(1)経営成績等の状況の概要
[財政状態及び経営成績の状況]
a.新築不動産販売部門(不動産販売事業セグメント)
当連結会計年度における首都圏の新築マンション市況は、不動産経済研究所の調べによると、2019年の発売戸数は31,238戸と、前年を15.9%下回り、27年ぶりに35,000戸を下回りました。また、契約率については、62.6%と前年比0.6ポイントアップいたしましたが、好調の目安と言われる70%は大きく下回りました。平均価格が前年比1.9%上回り、5,980万円と29年ぶりの高水準となるなど、価格上昇の影響が出でいるものと推察されます。
b.再生不動産販売部門(不動産販売事業セグメント)
一方、東日本不動産流通機構調べによる首都圏中古マンションの2019年の成約件数は、38,109戸と前年比2.4%と2年ぶりに前年を上回り、2017年(37,329戸)を超えて過去最高となりました。また、成約物件の1㎡当たり平均単価は、前年比3.3%増と7年連続で上昇し、この7年で約40%上昇しております。
このような環境の中、当社は活況が続く中古マンションマーケットをターゲットとした1棟リノベーションマンション「ラ・アトレ御苑内藤町グランガーデン」や販売価格が1戸2億円を超える「200Million-Renovation」の取扱いを拡大するなど、戸別リノベーションマンション事業に注力するとともに、新築不動産販売部門においては、収益不動産開発を進め、「LAホテル福岡」や都市型商業ビル開発「A*G中目黒」、「A*G高円寺」を引渡したこと、土地企画販売業務「大森北プロジェクト」、「東十条プロジェクト」、「笹塚プロジェクト」の引渡しが完了したことが、当連結会計年度の収益に貢献いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高及び損益に関わる業績は以下の通りとなりました。
なお、セグメント間の内部売上は除いております。
セグメント別売上高の概況
セグメント |
前連結会計年度 (自2018年1月1日 至2018年12月31日) |
当連結会計年度 (自2019年1月1日 至2019年12月31日) |
構成比 |
前年同期比 |
|
千円 |
千円 |
% |
% |
不動産販売事業 |
6,981,823 |
11,156,808 |
95.6 |
59.8 |
(新築不動産販売部門) |
(3,202,126) |
(5,032,352) |
43.1 |
57.2 |
(再生不動産販売部門) |
(3,779,696) |
(6,124,455) |
52.5 |
62.0 |
不動産管理事業部門 |
573,972 |
496,136 |
4.3 |
△13.6 |
その他 |
164,846 |
16,698 |
0.1 |
△89.9 |
計 |
7,720,642 |
11,669,642 |
100.0 |
51.1 |
① 売上高
不動産事業における主な売上実績は、以下の通りとなっております。
(ⅰ)新築不動産販売部門では、収益不動産「LAホテル福岡」や都市型商業ビル開発「A*G中目黒」、「A*G高円寺」、土地企画販売業務「大森北プロジェクト」、「東十条プロジェクト」及び「笹塚プロジェクト」の引渡しが完了したこと等により、売上高5,032百万円(前年同期比57.2%増)となりました。また、セグメント利益は1,470百万円(同89.5%増)となりました。
(ⅱ)再生不動産販売部門では、戸別リノベーション販売部門において、リノベーションマンションを62戸引渡したこと、インベストメント業務「西新宿1丁目プロジェクト」の完了等により、売上高6,124百万円(同62.0%増)となりました。また、セグメント利益は1,215百万円(同169.8%増)となりました。
(ⅲ)不動産管理事業部門では、管理物件の賃貸収入等により売上高496百万円(同13.6%減)となりました。また、セグメント利益は261百万円(同4.2%減)となりました。
(注)セグメント利益とは、各セグメントの売上総利益から販売費用及び営業外費用を差し引いたものであります。
② 営業利益
販売費及び一般管理費は 1,294 百万円(同33.8%増)となりました。
その結果、営業利益は 2,282 百万円(同90.7%増)となりました。
③ 経常利益
支払利息215百万円(同8.6%増)を中心に営業外費用が281百万円(同2.7%増)となった結果、経常利益は2,033百万円(同116.3%増)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
法人税、住民税及び事業税を701百万円(同165.9%増)、法人税等調整額を△46百万円(前年同期は52百万円)計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,379百万円(前年同期比120.8%増)となりました。
[キャッシュ・フローの状況]
