業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおり
 であります。

  なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等を当連結会計年度の期首か

ら適用しております。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化するなか、ワクチン接
 種の進捗、感染者数の急減、行動制限の緩和等により、個人消費・企業収益ともに持ち直しの動きが見られまし
 たが、新たな変異株による感染の世界的急拡大に伴う消費の落ち込みに加え、ウクライナ情勢を受けた資源価格
 の高騰なども相まって、先行き不透明感の強い状況のまま推移しました。
  このような事業環境下におきまして、当社グループは、全社を挙げて各事業の特性及び付加価値性を活かした
 営業活動を推進いたしましたが、当連結会計年度の連結売上高は16,337百万円(前連結会計年度比1.6%増)とな
 り、利益面におきましては、営業利益5,745百万円(前連結会計年度比2.2%増)、経常利益6,242百万円(前連結
 会計年度比3.5%増)となりましたが、特別損失として西五反田地区の公共施設整備にかかる品川区への負担金
 1,700百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は3,106百万円(前連結会計年度比24.8%
 減)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等の適用
 による、経営成績等に与える影響は軽微であります。
  セグメント別の業績は次のとおりであります。
 ・不動産事業
   オフィスビルにおける事業環境は、テレワークの進展等により、オフィスの統廃合・縮小の動きが見られ、東
 京中心部における入居率、賃料水準は共に下落傾向が継続しております。
   また、商業施設における事業環境は、緊急事態宣言解除後に売上の回復傾向は見られたものの、引き続きコロ
 ナ禍の影響による外出自粛、インバウンド需要の消失、ECシフトの進展等の影響により、コロナ禍前の水準に
 は至らないまま推移しました。
   このような状況下、不動産事業におきましては、安全対策、環境対策等に注力し、運営・管理面において高サ
 ービスと低コストとの両立を推し進め、所有ビル個々の特性を活かした高付加価値化を図ってまいりました。
  建物の賃貸等では、ビルの特性に応じたテナント獲得を進めましたが、わずかながら減収となりました。な
 お、期末時点における入居率は92.6%(前期末97.0%)となりました。
  展示場・会議室の賃貸ならびに駐車場の賃貸に関しましては、それぞれ増収となりました。
  以上の結果、不動産事業の売上高は14,122百万円(前連結会計年度比0.4%増)となり、営業利益は6,268百万円
 (前連結会計年度比0.2%増)となりました。
 ・リネンサプライ及びランドリー事業
   リネンサプライ及びランドリー事業におきましては、主な顧客先であるホテルからの受注は、やや回復したも
 のの、売上高は880百万円(前連結会計年度比16.1%増)、営業損失は258百万円(前連結会計年度は377百万円の営業
 損失)となりました。
 ・その他の事業
   ビル管理関連サービス事業は、請負工事の受注減等により減収となりました。製薬事業は、主力製品の販売減
 により減収となりました。また、スポーツクラブ事業ならびに温浴施設事業は、緊急事態宣言の解除・まん延防
 止等重点措置の終了などにより、やや業績は回復したもの、コロナ禍前までに至っておりません。
  その結果、その他の事業の合計では、売上高は1,334百万円(前連結会計年度比5.7%増)、営業損失は284百万
 円(前連結会計年度は273百万円の営業損失)となりました。

 

 当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。
  資産合計は、前連結会計年度末に比べ336百万円増加し112,926百万円となりました。主な増加は、現金及び預
 金が1,324百万円、建設仮勘定が1,065百万円であり、主な減少は、建物及び構築物(純額)が1,212百万円、投資
 有価証券が946百万円であります。
   負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,046百万円減少し17,777百万円となりました。主な増加は、未払金が
 1,068百万円であり、主な減少は、繰延税金負債が876百万円、長期預り保証金が833百万円であります。
   純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,383百万円増加し95,148百万円となりました。主な増加は、親会社株
 主に帰属する当期純利益3,106百万円であり、主な減少は、剰余金の配当950百万円、その他有価証券評価差額金
 663百万円であります。自己資本比率は、前連結会計年度末の82.7%から当連結会計年度末は83.7%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末おける現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,324百万円増加し33,471百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
  営業活動により増加した資金は5,141百万円(前連結会計年度比38.1%増)となりました。
  主な内訳は、増加要因として税金等調整前当期純利益4,542百万円、減価償却費1,984百万円及び寄付金1,700百万円の計上であり、減少要因として法人税等の支払額1,996百万円及び預り保証金の減少額850百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
  投資活動により支出した資金は2,294百万円(前連結会計年度比57.6%増)となりました。
  主な内訳は、減少要因として有形固定資産の取得による支出2,257百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
  財務活動により支出した資金は1,522百万円(前連結会計年度比39.5%減)となりました。
  主な内訳は、増加要因として長期借入れによる収入1,012百万円であり、減少要因として配当金の支払額945百万円、長期借入金の返済による支出1,465百万円であります。

キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。

 

