当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、緊急事態宣言の発令や各自治体からの要請が断続的に実施され、経済活動が制限を受ける等、厳しい状況が続いているなか、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しが期待されるものの、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの属する不動産業界は、住環境に対する関心の高まりやニーズの多様化、低金利の継続等により、顧客の購入意欲は依然として高い状況にありますが、ウッドショックによる木材価格の高騰や半導体の不足による住宅設備機器の供給に遅れがみられる等、厳しい状況が続いております。
このような事業環境のなか、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の感染防止に積極的に協力するという観点から、全従業員の健康を日々管理し、日常業務の着実な遂行に努めつつ、事業環境の変化に対応できる安定した経営体制の構築に取り組んでまいりました。「不動産のあらゆるニーズに応えるワンストップサービス」の提供とその業務品質の向上に努め、投資用不動産のニーズを捉えた売買仲介や、リノベーションマンション、土地等の不動産売上、賃貸仲介、リフォーム工事受注等に取り組んでまいりました。また、自社物件の活用、店の統合を実施する等、固定費の削減にも取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は5,790百万円(前連結会計年度比3.6%増加)、営業利益は109百万円(前連結会計年度は営業損失346百万円)、経常利益は127百万円(前連結会計年度は経常損失323百万円)、減損損失を特別損失に計上した一方で繰延税金資産を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は85百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失462百万円)となりました。
セグメント別の業績については、次のとおりであります。
投資用一棟マンションや土地等の販売に注力し、一取引における取扱高と利益率の改善に注力いたしました。また、それらに加えて、現代のライフスタイルにあった改修を施したリノベーションマンションの販売に注力いたしました。その結果、売上高は1,542百万円(前連結会計年度比42.1%増加)、セグメント利益は100百万円(同2,071.0%増加)となりました。
自社賃貸不動産の資産価値の向上並びに入居率の向上に注力いたしました。また、一般管理費の見直しを図りました。その結果、売上高は673百万円(前連結会計年度比6.2%減少)、セグメント利益は18百万円(同55.4%増加)となりました。
外壁塗装工事の受注や、注文建築による新築戸建ての建設工事受注に注力いたしました。また、受注工事の利益率の改善に注力いたしました。その結果、売上高は1,113百万円(前連結会計年度比15.1%減少)、セグメント損失は12百万円(前連結会計年度はセグメント損失44百万円)となりました。
入居者様の快適な暮らしを最優先に心がけ、管理物件の新規取得と入居率の維持・向上に注力いたしました。また、管理の受託内容や管理料の見直しを提案することにより、利益率の改善に努めてまいりました。その結果、売上高は529百万円(前連結会計年度比1.2%減少)、セグメント利益は79百万円(同200.4%増加)となりました。
売買仲介につきましては、広告活動の紙媒体からWeb媒体への移行や、お客様がパソコン、スマートフォン、タブレット等Web上で不動産を自由に探すことができるサービスの強化に努め、取扱単価の見直しにより一取引毎の仲介手数料は増加いたしましたが、取扱件数は減少いたしました。その結果、売買仲介に伴う手数料は、1,426百万円(前連結会計年度比0.9%減少)となりました。また、賃貸仲介につきましても、同様のサービス強化に努めた結果、手数料収入は、394百万円(同5.0%増加)となりました。売買仲介及び賃貸仲介に伴う手数料に、その他の手数料、紹介料等(保証、金融含む)を加えた受取手数料収入合計は1,931百万円(同0.4%減少)、セグメント利益は456百万円(同261.7%増加)となりました。
当連結会計年度末における流動資産の残高は、5,336百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,168百万円増加いたしました。その主な要因は、販売用不動産が1,602百万円、現金及び預金が562百万円増加したこと、完成工事未収入金が72百万円、営業未収入金が20百万円減少したことであります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は、4,906百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,228百万円減少いたしました。その主な要因は、繰延税金資産が27百万円、投資有価証券が10百万円、ソフトウエア仮勘定が9百万円増加したこと、土地が1,434百万円、建物及び構築物が621百万円、敷金及び保証金が217百万円減少したことであります。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,294百万円となり、前連結会計年度末と比較して36百万円増加いたしました。その主な要因は、短期借入金が100百万円、1年内返済予定の長期借入金が52百万円、未払法人税等が22百万円増加したこと、工事未払金が82百万円、預り金が23百万円減少したことであります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は、3,196百万円となり、前連結会計年度末と比較して44百万円減少いたしました。その主な要因は、長期借入金が40百万円増加したこと、退職給付に係る負債が43百万円、長期預り金が34百万円、繰延税金負債が4百万円減少したことであります。
当連結会計年度末における純資産の残高は、4,752百万円となり、前連結会計年度末と比較して51百万円減少いたしました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を85百万円計上する一方で、配当金を79百万円計上したこと等により、利益剰余金が5百万円増加したことに加え、2021年6月に連結子会社である株式会社日住が自己株式取得を行い非支配株主持分が102百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは501百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローは121百万円の増加、財務活動によるキャッシュ・フローは27百万円の減少となりました。
その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、2,431百万円(前連結会計年度末残高は1,837百万円)となり、594百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、収入に関してたな卸資産の減少額が304百万円、減価償却費が121百万円、税金等調整前当期純利益が99百万円等あったこと、支出に関して仕入債務の減少額が82百万円、有形固定資産売却損益が42百万円、預り金の減少額が36百万円等あったことにより、 501百万円の増加(前連結会計年度は628百万円の減少)となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、収入に関して有形固定資産の売却による収入が182百万円、敷金及び保証金の回収による収入が82百万円、定期預金の払戻による収入が32百万円等あったこと、支出に関して有形固定資産の取得による支出が167百万円、資産除去債務の履行による支出が11百万円、敷金及び保証金の差入による支出が11百万円等あったことにより、 121百万円の増加(前連結会計年度は168百万円の減少)となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、収入に関して長期借入れによる収入が300百万円、短期借入金の増加額が100百万円あったこと、支出に関して長期借入金の返済による支出が207百万円、自己株式の取得による支出が95百万円、配当金の支払額が79百万円等あったことにより、 27百万円の減少(前連結会計年度は822百万円の減少)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当社グループが行っている事業のうち、不動産売上、不動産賃貸収入、不動産管理収入、受取手数料については、事業の性格上、受注実績を定義することは困難であります。
