事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

[当社のリスク管理体制]

当社を取り巻く経営環境の変化に伴い、管理すべきリスクも複雑化・多様化しております。このような状況の中、リスクを十分に認識し、経営の健全性維持と安定的な収益性、成長性の確保をはかるためにリスク管理体制を充実・強化することが経営上の最重要課題の一つであると認識しております。当社では、「リスク管理規程」において定められた管理すべきリスクについて、担当部室がリスクの特定・評価・制御を行っております。また、リスク統括部において、リスクを統合的に管理しております。業務執行におけるリスク管理活動においては、リスク管理報告会で協議・報告がなされ、リスク委員会は、リスク管理に関する重要事項の審議を行うとともに、リスク管理状況等をモニタリングし、結果を取締役会へ提言・報告しております。

 

[体制図]

 


 

当社は、各種のリスクシナリオが顕在化した場合の影響度と蓋然性に基づき、その重要性を判定しており、当社を取り巻く経営環境において、将来に渡って、事業に重要な影響を与える可能性があると経営が認識するべきリスクをトップリスクとして選定しております。トップリスクに対しては、リスクの高まりや予兆等の評価を行い、必要な対策を講じることでリスクの抑制等をはかっております。また、リスクが顕在化した場合においても、迅速に対応する体制を整備しております。なお、トップリスクは毎期、リスク委員会において審議され、経営会議にて決議しております。

 

 

[主要なトップリスク]

リスク事象

リスクシナリオ

事業収益の低下

ローン・クレジットカード事業、信用保証事業、海外金融事業における収益の低下

与信費用の増加

ローン・クレジットカード事業、信用保証事業、海外金融事業における貸倒関連費用の増加

外的要因により影響を及ぼす事態

感染症、自然災害、テロ等により、業務遂行に重大な影響を及ぼす事態の発生

ITリスク

・重要なシステム案件の企画及び開発の遅延による業績の悪化

・サイバー攻撃による顧客情報の漏洩、及び顧客サービス等の停止

・システム障害による顧客取引への重大な影響を及ぼす事態の発生

利息返還金の増加

想定を超える利息返還金による利息返還損失引当金繰り入れの発生

コンダクトリスク

消費者保護や市場の健全性維持等の観点において、ステークホルダーに重大な影響を及ぼす事態の発生

資金調達

市場金利の上昇、当社の業績悪化、格付の低下等による資金繰りの悪化

 

 

当社及び当社グループの事業等のリスクについて、上記トップリスクに係る分析を踏まえ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1) 事業収益の低下について

当社グループは、ローン・クレジットカード事業、信用保証事業、海外金融事業を中核3事業と定め、事業収益を安定的・持続的に増加させるべく各種の施策に取り組んでおります。2022年3月期の営業収益は2,621億5千5百万円であり、その内、ローン・クレジットカード事業収益は1,423億2百万円、信用保証事業収益は628億6千1百万円、海外金融事業収益は512億3千9百万円となっており、中核3事業で連結営業収益の97.8%を占めております。

各事業における収益低下のリスクについては、以下のとおりです。

 

① ローン・クレジットカード事業について

当社は、ローン・クレジットカード事業において、新規集客の増加、商品・サービス機能の向上等に取り組んでおります。ローン・クレジットカード事業収益は、顧客口座件数の増減や顧客口座1件あたりの残高の増減、顧客から受領する約定金利等に伴って変動することから、これらに関連する様々な外的要因により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、外的要因の例としては、消費者金融業界に係る司法判断や法的枠組みの変更、競合他社との競争環境激化、大規模な事故・災害・感染症拡大等に伴う個人消費の減退等が挙げられます。

 

② 信用保証事業について

当社及びエム・ユー信用保証株式会社は、信用保証事業において、提携先との連携強化に取り組み、適正な審査を継続するとともに、債権内容や広告の効果等に関する分析結果の提供、及び提携先の業績向上や安定成長に向けた各種支援を行っております。信用保証事業収益は、保証口座件数の増減や保証口座1件あたりの残高の増減、提携先から受領する保証料率等に伴って変動することから、これらに関連する様々な外的要因により、当社及びエム・ユー信用保証株式会社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、外的要因の例としては、銀行等金融機関に係る司法判断や法的枠組みの変更、大規模な事故・災害・感染症拡大等に伴う個人消費の減退等が挙げられます。

 

 

③ 海外金融事業について

当社グループは、海外金融事業において、タイ王国のEASY BUY Public Company Limited(以下「EASY BUY」)、フィリピン共和国のACOM CONSUMER FINANCE CORPORATIONが(以下「ACF」)の2社が、個人向け無担保ローン事業に取り組んでおります。海外金融事業収益は、顧客口座件数の増減や顧客口座1件あたりの残高の増減、顧客から受領する約定金利、日本円と現地通貨との為替レート等に伴って変動することから、これらに関連する様々な外的要因により、EASY BUY及びACFの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、外的要因の例としては、進出国における司法判断や法的枠組みの変更、競合他社との競争環境激化、大規模な事故・災害・感染症拡大等に伴う個人消費の減退、為替レートの変動等が挙げられます。

