金庫の収益力・リスク対応力の強化」
・信金中金グループが一体となって、資金運用・リスク管理サポートをはじめとする信用金
庫に対するコンサルティング機能の深化を図ります。
・信用金庫の収益源の多様化に資する商品・サービスの提供を進めます。
(c) ストラテジー3「持続的かつ効率的な業務運営態勢の構築」
・限られた経営資源の有効活用に向けて、共同化・集中化・外部委託の促進による業務効率
化に取り組むとともに、業務の堅牢性・持続性の維持・向上に取り組みます。
・信用金庫業界のビジネスモデル変革の土台となる環境の整備を進めます。
(d) ストラテジー4「信金中金の財務基盤の強化」
・信用金庫業界の機能強化にかかる相応のコスト負担が見込まれる中、リスクアペタイト・
フレームワーク運営の高度化や専門人材の育成等を通じて、収益力強化を目指します。
・わが国有数の機関投資家として、ESG投融資の推進等を通じて、社会の持続可能性の向上に
寄与する取組みを進めます。
c.HaNDによる変革
環境・社会の持続可能性の危機やデジタル化の急速な進展といった社会変容の中で、信用金庫業界の競争力を高めていくためには、現状維持や既存事業の改善・改良に留まることなく組織能力を改革し、ビジネスモデルそのものを変革していくことが必要と考えております。
本中金では、信用金庫業界にとって強み・機会となりうるテーマである人財、ネットワーク、デジタルを3つの軸として変革を生み、業界の競争力を高めることで、「2030年までに目指す姿」の実現を目指します。
d.しんきんグリーンプロジェクト
・2021年9月に策定した「信金中央金庫グループ環境方針」に則り、信用金庫とともに、環境問
題の解決に向けた取組みを推進してまいります。
・信用金庫業界独自のグリーン戦略を通じて、「信用金庫=グリーン」のブランドイメージの
定着を企図しております。
② 中期的な目標収益水準および維持すべき経営指標
本中金は、リスクアペタイト・フレームワークを活用し、収益・リスク・資本のバランスを重視した財務基盤の構築につとめることとし、次のとおり中期的な目標収益水準および維持すべき経営指標を設定しております。
2022年度は、各国のインフレ抑制に向けた金融引締めの動きが加速するなか、ロシア・ウクライナ間の軍事衝突長期化に加え、新型コロナウイルス感染症の再拡大懸念など、不確実性の高い市場環境が見込まれます。こうした環境を踏まえ、本中金では、引き続き安定性を重視したポートフォリオ運営を実施することとし、2022年度における連結の業績予想は、経常利益490億円、親会社株主に帰属する当期純利益360億円、自己資本比率(国内基準)20%台としております。
なお、今後、ロシア・ウクライナ情勢のさらなる悪化や新型コロナウイルス感染症の収束状況等によっては、資金運用収支や貸倒引当金が変動し、本中金の業績が予想から乖離する可能性があります。
・中期的な目標収益水準(2022~2024年度)
親会社株主に帰属する当期純利益 400億円程度
・維持すべき経営指標
連結自己資本比率(国内基準) 15%以上
配当可能限度額 2,000億円以上
③ 優先的に対処すべき課題
世界的に持続可能性(サステナビリティ)への関心が高まる中、地域社会においても、脱炭素を中心とした環境問題への対応等、持続可能な社会の実現に向けた取組みが求められております。かかる状況下、信用金庫においては、中小企業に対してこれまで以上に幅広い分野における業務支援等を実施することで、地域経済を支え、その持続的発展に貢献していくことが期待されております。そして、その実行にあたっては、信用金庫が強みとする地域との強固なつながり、face to faceを軸としつつも、進展するデジタル化へ的確に対応し、より強固なビジネスモデルを構築していくことが喫緊の課題となっております。
このような認識のもと、2022年度は、これまで取り組んできた中小企業や地域の課題解決に資する施策のさらなる実効性の向上を図るとともに、脱炭素社会の実現や中小企業のDX促進など、信用金庫業界として新たな分野に対応するための態勢構築を進めてまいります。加えて、信用金庫の持続的な経営基盤の構築に向け、引き続き、資金運用やデータ利活用等を通じた収益力強化や専門分野に対応する人材育成にも取り組んでまいります。これらを通じて、本中金では、信用金庫業界の中央金融機関としての役割を十分に発揮し、信用金庫とともに持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
また、本中金は、法令等遵守(コンプライアンス)の徹底、企業統治(コーポレート・ガバナンス)の強化、社会貢献の実践等につとめ、社会一般から高く評価される金融機関となることを目指してまいります。
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