業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境の改善等から緩やかな回復基調で推移したものの、消費税率の引き上げに伴う消費マインドの動向や、新型コロナウィルスが経済に与える影響等、先行き不透明な状況が継続しました。外国為替市場において、米ドル/円相場は、1ドル=110円台後半で取引が始まり、米中貿易摩擦等の相場変動要因があったものの、総じてボラティリティが低調な状況が続きました。しかしながら、年明け以降、新型コロナウィルスの感染が世界中に広がりを見せると、世界的な株価下落とともにドルも急落し、一時は1ドル=101円台前半の安値をつけましたが、その後は各国の政策対応が市場にも好感され、107円台半ばで期末を迎えました。

 このような経済状況のもとで、当社は 注力事業である「トライオートFX/ETF」サービスの成長に伴い、最大のボトルネックとなっていたシステムの安定稼働、障害の未然防止を最優先としてシステム戦略の見直しを行い、注文処理能力の大幅改善や、取引量の急増に耐えうる体制を構築すると同時に、ITコスト及び管理費の削減を実現しました。この間、新規顧客獲得のための広告宣伝活動を抑制したことに伴い、一時的に収益が減少したものの、年度末にかけての取引量が大幅増加したことにより、最終利益は概ね前期並みとなりました。

 これに、不動産プロジェクトファイナンス事業を行う子会社インヴァストキャピタルマネジメント株式会社(以下「ICM」といいます。)の業績を加えた結果、国内金融事業は、小幅ながら増収・増益で着地しました。

 その一方で、3期連続で増収増益を継続していた豪州子会社Invast Financial Services Pty Ltd.( 以下「IFS」といいます。 )は、新たな成長フェーズに入り、グローバルな事業展開を加速させていましたが、DMACFD(取引所約定型個別株証拠金取引)事業において、特定銘柄の価格急落により顧客(法人1社)の決済損に対する不足金(立替金)が発生し、当該不足金(立替金)に対する貸倒損失2億54百万円を、販売費・一般管理費に計上しました。当社グループは、この事態を重く受け止め、今後のリスク軽減策として、口座開設時手続きの厳格化や、より保守的な必要証拠金維持率の設定、リスクモニタリングの強化等、取引管理体制の整備を行いましたが、これに伴い、一定の顧客が減少したことと、貸倒損失の計上によるコストアップの影響により、海外金融事業は、2016年3月期以来、4期ぶりの営業赤字となりました。

 こうして、当社グループの当連結会計年度の営業収益は48億29百万円(前年同期比105.1%)、純営業収益は46億4百万円(同103.7%)となりました。 販売費・一般管理費は全体で42億50百万円(同113.9%)となり、純営業収益から販売費・一般管理費を差し引いた営業利益は3億54百万円(同50.1%)、経常利益は4億11百万円(同61.2%)、 親会社株主に帰属する 当期純利益は2億57百万円(同53.0%)となりました。

 

当連結会計年度の主要な収益・費用等の状況は次のとおりであります。

 

(受入手数料)

当連結会計年度の受入手数料の合計は7億3百万円(前年同期比103.8%)となりました。

内訳は以下のとおりであります。

・取引所為替証拠金取引に係る受取手数料   3億8百万円(前年同期比97.3%)

・委託手数料                  32百万円(同225.0%)

・投資顧問料                  10百万円(同58.5%)

・その他の受入手数料            3億51百万円(同107.2%)

 

(トレーディング損益)

当連結会計年度におけるトレーディング損益は、34億6百万円(前年同期比99.1%)の利益となりました。

これは店頭FX/CFD取引によるものであります。

 

(金融収支)

 当連結会計年度における金融収益は、3億62百万円(前年同期比159.7%)となりました。

 一方、金融費用は2億24百万円(前年同期比144.3%)となり、これを差し引いた金融収支は1億37百万円(同193.7%)となりました。
 

(販売費・一般管理費)

当連結会計年度における販売費・一般管理費は、42億50百万円(前年同期比113.9%)となりました。

主な内訳は以下のとおりであります。

・取引関係費                9億26百万円(前年同期比102.6%)

・人件費                  13億59百万円(同116.3%)

・不動産関係費               12億22百万円(同96.7%)

・事務費                    34百万円(同138.6%)

・減価償却費                2億13百万円(同108.0%)

・租税公課                 1億40百万円(同130.7%)

・貸倒引当金繰入額               1百万円(同111.5%)

・貸倒損失                 2億54百万円(同-%)

・その他                    97百万円(同153.1%)

 

  (営業外収益)

 当連結会計年度においては86百万円の営業外収益を計上しており、その内訳は以下のとおりであります。

・為替差益                   74百万円

・未払配当金除斥益               1百万円

・匿名組合投資利益               10百万円

・受取利息                   0百万円

 ・その他                    0百万円

 

(営業外費用)

 当連結会計年度においては29百万円の営業外費用を計上しており、その内訳は以下のとおりであります。

・固定資産除却損                17百万円

・解約違約金                  8百万円

・支払利息                   3百万円

・その他                    0百万円

 

