課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

① 経営の基本方針

当社グループは、「今までの日本にない証券会社をつくろう」を合言葉とし、「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」を目指しています。その実現に向け、当社はクレド(企業理念)の下、経営の公正性及び透明性を高め、機動的かつ適切な意思決定を行うことにより、業績の向上と企業価値の最大化を図りつつ、コーポレート・ガバナンスの強化充実に努めていくことを経営上の重要課題としております。また、指名委員会等設置会社の形態を採用し、加えて執行役員制度を導入することにより、業務執行の迅速性、実効性を高めるとともに業務執行に対する監督の強化を図っております。

 

  〔いちよしのクレド(企業理念)〕

・経営理念 「お客様に信頼され、選ばれる企業であり続ける」

・経営目標 「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」

・行動指針 「感謝・誠実・勇気・迅速・継続 Long Term Good Relation」

 

② 業務運営体制

当社グループの業務運営体制は「トライアングル・ピラミッド経営」を推進しています。

リサーチをベースにリテール部門、法人部門、サポート・商品部門の正三角形4面体を本社部門や関係会社が土台として支えることにより、各部門及び関係会社の機能を最大限に発揮させると同時に、各部門のコ・ワーク(共同業務推進)によるシナジー効果を図ることを目的とした経営スタイルです。この業務運営体制により、お客様により良い商品、より良い情報、より良いサービスをご提供し、その結果として、お客様の大切な金融資産の運用及び企業経営のお役に立つことになると考えております。

 

③ 20年振りの「改革の断行」

当社は、「いちよしのクレド」の経営理念を実現するために経営目標として「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」の構築を目指しております。また、「お客様からの信頼」と「いちよしの基礎体力」のバロメーターである「預り資産」を経営の最重要指標として位置づけ、預り資産の拡大を図ることにより、持続的な成長の実現に努めております。

また、当社は長年、お客様との信頼関係を何より一番としたサービスのご提供を続けて参りましたが、コロナ禍を含めた急速な環境変化に迅速に対応すべく、現在、お客様本位の業務運営をさらに推進するための20年振りの「改革の断行」を進めております。

この「改革の断行」は、最重要経営指標である「預り資産」の拡大をさらに進め、お客様本位の「ストック型ビジネスモデル」への転換をより一層推進することを目標にしており、当社が20年来掲げて参りました「仕組み債は取り扱わない」「個別外国株は勧誘しない」などの「お客様のためにならない商品は取り扱わない」という7つの原則「いちよし基準」にもとづく「売れる商品でも、売らない信念」に加えて、お客様のために為すべきこととして「お客様独自のオーダーを仕立てる信念」を新たなもう一つの柱として掲げ、お客様1人1人のニーズに即したオーダーメイドのポートフォリオ提案に取り組んでおります。

 

 

  〔「改革の断行」の基本戦略〕

 1.クレドの徹底

      いちよしの永続的な成長のベースになる経営理念

 2.預り資産の拡大

    預り資産は経営の最重要指標

    預り資産はお客様からの信頼といちよし基礎体力のバロメーター

      「顧客戦略」「チャネル戦略」「商品戦略」

 3.収支構造の改善の継続

    株式市場の変動に影響されない収支構造の促進

  「安定収益」「ドリコレ・投信によるコストカバー率の向上」

  「コストカバー率は、ストック型ビジネスモデルの進捗状況のメルクマール」

  「生産性向上、コスト削減、小さな本社作り」

 4.いちよしグループの総合力

      トライアングル・ピラミッド経営

      「中小型成長株特化」「富裕層ビジネス特化」

 5.コンプライアンスの実践

   コンプライアンスは競争力の源泉

  お客様本位のよりグレードアップしたコンプライアンス

      「法令遵守は絶対」「クレドの精神に合ったお客様目線の適合性重視」

 6.人材の増強と育成

   人材こそが成長の源泉

   「アドバイザーの質の向上」「若手アドバイザー、次期管理職の育成」

      「女性・シニア層の積極的活用・登用」「本社・本部のバックアップ力強化」

 7.「働きやすい・やりがいのある職場」作り

   社員のやる気アップ

   意欲を持って仕事をやる人にとってはずっといたい会社

   「縦・横のコミュニケーションの充実」「人事制度・評価制度の見直し」

      「職場環境の改善」「仕事のやり方見直し」

 

