業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、経済活動が抑制される厳しい状況で推移いたしました。ワクチン接種の普及等で同感染症の影響は徐々に和らいでいるものの、新たな変異株の出現といった懸念は払拭されておらず、未だ終息の見通しは立っていません。また、ロシア・ウクライナ情勢は世界経済に深刻な影響を与えており、わが国経済の先行きは不透明な状況が続いています。

 当社グループの属する不動産販売事業においては、用地代・建築コストの値上がりに伴うマンション販売価格の上昇が長く続いています。しかし、住宅ローン金利が低水準で推移していること、政府による住宅ローン減税政策が続いていること、外出自粛や在宅勤務の浸透により住宅に対する消費者の意識が高まっていることなどから、住宅需要は底堅いままで推移しました。

 

 マンション分譲事業においては、底堅い住宅需要に加え、出口戦略として従来の個人・法人顧客に加えて国内外の機関投資家などの選択肢が増えたことから、マンションの販売・引渡は好調に推移しました。2021年夏に販売した「エスリード鶴見緑地公園フォレスト」「エスリード鶴見緑地公園ブリーズ」が不動産情報サイトLIFULL HOME′Sの人気の新築マンションランキングで関西エリア1位、全国エリア2位を獲得するなどお客様にご好評いただいた結果、2022年3月期中に完成した新築分譲マンションを完売し、2017年3月期から6期連続で「完成在庫0」(※)という確かな実績を積み上げることができました。また、2020年12月から開始している名古屋市内での新築マンション分譲による売上が、当連結会計年度から通期で業績に寄与しました。

※各連結会計年度末において竣工済かつ未契約の住戸がゼロ(日刊不動産経済通信2022年3月31日号)

 

 マンション周辺事業においては、メガソーラーの新規取得やM&Aによる南都ビルサービス株式会社(ビルメンテナンス事業)の連結子会社化など、既存事業を拡大・充実させました。マンション周辺事業による良質な維持管理サービスが選ばれるマンションづくりに貢献し、良質なマンションの供給がマンション周辺事業の収益拡大に貢献するという従来からの好循環を、さらに加速させることができました。

 

 これらの結果、当社は創業以来最高の売上高・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益を達成しました。連結売上高は745億97百万円(前期比8.1%増)、連結営業利益は86億60百万円(前期比23.4%増)、連結経常利益は85億75百万円(前期比22.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は54億28百万円(前期比20.5%増)となりました。

 当社グループは、経営目標の達成状況を判断するための客観的な指標として経常利益を採用しています。当連結会計年度における経常利益の実績は85億75百万円となり、期初に公表した業績予想の81億円を上回ることができました。

 

② セグメント別販売実績

(1)不動産販売事業
 不動産販売事業の中でもマンション分譲事業においては、底堅い住宅需要に加え、出口戦略として従来の個人・法人顧客に加えて国内外の機関投資家などの選択肢が増えたことから、マンションの販売・引渡が好調に推移した結果、外部顧客への売上高578億58百万円(前期比1.3%増)、セグメント利益は79億16百万円(前期比33.2%増)となりました。

(2)その他

 既存のマンション周辺事業が堅調に推移し、外部顧客への売上高は167億39百万円(前期比41.0%増)、セグメント利益は28億73百万円(前期比6.9%増)となりました。

③ 不動産販売事業における販売実績

 最近2連結会計年度の不動産販売事業の販売実績は次のとおりであります。

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

物件名

引渡戸数

金額(千円)

物件名

引渡戸数

金額(千円)

中高層住宅

 エスリード守山セントラル

103

3,696,749

エスリード岸和田駅前

116

3,987,834

 エスリード南草津グランプレイス

83

3,105,580

エスリード大津におの浜セントラル

96

3,259,779

 エスリードザ・ランドマーク神戸

119

1,935,806

エスリード鶴見緑地公園フォレスト

77

2,780,989

 エスリード中之島ザ・コア

120

1,910,300

エスリード大阪クレストコート

179

2,773,040

 エスリード大阪NAGAHORI GATE

110

1,737,987

エスリード葵桜通り

136

2,497,040

 エスリード神戸兵庫駅アクアヴィラ

105

1,650,033

エスリード鶴見緑地公園ブリーズ

60

2,126,086

 エスリード京都梅小路アヴェニテ

90

1,618,873

エスリード新栄プライム

117

2,094,789

 エスリード大阪梅田リュクス

87

1,545,188

エスリード神戸グランドール

130

1,952,587

 エスリード守口ミッドゲート

41

1,505,950

エスリード寝屋川ソレイユ

52

1,875,929

 エスプレイス大阪城サウスコンフォート

112

1,448,496

エスリード新栄マルス

104

1,855,773

 その他

1,818

32,317,858

その他

1,800

29,520,091

小計

2,788

52,472,824

小計

2,867

54,723,942

 中古マンション

23

526,303

 中古マンション

72

742,326

 学生寮

116

1,900,298

 学生寮

112

1,630,000

土地建物

 土地建物

1,958,890

 土地建物

581,000

その他

293,583

627,905

 