(特別利益)

 当連結会計年度においては7百万円の特別利益を計上しており、その内訳は以下のとおりであります。

・新株予約権戻入益               3百万円

 ・金融商品取引責任準備金戻入          3百万円

 

(特別損失)

 当連結会計年度においては21百万円の特別損失を計上しており、その内訳は以下のとおりであります。

 ・本社移転費用                 21百万円

 

 セグメントの業績概況は次のとおりであります。

 

(国内金融事業)

 国内金融事業においては、当社が取引所FX/CFD、店頭FX/CFD事業を行っております。

 また、子会社ICMが貸金業(不動産業者向けファイナンス、中小企業向け事業資金ファイナンス等)を行っております。国内金融事業の純営業収益は31億67百万円(前年同期比104.1%)となり、セグメント利益は3億87百万円(同107.2%)となりました。

 

(海外金融事業)

 海外金融事業においては、オーストラリアの子会社IFSが店頭FX/CFD及び証券取引を行っております。 IFSの決算日は12月31日となっているため、当連結会計年度においては、2019年1月から12月までの実績を反映しております。

 海外金融事業による純営業収益は14億71百万円(前年同期比103.9%)となり、セグメント損失は44百万円(前年同期は3億43百万円のセグメント利益)となりました。

 

 財政状態の概況は次のとおりであります。

 

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して32億77百万円減少し1,079億3百万円となりました。流動資産は、34億89百万円減少し1,067億3百万円となりました。

 流動資産の主な増加項目は、現金・預金の増加23億57百万円、外為取引未収入金の増加47億16百万円、短期貸付金の増加5億7百万円であり、一方、主な減少項目は、預託金の減少29億10百万円と短期差入保証金の減少82億92百万円であります。

 また、固定資産は、前連結会計年度末と比較して2億11百万円増加し11億99百万円となりました。

 固定資産の主な増加項目は、システム投資および本店移転に伴う事務所設備投資等による固定資産の取得2億97百万円、ファンドへの出資金の増加15百万円であり、一方、主な減少項目は、固定資産の除却により28百万円、ファンドへの出資金の分配43百万円を計上したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は970億53百万円となり、前連結会計年度末と比較して33億43百万円減少しました。流動負債は、33億46百万円減少し969億94百万円となりました。

 流動負債の主な増加項目は、短期借入金の増加41億円のほか、外為取引未払金の増加31億98百万円であり、一方、主な減少項目は受入保証金の減少106億75百万円であります。

 また、固定負債は、前連結会計年度末に比べ7百万円増加し50百万円となりました。

 特別法上の準備金は、8百万円となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は108億49百万円となり、前連結会計年度末と比較して65百万円増加しました。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益2億57百万円の計上であり、主な減少要因は配当金の支払いによる2億17百万円であります。

 この結果、自己資本比率は10.0%(前連結会計年度末は9.7%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べて23億87百万円増加し、当連結会計年度末の残高は79億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは11億46百万円の資金減少となりました。

 主な減少要因は、受入保証金の減少103億94百万円、外為取引未収入金の増加による47億31百万円であります。主な増加要因は、外為取引未払金の増加による32億11百万円、顧客区分管理信託の減少による21億89百万円、短期差入保証金の減少による80億49百万円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、3億14百万円の資金減少となりました。

 資金の主な減少要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出2億96百万円、敷金及び保証金の差入による46百万円、出資金の払込による支出15百万円です。主な増加要因は、出資金の分配による収入43百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、38億58百万円の資金増加となりました。
 資金の主な増加要因は、短期借入れによる増加41億円です。主な減少要因は、配当金の支払い2億17百万円によるものであります。

 

③業務の状況

a.受入手数料の内訳

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

   至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

   至 2020年3月31日)

前年同期比

(%)

取引所FX取引に係る受取手数料

317

308

97.3

委託手数料

14

32

225.0

投資顧問料

18

10

58.5

その他の受入手数料

327

351

107.2

合計

677

703

103.8

(注)委託手数料は、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」によるものであります。

 

b.トレーディング損益の内訳

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

前年同期比

(%)

店頭FX/CFD取引によるもの

3,436

3,406

99.1

合計

3,436

3,406

99.1

 

c.受入保証金残高

 

前連結会計年度

(2019年3月31日)

当連結会計年度

(2020年3月31日)

残高

(百万円)

前期末比

(%)

残高

(百万円)

前期末比

(%)

受入保証金

81,966

111.3

71,291

87.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度において、当社は今後の事業拡大を見据えて、取引システムの安定稼働、システム障害の未然防止のための体制構築を最優先し、積極的なマーケティング活動を控えたことから、広告宣伝費の抑制と比例し、一時的に収益が減少傾向となりました。

 なお、下期以降は、システム戦略の見直しに一定の目途が立ったため、注力事業である「トライオートFX/ETF」を中心とした各種施策を実施しましたが、外国為替市場のボラティリティ低下等を反映し、第3四半期累計期間まで対前年比で減収減益となっておりました。

  しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大による相場乱高下の影響により、期末にかけての取引量が急増したため、第4四半期会計期間の単体営業収益は1,086百万円(前年同四半期比+36.8%)、単体営業利益は251百万円(同+232.4%)となりました。これに、子会社ICMの業績を加えた結果、国内金融事業の営業収益、セグメント利益は前期並みの結果となりました。

  当社は主として、外国為替証拠金取引に係る事業を行っていることから、営業収益は、外国為替市場の影響を大きく受けます。外国為替市場の変動率(ボラティリティ)が高まれば、取引は活発になる傾向があり、新型コロナウィルスの感染拡大による、2020年2月下旬から3月の為替市場のボラティリティ上昇は、FX取引の増加につながったと認識しております。

 一方で、海外金融事業は、第2四半期に発生した顧客の決済損に対する貸倒損失2億54百万円を販売費・一般管理費計上したことにより、想定していた利益を確保できず、セグメント損失となりました。

 また、本件を受けて、口座開設基準の厳格化等の取引管理体制の強化を行ったことにより、一部顧客離れが進んだため、第3四半期以降の収益も縮小しました。

 なお、海外金融事業においては、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う海外への渡航自粛・制限、国内における外出自粛により、対面営業が制限されますが、テレビ会議システム等のツールを利用したオンライン営業を行っており、事業活動に大きな影響はございません。

 当社グループの主力サービスである外国為替証拠金取引は、外国為替市場や株式市場等の市況、その他国内外の経済環境等に大きく左右される傾向にあることから、相場に左右されない収益源の多様化、拡大が重要であるとの認識のもと、顧客ニーズの変化に対応しつつ、安定的な収益の確保を目指してまいります。

 

 なお、当社グループは、株主資本利益率(ROE)を重要な指標として位置づけております。

 当連結会計年度における株主資本利益率(ROE)は2.4%となりました。

 また、 収益の源泉であり、かつ「お客様の信頼の証」である顧客口座数・預り証拠金に加え、グループ全体の事業活動の成果を示す連結経常利益を重要な経営指標と認識しております。

 当連結会計年度末における預り証拠金残高は、712億91百万円(前年同期比87.0%)、連結経常利益は、4億11百万円(同61.2%)となりました。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(国内金融事業)

 国内金融事業の純営業収益は31億67百万円(前年同期比104.1%)となり、セグメント利益は3億87百万円( 同107.2% )となりました。当連結会計年度においては、取引システムの安定稼働、システム障害の未然防止のための体制構築を優先し、積極的なマーケティング活動を控えたことから、一時的に収益が悪化しましたが、相場乱高下の影響により、期末にかけての取引量が急増したことに加え、子会社(インヴァストキャピタルマネジメント)の業績が安定的に推移したことから、国内金融事業は、小幅ながら増収・増益で着地しました。

 

(海外金融事業)

  海外金融事業による純営業収益は14億71百万円(前年同期比103.9%)となり、セグメント損失は44百万円(前年同期は3億43百万円のセグメント利益)となりました。当連結会計年度においては、DMACFD(取引所約定型個別証拠金取引)事業において、特定銘柄の価格急落により顧客決済不足金が発生し、当該不足金(立替金)に対する貸倒損失2億54百万円の販売費・一般管理費に計上いたしました。
この貸倒損失の計上によるコストアップの影響により、海外金融事業は、セグメント損失となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、店頭FX/CFD取引におけるカウンターパーティーとのカバー取引に係る差入保証金、顧客からの預り金、FX/CFD取引等に係る保証金及び証拠金の入出金と顧客分別金信託及び顧客区分管理信託への入出金との差によるもの等であり、自己資金により対応しております。また、これらの資金需要に備え、運転資金の効率的な調達を行うため、金融機関4社と当座貸越契約等(極度融資枠4,100百万円)を結んでおり、当連結会計年度における借入金の残高は4,100百万円となっております。

 当社グループは現状において十分な資金の流動性を有しており、当座貸越枠等により十分な借入枠を確保しており、資金需要への対応には問題がないものと判断しております。

 ただし、経済情勢の先行きは不透明であり、新型コロナウィルスの感染拡大により、現時点における想定を超えて業績への悪影響が生じることが見込まれる場合には、必要に応じて、コミットメントライン等により、追加的に資金調達枠を確保することも検討してまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、有価証券の評価、減価償却資産の償却、繰延税金資産の回収可能性、貸付金等の貸倒れ及び当該引当金、賞与等の会計処理については会計関連諸法規に則り、過去の実績や状況に応じ合理的な基準により見積り、判断しておりますが、不確実性が存在するため、見積った数値と実際の結果は異なる場合があります。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりコールセンター業務の一時休止等の影響は受けたものの、事業活動全体としては大きな影響はございません。

当社グループの繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りにおいては、新型コロナウイルス感染症による重要な影響はないと仮定し、見積もりを行っております。

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