当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況は、以下のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は1,646億61百万円増加(前連結会計年度末比、以下(1)において同じ。)し1兆5,812億31百万円となりました。このうち流動資産は1,630億31百万円増加し1兆5,057億7百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が167億70百万円増加し1,003億60百万円となり、有価証券担保貸付金が1,437億54百万円増加し5,515億83百万円となりました。また、固定資産は、ソフトウェアが33億47百万円増加し58億79百万円となったことなどから16億30百万円増加し755億23百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は1,517億78百万円増加し1兆3,956億63百万円となりました。このうち流動負債は1,117億71百万円増加し1兆2,548億45百万円となりました。主な要因は、トレーディング商品が653億19百万円増加し4,446億13百万円となり、約定見返勘定が689億29百万円増加し781億70百万円となる一方、有価証券担保借入金が419億45百万円減少し3,267億25百万円となりました。また、固定負債は、社債が167億22百万円増加し285億85百万円となり、長期借入金が231億円増加し1,073億円となったことなどから、固定負債合計は399億38百万円増加し1,401億14百万円となりました。
当連結会計年度末の利益剰余金は71億89百万円増加し1,145億80百万円となり、純資産合計は128億83百万円増加し1,855億68百万円となりました。
当連結会計年度の受入手数料の合計は20.5%増加(前連結会計年度増減率、以下(2)において同じ。)し375億75百万円を計上いたしました。
当社の主要子会社である東海東京証券株式会社の株式委託売買高は23.6%減少し26億41百万株、株式委託売買金額は12.6%減少し5兆3,508億円となり、当社グループの株式委託手数料は2.0%減少し132億66百万円の計上。委託手数料全体では横ばいの139億29百万円を計上いたしました。
株式は3.5%減少し7億22百万円を計上いたしました。一方、債券は86.7%増加し6億10百万円の計上となり、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では23.9%増加し13億33百万円を計上いたしました。
受益証券は、グループ会社の増加により54.0%増加し99億31百万円の計上となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料全体では53.8%増加し99億39百万円を計上いたしました。
投資信託の代行手数料は60.4%増加し58億51百万円、保険手数料収入は15.3%増加し36億93百万円の計上となり、その他の受入手数料全体では27.6%増加し123億72百万円を計上いたしました。
当連結会計年度の株券等トレーディング損益は27.6%減少し161億85百万円の利益の計上となり、外貨建債券や仕組債の売買を中心とした債券・為替等トレーディング損益は53.1%増加し178億13百万円の利益を計上いたしました。この結果、トレーディング損益の合計は横ばいの339億98百万円の利益を計上いたしました。
当連結会計年度の金融収益は124.9%増加し94億1百万円を計上いたしました。また、金融費用は17.4%増加し27億26百万円を計上し、差引の金融収支は259.2%増加し66億75百万円の利益を計上いたしました。
当連結会計年度の取引関係費はIFA仲介手数料の増加やグループ会社の増加などから28.6%増加し131億27百万円となりました。また、グループ会社の増加などにより、人件費は17.5%増加し323億20百万円、不動産関係費は13.8%増加し77億32百万円、事務費は28.0%増加し86億45百万円となりました。この結果、販売費及び一般管理費の合計は19.2%増加し683億68百万円を計上いたしました。
当連結会計年度の営業外収益は、持分法による投資利益11億79百万円、受取配当金6億72百万円などを計上し、営業外収益の合計は3.3%増加し33億41百万円となりました。また、営業外費用は、投資事業組合運用損が2億4百万円などを計上し、営業外費用の合計は34.3%減少し2億43百万円となりました。
当連結会計年度の主な特別利益は、エース証券の完全子会社化に伴い特別利益として負ののれん発生益82億68百万円を計上し、特別損失として段階取得に係る差損24億73百万円を計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は16.7%増加し809億75百万円、純営業収益は16.7%増加し782億49百万円となり、営業利益は2.0%増加し98億81百万円、経常利益は3.4%増加し129億79百万円を計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は44.6%増加し131億50百万円を計上いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フローは56億72百万円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益が178億28百万円の黒字となり、トレーディング商品(資産)が607億61百万円減少し、トレーディング商品(負債)が653億19百万円増加し、それぞれ収入となる一方で、信用取引資産が247億14百万円増加し、有価証券担保貸付金が1,437億54百万円増加し、有価証券担保借入金が419億45百万円減少し、それぞれ支出となったことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは230億11百万円の支出となりました。これは、短期貸付けによる支出276億96百万円、有形固定資産の取得による支出10億62百万円、無形固定資産の取得による支出31億20百万円、投資有価証券の取得による支出31億41百万円、投資有価証券の売却による収入29億83百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入45億39百万円、などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは323億55百万円の収入となりました。これは短期借入金の純増減額が△59億72百万円、長期借入れによる収入261億円、配当金の支払による支出59億61百万円などによるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物は164億91百万円増加し、当連結会計年度末の残高は984億42百万円となりました。
トレーディング商品の残高は次のとおりです。
トレーディング業務のリスク管理の状況については「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」の注記事項(金融商品関係)に記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)のわが国経済は、新型コロナ感染が拡大と収束を繰り返す中、経済活動抑制策が維持されたことを受けて個人消費の停滞が続きました。また供給サイドでは、部品・部材不足から自動車業界を中心に生産縮小の動きが拡大しました。その結果、日本経済は四半期毎にプラス成長とマイナス成長を交互に継続するなど、景気正常化の遅れが顕著となりました。足元では、資源や一部商品の価格上昇や円安等による物価高の影響が不安視されています。
一方、海外経済は、「ウィズ・コロナ」の政策の下で一定以上の経済活動を維持、回復基調を継続しました。足元では欧米の主要国において、インフレ上昇が大きな問題となっており、これに対抗するために各国中銀が金融引き締めを積極化させつつある点は、今後の不安材料として注視していく必要があります。
