業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の蔓延が長期化・深刻化する状況のなか、変異株の急激な感染拡大や医療体制のひっ迫などが懸念された一方で、ワクチンの接種率が急速に向上した結果、段階的に経済活動が再開され正常化に向けての期待感が高まりました。しかしながら、感染力が強いとされるオミクロン株による第6波となる感染再拡大、その後の感染者数の減少傾向の鈍化、更には第7波が懸念される状況となり、新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しが依然として困難となっております。2022年初頭より、世界経済の正常化に伴うインフレの進行と、米国の利上げ、急激な円安により、かねてよりのコロナ禍におけるサプライチェーンの混乱によって生じた資源価格の高騰に拍車がかかり、内需企業を中心に収益の悪化や国民生活への影響も懸念される状況となり、加えて、ロシアによるウクライナ侵攻と対ロシア経済制裁がもたらす影響は、先行きの混迷度を更に深める状況となっております。

 不動産業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う雇用・所得環境が悪化する状況のなか、低金利の環境や政府による各種の住宅取得支援策が継続されていることを背景に、コロナ禍におけるテレワーク(在宅勤務)の普及による住まいへの関心の高まりとともに、新しい生活様式やワークスタイルが定着しつつあり、住居ニーズの変化が中古不動産や居住空間の広い一戸建て需要の喚起に繋がり、特に上半期までは住宅産業は全般的に好調に推移しました。一方で、コロナ禍における住宅特需は一巡し、下半期からの受注動向は平時並みに落ち着きはじめており、また新型コロナウイルス感染症の蔓延による受注活動への影響やウッドショックによる住宅建築資材の不足及び原材料価格の高騰、住宅設備の値上がりが新設住宅着工戸数や販売利益へ及ぼす影響は不透明な状況が継続しております。

 このような状況のもと、当社グループは住宅・不動産に関するあらゆる住まいのワンストップサービス企業として、不動産事業の中での多角化によるバランス経営を図り、より収益性が高く効率性のよい賃貸及び管理事業の比率を高め、長期的な安定経営・つぶれない会社づくりを重点に事業を展開して参りました。

 また、当社グループの対処すべき課題に対する当連結会計年度の主な取り組みは、次のとおりであります。

 会社の成長を支える重要な経営基盤である優秀な人財の採用及び育成並びに働き甲斐のある環境の整備については、積極的なテレワークの活用による柔軟な働き方の推進やスニーカー通勤の奨励、昇降式スタンディングデスクの導入、毎日午後3時をストレッチの時間として設定するなど、健康保持増進に向けた様々な取り組みを実施して参りました。また、健康診断では法定の検査項目に加えて多くの項目を付加しており、パートタイマーを含め全役職員が100%受診することを目標に設定し、過去10年以上受診率100%を達成しております。新型コロナウイルス感染症への対応については、引き続き社員の安全確保を最優先とし、テレワークやWEB会議の一層の導入を進める等の感染防止・予防に向けた取り組みを実施し、社員が安心・安全に就業できる環境の整備に努め、社員と社員の家族の幸せ・健康を第一に考えた取り組みを行っております。

 2022年2月、3年連続となるスポーツ庁による「スポーツエールカンパニー2022」認定、2022年3月には、6年連続6回目となる経済産業省による「健康経営優良法人2022大規模法人部門(ホワイト500)」に認定されるなど、当社の取り組みは公的にも高い評価を受けており、健康で働きやすい職場の整備に努めることで、優秀な人財の確保に向けた取り組みを進めております。

 気候変動リスクへの対応については、脱炭素社会の実現に向けて、オフィスの照明のLED化、オフィスの最大需要電力を監視し電力コントロールを行うデマンド監視装置の設置、電子決裁システムや経費精算システムの導入による社内書類のペーパーレス化といった環境保全に配慮したオフィス環境の改善を実施しております。また、全営業車にハイブリッド車を導入しているほか、和歌山県日高郡日高川町の「フジ住宅の森」では当社及びフジ住宅グループ社員・家族のボランティアによる植林並びに育林活動により年間約4トンの二酸化炭素の削減に貢献しております。さらに、当社の新築戸建住宅につきましては、換気に伴う熱エネルギーの喪失を防ぐ「全熱交換システム」を採用するなど、省エネに配慮した住宅となっております。断熱材はその製造過程においてエネルギーの発生が少なく、天然系素材であり、リサイクル材を主原料とする「セルローズファイバー」を採用するなど、省エネ住宅の供給に努めており、環境保全・地域社会への影響に責任をもった事業活動を行っております。

