業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

 我が国経済は、2021年9月末の緊急事態宣言解除以降、持ち直しの動きがみられたものの、新型コロナウイルスの変異株の影響により当連結会計年度末にかけては感染者数が拡大したため、企業収益を取り巻く事業環境は、宿泊業や観光業を中心に厳しさが続いております。世界経済は、この新型変異株の影響が続く一方、ロシアによるウクライナ侵攻等による原材料価格の上昇が物価の上昇に拍車をかけ、各国において金融緩和の縮小や引き締め観測が強まってきており、今後は金融資本市場の変動を注視する必要があります。

当社グループがオフィスビル事業を展開する、東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷)において続いていた平均空室率の悪化は2021年12月に底打ちしたとみられるものの、1月以降は一進一退の状態が続いております(民間調査機関調べ)。また、平均賃料は20,366円(坪単価)と20カ月連続の下落(計2,648円/約11.5%)となり、オフィス市況全般において軟調な状態は依然として続いています。不動産投資市場は、機関投資家等による投資意欲は依然強いものの、世界的な金融引き締め局面によって、先行きは予断を許さない状況が続いております。

 このような事業環境のもと、当社グループにおいては、2021年5月に発表した中期経営計画に基づいて、順調に事業を展開しております。当連結会計年度は、コロナ禍においても当社グループの中核事業である不動産再生事業において高収益・高品質の商品化が進んだことにより販売用不動産の売却が順調に推移し、また不動産サービス事業においては順調に業績を拡大しました。一方、ホテル運営事業では、緊急事態宣言の影響や新規開業ホテルの開業費用により当連結会計年度において損失を計上しております。

 

  以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高71,251百万円(前期比19.5%増)、営業利益12,127百万円(同53.3%増)、経常利益12,215百万円(同62.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,415百万円(同73.5%増)となりました。

  なお、第1四半期連結会計期間の期首より報告セグメントの一部変更を行い、それに伴い、当連結会計年度並びに前年度の実績値を変更後のセグメント区分に組替えて表記しております。セグメント変更の背景と概要は以下の通りです。当社では、ホテル運営事業における運営ノウハウをホテル開発事業へ活かし、一体的に事業を推進し収益力強化を図ることを目的に、2020年11月にグループ内事業再編を行い、サンフロンティア不動産株式会社の「ホテル開発事業」を会社分割し、サンフロンティアホテルマネジメント株式会社に承継いたしました。これを反映した事業セグメントに変更を行うと共に、報告セグメント名称を「ホテル・観光事業」といたしました。また、合わせて不動産サービス分野における各事業間の更なる連携強化を推進する観点から、貸会議室事業、滞納賃料保証事業等の関連する事業セグメントを「不動産サービス事業」に集約する変更を行いました。

 

 各セグメントの業績は次のとおりであります。

(不動産再生事業)

不動産再生事業では、①リプランニング事業、②賃貸ビル事業を行っております。

①リプランニング事業では、ビルの仕入から再生企画、テナントの入居斡旋、販売、そして販売後のサポートに至るまで、全てのプロセスを内製化しています。当期の販売については、投資家の旺盛な投資意欲を背景に順調に進捗しております。一方、仕入についてはマクロ経済の変動による不動産市況や金利動向への影響等を見極めつつ、選別しながら慎重に物件購入を進めております。商品化においては、街やオフィス、働き方の変化を先取りしながら、ハイブリッドな働き方に対応し、新常態の中でも選ばれるオフィスづくりを目指しております。また、都心に支店網を張り巡らせる賃貸仲介部門との連携により、コロナ禍においてもテナント誘致を進め、高稼働・高付加価値の不動産商品に仕上げることで、国内外の幅広いお客様の期待に応える商品を販売いたしました。これらの結果、リプランニング事業の販売棟数は21件と順調に推移し、売上高、利益ともに前年度比で大幅な増加となりました。

 ②賃貸ビル事業においては、安定した収益基盤を構築することを目的に、リプランニング事業における商品化中の物件数を維持しつつ、不動産サービス部門で培ったオペレーション力を活かして中長期的に賃料収入の増加を図っております。しかしながら、当期においては高稼働であった中長期大型ビルを販売入替したこと等により、前年度に比べ売上高、利益ともに減少いたしました。

 

  以上の結果、不動産再生事業全体の 売上高は55,958百万円 (前期比 54.2%増 )となり、 セグメント利益は16,262百万円 (同78.5%増)となりました。

 

(不動産サービス事業)

 不動産サービス事業では、①プロパティマネジメント事業、②ビルメンテナンス事業、③売買仲介事業、④賃貸仲介事業、⑤貸会議室事業、⑥滞納賃料保証事業等を行っております。

