課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、中核となる金融商品ビジネスを展開するうえにおいて、お客様の最善の利益を最優先とする「顧客第一主義」の基本方針のもと、個々の取引志向やリスク許容度に応じた最適な商品、サービスの提供を通じ、お客様との強固な信頼関係の構築に努めて参ります。また、経営陣・管理職・一般社員が三位一体となった「全員参加型経営」を実践し、持続的な企業価値の向上を目指して、グループ一丸となって取り組んで参ります。

 

(2)経営戦略等

 2022年3月期を最終年度とした第4次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)では、市場動向に左右されない強固な収益基盤の構築や競争力の強化を図るべく各重点施策及び数値目標を策定し、当該達成に注力して参りました。その結果、海外金融商品の残高積み上げ、業界平均を上回るROEと上位ランクの維持及び株主への適切な利益還元については、達成することができました。一方、安定収益による固定費カバー率は、同計画期間を通じて改善しつつありますが、目標に掲げた50%には届かず、今後も継続して取り組むべき課題としております。

 当該計画の骨子とその結果及び取り組み状況は以下のとおりであります。

 

1.マーケット環境に応じた商品の提供

海外金融商品(株式・債券・投信)の残高積み上げ(2022年3月末残高目標:4,000億円台)

→2020年3月末:2,973億円、2021年3月末:4,755億円、2022年3月末:5,034億円

2.安定収益の拡大

安定収益(金融収支、信用取引関連手数料、投信信託報酬手数料)による固定費カバー率50%

→2020年3月期:31.4%、2021年3月期:31.5%、2022年3月期:35.5%

3.効率化による生産性向上

テレワークやRPAを活用した業務の効率化

4.資本効率を意識した経営

業界平均(※)を上回るROEと上位ランクの維持

 2020年3月期 当社ROE 5.4%(17社中2位) > 主要証券16社平均値2.1%

 2021年3月期 当社ROE10.0%(17社中2位) > 主要証券16社平均値6.3%

 2022年3月期 当社ROE 6.7%(17社中6位) > 主要証券16社平均値5.2%

 ※業界平均とは、ネット専業証券を除く上場証券及び主要証券16社の平均値

5.株主還元策

1株当たりの年間配当金40円を下限に設定するとともに、総還元性向を50%以上とする

 2020年3月期 年間配当金  75円、総還元性向65.2%

 2021年3月期 年間配当金 117円(過去最高)、総還元性向51.3%

 2022年3月期 年間配当金  80円、総還元性向50.0%

6.M&Aやアライアンスの模索

当中期経営計画期間中における案件はなし

7.SDGsの継続的な取り組みと推進

SDGs関連商品の販売(債券、投資信託)を通じた貢献

営業資料等を電子書面化しペーパーレスを推進

環境に配慮した頒布品などを積極的に利用

社会貢献積立金制度の導入

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同

古い紙幣(紙幣裁断屑)を再利用した封筒の導入

「パートナーシップ構築宣言」を公表

 

 2023年3月期を起点とする新たな中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、前中期経営計画の結果並びに現状の課題を踏まえて、以下のとおり策定いたしました。当社グループの持続的な企業価値のさらなる向上を目指して、役職員一同、当該計画の達成に全力で取り組んで参ります。

 

<第5次中期経営計画骨子(2023年3月期~2025年3月期)>

1.営業施策・基盤強化

・お客様ニーズと最善の利益の追求

・デジタル活用による営業推進

・ネット取引サービスの拡大

2.財務目標・株主還元

・安定収益による固定費カバー率50%以上(最終年度)

・資本効率を意識した経営

・安定配当の継続と業績連動の利益還元

3.ESG/SDGsへの取り組み強化

 

(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 新型コロナウイルス感染症との共存は3年目を迎え、この間、ウィズコロナ社会への変化に対応すべく、当社グループの中核事業である証券営業部門は、Web会議システムによるリモート面談やWebセミナーの開催などIT技術を活用した「進化した対面営業」のサービスを推進して参りました。今後も引き続き、お客様の資産運用に係る投資アドバイザー能力の向上や、金融・商品知識の習得を目的とした研修を重ね、お客様の投資活動に貢献できる金融のプロフェッショナルを育成するとともに、進化し続けるデジタル社会に対応可能なITリテラシーの高い人材の育成を図り、多様な金融サービスの提供に向けた施策を講じて参ります。このような取り組みは、お客様満足度の向上を目的とする顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)に通じ、当社グループの一層の企業価値向上に資するものと確信しておりますが、更なる当社グループの発展に向けて、以下の項目を対処すべき課題と認識しております。