 

 収益基盤の維持・強化については、連結子会社である雄健建設グループとの初の協業となる鉄骨造のサービス付き高齢者向け賃貸住宅(大阪府吹田市)が2022年2月に竣工しました。さらに2棟目として、他社が社宅として使用していた物件を中古物件として仕入れ、リノベーションしたサービス付き高齢者向け賃貸住宅(兵庫県西宮市)の竣工も予定しており、従来から取り扱っておりました木造のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に加え、より収益性の高い鉄骨造の取り扱いを推進しております。商品ラインアップの充実化により、協業による相乗効果を高め、需要が高く、安定収益源に繋がる土地有効活用事業、賃貸及び管理事業をさらに強化していく考えであります。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進については、従来より、協力業者との受発注状況の自動化や可視化等を進めるクラウド型の購買管理システムの導入、効率的な受発注管理体制の構築等に取り組んでおります。また、RPA(Robotic Process Automation)によるシステム化を全社的に進めており、RPAツール「AutoMate」では70以上の業務を自動化し、年間約2,800時間を省力化しております。さらに、2021年11月には、株式会社紀陽銀行と国立大学法人和歌山大学との連携による「AIが創る最適な街並み」の実現に向けた共同研究として、AIやデータ分析の知見を有する国立大学法人和歌山大学との共同研究を開始しております。このような取り組みによって、労働環境の改善による業務の生産性の向上、サイバーセキュリティーや災害リスクへの対応強化、レガシーシステムの技術的負債の解消など、ICTを活用した業務の改革とお客様との新たな接点の創出や潜在的なニーズの発掘に繋げるべく開発を推進しております。

 また、対処すべき課題としまして、SDGs及びESGへの取り組みがあげられます。

 当社は地域密着型経営を標榜しており、特に「社会」との関わりにおいては、社会貢献活動や従業員の健康や働きやすさに配慮した諸施策等については、前段のとおりであります。また、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略」において、ESGに関する当社の取り組みの概要について記載しております。

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(分譲住宅セグメント)

 販売におきましては、感染力が強いとされる新型コロナウイルス感染症オミクロン株による第6波の感染再拡大による影響及びコロナ禍における住宅特需が一巡したことにより受注減となりました。また、前連結会計年度は兵庫県加古川市の大型分譲住宅用地を素地販売したこともあり、当連結会計年度の素地販売は大きく減少したものの、戸建自由設計住宅等及び分譲マンションについては、前連結会計年度に好調に推移した受注物件の引渡しにより増加しました。

 当連結会計年度の戸建自由設計住宅等の引渡戸数が823戸(前期は714戸)、分譲マンションの引渡戸数が210戸(前期は138戸)と前連結会計年度に比べて大幅に増加したことに加えて、収益性の改善により、当セグメントの売上高は45,388百万円(前期比12.8%増)となりセグメント利益は1,475百万円(前期比273.0%増)となりました。

(住宅流通セグメント)

 中古住宅に対する需要は根強く、総じて販売は好調に推移しましたが、前連結会計年度に不採算在庫を中心に大幅な在庫調整を実施したことによる在庫の減少に伴い、当連結会計年度の売上高は大幅に減少しました。一方で、在庫回転率を意識した運営を行い仕入れの厳選を続けており、収益性は大きく改善しております。そのため、当連結会計年度の中古住宅の引渡戸数は1,039戸(前期は1,459戸)となり、前連結会計年度に比べ大幅に減少したものの収益性が改善されたことにより、当セグメントの売上高は23,928百万円(前期比27.0%減)となり、セグメント利益は1,280百万円(前期比153.3%増)となりました。