日本株市場では、4月に29,400円台で始まった日経平均が新型コロナ感染拡大等を受け夏場にかけて弱含み、8月には一時27,000円を割り込みました。しかし、9月初めの菅首相(当時)の退陣表明を機に急反発し、同月中旬には一旦30,000円台を回復しました。ところが自民党総裁選での岸田新総裁の誕生を機に成長・改革への期待感が後退、日経平均はその後年末にかけて28,000円台を中心とするボックス相場を継続しました。年明け以降は、米金利上昇やウクライナ情勢の悪化等を受けて下落基調が継続、3月初旬には一時25,000円を下回りました。その後は反発したものの、最終的に27,800円台で期末を迎えています。なお、4~3月の東証1部の1日当たり平均売買代金は3兆1,687億円となり、前年同期の2兆8,090億円を上回りました。
米株市場では、4月に33,000ドル近辺で始まったダウ平均が、景気正常化を背景に概ね上昇基調を継続しました。9月にやや大きな調整はあったものの、10月には好決算を材料に再度上値を追う展開となり、11月初旬には過去最高値となる36,500ドル台を付けました。その後、同月終盤の新型コロナ変異種(オミクロン株)検出の報道を受け、ダウ平均は一時34,000ドル近辺まで下げたものの、景気正常化シナリオが崩れない中、年末にかけて反発、年明け4日には最高値を36,799.65ドル(終値ベース)まで伸ばしました。その後はFRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派化や、ウクライナ情勢の悪化などを背景に一時32,200ドル台まで下落しましたが、悪材料織り込み後は反発に転じ、最終的に34,600ドル台で3月末を迎えました。
日本の長期金利の指標である10年物国債利回りは4月に0.12%で始まった後、国内景気の先行き懸念から8月には期中最低金利となるゼロ%をつけました。その後は年末にかけて概ねゼロ%から0.10%の間で推移しました。年明けからは米金利上昇につれ高くなり、3月28日に0.25%まで急伸しましたが、日銀の「指し値オペ」により0.21%で3月の取引を終えました。
一方、米長期金利(10年物国債利回り)は4月に1.74%で始まった後、市場予想を下回る米経済指標や世界的な新型コロナ(デルタ株)拡大などから米国債需要が高まり、8月には期中最低金利となる1.13%をつけました。その後は、FRBの金融政策の正常化観測を背景に上昇を続け、3月28日に期中最高金利となる2.55%をつけ、2.34%で3月の取引を終了しました。
為替市場では、ドル円が4月に1ドル110円台で始まった後、23日には期中最安値の107円台をつけました。9月半ばにかけて110円前後で推移した後、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で資産買入縮小が示されるとドル高が進行し、ドル円は115円台を回復しました。ウクライナ紛争による安全通貨としての円買いは限定的で、日米金利差拡大や日本の貿易赤字定着などを背景に3月28日には6年7ヵ月ぶりの高値となる125円台まで急伸し、121円台で3月の取引を終えました。
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、自己の計算により株式及び債券等の有価証券を保有するのに多額の資金を必要とするため、十分かつ安定的な流動性を確保しております。
主な資金調達手段としては現先取引等の有担保調達、市中銀行等の金融機関借入、MTN及び短期社債の発行、コールマネー等の方法があり、資金繰り状況に応じた適切な組合せにより資金調達を行っております。
なお、東海東京証券株式会社においては、有事の際の資金調達手段として市中銀行と総額430億円のコミットメントライン契約を確保しております。また、リスク管理では関連規程に基づいて日次、週次、月次で資金繰り管理を行っている他、コンティンジェンシー・プランについても4段階の想定シナリオに基づいたリスク管理を実施しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、トレーディング商品に属する商品有価証券等及びデリバティブ取引については、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として計上しております。商品有価証券等及びデリバティブ取引については、取引所等の市場価格により時価を算定しております。ただし、市場価格がない商品有価証券等及びデリバティブ取引については、主に金利、配当利回り、原証券価格、ボラティリティ、契約期間等を基に将来のキャッシュフローの現在価値を見積もることにより時価を算定しており、異なる前提条件等を採用した場合には当該時価が変動する可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係維持のため、特定の取引先の株式を所有しております。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、「金融商品に関する会計基準」に基づき減損処理を行っております。市場価格のある株式については、株式の時価が一定期間継続して取得原価を30%以上下回り続けたとき等、下落が一時的ではないと判断します。市場価格のない株式については、1株当たり純資産額が取得原価の50%以下となった場合等、実質価額が著しく下落し回復可能性がないと判断した場合に減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、減損処理を行っております。資産又は資産グループの回収可能価額は、時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか高い金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定及び予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しております。従って、固定資産の使用方法を変更した場合、不動産取引相場等が変動した場合及びのれんが認識された取引において取得した事業の状況に変動が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響は、当事業年度末時点での将来キャッシュ・フローの見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。
従業員(執行役員を除く。)に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、退職率、昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待収益率等が含まれております。当社グループの退職年金制度においては、割引率は期末における安全性の高い長期の債券の利回りにより、退職率は直近3年間の実績に基づいております。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定はイールドカーブ等価アプローチによる方法により算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当金の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得の発生及び税務計画を検討いたします。当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、業績変動の幅が大きく、長期にわたる課税所得の発生を予測することが困難でありますが、策定した経営計画の期間以内の一定期間を、将来の課税所得の見積り期間としておりますので、翌事業年度以降の課税所得の発生見積りによって、評価性引当金が増減し、繰延税金資産の調整額が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響は、翌事業年度以降の課税所得の発生見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。
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