(1)経営成績等の状況の概要
<金融経済環境>
世界経済は、新型コロナウイルスのまん延や世界的なインフレの加速に加え、ロシアのウクライナ侵攻の混乱が長期化することが懸念されるなど、不確実性が高まっています。こうした中、国際通貨基金(IMF)は、2022年の世界経済の成長率を3.6%(2022年4月)とし、1月の4.4%から0.8ポイント下方修正しました。先行きについても、新型コロナウイルスの変異株の出現や、大規模な自然災害を引き起こす気候変動リスク等が不安材料となっています。
国内経済も、回復基調から弱含みの動きに後退しています。半導体などの原材料の供給不足が製造業のサプライチェーン全体に影響を及ぼし、足もとの生産活動は大きく低迷しています。加えて、天然ガスや原油などの燃料価格も高騰し、製品への価格転嫁が進んでいない中小企業の経営は非常に厳しくなっています。これらは、物価高による家計消費への悪影響と相まって、国内経済の回復への逆風となるおそれがあります。
金融面では、政府の経済対策やワクチンの普及により経済活動正常化への期待が高まり、日経平均株価が昨年末の終値で32年ぶりの高値を付けました。しかし、今年に入り、変異株の感染再拡大やウクライナ情勢の深刻化を受け、年度末時点では前年度を下回りました。金利については、昨年まで各国が大規模な金融緩和策を講じたことで低位に推移しましたが、今年に入り米国において景気回復期待から長期金利の上昇が見られました。ドル円相場は、米国の金利上昇などを受けて、ドル高・円安が進行しました。
愛媛県経済においても、国内経済と同様、本格的な景気回復は見通せない状況にありますが、自治体、民間それぞれに、アフターコロナを見据えた経済対策やデジタル関連の投資を進めており、新たなビジネスモデルを構築することで厳しい環境を乗り越えようとする動きが見られています。
<財政状態>
預金・譲渡性預金は積極的な営業活動を行った結果、前連結会計年度末比927億円増加の2兆5,758億円となりました。また、預り資産残高は同比135億円増加し1,825億円となりました。貸出金は、中小企業・個人向け貸出を中心に積極的な貸出に努めました結果、前連結会計年度末比706億円増加し、1兆8,335億円となりました。有価証券は、効率的な運用に努めました結果、前連結会計年度末比118億円減少し、5,935億円となりました。
連結自己資本比率は8.14%、当行単体では7.80%となりました。
<経営成績の説明>
収益面では、低金利環境が続いたことで貸出金利息が減少したものの、効率的な有価証券運用により有価証券利息配当金が増加したことから資金運用収益が前連結会計年度比2億35百万円の増加となりました。役務取引等収益については、投資信託販売強化等の役務手数料増加に向けた取り組みにより前連結会計年度比54百万円の増加となりました。その他業務収益については同比3億62百万円減少、その他経常収益が株式売却益の減少等により同比7億47百万円減少したことから、経常収益は同比8億20百万円減少して422億24百万円となりました。
費用面においては、市場金利の低下を受け、資金調達費用が前連結会計年度比6億62百万円減少したほか、有価証券売却損等の減少などにより経常費用は同比14億72百万円減少し328億89百万円となりました。
これらの結果、経常利益は前連結会計年度比6億51百万円増加して93億35百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同比3億32百万円増加して57億79百万円となりました。
セグメント情報につきましては、次のとおりであります。なお、記載の金額は内部取引相殺前の金額であります。
銀行業の経常収益は、その他の経常収益の減少等により、前連結会計年度比1億37百万円減少の385億31百万円となりました。一方、経常費用は、資金調達費用等の減少により前連結会計年度比8億73百万円減少し299億16百万円となりました。これらの結果、経常利益は前連結会計年度比7億35百万円増加して86億14百万円となりました。
リース業では、経常収益は前連結会計年度比5億62百万円減少し35億57百万円、経常費用は前連結会計年度比3億91百万円減少し34億79百万円となりましたが、経常利益は前連結会計年度比1億70百万円減少して78百万円となりました。
その他業務(クレジットカード業務、保証業務、コンピュータ業務運営・管理)では、経常収益は前連結会計年度比1億82百万円減少の21億57百万円、経常費用は前連結会計年度比2億76百万円減少の14億91百万円となり、経常利益は前連結会計年度比94百万円増加して6億66百万円となりました。
連結自己資本比率は8.14%、当行単体では7.80%となり、引き続き健全性を保っております。
<キャッシュ・フロー>
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末比532億39百万円増加しました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、積極的な営業活動による預金・譲渡性預金の増加により前連結会計年度比457億12百万円増加し846億8百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得が減少したことから151億15百万円増加し、△243億38百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付借入金の返済および配当金の支払いにより23億42百万円減少し、△70億30百万円となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,392億56百万円となりました。
(1) 国内・国際業務部門別収支
効率的な有価証券の運用による利息配当金の増加や低金利環境による資金調達費用の減少等により、資金運用収支合計は前連結会計年度比8億97百万円増加して307億71百万円となりました。役務取引等収支合計は、預り資産手数料等増加により、前連結会計年度比1億18百万円増加し1億98百万円となりました。その他業務収支は、前連結会計年度比2億56百万円減少し29億20百万円となりました。