(土地有効活用セグメント)

 前連結会計年度のコロナ禍における1度目の緊急事態宣言に伴う約3ヶ月の営業自粛により、建築請負の受注件数が減少し、当連結会計年度の売上高に影響を及ぼしました。一方で、個人投資家向け一棟売賃貸アパートについては、オーナー様からのリピート受注率が依然として高く、加えて投資家による注目度が従来以上に高まり、極めて順調に受注、引渡しが増加しております。そのため、当連結会計年度の賃貸住宅等建築請負の引渡件数が40件(前期は61件)となり、前連結会計年度を下回ったものの、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡棟数が130棟(前期は113棟)となり、前連結会計年度に比べ増加したことにより、当セグメントの売上高は26,775百万円(前期比2.6%増)となり、セグメント利益は2,365百万円(前期比2.4%増)となりました。

(賃貸及び管理セグメント)

 主として土地有効活用事業にリンクした賃貸物件の引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したこと及び自社保有のサービス付き高齢者向け賃貸住宅の増加により、当セグメントの売上高は23,829百万円(前期比9.7%増)となり、セグメント利益は2,766百万円(前期比7.0%増)となりました。

(建設関連セグメント)

 当連結会計年度における建設工事が工程どおりに順調に進捗したことに加えて、利益率が高まったことにより、当セグメントの売上高が2,454百万円(前期比3.2%増)となり、セグメント利益は112百万円(前期比388.6%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高118,698百万円(前期比2.3%減)を計上し、営業利益5,871百万円(前期比47.3%増)、経常利益5,627百万円(前期比58.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,869百万円(前期比64.0%増)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ527百万円の減少となり、当連結会計年度末には19,629百万円(前期比2.6%減)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は6,324百万円(前期比77.4%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額5,827百万円(前期比63.4%増)、棚卸資産の減少額64百万円(前期比99.7%減)仕入債務の増加額2,470百万円(前期は918百万円の使用)及び法人税等の支払額2,076百万円(前期比4.2%増)等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は6,333百万円(前期比23.5%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7,745百万円(前期比40.7%増)及び有形固定資産の売却による収入1,289百万円(前期比148.0%増)等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は518百万円(前期比97.0%減)となりました。これは主に、長短借入金の純増加額1,596百万円(前期は18,603百万円の純減少)、社債の償還による支出850百万円(前期比61.9%増)及び配当金の支払額977百万円(前期比1.1%増)等によるものであります。

③ 販売及び契約の実績

a.販売実績

 当連結会計年度及び前連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

数量

金額(千円)

数量

金額(千円)

分譲住宅

 

 

 

 

自由設計住宅等

714戸

28,734,628

823戸

33,647,584

分譲マンション

138戸

4,816,426

210戸

7,988,518

土地販売

50,967㎡

6,690,819

25,976㎡

3,752,641

 

852戸

50,967㎡

40,241,875

1,033戸

25,976㎡

45,388,745

住宅流通

 

 

 

 

中古住宅(一戸建)

215戸

5,554,323

117戸

2,826,992

中古住宅(マンション)

1,244戸

27,233,574

922戸

21,079,158

建売住宅・その他

1,911

22,445

 

1,459戸

32,789,809

1,039戸

23,928,595

土地有効活用

 

 

 

 

賃貸住宅等建築請負

35件

3,460,822

27件

2,341,501

サービス付き高齢者向け賃貸住宅

26件

5,369,397

13件

3,322,276

個人投資家向け一棟売賃貸アパート

113棟

15,571,444

130棟

18,127,435

 

61件

113棟

24,401,664

40件

130棟

23,791,213

賃貸及び管理

 

 

 

 

賃貸料収入

―――

16,058,489

―――

17,391,178

サービス付き高齢者向け賃貸住宅事業収入

―――

4,796,090

―――

5,552,684

管理手数料収入

―――

874,173

―――

885,278

 

