(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度の売上高は20,572百万円(前期比8.5%減)、営業利益は3,044百万円(前期比33.8%増)、経常利益は3,009百万円(前期比39.2%増)となりました。また、2021年12月16日に公表いたしましたとおり、2019年12月期に計上した買戻損失引当金のうち、買い戻しが実現しなかったコンテナに対する引当金を取り崩すことによる買戻損失引当金戻入益を1,610百万円計上したこと等により、特別利益が1,833百万円となった結果、当期純利益は3,171百万円(前期比42.5%増)と大幅な増益となりました。
各セグメントの業績は以下の通りであります。
<ストレージ事業>
当社の基幹事業であるストレージ事業は、「ストレージ運用」と「ストレージ流動化」の2つのサブセグメントで構成されております。
ストレージ運用は、当社が展開するトランクルームのブランド「ハローストレージ」の稼働率が、前期末比5.20ポイント増の85.86%と上場来最高値を記録し、収益性が高まりました。稼働率の上昇要因は主に、申込数を堅調に獲得できたこと、総室数が減少したことの2点であります。
申込については、新型コロナウイルスはストレージの需要に対して若干のプラスに働きました。経済状況の悪化による解約等が一部発生いたしましたが、一方でリモートワークや巣ごもり生活を起因とする自宅整理需要を取り込むなど、堅調に稼働室数を伸ばしました。また、2016年から2018年にかけて出店した大型物件の稼働率が時間をかけて上昇したことに加え、2019年以降の出店精度向上により新規物件の稼働率が高まったことが、全体の稼働率上昇に大きく寄与いたしました。一方で、2020年に出店活動を一時停止した影響で2021年の出店室数が通年比で減少したことに加え、毎年定期的に発生する閉店等により、総室数は前期末比101室減の97,784室となり、稼働率の上昇に寄与いたしました。さらに、2020年から約2年にわたり進めてきたコンテナの買戻しによる利益率改善効果に加え、2018年12月期決算に計上した転貸損失引当金について稼働率の上昇及び自社出店への方針転換に伴う戻入れが発生したことから、ストレージ運用は大幅増益の結果となりました。
ストレージ流動化は、アセット屋内型ストレージの「土地付きストレージ」の受注2件と販売1件等を計上いたしました。
この結果、ストレージ事業の売上高は15,469百万円(前期比4.7%増)、営業利益は3,415百万円(前期比56.3%増)と増収増益となりました。
<土地権利整備事業>
土地権利整備事業につきましては、売上高は3,716百万円(前期比38.7%減)、営業利益は442百万円(前期比49.3%減)と減収減益となりました。2021年期末時点での在庫額は2,516百万円と前期末比1,750百万円減少し、「量から質」を重視した方針へ切り替え、事業規模の最適化を図る取り組みを行いました。
<その他運用サービス事業>
その他運用サービス事業は、アセット事業、オフィス事業等の賃料収入を収益基盤とする事業で構成されております。アセット事業は、新型コロナウイルスの影響を受けた一部テナントの賃料減額を継続している影響で、減収減益となりましたが、高稼働を維持いたしました。オフィス事業は、2021年4月の新規物件オープンの出店費用の影響で減益となりましたが、稼働状況は堅調に推移したため増収減益となりました。これらに加え、貸会議室事業及びパーキング事業の撤退による影響で、その他運用サービス事業の売上高は1,385百万円(前期比15.5%減)、営業利益は382百万円(前期比3.5%減)と減収減益となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて8.6%増加し17,319百万円となりました。これは主として販売用不動産1,396百万円、未収消費税等560百万円、未収還付法人税等258百万円がそれぞれ減少したこと等に対して、現金及び預金が3,663百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べて0.5%増加し24,882百万円となりました。これは主としてコンテナの買取り等の影響により工具、器具及び備品が1,065百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、資産合計は、前事業年度末に比べて3.7%増加し42,202百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて13.5%減少し5,867百万円となりました。これは主として未払法人税等が557百万円増加したこと等に対して、買戻損失引当金2,297百万円、未成工事受入金192百万円がそれぞれ減少したこと等によるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べて2.6%減少し15,371百万円となりました。これは主としてリース債務が280百万円、社債が157百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて5.9%減少し21,239百万円となりました。
純資産合計は、前事業年度末に比べて15.6%増加し20,963百万円となりました。これは主として繰越利益剰余金が2,780百万円増加したこと等によるものであります。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、前事業年度末に比べて3,663百万円増加し、13,440百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、5,741百万円の収入となりました。主な内訳は、買戻損失引当金の減少額2,297百万円、法人税等の支払額236百万円等の減少要因に対して、税引前当期純利益4,519百万円、たな卸資産の減少額1,476百万円、減価償却費計上額879百万円等の増加要因によるものであります。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、1,264百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出額1,822百万円等の減少要因によるものであります。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、825百万円の支出となりました。主な内訳は、長期借入れによる収入2,001百万円、短期借入金の増加額396百万円の増加要因に対し、長期借入金の返済による支出額2,363百万円等の減少要因によるものであります。
