当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の中、依然として厳しい状況で推移いたしました。足元ではワクチン接種の進展等により新規感染者が徐々に減少し、また、政府の各種政策による効果や経済活動の段階的な再開等により、一部で景気の持ち直しの動きがみられました。しかしながら、新型コロナウイルス変異株による感染の再拡大リスクに加え、ウクライナ情勢の長期化・緊迫化による原材料・資源価格の上昇や物流の混乱、また、金融市場の変動など、先行きは不透明な状況が続いております。
当社が属する不動産業界では、不動産投資市場については、低金利等による良好な資金調達環境における投資家の高い投資意欲を背景に、引き続き堅調に推移いたしました。物流施設市場におきましても、首都圏ではeコマースの普及等により物件需要が高まり、市場規模の拡大が継続いたしました。賃貸オフィス市場では、都心エリアを中心に空室率がやや高い状況となりました。新築マンション市場については、低金利と住宅ローン減税などに支えられた根強い購入意欲により、供給戸数が2年連続で増加するなど好調な販売動向となりました。一方で、優良な事業用地の取得競争が激化したことによる用地費の高騰、更に資材価格の上昇や半導体不足による建築工事費への影響など、今後の事業を取り巻く環境は厳しい状況となっております。
このような事業環境のもと、当社は中長期的な成長に向けて、強みである仕入企画力や事業提案力を活かし、事業用地の仕入活動に取り組んでまいりました。販売面においては、ホテル、物流施設、都市型コンパクトオフィスの販売や、都心部を中心とした高品質な資産運用型マンションの一棟販売並びに複数棟一括販売を予定どおり進捗させました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高は194億68百万円(前期比23.3%増)、営業利益は17億34百万円(前期比2.6%増)、経常利益は15億15百万円(前期比5.7%増)、当期純利益は12億36百万円(前期比27.0%増)と増収・増益を達成することができました。
経営者の視点による当社の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(売上高、売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上高は、前期比36億74百万円増加(前期比23.3%増)の194億68百万円となりました。流動化事業については、前期比16億28百万円増加(同18.1%増)となり、マンション販売事業においては、前期比25億68百万円増加(同41.2%増)となりました。戸建販売事業については、投資家からの需要が高い都内の不動産市況を考慮し、流動化事業及びマンション販売事業に経営資源を集中させた結果、当事業に関する実績はありません。
売上原価は、前期比31億6百万円増加(同24.5%増)の157億98百万円となりました。流動化事業については、前期比14億12百万円増加(同19.6%増)となり、マンション販売事業については、前期比20億89百万円増加(同41.4%増)となりました。戸建販売事業については、実績はありません。
売上総利益は、前期比5億67百万円増加(同18.3%増)の36億69百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、売上高の増加に伴う販売手数料の増加等により、前期比5億23百万円増加(同37.1%増)の19億35百万円となりました。
営業利益は、前期比44百万円増加(同2.6%増)の17億34百万円となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、未払配当金除斥益を4百万円計上した一方、受取地代家賃の3百万円減少(同51.3%減)や受取利息の2百万円減少(同14.2%減)等により、前期比4百万円減少(同12.5%減)の29百万円となりました。また、営業外費用は、前期計上した解約金等の一過性の費用がなく、前期比42百万円減少(同14.5%減)の2億48百万円となりました。経常利益は前期比82百万円増加(同5.7%増)の15億15百万円となりました。
(特別損益、税引前当期純利益、当期純利益)
特別利益は、関係会社株式の売却益26百万円他で合計27百万円計上いたしました。特別損失は、新型コロナウイルスの影響を受け財政状況が悪化した投資先の株式評価損99百万円、貸倒引当金繰入額20百万円他で合計1億36百万円を計上、税引前当期純利益は前期比1億52百万円増加(同12.2%増)の14億6百万円となりました。
また、法人税、住民税及び事業税は前期比13百万円減少の2億15百万円、法人税等調整額を(△は利益)△45百万円計上したことにより、税金費用は前期比1億10百万円減少の1億70百万円となり、当期純利益は前期比2億62百万円増加(同27.0%増)の12億36百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(流動化事業)
当事業年度は、主に東京23区、神奈川県及び埼玉県において、ホテル、物流施設、都市型コンパクトオフィスの企画・開発・販売及び、他デベロッパー向け開発用地の仕入・販売を行ってまいりました。
販売面におきましては、「東新宿Ⅱプロジェクト」(ホテル、東京都新宿区)、「綾瀬プロジェクト」(物流施設、神奈川県綾瀬市)、「浦和美園プロジェクト」(物流施設、埼玉県さいたま市)、「八丁堀プロジェクト」(オフィスビル、東京都中央区)をはじめとする16件(前期比2件増)の引き渡しを行いました。
この結果、売上高は106億6百万円(前期比18.1%増)、一部物件で販売価格の見直しを行ったこと等から営業利益は13億58百万円(前期比4.4%減)となりました。
(マンション販売事業)
当事業年度は、東京23区を中心に仕入・開発・販売活動を展開し、資産運用型マンションの一棟販売並びに複数棟一括販売を行ってまいりました。
販売面におきましては「ルネサンスコート秋葉原(24戸)」(東京都千代田区)、「ルネサンス六本木プレミアムコート(11戸)」(東京都港区)、「ルネサンスコート中目黒(24戸)」(東京都目黒区)、「ルネサンスコート目黒(19戸)」(東京都目黒区)など、合計で13棟、販売戸数221戸(前期比31戸増)の引渡しを行いました。