平成30年3月

平成31年3月

令和2年3月

令和3年3月

令和4年3月

自己資本比率

69.9%

77.6%

80.0%

82.7%

83.7%

時価ベースの自己資本比率

70.6%

65.8%

50.7%

66.6%

56.0%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

2.0年

0.6年

0.8年

0.5年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

27.2

164.0

130.6

259.7

 

(注)1 各指標の算出方法は以下のとおりであります。
   自己資本比率:自己資本/総資産
   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー 
   インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)2 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注)3 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注)4 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

(注)5 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としてい

    ます。

(注)6 平成31年3月期につきましては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利

    子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオの記載を省略しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額 (百万円)

前年同期比 (%)

その他(製薬事業)

130

△18.3

 

  (注) 金額は売価換算価格によっております。

 

b.受注実績

上記その他(製薬事業)は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

比率(%)

前年同期比(%)

不動産事業

 

 

 

 建物の賃貸等

12,018

73.5

△0.5

 展示場・会議室の賃貸

1,480

9.1

7.7

 駐車場の賃貸

623

3.8

2.5

 小計

14,122

86.4

0.4

リネンサプライ及びランドリー事業

880

5.4

16.1

その他

 

 

 

 製薬事業

146

0.9

△4.5

 商品販売及び飲食事業

 スポーツクラブ事業及び温浴施設事業

1,057

6.5

12.3

 ビル管理関連サービス事業

130

0.8

△22.2

 情報処理関連事業

 小計

1,334

8.2

5.7

合計

16,337

100.0

1.6

 

  (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

      当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されて
    おります。この連結財務諸表の作成にあたりまして、採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況  1 
    連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載し
    ております。また、この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす

  見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がありま

  す。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 当社グループの当連結会計年度の経営成績等
 当社グループの主力事業である不動産事業は、コロナ禍前の水準には至らないものの緊急事態宣言解除後に売上の回復傾向が見られ、増収増益となりました。
  建物の賃貸等では、テレワークの推進等を要因として所有ビルの入居率が92.6%(前期末97.0%)に低下した影響により、わずかながら減収となりました。
 展示場・会議室の賃貸は、新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言の発令を受けてイベント、催事及び会議利用のキャンセルがあったものの、前期のコロナ禍による需要からの反動増もあり増収となりました。
 商業ビルにおきましては、引き続きコロナ禍における外出自粛の影響や海外からの旅行者の激減により、コロナ禍前の水準には至っておりません。

b. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
 主力事業である不動産事業では、不動産市況によるオフィスの需給の悪化は、稼働率の低下や賃料水準の下落を招き、経営成績に重要な影響を与えるものと考えられます。商業ビルでは、国内景気の悪化やデフレ等、個人消費が低下した場合は経営成績に重要な影響を与えるものと考えられます。また、新型コロナウイルスの蔓延は、施設の閉館や営業時間の短縮を余儀なくし、感染状況が長引いた場合は経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスクを、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載をしております。
c. 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
 主力事業である不動産事業では、貸室の賃貸料収入を運転資金の財源としております。ビルの設備更新工事は、その規模にもよりますが多くは自己資金により賄われております。必要に応じて銀行借入等により調達を行うことがあります。当連結会計年度の設備投資額は、2,105百万円であり、その主なものは、TOC五反田ビル建替えにかかる実施設計等1,049百万円、TOC大崎ビルディングエレベーター改修125百万円であります。所要資金は自己資金にて賄っております。また、次期の設備投資は所有ビルの設備更新工事等を計画しておりますが、その所要資金は自己資金で賄う予定であります。
 なお、当連結会計年度末の有利子負債残高の内訳は以下のとおりであります。

                         (単位:百万円)

科目

金額

短期借入金

800

1年内返済予定の長期借入金

640

長期借入金

909

2,350

 

  これらは、主にビルの建設資金に係る借入金であり、建設資金の対象となったビルからのキャッシュ・フローに
て返済をしております。

 

d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
 当社グループは、目標とする経営指標としてキャッシュ・フローの拡大と資本効率の向上を掲げております。当連結会計年度のキャッシュ・フローは、不動産事業において堅調に推移しており、キャッシュ・フローも拡大傾向にあります。営業活動により得られた資金は固定資産の取得、有利子負債の削減及び自己株式の取得等に有効活用をしております。また、一部は将来の物件取得、開発資金に充当する予定としております。
 自己株式の取得は、株主還元と資本効率の向上を目的としており、令和3年8月17日開催の取締役会決議に基づき100千株を実施しました。また、令和3年7月21日開催の取締役会決議に基づき8,600千株の自己株式の消却を行いました。その結果、当連結会計年度は、特別損失に西五反田地区の公共施設整備にかかる品川区への負担金を計上したことにより、資本効率を表す代表的な指標であるROE(自己資本当期純利益率)は3.3%、ROA(総資産経常利益率)では5.5%となりました。前連結会計年度のROEは4.5%、ROAは5.4%であります。
 なお、当社は将来の開発事業における安定的な資金調達のため財務の健全性を重要な課題としており、その参考指標となる自己資本比率は当連結会計年度末において83.7%、D/Eレシオ(有利子負債÷株主資本)は0.02倍であり、ともに前連結会計年度末より改善しております。
 e. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況
 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
 

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