 

(2) 与信費用の増加について

当社グループは、総資産の大半を占めている営業貸付金・割賦売掛金・求償債権について、貸出先の状況等に基づき、貸倒費用(貸倒引当金繰入額及び債務保証損失引当金繰入額の合計額)を計上しておりますが、今後の経済情勢、市場環境、社会構造の変化や、法制度の改正等により、返済金の支払遅延及び未回収貸付金が増加するおそれがあります。その結果、貸倒費用の増加等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 外的要因により影響を及ぼす事態について

① 新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症は未だ収束に至っておらず、感染再拡大となった場合には、国内外の経済がさらに下振れするリスクが存在しております。以下記載の内容により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・店舗の臨時休業や自動契約機の営業時間の短縮、コールセンター等の営業日・営業時間の見直しによる一部業務の縮小、外出自粛等に伴う資金需要の低下によるローン・クレジットカード事業残高、信用保証事業残高、海外金融事業残高、営業収益の減少。

・お客さまの収入減少等に伴う債権内容の悪化による、貸倒関連費用の増加。

 

② 事故・災害等について

大規模な地震、風水害、津波等の自然災害、新たな感染症の流行等の外的要因による、事故災害の発生時に対し、様々な対策の検証並びに整備に努めておりますが、この様な事象が発生することにより、当社の店舗、施設への損害、または従業員、お客さまへの人的被害等があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) ITリスクについて

当社グループは、大規模なコンピュータシステムを保有しており、各拠点をはじめ、お客さまや外部接続先等のシステムと通信ネットワークを使用し情報を処理しております。

当社グループは、システムの安定稼動のため、システム計画・開発及び運用の面からシステム障害等の未然防止に努めるとともに、不測の事態に備えた体制や手順の整備、訓練等の対策も講じておりますが、システム障害やサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、災害等の外生的事象等を起因としたシステムの停止・誤作動または不正使用、あるいは電子データの改ざん・漏洩、または通信会社及びコンピュータシステム事業者のサポート停止等を完全には防止できない可能性があります。

その場合は、お客さまサービスの提供や当社グループの営業に支障を来し、当社グループへの信頼が損なわれ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 利息返還金の増加について

当社のローン事業においては、2007年6月17日以前に契約締結したローン商品の貸付金利等は、「利息制限法」の上限金利を上回るものがあります。

「利息制限法」の上限金利の超過部分については無効とされておりますが、2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行される前の利息制限法の下では、債務者が当該超過部分を任意に支払ったときは、その返還を請求することはできないとされ、また、完全施行前の貸金業法附則第13条においても、一定の要件を満たしていれば、有効な利息の債務の弁済とみなすとされておりました。

しかしながら、2006年1月13日の最高裁判所判決において、約定利息の返済が遅れた場合に期限の利益を喪失する契約条項が付されたケースでは、利息制限法超過部分の支払を強制することになるため、任意性を要件とする「みなし弁済の要件」が充たされていないとの判決が下されたことを理由として、消費者金融事業を営む各社に対し、支払金等の返還を求める訴訟が複数提起されており、このような請求を認める判決も複数下されております。

当社のお客さまが、貸付金の減額や過剰支払金等の返還を求める場合、当社は貸付金の放棄や支払金等を返還することがあります。また、これによる貸付金放棄額や支払金等返還額(以下「利息返還損失」という。)は、着実に減少しているものの、引き続き、返還請求件数等の状況を注視しております。今後、利息返還損失の発生状況や利息返還損失引当金の計上、並びに利息返還を求める訴訟において、当社を含む貸金業者にとって著しく不利となる司法の判決等が、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) コンダクトリスクについて

当社グループは、コンプライアンスを実践していく上で自覚すべき「基本的な価値観や方針」、それを実践していくために遵守すべき「行動基準」を定めた「アコムグループ倫理綱領・行動基準」を制定し、役職員に対する研修等を通じて、正しい行動を実践するカルチャーの醸成に努めております。また法令違反や不正行為の防止・発見のために予防策を講じるとともに、顧客保護等を目的とした消費者啓発活動、与信業務の厳格化や取引モニタリング等に取り組んでおります。

しかしながら、役職員の不適切な行為や社会規範から逸脱した行為等が原因で、お客さま及び消費者金融市場の信用失墜により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 資金調達について

当社グループは、営業活動と債務の返済のために必要な資金については、金融機関等からの借入金による資金調達と、社債発行等による資本市場からの資金調達を行っております。

しかしながら、既存の主要借入先が、金融グループの再編成、またはそれ以外の要因により、当社グループに対する貸出政策を変更する可能性があることに加え、資本市場が将来的にも依拠できる資金調達源として利用ができない可能性があります。

また、市場金利の急上昇、当社の業績悪化、信用格付の変動等によっては、資金調達能力が低下し、金融費用の増加や資金調達額に制約を受け、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

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