(注) 1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引、「国際業務部門」は当行及び子会社の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
資金運用勘定平均残高(相殺消去後)は、資金運用の多様化を進めた結果2兆6,080億7百万円(前連結会計年度比1,302億15百万円増加)となり、うち国内業務部門は2兆4,953億86百万円(前連結会計年度比1,409億85百万円増加)、国際業務部門は5,088億32百万円(前連結会計年度比431億91百万円増加)となりました。運用利回りは、合計で前連結会計年度比0.06%低下し1.23%となりました。資金調達勘定平均残高(相殺消去後)は、預金等平均残高の増加を主因に2兆5,403億54百万円(前連結会計年度比1,200億46百万円増加)となり、うち国内業務部門は2兆4,218億45百万円(前連結会計年度比1,253億11百万円増加)、国際業務部門は5,147億19百万円(前連結会計年度比486億97百万円増加)となりました。合計の調達利回りは前連結会計年度0.03%低下し0.05%となりました。
(注) 1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度2,380百万円、当連結会計年度178百万円)を、控除して表示しております。
(注) 1 「国際業務部門」は、当行及び子会社の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 国際業務部門の外貨建取引の平均残高は月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度―百万円、当連結会計年度―百万円)を、控除して表示しております。
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度2,380百万円、当連結会計年度178百万円)を、控除して表示しております。
2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。
役務取引等収益合計は為替業務や代理業務手数料等の増加を主因に54億91百万円(前連結会計年度比54百万円増加)となりました。役務取引等費用合計は、消費者ローン等の保証料減少に伴い52億92百万円(前連結会計年度比64百万円減少)となりました。
(注)1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引であります。
2 「国際業務部門」は、当行及び子会社の外貨建取引であります。
(注)1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引、「国際業務部門」は、当行及び子会社の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は、国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金+定期積金
(注)1 「国内」とは、当行及び子会社で特別国際金融取引勘定分を除いたものであります。
2 当行には海外店及び海外に本店を有する子会社はありません。
該当事項はありません。
(注)1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引、「国際業務部門」は、当行及び子会社の外貨建取引であります。ただし、円建外国証券は国際業務部門に含めております。
2 「その他の証券」には、外国債券を含んでおります。
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
(単位:億円、%)
(単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態の分析
(ⅰ)預金等
預金・譲渡性預金は、積極的な営業活動を行った結果、前連結会計年度末比927億円増加の2兆5,758億円となりました。また、預り資産残高は前連結会計年度末比135億円増加し1,825億円となりました。
(ⅱ)貸出金等
貸出金は、中小企業・個人向け貸出を中心に積極的な貸出に努めました結果、前年度末比706億円増加し、1兆8,335億円となりました。
<参考>中小企業等貸出金(単体)
リスク管理債権は、企業業績の改善等により前連結会計年度末比23億円減少し、333億円となり、総与信残高に対するリスク管理債権の比率は、前連結会計年度比0.20%低下し、1.79%となりました。
<リスク管理債権残高>
<対総与信残高比率>
(ⅲ)有価証券
有価証券は、効率的な運用に努めました結果、前連結会計年度末比118億円減少し、5,935億円となりました。
(ⅳ)資本金等
自己資本比率は、リスク・アセットが増加したため、前連結会計年度比0.11%低下し、8.14%となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因
当行グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当行グループは、本店ほか支店が立地する地域のお客さまからお預けいただいた預金を貸出金や有価証券で運用しております。
今後も地域の成長につながる資金供給を一層強化してまいります。一方で、地方銀行として、良質な金融サービスを提供していくためには、一定の自己資本を確保しておく必要があり、効率的な資金運用等を行い、財務体質の一層の強化に努めてまいります。
なお、当面の設備等への投資は自己資金で対応しており、今後の固定資産の取得や株主還元も同様に自己資金で対応する予定であります。
(5)経営成績の分析
収益面では、低金利環境を受け、貸出金利息が減少したものの、効率的な有価証券運用による利息配当金の増加により資金運用収益は、前連結会計年度比2億35百万円増加しました。一方で、役務取引等収益は、投資信託販売等、役務手数料増加に向けた取り組みにより同比54百万円増加しましたが、その他経常収益は有価証券売却益の減少等により同比7億47百万円減少し、経常収益は同比8億20百万円減少して422億24百万円となりました。