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ877百万円の増加となり、2,784百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2,034百万円、たな卸資産の増加3,267百万円等により584百万円の資金支出(前連結会計年度は1,376百万円の資金支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,573百万円等により3,792百万円の資金支出(前連結会計年度は138百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増加2,214百万円、長期借入れによる収入5,984百万円、長期借入金の返済による支出2,868百万円等により5,254百万円の資金獲得(前連結会計年度は2,028百万円の資金獲得)となりました。
[生産、受注及び販売の実績]
① 生産実績
該当事項はありません。
② 受注実績
当連結会計年度における契約実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
ⅰ.契約高
セグメントの名称 |
契約高(千円) |
前年同期比(%) |
新築不動産販売部門 |
6,476,064 |
16.7 |
再生不動産販売部門 |
4,859,680 |
△1.8 |
合計 |
11,335,744 |
8.0 |
(注)1 本表におきまして「受注高」は「契約高」と読み替えております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 契約高については、契約時点での売上計上予定金額であり、契約時から引き渡し時の間で、契約内容に変更等が発生した場合、実際の売上計上金額と差異が出る可能性があります。
ⅱ.契約残高
セグメントの名称 |
契約残高(千円) |
前年同期比(%) |
新築不動産販売部門 |
4,807,011 |
42.9 |
再生不動産販売部門 |
325,443 |
△79.5 |
合計 |
5,132,454 |
3.6 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 契約残高については、契約時点での売上計上予定金額であり、契約時から引き渡し時の間で、契約内容に変更等が発生した場合、実際の売上計上金額と差異が出る可能性があります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
不動産販売事業 |
11,156,808 |
59.8 |
(新築不動産販売部門) |
(5,032,352) |
(57.2) |
(再生不動産販売部門) |
(6,124,455) |
(62.0) |
不動産管理事業部門 |
496,136 |
△13.6 |
その他 |
16,698 |
△89.9 |
合計 |
11,669,642 |
51.1 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
ガトリン特定目的会社 |
1,602,627 |
20.8 |
- |
- |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断いたしておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容等
ⅰ.財政状態
[資産、負債及び純資産の状況]
a.資産
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ、8,063百万円増加(前年同期比47.9%増)し、24,896百万円となりました。これは現金及び預金が1,115百万円増加したこと、販売用不動産が2,017百万円減少したこと、仕掛販売用不動産が3,384百万円増加したこと、建物及び構築物(純額)が2,533百万円増加したこと、土地が2,629百万円増加したこと等によるものであります。
b.負債
当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ、6,721百万円増加(前年同期比49.3%増)し、20,356百万円となりました。これは短期借入金が2,214百万円増加したこと、前受金が432百万円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が701百万円増加したこと、長期借入金が2,414百万円増加したこと等によるものであります。
c.純資産
当連結会計年度末の純資産合計については、前連結会計年度末に比べ1,342百万円増加(前年同期比42.0%増)し、4,540百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を1,379百万円計上したこと、配当の実施に伴い利益剰余金が73百万円減少したこと等が主な原因であります。
ⅱ.経営成績
「 (1)経営成績等の状況の概要 [財政状態及び経営成績の状況]」に記載の通りであります。
ⅲ.キャッシュ・フローの分析
「 (1)経営成績等の状況の概要 [キャッシュ・フローの状況]」に記載の通りであります。
ⅳ.資本の財源及び資金の流動性について
当社の事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入等を中心に資金調達を行っており、自己資本比率等の経営上の目標指標との乖離状況等を勘案しながら、資金調達手段の最適な選択を実施しております。なお、当連結会計年度における有利子負債につきましては、「第2 事業等のリスク ⑧ 有利子負債への依存について」に記載のとおりであります。これら有利子負債から生じる金融コストの低減に努めつつも、金融機関からの借入は、事業セグメント毎の在庫回転期間により短期借入と長期借入に分けて調達しており、開発期間の長い不動産開発事業は長期調達を行うことで、急激な不動産マーケットの変化に対応できるよう財務体質を強化する方針を掲げております。