―――

21,728,753

―――

23,829,141

建設関連

156件

2,379,416

115件

1,761,184

合計

2,311戸

50,967㎡

217件

113棟

121,541,518

2,072戸

25,976㎡

155件

130棟

118,698,880

 (注)1.最近2連結会計年度に、販売実績が総販売実績の100分の10以上の相手先はありません。

2.住宅流通セグメントの「その他」は、仲介手数料収入等であります。

 

b.受注契約実績

 当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメントごとの受注契約実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

期中契約高

期末契約残高

期中契約高

期末契約残高

数量

金額(千円)

数量

金額(千円)

数量

金額(千円)

数量

金額(千円)

分譲住宅

 

 

 

 

 

 

 

 

自由設計住宅等

761戸

31,197,443

608戸

24,782,674

641戸

26,276,938

426戸

17,412,028

分譲マンション

131戸

5,209,599

128戸

5,054,345

234戸

9,875,971

152戸

6,941,797

土地販売

57,035㎡

7,310,217

12,593㎡

1,652,269

16,127㎡

2,459,618

2,744㎡

359,246

 

892戸

57,035㎡

43,717,261

736戸

12,593㎡

31,489,289

875戸

16,127㎡

38,612,528

578戸

2,744㎡

24,713,072

住宅流通

 

 

 

 

 

 

 

 

中古住宅(一戸建)

199戸

4,935,788

29戸

587,873

111戸

2,817,288

23戸

578,169

中古住宅(マンション)

1,193戸

25,896,653

112戸

2,303,988

949戸

21,901,977

139戸

3,126,808

建売住宅・その他

1,911

22,445

 

1,392戸

30,834,353

141戸

2,891,861

1,060戸

24,741,710

162戸

3,704,977

土地有効活用

 

 

 

 

 

 

 

 

賃貸住宅等建築請負

20件

2,148,103

3,215,905

35件

3,930,251

4,804,655

サービス付き高齢者向け

賃貸住宅

7件

1,906,027

3,277,624

17件

5,197,968

5,153,315

個人投資家向け一棟売賃貸アパート

147棟

20,485,444

89棟

12,491,000

128棟

18,085,435

87棟

12,449,000

 

27件

147棟

24,539,575

89棟

18,984,529

52件

128棟

27,213,655

87棟

22,406,971

建設関連

142件

1,109,382

1,533,291

112件

1,083,742

683,974

合計

2,284戸

57,035㎡

169件

147棟

100,200,572

877戸

12,593㎡

89棟

54,898,971

1,935戸

16,127㎡

164件

128棟

91,651,636

740戸

2,744㎡

87棟

51,508,994

 (注) 期中契約高に記載された金額は、期中契約高と期中解約高を純額表示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、現行の見積りを必要とする会計処理については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりの方法によっており、会計基準等の新設・更新や連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合は、基本的には会計処理基準に準拠する方法によることとしており、新たに見積りを必要とする場合は、蓋然性の高い見積り方法による方針としております。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。

(棚卸資産)

 当社グループの棚卸資産の評価については、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により評価損を計上しております。今後、市場状況の悪化による処分価額の低下が生じた場合、棚卸資産の評価損を計上する可能性があります。

(貸倒引当金)

 当社グループは、営業未収入金等の回収事故に対処するため、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当金が必要となる可能性があります。

(有価証券の減損)

 当社グループのその他有価証券については、期末日における時価が取得価額の50%以上下落した場合、または、2年間に渡り連続して取得価額の30%以上下落した場合に、減損処理を行う事としております。

 将来、投資先の株価の著しい下落があった場合には、投資有価証券の評価損を計上する可能性があります。

(繰延税金資産)

 当社グループの繰延税金資産については、中長期の損益見込みに基づいて将来の課税所得を検討し、回収可能性を考慮して計上しております。当連結会計年度末において計上されている繰延税金資産は十分回収できると判断しておりますが、予測し得なかった損失の発生が見込まれた場合、当該繰延税金資産が法人税等調整額として費用化される可能性があります。