 

①投資環境やお客様ニーズの変化に即した金融サービスの提供

 日々刻々と変化する投資環境において、証券会社の営業員は、お客様それぞれのニーズを理解し、お客様一人ひとりに最適な金融サービスを提供することが重要であると認識しております。そのため、営業部門・投資調査部門・商品部門が三位一体となり、有益な投資情報の提供と先見性のある魅力的な金融商品の発掘に鋭意取り組み、お客様にご満足頂ける金融サービスの提供に努めて参ります。

 

②強固な収益基盤の構築

 当社グループの持続可能な企業価値の向上には、マーケット環境に左右されない強固な収益基盤を構築することが重要であると認識しております。その実現に向け、お客様の中長期的な資産形成において大きな役割を担う投資信託の残高増大に注力するなど、お客様の資産拡充とともに安定的なストック収入の拡大に取り組んで参ります。

 

③顧客の高齢化と顧客基盤の拡大

 高齢化社会が進展する中において、個人金融資産に占める高齢者の保有割合は年々上昇しており、顧客の高齢化は深刻な問題と認識しております。高齢者における資産運用ニーズは、各個人それぞれの環境に応じて多様化しており、当社グループにおいては、次世代への資産承継に関するアドバイスや、高齢者に対する顧客本位の営業姿勢が一層重要であると考えております。一方で、若年層などの投資未経験層や現役世代などの新たな顧客基盤の拡大には、デジタルを活用した新しいアプローチ手法に加え、これらの投資家層に即した商品やサービスの提供を行う必要があると認識しております。特にインターネット取引における商品の拡充及びお客様に対するサポート体制の充実が重要であり、今後も、様々なサービスの提供に取り組み、顧客基盤の拡大に注力して参ります。

 

④コンプライアンスの強化

 お客様との信頼関係を構築するうえで、コンプライアンスの強化が重要であると認識しております。役職員に対しては、コンプライアンスに関する研修を継続的に実施し、コンプライアンスに関する意識の醸成に尚一層努力を傾注して参ります。また、お客様と営業員との通話内容について、AI(人工知能)を活用し、より精緻にモニタリングを行うなど、更なるコンプライアンス体制の強化に努めております。更に、通話記録の解析データをコンプライアンス教育・研修に活用し、顧客本位の倫理観を持った従業員の育成に努めて参ります。

 

⑤サステナビリティへの取り組み強化

 持続可能な社会に向けた取り組みであるESG(環境・社会・企業統治)、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献することは、企業の社会的責任であると認識しております。社内においては、事務処理の電子化(ペーパーレス化)や低燃費車の採用、環境に優しい素材の頒布品や封筒を導入するなど、環境問題の解決に貢献すべく役職員一丸となり取り組みを推進して参ります。このほか、ESG・SDGsの視点を組み入れた投資信託や債券の販売を通じ、お客様と一体となってこの問題に取り組んで参ります。

 

 2023年3月期を起点とする新たな中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)におきましては、これらの課題を念頭に策定しておりますが、引き続き、お客様本位のサービスの向上に努めるとともに、コンプライアンスにも万全を期し、役職員一同、当該計画の達成に全力で取り組み、持続的な企業価値の向上を目指して参ります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、企業価値の向上を目指すうえにおいて、自己資本に対する利益率を高めることが重要であるとの認識のもと、ROEを経営上の重要指標と捉えています。もっとも、当社グループの業績は、経済情勢や市場環境の変動により大きく影響を受ける状況にあるため、目標の設定に関しては、ROEの絶対値ではなく、主要な証券会社16社(ネット専業証券会社を除く)の平均値を上回るROEと、比較対象(当社含む17社)の中での上位ランクの維持を目指して参ります。

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