(1) 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて4,182百万円増加し、96,322百万円となりました。これは主に、現金及び預金が8,300百万円増加して28,222百万円となり、販売用不動産が16,288百万円減少して24,573百万円、仕掛販売用不動産が11,267百万円増加して38,560百万円となったことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて803百万円増加し、13,524百万円となりました。これは主に、有形固定資産が取得による増加と減価償却等による減少で488百万円増加、無形固定資産が85百万円減少、投資その他の資産が399百万円増加したことによるものであります。
上記の結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて4,986百万円増加し、109,847百万円となりました。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べて1,586百万円減少し、56,413百万円となりました。この減少は主に、新規の資金調達と借入金の返済による差額で借入金の減少3,659百万円、未払法人税等の増加2,406百万円、物件工事等による未払金の減少188百万円、当社管理物件の預り敷金の増加685百万円、消費税等の納付による未払消費税等の減少により、その他の流動負債が697百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて6,572百万円増加し、53,433百万円となりました。これは利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により6,630百万円増加し、剰余金の配当により146百万円減少したことが主な要因であります。また、自己株式の消却により自己株式が12,204百万円減少する一方、利益剰余金が7,048百万円、その他資本剰余金が5,155百万円それぞれ減少しており、純資産合計には影響ありません。なお、当連結会計年度末の自己資本比率は48.6%となりました。
(2) 経営成績の状況
当連結会計年度の業績は、売上高68,402百万円(前期比112.3%増)、営業利益11,363百万円(同591.3%増)、経常利益10,445百万円(同672.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,630百万円(同898.7%増)となりました。
①各セグメントの状況
(資産価値創造事業)
当事業では、お客様ひとり一人の目的に応じて個々の不動産資産の潜在価値を追求します。自らオーナーとなり用途変更や大規模改修、新たなテナント誘致等を行い、お客様にとって意味のある不動産資産を創出し提供します。
新型コロナウイルス感染症拡大によって様々な事業活動の制約を受けたことは、不動産に内在する本質的な価値を見直す契機となりました。当社が最も重視すべきことは、社会、経済、環境の全てが共生し、継続的な発展につながる価値の本質を考え抜き、それを実現させることにあると再定義し、当事業に取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度に、販売価格20億円以上の大型物件として銀座の大型商業ビル、白金長者丸レジデンス、池尻大橋オフィスビル、目黒駅近隣のMedock総合健診クリニックビル、川越の物流倉庫、表参道の商業ビル、川崎の一棟レジデンス等を販売し、加えて、特徴ある地方案件として、京都三条の複合ビル、神戸の築110年の歴史建築案件、日立市の宿泊施設など合計29件をお客様にお届けすることが出来ました。
さらに当社が資産価値向上を進める大型案件を複数組み合わせた100億円規模の運用資産に数千万円単位から投資できる新たな不動産投資商品の第一陣を組成し、2021年12月より販売を開始、当連結会計年度末までに完売したことも加わり、当連結会計年度の当事業の売上高は、61,893百万円(前期比133.4%増)、セグメント利益は12,955百万円(同310.9%増)となりました。
(資産価値向上事業)
当事業では、お客様にご提供した不動産について、その価値を維持向上させるための、賃貸管理、建物管理業務等を行います。テナント入れ替わり等を機会に、将来に向けた物件価値の向上策をご提案する等、お客様のご希望を細かくお伺いし、長期的な資産価値向上を目指します。
当連結会計年度の当事業の売上高は4,964百万円(前期比10.8%増)、セグメント利益は1,104百万円(同6.9%増)となりました。
(未来価値創造事業)
当事業では主に、コミュニティホステル、超高齢化社会に必須の高度医療専門施設、多発する自然災害に備える非常用電源開発など、将来の社会課題に対応した事業を、自社事業として行っております。これらの事業運営を通して獲得した経験や知見は、将来の資産価値創造事業、資産価値向上事業における構想と提案に活かされます。
高度専門医療の支援事業の一環として「medock総合健診クリニック」を目黒に開設、既に多くの受診者にご利用いただき、各方面の事業会社との連携が始まっております。加えて、新型コロナ対応ワクチンの職域接種にも取り組み3万5千人以上の接種を行いました。
一方、㈱アセット・ホールディングス、㈱WeBaseにおいては、再度の緊急事態宣言やまん延防止措置による外出自粛、移動制限等の影響を引き続き強く受けた期間となりました。それでも感染拡大の防止策を講じつつ、事業活動を無事故で継続し続けることは、お客様や社会とのつながりを強める機会と位置づけ、設備の抜本的な改修などを進めながら業績の改善に全力で取り組んでおります。当連結会計年度の当事業の売上高は1,544百万円(前期比27.0%増)となり、セグメント損失は、新たな宿泊施設「江田島荘」を立ち上げたことによる初期投資等もあり、2,059百万円(前年同期は1,971百万円のセグメント損失)となりました。
②経営上の目標の達成状況
当社グループは、市況が変化しても価値創出にかかわるリスクを取り続けられる様に、自己資本比率50%以上、ROE10%~20%を目標とする経営指標としております。当連結会計年度における自己資本比率は48.6%(前期比3.9ポイント増加)、ROEは13.2%(前期比11.8ポイント増加)となりました。
③新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染拡大が収束しない場合、当社グループの事業領域全般にわたり、業績に大きな影響を及ぼすことが想定されます。事業セグメントごとに想定される影響については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク (6) 感染症等によるリスク」に記載しております。
④仕入及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(% △は減少) |
資産価値創造事業 |
40,647 |
△0.6 |
合計 |
40,647 |
△0.6 |
b.販売実績
当連結会計年度における売上高実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
資産価値創造事業 |
61,893 |
133.4 |
資産価値向上事業 |
4,964 |
10.8 |
未来価値創造事業 |
1,544 |
27.0 |
合計 |
68,402 |
112.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当社グループの相手先は、不特定の法人・個人であるため、主要な顧客別(相手先別)の記載を省略しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べて8,300百万円増加し、28,222百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な変動要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、15,440百万円の増加となりました。主な増加要因は、資産価値創造事業における売上高61,893百万円に係る資金増加であり、主な減少要因は、資産価値創造事業における販売用不動産の仕入の支払額35,570百万円と仕掛販売用不動産の開発進展並びに販売用不動産の改修工事代金の支払額6,208百万円、法人税等の支払額1,551百万円、及び販売費及び一般管理費の支出に係る資金減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、3,243百万円の減少となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入52百万円、貸付金の回収による収入51百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出2,293百万円、出資金の払込による支出400百万円、貸付けによる支出536百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、3,946百万円の減少となりました。主な減少要因は、新規の資金調達と借入金の返済による差額での減少3,659百万円、配当金の支払額148百万円であります。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
56.7 |
53.6 |
44.7 |
48.6 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
61.4 |
33.2 |
39.6 |
31.3 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
2.4 |
8.9 |
- |
2.8 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
48.8 |
12.2 |
- |
29.6 |
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、仕入に関わる資金調達においては、主に営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を使用しており、資産価値創造事業における仕入れ資金の一部については、想定される在庫期間よりも長期性の資金を銀行借入等により調達することで、流動性リスクの軽減を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末時点における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じて合理的と考えられる方法により判断を行っておりますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載しております。
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