この結果、売上高は87億97百万円(前期比41.2%増)、営業利益は10億72百万円(前期比36.8%増)の増収・増益となりました。
(戸建販売事業)
当事業年度は、投資家からの需要が高い都内の不動産市況を考慮し、流動化事業及びマンション販売事業に経営資源を集中させた結果、当事業に関する実績はありません。
(その他)
当事業年度の売上高は64百万円(前期比28.3%減)となり、営業利益は20百万円(前期比55.3%減)を計上いたしました。
用地仕入の実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
a.販売経路別販売実績
不動産販売事業に関して、販売実績を販売経路別に示すと、次のとおりであります。
b.事業区分別販売実績
販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
c.地域別販売実績
不動産販売事業に関して、販売実績を地域別に示すと、次のとおりであります。
不動産販売事業における契約実績は次のとおりであります。
当事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 )
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、前期末と比べ7億85百万円減少(前期末比3.9%減)し、191億45百万円となりました。主な減少要因は、都心で好立地の用地仕入や進行中プロジェクトの建築進捗に伴い仕掛販売用不動産が42億77百万円増加(前期末比71.8%増)した一方で、ホテル・物流施設等の引渡しや資産運用型マンションの複数棟一括販売により、販売用不動産が70億6百万円減少( 前期末比80.2%減 )したこと等によるものであります。
当事業年度末における固定資産は、前期末と比べ2億60百万円減少(前期末比17.0%減)し、12億70百万円となりました。これは、関係会社長期貸付金が4億18百万円減少(前期末比89.3%減)したこと等によるものであります。
この結果、資産合計は10億43百万円減少(前期末比4.9%減)し、204億19百万円となりました。
当事業年度末における流動負債は、前期末と比べ43億4百万円減少(前期末比45.1%減)し、52億37百万円となりました。主な減少要因は、販売進捗に伴うプロジェクト借入金の返済により、短期借入金が6億9百万円減少(前期末比22.0%減)、1年内返済予定の長期借入金が38億28百万円減少(前期末比62.8%減)したこと等によるものであります。
当事業年度末における固定負債は、前期末と比べ24億59百万円増加(前期末比48.1%増)し、75億68百万円となりました。主な増加要因は、長期借入金が22億77百万円増加(前期末比46.7%増)したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は18億45百万円減少(前期末比12.6%減)し、128億6百万円となりました。
当事業年度末における純資産合計は、前期末と比べ8億2百万円増加(前期末比11.8%増)し、76億12百万円となりました。主な増加要因は、当期純利益で12億36百万円増加(前期末比27.0%増)したほか、剰余金の配当で4億37百万円の支払いによる減少、その他有価証券評価差額金が4百万円増加したことによるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ20億96百万円増加し、70億29百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、45億40百万円の資金の増加(前期は23億22百万円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益14億6百万円の計上や、ホテル・物流施設の販売や資産運用型マンションの複数棟一括販売を行ったこと等により、前期末に比べ棚卸資産が27億28百万円減少したことによるものであります。
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1億68百万円の資金の増加(前期は1億39百万円の減少)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入2億38百万円、長期貸付金の回収による収入2億65百万円がある一方、投資有価証券の取得による支出3億26百万円、長期貸付けによる支出65百万円によるものであります。
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、26億12百万円の資金の減少(前期は21億97百万円の減少)となりました。これは主に、借入金が21億60百万円の減少、配当金の支払額4億37百万円によるものであります。
また、キャッシュ・フロー関連指標の推移につきましては、以下のとおりであります。
(注) 各指標の算出方法は以下のとおりであります。なお、算出の結果、数値がマイナスとなる場合には「―」で表示しております。
・自己資本比率:自己資本/総資産
・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利息の支払額
※株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利息を支払っている全ての負債を対象としており
ます。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項」に記載しております。財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症については、世界各国をはじめ我が国でもワクチン接種が普及しておりますが、今後の新型コロナウイルス感染症の収束時期やその影響の程度を合理的に予測することは極めて困難な状況にあります。この影響は長期化するものと考えており翌事業年度以降の一定期間にわたり継続する仮定に基づき会計上の見積りを検討しております。ただし、今後の状況変化により判断を見直した結果、翌事業年度以降の業績に影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
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