中期経営計画「アタック3」

当社は、お客様本位の「改革の断行」を行うための具体的な目標として、2020年4月から2023年3月末を計画期間とした中期経営計画「アタック3」を策定しております。

「アタック3」では、2023年3月末までの3年間で、預り資産を3兆円へと拡大することに挑戦するとともに、当社が約20年前から取り組んでおります、売買手数料を中心とした「フロー型ビジネスモデル」から信託報酬やラップフィーを中心とした「ストック型ビジネスモデル」への転換の指標となる「コストカバー率」の目標も60%に設定しております。

 

中期経営計画「アタック3」の項目と数値目標及び当期末実績は以下のとおりです。

 

 〔中期経営計画〕

項  目

数値目標(2023年3月末)

[当期末実績]

預り資産

3兆円

1兆9,517億円

ROE

(自己資本当期純利益率)

15%程度

8.6%

主幹事会社数(累計)

80社

64社

コストカバー率

60%

52.8%

 

   ※コストカバー率=(信託報酬+ラップフィー)/販売費・一般管理費

 

 

(2) 対処すべき課題

この数年来、低金利の長期化や100年人生の進捗を背景として「貯蓄から投資へ」そして「貯蓄から資産形成へ」の流れが本格化していくなかで、我が国の証券界は、お客様本位のビジネスを展開することが強く求められて参りました。

当社は長年「いちよしのクレド」の下、お客様との信頼関係を最優先としてサービスのご提供を続けて参りましたが、コロナ禍を含めた急速な環境の変化に対応すべく、お客様本位の業務運営をより一層進めるために2019年より20年振りの「改革の断行」に取組んでおります。

その一環として経営陣の大幅な若返りとスリム化を実施するとともに、地区アドバイザー本部制を廃止し、営業推進体制を従来の本社本部主導から支店主導の体制に切り替え、地域特性に沿った1人1人のお客様のニーズに細やかにお応えできるような体制を整えるなど、真にお客様本位といえる業務運営のための様々な改革を現在進めております。

当社は20年来、リスク・リターンの仕組みなどが複雑でお客様による理解が難しい、お客様のためにならない商品は取り扱わないという7つの原則「いちよし基準」を掲げ、「売れる商品でも、売らない信念」として売買手数料中心のフロー型ビジネスモデルから、投資信託の信託報酬やラップフィーの安定収益を中心とした「ストック型ビジネスモデル」への転換を目指して参りました。この度の「改革の断行」は、中期経営計画「アタック3」のもと、最重要経営指標である「預り資産」の拡大をさらに進め、「ストック型ビジネスモデル」への転換をより一層推進することを目標にしており、新たに、お客様のために為すべきこととして「お客様独自のオーダーを仕立てる信念」をもう一つの柱として掲げております。

また、改革の一環として、不採算業務でありかつ当社の経営において相対的に重要性が低下してきた引受け業務を2022年12月末を目途に取り止め、金融資産運用アドバイス業務により一層特化することを決定しております。

さらに、当社では現在、お客様の利便性向上の観点から、特に首都圏における既存店舗を分支店化した小型店舗(プラネットプラザ)を増設して参りました。今後も、お客様に対してより身近な存在となれるような店舗網の更なる充実に努めて参ります。

また、当社はかねてより従業員の労働条件や職場環境、人事制度、人材育成を経営の重要課題として参りましたが、「人材の増強と育成」・「働きやすい・やりがいのある職場」作りを「改革の断行」 の基本戦略のひとつとして位置づけ、引続き、具体的な取組みを進めて参ります。

 

当社の経営目標である「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」への登頂を目指すための「改革の断行」は現在6合目位という状況です。引続き、「ブランド・ブティックハウス」の山頂を目指して、当社の強みであるいちよしのグループ力(いちよし証券のアドバイス力、いちよし経済研究所のリサーチ力、いちよしアセットマネジメントの運用力)とコンプライアンス力(お客様満足度)を活かし、「改革の断行」の基本戦略を柱に、預り資産の拡大を核とした成長の実現に努めて参ります。

 

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