該当事項はありません。
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、決算期間における収益及び費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、転貸損失引当金、たな卸資産の評価額、減価償却資産の耐用年数、固定資産の評価、及び繰延税金資産の回収可能性等であり、継続して評価を行っております。なお、評価につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。
①たな卸資産の評価
たな卸資産について、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を正味売却価額まで減額し、当該減少額を評価損として計上しております。そのため、販売計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には評価損の計上が必要となる可能性があります。
②固定資産の減損処理
固定資産について、減損の兆候があり、かつ資産の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合は、回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。減損の兆候の判定及び回収可能性の見積りにおける重要な仮定は、不動産鑑定士による鑑定評価等及び将来キャッシュ・フローの見積りであります。当該資産又は資産グループが属する事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損損失が発生する可能性があります。
③繰延税金資産の回収可能性の評価
繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しています。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。
④転貸損失引当金
ストレージ事業におけるマスターリースにおいて、転貸差損が将来にわたり発生する可能性が高い物件について、翌事業年度以降の損失見込額を計上しております。転貸損失引当金の計算にあたっては、過去の収益実績を元に将来収益を見積もっています。しかし、ストレージ事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ収益が減少した場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
当社の当事業年度の経営成績等は、減収・大幅増益の結果となりました。土地権利整備事業(底地)について、事業規模の最適化を図るため減収となったものの、ストレージ運用の大幅増益により、計画を上回り着地いたしました。前事業年度より、不動産売買による一過性の利益に依存した収益構造から、毎月安定的に収益が積みあがるストック型の収益構造への転換に向けた施策を進めてまいりました。
当社の基幹事業はストレージ事業であります。当社が展開するレンタル収納スペースは約97,000室であり、そのうち約85%の稼働率を維持しており、継続的な収益を見込める環境が構築されております。また、当社が展開するストレージ物件は無人で運営・管理できる体制となっており、人件費等のコストを必要としないため、市況の影響を受けず安定した収益を見込むことが可能であります。さらに、ストレージ事業においては、レンタル収納スペースの需要及び認知度の向上により、市場規模が拡大傾向にあります。東京近郊では競合他社の出店も増加しておりますが、当社は競合エリアへの出店を模索し続けるとともに、地方の10万人都市を中心に小型物件(20~40室)の出店を進めました。大都市と比較して出店地代が安価なうえに競合他社が少なく、出店後の申込数等が好調に推移しております。また、従来の投資家への受注販売を軸とした出店展開から、自社投資出店へ切り替えたことで、損益分岐点が下がることによりストレージ運用の利益率が改善しております。今後も当社の営業ノウハウを活かして全国にストレージ物件を展開し、ストックビジネスの持続的な成長及び強固な収益基盤の確立を目指してまいります。
土地権利整備事業は、住宅用底地の売買を中心に展開しております。土地を自由に活用できない底地権者と、住み続けることはできるが土地の活用ができない借地権者との権利関係を当社が介入することによって解決する事業であります。権利関係が複雑化しておりニッチな事業のため競合が少なく、建物を保有する借地権者への売却は、借地権者の購入需要も高く不動産市況に影響されにくいため、継続的に収益を獲得しております。当事業年度は滞留在庫の圧縮を行い、在庫水準の適正化を進めてまいりました。また、底地を保有している期間は地代収入を得られるため、投資用商品としての注目度も上がっており、投資家への販売も出口戦略の選択肢の一つとして考えております。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、各事業の成長速度を加速させる中で、ストレージの出店、底地の仕入、システムインフラの整備等、機動的な活用ができる資金水準の維持と財務の健全性を考慮した有利子負債を適切に保つことが非常に重要であると考えております。そのため、資本の財源は、流動性の高い資金の確保として、内部留保の確保及び金融機関からの運転資金の借入で対応しております。販売用不動産に計上している底地については、仕入段階での精査及び出口戦略を考慮したうえで、適正な在庫水準を保ちつつ、内部留保を活用した売買を行っております。
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