これら各事業部門は、都心の中小型オフィスビル分野において、それぞれの専門性を結集して協働しながら事業を展開しております。また現場における創意工夫を通して培った先進性を連鎖的に掛け合わせることで付加価値を生み出し、リプランニング事業における高い収益性を創出する基盤にもなっております。

 ①プロパティマネジメント事業では、賃貸仲介部門との協働によるテナント誘致等に取り組み、高稼働・高収益なビル経営を実現させるとともに、地震や台風等の災害時にはビルメンテナンス部門や建設部門等と協働し、迅速にビル設備の復旧をサポートすることでオーナー様やテナント様に安心・安全のビル運営を提供しております。当期の業績は、管理棟数は増加したものの、稼働率が低下したことにより管理収入は伸び悩み、前年度に比べ売上高、利益ともに微減いたしました。

 

 

2020年3月末

2021年3月末

2022年3月末

受託棟数

392棟

397棟

421棟

稼働率

98.6%

94.4%

91.5%

 

 

 ②ビルメンテナンス事業では、ブランコによる外窓・外壁等の高所清掃、防水工事、外壁改修工事を強みに、事業を推進しております。前期には同業の㈱日本システムサービスの株式を100%取得し、都心における事業基盤強化を図っております。当期の業績は、前年度にコロナ禍の影響によって受注が減少していた反動と、受託物件数の増加、㈱日本システムサービスの売上・利益が加わった結果、前年度に比べ売上高、利益とも大幅に増加いたしました。

 ③売買仲介事業では、不動産コンサルティングの一環としてプロパティマネジメント事業や賃貸仲介事業をはじめとする他部門のお客様からの相談案件に対してスピード対応で取り組んでおります。当期の業績は、オフィスビル事業部門が一体となってビルオーナー様のビル経営に寄り添い、培ってきた信任をベースに売買仲介の成約につなげており、前年度に比べ売上高、利益ともに増加いたしました。

 ④賃貸仲介事業では、都心を中心に11拠点のサービス網を展開し、地域のビルオーナー様に寄り添う身近な相談窓口として機能しています。また、テナントリーシングの現場でいち早く得たテナント様のニーズや変化を、リプランニング事業の商品企画に活かすことで、お客様視点の付加価値を速やかに創出しております。当期の業績は、前年度にコロナ禍の影響によってテナント様のご移転が停滞した反動もあり、売上高、利益ともに増加いたしました。

 ⑤貸会議室事業では、コロナ禍の影響により会議室のご利用ニーズは引き続き限定的であるものの、時代の変化を捉えたサービスを提供するとともに、地域密着でお客様のご要望にフレキシブルかつ機動的な提案営業を徹底することで、新たな顧客層の需要を掴んでまいりました。当期の業績において、売上高は前年度に比べ増加したものの、利益は拠点の新設と閉鎖を行なった影響により大幅に減少いたしました。

 ⑥滞納賃料保証事業では、テナント様の賃料滞納時に賃料保証のみならず明け渡しまでをサポートし、ビル経営における負担感を和らげるなど、ビルオーナー様に寄り添ったサービスを提供しております。当期の業績は、コロナ禍における空室の増加やテナント様の信用懸念等によりビルオーナー様のご相談が増加した結果、新規保証・再保証ともに取り扱い件数は堅調に推移し、前年度に比べ売上高は微減したものの、利益は増加しました。

 

以上の結果、不動産サービス事業全体の 売上高は7,154百万円 (前期比 15.7%増 )となり、 セグメント利益は3,803百万円 (同 9.0%増 )となりました。

 

(ホテル・観光事業)

ホテル・観光事業では、①ホテル開発事業、②ホテル運営事業等を行なっております。

①ホテル開発事業では、分譲型コンドミニアムホテル「HIYORIオーシャンリゾート沖縄」の販売分譲区画が完売し、当期においては累計43区画の引き渡しが完了(全203区画/内、1区画非分譲)しました。当期の業績は、前年度に159区画の売上・利益を計上した反動から、売上高・利益ともに大幅に減少いたしました。

 ②ホテル運営事業では、合計20ホテル(2,859室)を運営しております。当期の業績は、緊急事態宣言発令下における観光の自粛等の影響により、都市部のホテルを中心に稼働率と客室単価は著しく低迷し、また新規開業ホテルの開業費用の計上もあり、売上高は増加したものの損失を計上いたしました。

 

  以上の結果、ホテル・観光事業全体の 売上高は6,911百万円 (前期比 48.5%減 )となり、 セグメント損失は1,950百万円 (前期の セグメント利益は710百万円 )となりました。

 

(その他)