ⅴ.セグメントごとの経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容について
セグメントごとの経営成績は、「 (1)経営成績等の状況の概要 [財政状態及び経営成績の状況] 」に記載の通りであります。セグメントごとの財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。
① 新築不動産販売部門(不動産販売事業セグメント)
新築不動産販売部門は、当社の成長ドライバーとして位置付けている「都市型商業ビル開発」や「ホテル開発」に代表される不動産開発と新築分譲マンション販売が中心であります。当連結会計年度末の販売用不動産及び仕掛販売用不動産(以下、「たな卸資産」といいます)の残高6,493百万円及び7,337百万円の合計13,830百万円うち、当部門の残高は合計で10,882百万円となっており、前年同期比で71.8%増加しております。これは、当社の経営の基本方針や中期経営計画に基づき、「全方位型ビジネス・ポートフォリオ」による選択と集中を行い、前項記載のとおり、金融機関からの長期借入での調達に対応した不動産開発プロジェクトを進めていることによる増加であります。当連結会計年度の業績に寄与した不動産開発は、当セグメントに分類され、今後においても、引き続き成長ドライバーとして積極的に展開していく方針から、たな卸資産は増加傾向にあります。なお、当残高には、新築分譲マンション販売の仕入在庫も含まれておりますが、同商品の取扱いは継続しながらも、市場の需要動向を注視しながら、取扱いの拡大や現状維持などの方向を見極めていく所存であります。
② 再生不動産販売部門(不動産販売事業セグメント)
再生不動産販売部門は、当社のコアビジネスの1つである中古マンションの戸別販売が中心でありますが、当連結会計年度末のたな卸資産合計13,830百万円のうち、当部門の残高は 2,948百万円 となっており、前年同期比で 51.9%減少しております。この減少は当連結会計年度において、インベストメント事業目的から保有目的の見直しを行い、当セグメントのたな卸資産1,816百万円を有形固定資産及び無形固定資産へ振替処理を行ったこと等による一時的なものであります。戸別リノベーションマンションについては、金融機関からの短期借入を中心に資金調達を行っており、今後においても、「100Million-Renovation」、「200Million-Renovation」とシリーズ化した「プレミアムリノベーションマンション」 を、市場の需要動向を見極めつつも、当社の「全方位型ビジネス・ポートフォリオ」を構成する重要な柱として積極的に展開していく所存であります。
③ 不動産管理事業セグメント
当セグメントでは、保有する管理不動産から得られる賃料収入により収益が構成されており、当連結会計年度末の有形固定資産の残高合計6,434百万円のうち、当部門の残高は6,408百万円となっており、先述の保有目的の見直しによる増加を含め前年同期比で424.2%増加しております。当事業では、リスクの分散を目的に保有する資産の用途や地域でポートフォリオを組んでおります。当事業の展開方針は、保有する固定資産を随時見直し、優良な資産を入れ替えていくことにより、ポートフォリオの拡大や分配バランスを構築しております。今後も、資産の取得を積極的に進めることにより、収益の拡大を図る計画であります。
ⅵ.翌期の見通し
2020年12月期における取り組みとして、再生不動産販売部門においては、活況が続く中古マンション市況の動向を受け、「都心一等地」「100㎡の広さ」をキーワードとする1億台の「100 Million-Renovation」と2億円台の「200 Million-Renovation」シリーズに注力し、価格競争に巻き込まれることのない競争優位性の高い高付加価値の商品を提供してまいります。
新築不動産販売部門においては、成長ドライバーと位置付ける収益不動産開発に積極的な経営資源の投入を行い都市型商業ビル開発「A*G」シリーズやホテル開発等のプロジェクト規模を拡大していくほか、事業チャネルの多様化の施策として、パートナー企業との協業・提携による新たなシナジー効果による更なる商品企画力の向上や事業機会の創出を図ってまいります。
不動産賃貸事業においては、ホテルやヘルスケアなど成長分野への投資規模の拡大、既存オペレーターとのリレーション構築及び優秀な新規オペレーターの発掘に注力することにより、保有する管理不動産のポートフォリオの増強及び質的向上を図ってまいります。
これらの結果、2020年12月期の連結業績につきましては、売上高12,500百万円、営業利益1,620百万円、経常利益1,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益900百万円を見込んでおります。
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