費用面においては市場金利の低下を受け、資金調達費用が減少したこと等により経常費用は前連結会計年度比14億72百万円減少し328億89百万円となりました。
これらの結果、経常利益は前連結会計年度比6億51百万円増加して93億35百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は57億79百万円となりました。
<損益の概況>
(6)中期経営計画の進捗状況
当行は、2021年4月より3年間の第17次中期経営計画をスタートさせ、役職員一丸となって推進しております。第17次中期経営計画の最終年度(2023年度)の計数目標と2021年度の実績は以下のとおりとなっております。
第17次中期経営計画初年度において、収益性項目の当期純利益、コア業務粗利益、および、OHRは、2023年度目標を上回り、順調に推移しております。
成長性項目の総預金残高および貸出金残高は、順調に増加しております。
健全性項目の、自己資本比率はリスク・アセットの増加により前年比低下しましたが、開示債権比率は目標を達成しております。
(7)次期の業績見通し
第17次中期経営計画の2年目として、2023年3月期は経常利益78億円、親会社株主に帰属する当期純利益52億円をそれぞれ見込んでおります。
(8)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成に当たっては、連結財務諸表の報告額に影響を及ぼす会計上の見積り及び仮定を用いております。当行グループでは、過去の実績等を分析し合理的であると考えられる見積り及び仮定を使用しておりますが、見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成において特に重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、貸倒引当金に関するものであり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
その他、以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が、連結財務諸表の作成において重要なものと考えております。
a.繰延税金資産
当行グループは、将来の合理的な期間内の課税所得に関する見通しをはじめとする様々な見積り及び仮定に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の計上に関する判断は、毎決算期末時点において実施しておりますが、実際の課税所得の推移等により、前連結会計年度に計上した繰延税金資産の一部、又は全額の回収ができないと判断した場合には、当行グループの繰延税金資産を取り崩し、同額を費用として計上することとなります。また、将来の課税所得は十分見込めるとしても、将来の税金負担額の軽減の要件を充足することが見込めない場合には、同様に当行グループの繰延税金資産を取り崩し、同額を費用として計上することとなります。
b.有価証券の減損
当行グループが保有している有価証券には、市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券と市場価格のない有価証券が含まれます。当行グループでは、市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券の時価が取得原価に比べて著しく下落しており、取得原価まで回復する見込みがないものと判断したものについては、当該時価をもって連結貸借対照表価額とするとともに、評価差額を当該連結会計年度において損失処理を行っております。また、市場価格のない有価証券において、当該有価証券の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、相当の減額を行い、同様に評価差額を当該連結会計年度において損失処理しております。
将来の市況悪化や投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収不能が発生した場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
c.退職給付に係る負債
当行グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき、退職給付に係る負債を計上しております。退職給付費用及び退職給付債務は、割引率、予定昇給率、退職率及び死亡率等の数理計算において用いる前提条件に基づいて算出されております。
実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異あるいは過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
d.固定資産の減損会計
当行グループは、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産の帳簿価額を、回収可能価額まで減額する会計処理を適用しております。
同会計処理の適用に当たっては、営業活動から生ずる損益の継続的低下や地価の著しい下落等によって減損の兆候が見られる場合に減損の有無を検討しております。減損の検討には将来キャッシュ・フローの見積額を用いており、減損の認識が必要と判断された場合には、帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を減損しております。なお、回収可能価額は将来キャッシュ・フローの見積額の現在価値、又は正味売却価額のいずれか高い金額によって決定しております。
将来の営業活動から生ずる損益の悪化、使用範囲又は方法についての変更、経営環境の著しい悪化、市場価格の著しい下落等により減損の認識が必要となった場合、また、見積りの前提条件の変更等により将来キャッシュ・フローの見積額が減少することとなった場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
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