合計

57,151,899

合計

58,305,175

(注)区分「その他」は一部の棚卸資産から収受した賃貸料収入等であります。

④ 不動産販売事業における契約実績

 最近2連結会計年度の不動産販売事業の契約実績は次のとおりであります。

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

期中契約高

期末契約残高

期中契約高

期末契約残高

戸数

金額(千円)

戸数

金額(千円)

戸数

金額(千円)

戸数

金額(千円)

中高層住宅

2,505

46,332,567

307

7,379,131

4,113

76,648,164

1,369

26,931,026

土地建物

1,754,490

581,000

2,505

48,087,058

307

7,379,131

4,113

77,229,164

1,369

26,931,026

 

⑤ 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて94億35百万円増加して1,143億15百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少41億21百万円、販売用不動産の増加53億17百万円、仕掛販売用不動産の増加53億円によるものです。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて48億74百万円増加して586億17百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少63億35百万円、長期借入金の増加63億89百万円、前受金の増加16億51百万円、電子記録債務の増加12億45百万円によるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて45億61百万円増加して556億98百万円となりました。この結果、自己資本比率は48.7%となりました。

 

⑥ キャッシュ・フローの状況

(1)キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ40億20百万円減少し、当連結会計年度末には269億99百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果減少した資金は93億71百万円(前年同期は9百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益85億75百万円、棚卸資産の増加108億85百万円、仕入債務の減少50億90百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は10億60百万円(前年同期は7億99百万円の減少)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出5億円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果増加した資金は64億11百万円(前年同期は129億90百万円の増加)となりました。これは主にマンションプロジェクト資金等として252億38百万円を借入れ、マンションが竣工したこと等に伴い借入金184億15百万円を返済したことによるものです。

 

(2)キャッシュ・フロー指標の推移

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率

58.6%

48.8%

48.7%

時価ベースの自己資本比率

26.8%

24.8%

22.6%

キャッシュ・フロー対
有利子負債比率

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(注)各指標の基準は以下のとおりであります。いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

1)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3)営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

4)各期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率とインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(1) 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績

「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

(2) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(1)当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ⑥ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(2) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性

(契約債務)

 2022年3月31日現在の契約債務の概要は次のとおりであります。

 

年度別要支払額(千円)

 

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

466,800

466,800

社債

500,000

500,000

長期借入金

42,266,230

12,826,840

26,561,880

640,080

2,237,430

リース債務

1,394,393

139,416

240,018

206,237

808,721

合計

44,627,423

13,433,056

27,301,898

846,317

3,046,151

 上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

(財務政策)

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、不動産販売事業における事業用地の取得を目的とした資金であります。事業用地は、その取得から物件の竣工まで約2年程度と比較的長期間にわたる資金回収が前提となっております。このような中でマンションプロジェクトの始まりである開発用地の取得段階においては金融機関からの借入を前提としつつも、迅速な意思決定によって同業他社との競争優位を図るべく手許資金での用地取得が可能となるよう一定以上の資金水準を保っております。当該資金のうち、借入による資金調達に関しましては、主として変動金利の長期借入金で調達しております。

 また、マンション竣工後の資金回収サイクルを最短化すべく「完成在庫0」を基本とした物件の早期完売体制を構築し、建築コストを含めたマンションプロジェクトの資金回収を当該マンションの販売代金で賄うことを前提とした健全な財務体質の追求を図っております。

 一方、マンション周辺事業及び当社グループ全体においても、新規事業をはじめさまざまな事業拡大に向けた積極的かつ機動的な意思決定を行うべく一定以上の資金水準を維持することとしており、余剰資金は必要に応じてグループ間融資を行うなど、グループ資金マネジメントにより効率的な活用に努めております。

 上記の財務政策は当連結会計年度においても継続しており、新型コロナウイルス感染症による影響はありません。

 加えて、株主還元については安定した配当政策の実施を基本方針とし、成長投資や必要な手許資金を考慮した上で決定しております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は269億99百万円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び(追加情報)に記載のとおりであります。

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