文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当社は、2022年6月23日付第24期定時株主総会において当社取締役が総交代し、新たなスタートを切りました。そのため、有価証券報告書に記載のビジョン、経営戦略その他将来に関する事項については新体制により再度見直しを行う予定です。
(1)会社の経営の基本方針
当社の創業理念は、「ベンチャー企業の経営者の夢の実現を応援する」ことにあり、これまで投資事業組合を通じて投資先企業の育成支援に努めてまいりました。創業よりこの理念に変わりはありませんが、ベンチャーキャピタルという資産運用会社としてのビジネスモデルのみを事業領域とすると、上場市場の低迷に対応しきれず、業績の変動幅が大きくなってしまうことから、当社が上場企業として存続、発展していくためには、収益を投資先企業の上場のみに依存するのではなく、長期的収益と短期的収益のバランスをとる必要があります。そのため、当社のミッションを「100年継続企業を創る」に定義し直し、企業を100年継続させるために必要なイノベーションやリスクマネーの機能を幅広く提供しプラットフォームを構築する会社となるべく、国内外で様々な機関と連携し、M&Aによる機能強化並びに収益機会の獲得を目指し、事業ポートフォリオの再構築に取り組んでまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は事業特性上、株式市場等の影響を強く受け、収益水準の変動が大きいため、目標数値を掲げることは困難であります。当連結会計年度において営業損失を計上している現状を重く受け止め、継続的な営業利益の黒字化を重要な経営目標とし、収益の顕在化を目指します。
(3)中長期的な会社の経営戦略
① 投資成果の向上
ベンチャーキャピタル事業を中核とする当社にとりまして、投資家の皆さまからお預かりした資金を原資とした投資により成果を上げ、その成果から生まれる信頼によって次の投資の器となるファンドに資金をお預かりするというプロセスを繰り返す中でその規模を拡大していくことが1つの成長モデルであります。しかしながら、当社が管理運営するファンドの多くは、新規上場社数が5年連続で50社を下回る歴史的低迷期に刈り取り期を迎え、想定リターンを下回っており、スムーズな拡大再生産を実現するに至っておりませんでした。そのような中、当社はエクイティ投資によるファイナンシャルリターンのみの追求から、エクイティ投資における投資ノウハウを広く利用者に提供し、利用者から継続的な収益を得るモデルへ数年かけて事業転換を行ってまいりました。これにより、当社はファンド運営機能の提供者として唯一のポジションを確立し、今後、エクイティ投資に係る様々なノウハウを広く提供し、利用者の中長期の事業戦略をサポートすることで、当社の事業も拡大させていく方針であります。
② エクイティサービスプロバイダーとしての機能強化
ベンチャーキャピタル事業は市場環境からの影響を強く受けることから、上場を維持する限りにおいてベンチャーキャピタル単一事業での経営は不安定なビジネスモデルと言わざるをえません。当社としては、上述した「100年継続企業を創る」という理念の下、創業来20年にわたり特に地方においてベンチャーキャピタルとして活動する中で蓄積した知見を活用し、新たな事業領域に進出することで、強固なビジネスモデルを構築すべく取り組んでまいります。既にシェアオフィス事業、アクセラレータープログラム等の取り組みを開始しておりますが、企業のPR支援業務や業務提携のみならずM&Aによる収益機会の獲得にも取り組んで含め活動してまいります。また、現在はエクイティ投資によるファイナンシャルリターンのみの追求から、投資ノウハウを広く提供し、利用者から継続的な収益を得るモデルへ転換を図っております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が対処すべき主な課題は、以下のとおりであります。
① 新規ファンドの設立
当社は、複数年にわたる営業赤字から脱却するため、新たなビジネスモデルの確立、早期収益改善を経営の最重要課題として取り組み、当連結会計年度において営業黒字化を達成しました。しかしながら、収益基盤としてはまだまだ脆弱であり、引き続き、当社サービスをマーケットへ浸透させ、新規投資家の発掘、ファンド設立を推進してまいります。
② 新たな収益源の獲得
当社は、新たなビジネスモデルを確立し、複数の投資家、投資先企業との関係構築に努めてまいりました。今後、当社が関与する投資家、投資先企業がより一層成長するためのプロダクト、サービスを開発し、成長支援を行うとともに、当社の新たな収益の柱となり得る事業を構築すべく、引き続きプロダクト開発、事業会社との提携模索、M&A等の施策を検討してまいります。
③ 営業及び投資体制の強化
当社は、新規ファンドの設立を推進し、複数本のファンドを効率的に運営できる体制を整備運用しております。投資家の投資ニーズは拡大傾向にあり、当社のファンド運営を継続的に成長させるにあたり、新たな投資担当者、投資事務担当者などの人員を確保し、かつ早期に戦力化できるよう教育体制を充実させる必要があります。
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