(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は下記のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a 財政状態
当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,265,393千円減少し、98,336,260千円となりました。これは主に減価償却等により、有形固定資産が1,628,789千円減少したことによるものです。
負債は、主にリース債務の返済等により、前連結会計年度末に比べ3,166,152千円減少し、73,753,318千円となりました。なお、短期長期の借入金合計額と社債を合わせた額は、前連結会計年度末に比べ951,349千円減少しております。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加した一方、その他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末に比べ99,241千円減少し、24,582,941千円となりました。
b 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、個人消費活動に一部持ち直しの動きが見られたものの、変異株による感染の再拡大や国際情勢の悪化、原油・原材料価格の高騰など、依然として厳しい状況で推移しました。
当社グループにおきましては、外国人観光客の著しい減少、度重なる「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の適用に伴う消費行動や生活様式の変化による国内需要の低迷などの影響を受けるなか、運輸、不動産、レジャー・サービス、その他の各事業において、引き続き感染症対策を徹底し、積極的な営業活動を行うとともに、損益分岐点の引き下げなど経営の効率化に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における営業収益は35,083,688千円(前期は30,451,499千円)、営業利益は761,528千円(前期は営業損失3,098,141千円)、経常利益は489,600千円(前期は経常損失3,415,355千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は376,428千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失2,786,229千円)となりました。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」等を適用しているため、前連結会計年度と比較した増減額及び増減率は記載しておりません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
鉄道事業につきましては、外国人観光客の利用が激減するなか、需要に応じたダイヤ改正や職員のマルチ運用を一層進めるなど生産性向上を図るとともに、地元の要望に応え、谷村町駅(山梨県都留市)への副駅名の設定や、下吉田駅列車接近音の地元出身ロックバンド楽曲への変更など、地元地域と一体となった取り組みを展開しました。
バス事業につきましては、一段と厳しい状況が続くなか、徹底した感染症対策やリアルタイム混雑情報提供システムなどのデジタル化による利便性向上を図るとともに、営業体制の再構築やグループ会社間での乗務員のマルチ運用、バス車両数の削減など効率化とコスト削減に努めました。また、交通機関の利用や観光施設の入場、ショッピングを顔認証により、キャッシュレスでスムーズに利用できる「観光型MaaS」の実証実験を、観光庁の支援を受け、グループの枠を超えた富士山エリアのスーパーリゾートシティ化を目指し、実施しました。
索道事業につきましては、11月に「~河口湖~富士山パノラマロープウェイ」の山頂に富士山を一望できる絶景ブランコをオープンし、SNSなどでの情報拡散による国内需要の掘り起こしを図り、多くのお客様にご利用いただきました。
安全対策につきましては、「運輸安全マネジメント」に基づき、各事業で安全目標、重点施策を設定するとともに、富士急行線全車両への防犯カメラの設置や防犯用品の整備、警察との合同訓練を行うなど安全性向上に努めました。
以上の結果、運輸業の営業収益は10,594,609千円(前期は8,340,715千円)、営業損失は1,201,839千円(前期は2,981,301千円)となりました。
鉄道営業成績表(提出会社)
(注) 乗車効率算出方法
延人粁=駅間通過人員×駅間粁程
乗車効率=延人粁÷(客車走行粁×客車平均人員)×100
業種別営業成績
不動産販売事業につきましては、ワーケーションやマルチハビテーション需要の高まりを追い風に、山中湖畔別荘地・十里木高原別荘地において、豊かな自然とさわやかな気候で非日常を楽しむ別荘ライフを提案するとともに、高付加価値商品やリノベーション商品など、多様化するお客様のニーズに応えた商品を販売し、好調に推移しました。
以上の結果、不動産業の営業収益は3,272,541千円(前期は3,066,099千円)、営業利益は1,054,852千円(前期比33.4%増)となりました。
業種別営業成績
(ⅲ) レジャー・サービス業
レジャー・サービスの各事業において、新型コロナウイルス感染症の再拡大による外出・移動自粛要請の長期化や、夏期における天候不順などの影響を大きく受けるなか、徹底した感染予防対策を講じ、お客様が安心してご利用いただけるよう努めるとともに、幅広いニーズに柔軟に対応した魅力ある施設づくりや商品の提供、イベント開催などに取り組んでまいりました。
遊園地事業につきましては、「富士急ハイランド」において、7月に雄大な富士山を目の前に望む絶景展望台「FUJIYAMAタワー」の営業を開始し、富士山エリアの新観光スポットとして好評を博しました。また、園内に話題の人気飲食店を積極的に誘致するなど、従来の遊園地の枠組みを超えた客層の取り込みを図りました。「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」では、7月にアクティビティを刷新した巨大クライミングアトラクション「マッスルモンスター2」をオープンするとともに、11月に「パディントン タウン」内に子ども向けの新アトラクション2機種をオープンし、幅広い客層の獲得に努めました。また、関東三大イルミネーションに認定された「さがみ湖イルミリオン」では、人気アニメ「美少女戦士セーラームーン」とタイアップし、好評を博しました。富士南麓の遊園地「Grinpa」では、8月に屋内テーマパーク「キッズフジQ」内に、ボルダリングやトランポリンなど子どもたちが体を動かして遊ぶことができる「アクティブkidsパーク」をオープンし、集客に努めました。スノーパーク「Yeti」は、10月に屋外スキー場として23年連続で日本一早くオープンし、アウトドア需要やウィンタースポーツ需要の高まりにより、多くのお客様にご利用いただきました。
ホテル事業につきましては、「ハイランドリゾート ホテル&スパ」において、新たに「トーマスとレスキューチームのお部屋」と「ゴードンの特別客車のお部屋」をオープンし、アフターコロナに向けた施設改修を行い、魅力向上を図りました。
キャンプブランド「PICA」で展開するアウトドア事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、キャンプ需要が高まるなか、他社施設との差別化を図るため、新たなブランディングに基づく施設展開や、各施設においてオリジナルイベントを開催し、好評を博しました。
その他のレジャー・サービス事業につきましては、富士山エリアでの事業領域の拡大とグループ施設との連携強化を目指し、富士山や駿河湾の絶景パノラマを堪能できる十国峠(静岡県函南町)で、ケーブルカーとレストハウスを運営する十国峠株式会社の株式を取得し、2022年2月より当社グループとして営業を開始しました。