② 財政状態の状況、分析及び検討

 当社グループは、適切な流動性の維持、事業活動のための資金確保及び健全なバランスシートの維持を財務方針としております。

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ5,918百万円増加して153,512百万円(前期比4.0%増)となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,698百万円増加して103,486百万円(前期比1.7%増)となり、固定資産は、前連結会計年度末に比べ4,219百万円増加して50,025百万円(前期比9.2%増)となりました。

 流動資産増加の主な要因は、現金及び預金の減少額680百万円(前期比3.3%減)及び棚卸資産の増加額1,882百万円(前期比2.4%増)等を反映したものであります。

 固定資産のうち有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ3,674百万円増加して44,541百万円(前期比9.0%増)となりました。この増加の主な要因は、中古住宅アセット事業に係る土地・建物の取得、自社保有サービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る土地・建物の取得、本社設備並びに分譲住宅事業及び住宅流通事業に係る販売センター設備等の取得による増加額7,738百万円等の増加要因並びに賃貸資産の売却、所有目的の変更及び減価償却実施による減少額4,093百万円等の減少要因を反映したものであります。無形固定資産は、前連結会計年度末に比べ74百万円減少の592百万円(前期比11.2%減)となりました。また、投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ620百万円増加の4,892百万円(前期比14.5%増)となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,061百万円増加して109,162百万円(前期比2.9%増)となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ3,586百万円増加して48,223百万円(前期比8.0%増)となり、固定負債は、前連結会計年度末に比べ525百万円減少して60,939百万円(前期比0.9%減)となりました。

 流動負債増加の主な要因は、支払手形・工事未払金の増加額2,642百万円(前期比66.8%増)及び短期借入金の増加額1,085百万円(前期比4.0%増)等を反映したものであります。

 固定負債減少の主な要因は、社債の減少額725百万円(前期比38.7%減)及び長期借入金の増加額511百万円(前期比0.9%増)を反映したものであります。

 当連結会計年度末の純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ2,857百万円増加して44,349百万円(前期比6.9%増)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益3,869百万円の計上による資金増加要因及び配当金の支払額977百万円の資金減少要因並びに自己株式の処分による増加額155百万円等を反映したものであります。

 以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の28.11%から28.89%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の1,162.92円から1,232.36円となりました。

 当連結会計年度末の財政状態を検討した結果、前連結会計年度と同様に厳選した仕入方針を継続し、在庫の回転率を上げ、収益性を高めたことにより、営業活動によるキャッシュ・フローで投資活動によるキャッシュ・フローを賄うことが出来ましたので、財務方針どおりの理想的な結果となりました。引き続き健全な財政状態を維持、強化できますよう努めて参ります。

③ 経営成績の分析・検討

 当連結会計年度の連結損益計算書に重要な影響を与えた要因につき、以下にご説明します。

a.売上高

 当連結会計年度の売上高は、当初公表予想を下回ることとなり、前連結会計年度に比べ2,842百万円減少して、118,698百万円(前期比2.3%減)を計上しました。分譲住宅セグメントにおいては、自由設計住宅及び分譲マンションの引渡戸数は前期比大幅増となり、特に分譲マンションの販売単価の上昇により大幅増収となりましたが、土地販売において、前連結会計年度に兵庫県加古川市の大規模素地販売があったことにより、相対的に当期減少となり、当セグメントの売上高は、前連結会計年度に比べ12.8%増加の45,388百万円となりました。住宅流通セグメントにおいては、中古住宅に対する需要は根強く、総じて販売は好調に推移しましたが、仕入の厳選を進めた結果、在庫の減少が販売に影響し、引渡戸数が大幅に減少したことから、売上高は前連結会計年度に比べ27.0%減少し23,928百万円となりました。土地有効活用セグメントにおいては、賃貸住宅等建築請負及びサービス付き高齢者向け賃貸住宅の引渡件数は減少しましたが、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡棟数が堅調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ2.6%増加して26,775百万円となりました。賃貸及び管理セグメントにおいては、土地有効活用セグメントにおけるサービス付き高齢者向け賃貸住宅等の請負工事の引渡しにリンクした管理物件の増加及び中古住宅アセット事業が軌道に乗っていることにより、売上高は、前連結会計年度に比べ9.7%増加し23,829百万円となりました。また、前連結会計年度より新たに加わりました建設関連セグメントの売上高は、前連結会計年度に比べ3.2%増加し2,454百万円となりました。