当連結会計年度における工事売上の受注実績は以下のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税及び地方消費税は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税及び地方消費税は含まれておりません。
3 主な売上高の内訳
a. 不動産売上
b. 工事売上
c. 受取手数料
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年12月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
A. 売上高
当連結会計年度の売上高は、5,790百万円と前連結会計年度と比較して3.6%の増収となりました。各セグメント別の状況については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、投資用一棟マンションの取り扱いがあったこと等により不動産売上が底堅く推移したことが主な要因であります。
B. 営業損益
当連結会計年度の営業利益は109百万円と前連結会計年度の営業損失346百万円と比較して456百万円利益が拡大しました。その主な要因は、上記A. 売上高に記載の理由により売上総利益が前連結会計年度と比較して68百万円増加したことと、店の統合を実施する等、固定費の削減にも取り組んだこと等により、販売費及び一般管理費が前連結会計年度と比較して388百万円減少したことによるものです。
C. 経常損益
当連結会計年度の経常利益は127百万円と前連結会計年度の経常損失323百万円と比較して451百万円利益が拡大しました。営業外収益は、販売用不動産賃料収入や補助金収入が増加した一方、新型コロナウイルス感染症の特例措置による雇用調整助成金が減少した結果、前連結会計年度と比較して9百万円減少しました。営業外費用は、支払利息が5百万円減少したこと等により、前連結会計年度と比較して4百万円減少しました。
D. 親会社株主に帰属する当期純損益
特別利益は、連結子会社の固定資産売却益の計上により42百万円となり、前連結会計年度と比較して7百万円減少しました。特別損失は、「第5 経理の状況(連結損益計算書関係)※3」に記載のとおり、有形固定資産(賃貸等不動産)の一部を販売用不動産に振替える際、減損損失を45百万円計上したこと、並びに本社移転費用を11百万円計上したこと等により、70百万円となり、前連結会計年度と比較して59百万円増加しました。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、11百万円となり、前連結会計年度と比較して162百万円減少しました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は85百万円となり、前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失462百万円と比較して547百万円利益が拡大いたしました。
当連結会計年度の財政状態につきましては「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社が目標とする経営指標であります自己資本比率につきましては46.3%と前連結会計年度から0.8ポイント上昇いたしました。これは、連結子会社である株式会社日住が自己株式取得を行い非支配株主持分が102百万円減少したこと等の影響により自己資本が前連結会計年度と比較して53百万円増加し、自己資本比率が増加したものであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要の主なものは、販売用不動産の購入、賃貸用不動産の購入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、本部及び部店並びに営業システム等の設備投資であります。
これらの運転資金や投資資金需要は、自己資金や内部留保により充当することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関より有利子負債による資金調達を行ってまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択や適用、資産・負債や収益・費用の計上に際し、合理的な基準による見積りが含まれており、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りによる数値と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成に当たっての会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
A.販売用不動産の評価減
販売用不動産の評価については、個別法による原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)によっており、収益性の低下した販売用不動産については、正味売却価額をもって貸借対照表価額としており、不動産市場が悪化したこと等により正味売却価額が下落した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
B. 固定資産の減損損失
固定資産の減損損失については、継続的な営業損失や営業キャッシュ・フローの赤字、市場価格の著しい下落、経営環境の著しい悪化及び用途変更等によって減損の兆候があるかを検討し、減損の兆候が存在すると判断した場合は減損損失の認識の要否を検討しております。減損損失の認識の要否の検討には将来キャッシュ・フローの見積金額を用いており、減損損失の認識が必要と判断された場合は、帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を減損損失として計上しております。なお、回収可能価額は正味売却価額又は使用価値のいずれか高い金額によって決定しております。回収可能価額は、事業計画に基づく将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算定しております。将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能価額を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
C. 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上することになります。当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況」(重要な会計上の見積り)に注記しております。
D. 退職給付に係る負債
退職給付債務及び費用について、割引率等数理計算上で設定される仮定に基づいて算出しております。これらの仮定と実際の結果との差額は累計され、将来の会計期間にわたって費用化されます。使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実際の結果との差異又は仮定自体の変更が生じた場合には、損益及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
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