安全対策につきましては、「富士急ハイランド」遊戯施設での負傷事案発生を踏まえ、運輸業において、安全管理体制の構築、安全意識の浸透を図ることを目的として行っている「運輸安全マネジメント」を、レジャー・サービス業においても導入し、新たに「顧客安全マネジメント」の運用開始に向けた取り組みを行いました。
以上の結果、レジャー・サービス業の営業収益は18,237,178千円(前期は16,048,446千円)、営業利益は1,084,472千円(前期は営業損失649,987千円)となりました。
業種別営業成績
製造販売業では、富士ミネラルウォーター株式会社において、脱プラスチックへの取り組みとして、紙パック容器でのミネラルウォーター販売を開始しました。株式会社レゾナント・システムズの交通機器販売は、感染症再拡大の影響に伴うバス業界の市場冷え込みの影響を受け、依然として厳しい状況が続いております。
以上の結果、その他の事業の営業収益は5,430,532千円(前期は5,185,524千円)、営業損失は113,637千円(前期は230,765千円)となりました。
業種別営業成績
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、686,022千円減少し、17,043,667千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に対し、減価償却費等を加減した結果、6,398,588千円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得等により、4,105,780千円の資金支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少やリース債務の返済による支出等により、2,978,830千円の資金支出となりました。
当社グループは、運輸業、不動産業、レジャー・サービス業等、広範囲かつ多種多様な事業を営んでおり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a 資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は、主に減価償却等により有形固定資産が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて3,265,393千円減少し、98,336,260千円となりました。
負債は、主にリース債務の返済等より、前連結会計年度末に比べて3,166,152千円減少し、73,753,318千円となりました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加した一方、その他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末に比べて99,241千円減少し、24,582,941千円となりました。
b 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループにおきましては、外国人観光客の著しい減少、度重なる「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の適用に伴う消費行動や生活様式の変化による国内需要の低迷などの影響を受けるなか、運輸、不動産、レジャー・サービス、その他の各事業において、引き続き感染症対策を徹底し、積極的な営業活動を行うとともに、損益分岐点の引き下げなど経営の効率化に努めた結果、当連結会計年度における営業収益は35,083,688千円(前期は30,451,499千円)、営業利益は761,528千円(前期は営業損失3,098,141千円)となりました。なお、セグメントごとの営業収益および営業利益の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
経常利益は489,600千円(前期は経常損失3,415,355千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に投資有価証券売却益190,008千円、雇用調整助成金765,458千円等、特別損失に休業手当580,345千円、固定資産除却損244,905千円等を計上し、376,428千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失2,786,229千円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは以下を財務戦略の基本方針とし、財務基盤の健全性・安定性の向上、及び資産効率の向上による連結ROA(総資産経常利益率)の向上に努めております。
・円滑な事業活動の推進及び経営環境の変化などの事業リスクへの備えとして、長期・安定資金の調達を図り、十分な水準の手元流動性を確保する。
・営業活動によるキャッシュ・フローの水準を勘案のうえ、減価償却費の範囲内を目途とし、企業価値の向上に資する設備投資を厳選して行う。
・株主に対する利益還元は経営の最重要課題の一つとして認識し、継続的かつ安定的な剰余金の配当を行う。
a 資金調達、及び手元流動性について
資金調達については、取引金融機関から長期借入金を中心に所要資金の借入を行うほか、社債の発行、リースの活用など市場環境や調達手段のバランスを考慮したうえで、最適な方法を選択して調達を行っております。なお、当社は取引金融機関との間に総額4,000,000千円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性についても確保しております。また、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)の活用による資金の一元管理により資金効率の向上を図っております。
当連結会計年度は、取引金融機関より11,520,000千円の長期資金の借入を行うなど安定資金の確保に努めました。なお、当連結会計年度末の有利子負債残高(連結)は金融機関借入・社債・リース債務等の合計で62,931,699千円となり、前連結会計年度末に比べ2,613,746千円減少いたしました。また現金及び現金同等物は、17,043,667千円となり、686,022千円減少いたしました。
b 設備投資について
設備投資については、企業価値の向上に資する安全・成長投資を行っております。
当連結会計年度の設備投資額(資金支出ベース)は、営業活動によるキャッシュ・フロー6,398,588千円の資金収入に対し、4,533,316千円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ13,079千円の支出の増加となりました。
c 剰余金の配当について
2022年3月期の配当金につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
以上により、当連結会計年度末の総資産は98,336,260千円となり、前連結会計年度末に比べ3,265,393千円減少いたしました。また、連結ROA(総資産経常利益率)は経常損失を計上した前期より3.9ポイント改善し0.5%となりました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものについて、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定を含め、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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