b.営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ1,884百万円増加して、5,871百万円(前期比47.3%増)となりました。主な要因としては、分譲住宅セグメント及び住宅流通セグメントにおいて、前連結会計年度に販売価格を市場実勢に応じて柔軟に設定し直したことによる在庫評価損を計上したことにより、分譲住宅セグメントに係る営業利益が前連結会計年度に比べ273.0%増加の1,475百万円となったこと、また、住宅流通セグメントに係る営業利益が前連結会計年度に比べ153.3%増加の1,280百万円となったことによるものであります。

c.経常利益

 当連結会計年度の営業外損益は、営業外収益が前連結会計年度に比べ20.9%増加し562百万円となり、営業外費用が主として分譲住宅セグメント及び土地有効活用セグメントの開発用土地購入並びに住宅流通セグメントの中古住宅取得に付随する借入金に係る支払利息の減少により、前連結会計年度に比べ9.8%減少し805百万円となりました。

 以上の結果、営業利益に営業外収益・費用を加減算した経常利益は5,627百万円(前期比58.2%増)となり、売上高経常利益率は4.7%(前期は2.9%)となりました。

d.親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の特別利益は、主として中古住宅アセット事業等に係る固定資産売却益の計上等により330百万円(前期は163百万円)となり、特別損失は、のれんの減損損失を計上することとなりましたが、固定資産売却損が減少したこと等により前連結会計年度に比べ16.7%減少し130百万円となりました。また、税金費用は、前連結会計年度に比べ62.3%増加し1,957百万円となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ64.0%増益となり3,869百万円を計上しました。

(3)資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資金需要のうち主なものは、不動産(棚卸資産、固定資産)の取得・開発をはじめとする事業への投資資金等であり、金融機関からの短期借入金、長期借入金を基本としております。その中で、中古住宅等の取得資金の効率的な調達を行うため、取引銀行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約並びにコミット型タームローン契約を締結しております。当連結会計年度において、中古住宅アセット事業仕入資金及び一棟売アパート用地仕入資金のためのコミットメントライン契約3件(契約締結額9,500百万円、期末借入額合計1,498百万円)、分譲住宅・中古住宅・一棟売アパート用地など資金使途が柔軟に設定された仕入資金のコミットメントライン型シンジケートローン契約1件(契約締結額1,200百万円)を金融機関と締結しました。現金及び預金は19,644百万円(前連結会計年度は20,325百万円)となりました。

(4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

 当社グループは、株主重視の経営という観点から、企業価値の向上と継続的・安定的な成長を図り、企業の経営効率を判断する指標である自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標として位置付けており、中期利益計画(2020年3月期~2022年3月期)において、全期間でのROE10%以上の達成を目指し、さらに、財政状態の安全性及び健全性の確保のため、前連結会計年度より自己資本比率25%以上を目標としております。

 当連結会計年度は、ROEにつきましては9.02%で未達成となりましたが、自己資本比率は28.89%で目標を達成しました。

過去5年間におけるROE及び自己資本比率の推移は、以下のとおりであります。

 

経営指標

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

ROE

12.53%

11.86%

7.96%

5.80%

9.02%

自己資本比率

25.67%

25.57%

24.55%

28.11%

28.89%

 中期利益計画(2020年3月期~2022年3月期)の最終年度である当連結会計年度のROEを含めた各経営指標の達成・進捗状況は以下のとおりであります。

 

経 営 指 標

2022年3月期

(計 画)

2022年3月期

(実 績)

2022年3月期(計画比)

売上高

125,000百万円

118,698百万円

△6,301百万円( 5.0%減)

経常利益

6,800百万円

5,627百万円

△1,172百万円(17.2%減)

親会社株主に帰属する当期純利益

4,600百万円

3,869百万円

△730百万円(15.9%減)

ROE(自己資本当期純利益率)

10%以上

9.02%

0.98ポイント減

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