その他では、①海外開発事業、②建設事業等を行っております。

 ①海外開発事業では、成長が期待できる東南アジアへ進出し、日本の高度な施工技術によるマンション・住宅等を中心とした不動産開発を行い、アジアの方々に日本品質を体感いただくことに拘って事業を展開しております。当期の業績は、前年度にベトナム・ダナン市における高層分譲マンションプロジェクトの売上が加わっていたことの反動から、売上高は大幅に減少し、損失を計上いたしました。

 ②建設事業では、事業用ビルのリニューアル企画や修繕・改修工事、内装仕上工事及び電気通信工事等を行っております。当期の業績は、前期に株式を100%取得した㈱コミュニケーション開発の業績が加わったことで、売上高は減少したものの、利益は大幅に増加いたしました。

 

  以上の結果、その他全体の 売上高は1,695百万円 (前期比 59.8%減 )となり、 セグメント利益は101百万円 (同 81.9%減 )となりました。

 

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。

 なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の「その他」セグメントの建設事業における売上高が17百万円増加しております。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)は、生産業務を定義することが困難であるため、生産実績の記載は省略しております。

 

② 受注実績

当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載は省略しております。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

不動産再生事業

55,958

54.2

不動産サービス事業

7,154

15.7

ホテル・観光事業

6,911

△48.5

その他

1,695

△59.8

調整額

△467

合計

71,251

19.5

 

(注) 1 調整額はセグメント間の取引消去であります。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

広重特定目的会社

17,220

24.2

SSTウエスト特定目的会社

8,510

14.3

 

3 前連結会計年度の広重特定目的会社及び当連結会計年度のSSTウエスト特定目的会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は136,512百万円(前連結会計年度末比7.1%増)、負債は62,060百万円(同7.5%増)、純資産は74,452百万円(同6.7%増)となりました。

 総資産の増加の主な要因は、仕掛販売用不動産の 減少9,348百万円 等があったものの、現金及び預金の 増加8,544百万円 、販売用不動産の 増加621百万円 、有形固定資産建物(純額)の 増加5,886百万円 及び土地の 増加3,225百万円 、差入保証金の 増加729百万円 等があったことによるものであります。

 負債の増加の主な要因は、流動負債その他に含まれる未払消費税等の減少425百万円及び固定負債その他に含まれる長期預り保証金の減少685百万円等があったものの、1年以内返済予定の長期借入金の 増加1,344百万円 、未払法人税等の 増加2,627百万円 及び長期借入金の 増加2,178百万円 等があったことによるものであります。

 純資産の増加の主な要因は、期末配当金の支払い2,047百万円及び中間配当金の支払い1,023百万円等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の 計上7,415百万円 等があったことによるものであります。

 なお、自己資本比率は52.2%(同0.1%ポイント減)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による資金が17,443百万円増加、投資活動による資金が9,386百万円減少、財務活動による資金が449百万円増加した結果、期首残高に比べ8,632百万円増加し、当連結会計年度末残高は29,951百万円となりました。

 

  当連結会計年度における各キャッシュ・フロー及びそれらの要因は、次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動においては、17,443百万円の収入超過(前期は4,733百万円の収入超過)となりました。これは主に、法人税等の支払額2,460百万円、仕入債務の減少による支出776百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益12,135百万円、棚卸資産の減少による収入7,874百万円及び減価償却1,632百万円等あったことによるものであります。

 

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動においては、9,386百万円の支出超過(前期は451百万円の収入超過)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入271百万円等があったものの、有形固定資産の取得による支出8,484百万円、差入保証金の差入による支出822百万円及び定期預金の預入による支出183百万円があったことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動においては、449百万円の収入超過(前期は1,150百万円の支出超過)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出20,661百万円、親会社による配当金の支払額3,070百万円等があったものの、長期借入れによる収入24,183百万円等があったことによるものであります。

 

 (資本の財源及び資金の流動性について)

  当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、不動産再生事業に関する棚卸資産の仕入れであります。棚卸資産の仕入れは、個別の棚卸資産を担保とした金融機関からの長期借入金及び営業活動で獲得した資金によって行っております。当該棚卸資産は一年以内を目途に販売することとし、借入金は、月例約定返済を織り込みつつ、棚卸資産の販売時に一括返済することを基本方針としており、資金の流動性は十分に確保されております。

 

(財務施策について)

 当社グループにおける財政施策については、有利子負債に占める短期借入金の比率を下げ、長期借入金の比率を上げることによって加重平均借入期間を伸長させる負債構造を目指しております。加えて、現金及び預金を手厚く確保することを基本方針としており、強固な財務基盤の構築に取り組んでおります。

 

 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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