当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による世界的且つ広範囲な産業にわたる影響によって生活環境を大きく変化させ、国内では緊急事態宣言の発令、まん延防止等重点措置の適用が繰り返し実施される中、社会・経済活動の制限がされることによる個人消費の停滞からサービス消費の減少となり、外食や宿泊などの選択的支出の減少が継続しました。更に、厳しさを増し解決への糸口が見えないロシア・ウクライナ情勢も、世界各国の政治的な外交や経済活動に大きな影響を及ぼし、特に燃料価格の高騰・高止まりや食品関連といった日常生活に密接に結びつく製商材・サービスを取り扱う業種等は厳しい状況となっています。
国内情勢は、まん延防止等重点措置が全面解除以降も、常時、新型コロナウイルス感染症第7波の懸念、合わせ
てロシア・ウクライナ情勢の長期化等による国際的な動向から先行きの不透明感は拭えず、企業の設備投資、国民
の消費活動は減退すると思われます。
物流業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が継続される環境下、ロシア・ウクライナ情勢に伴う燃料価格の高騰等により経営環境は悪化し、製造業の生産や全体的な消費の減少も継続していることから、国内貨物輸送需要は鈍化の傾向を継続しています。
一方、ライフスタイルの変化からEC市場は依然として拡大基調にあり、宅配便取扱個数は増加を継続しています。これに伴う輸送の小口化によるトラックの積載率低下、物流拠点間での待機時間の長時間化によるドライバー拘束時間の問題など、恒常的になりつつあるドライバー不足等を合わせ、2024年問題に向けて厳しい局面を迎えることが予想されます。
このような経営環境の下で当社グループは、お客様の立場に立ったご満足のいただける物流サービスをご提案、ご提供し、新規のお客様開拓、既存のお客様との取引拡大に積極的に取り組むとともに、お客様の物流コスト削減にご協力させていただくべく、輸送や倉庫内オペレーションの効率化と経費削減にも積極的に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」とい
う。)等の適用により、当連結会計年度の建設事業における売上高は159,243千円減少し、売上原価も同額減少する
ため、当連結会計年度の損益に与える影響はなく、その他の事業については、損益に与える影響は軽微でありま
す。
また、利益剰余金の遡及適用後の期首残高は3,602千円減少しております。
①財政状態
流動資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べて15.1%増加し、6,410百万円となりました。これは、現金及び預金が970百万円増加したことなどが要因であります。
固定資産
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.4%増加し、26,408百万円となりました。これは、新物流倉庫の取得により倉庫建物が1,277百万円増加したことと、建設仮勘定及び資産減価償却による減少などが主な要因であります。
流動負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて△16.3%減少し、4,802百万円となりました。これは、短期借入金が△482百万円、その他流動負債の中の未払金が△327百万円減少したことなどが要因であります。
固定負債
固定負債は、前連結会計年度末に比べて19.0%増加し、8,318百万円となりました。これは、長期借入金が1,511百万円増加したことなどが要因であります。
純資産
資産は、前連結会計年度末に比べて807百万円増加し、19,698百万円となりました。主に親会社株主に帰属する当期純利益が剰余金に計上されたためであります。
②経営成績
当連結会計年度の営業収入は、14,299百万円(前期比6.8%増)となり、営業利益は1,480百万円(前期比13.6%増)、経常利益は1,503百万円(前期比14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,033百万円(前期比38.6%増)となりました。
当社グループは、人材不足、人件費の上昇等による経費増加が続く厳しい環境下においても継続した安定収益を確保できる財政基盤の強化に努めております。その成果として、毎年、着実に財政基盤の強化が図られております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
貨物自動車運送事業
貨物自動車運送事業については、輸送業務の取り扱いが堅調に推移したことにより、営業収入は5,496百万円、前期比361百万円、7.0%の増収となり、セグメント利益(営業利益)は401百万円、前期比66百万円、20.0%の増益となりました。
倉庫事業については、一部倉庫稼働率が向上したことにより、営業収入は3,423百万円、前期比33百万円、1.0%の増収となり、セグメント利益(営業利益)は1,053百万円、前期比108百万円、11.5%の増益となりました。
附帯事業
附帯事業については、一部製造関連が落ち込んだことにより、営業収入は3,472百万円、前期比△16百万円、△0.5%の減収となり、セグメント利益(営業利益)は9百万円、前期比△36百万円、△79.3%の減益となりました。
不動産事業
不動産事業については、一部賃貸物件の稼働率が低下したことから、営業収入は957百万円、前期比△13百万円、△1.4%の減収となり、セグメント利益(営業利益)は609百万円、前期比△15百万円、△2.4%の減益となりました。
建設事業については、完成高が減少したことなどにより、営業収入は1,730百万円、前期比△336百万円、△16.3%の減収となりましたが、セグメント利益(営業利益)は190百万円、前期比46百万円、32.2%の増益となりました。
その他事業については、旅客自動車運送事業、保険代理店業が個人消費の落ち込みで回復の兆しが見えない中、
営業収入は319百万円、前期比32百万円、11.4%の増収となり、16百万円のセグメント損失(営業損失)(前連結会計
年度は43百万円の営業損失)となりました。
当社グループは、貨物自動車運送事業を中心に倉庫事業、附帯事業を一括して行うトータルロジスティクス事業の拡大による経営体質の強化を目指しております。事業の拡大と経営の効率化を図り、営業収入の拡大と継続的な一定の利益を確保することを目標としており、経常利益率で8%以上の確保を目指しております。このことによりその効果が徐々に成果として表れてきております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ970百万円増加し、3,846百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が370百万円増加したことなどから、得られた資金は1,804百万円と前連結会計年度に比べ17百万円、1.0%の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、使用した資金は1,793百万円と前連結会計年度に比べ2,000百万円、52.7%の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入が減少したことなどにより、得られた資金は959百万円と前連結会計年度に比べ450百万円の減少となりました。
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または、借入により資金調達することとして
おります。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資などの長
期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。
当連結会計年度(自2021年4月1日 至2022年3月31日)
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 セグメント間取引については相殺消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、建設事業におきまして倉庫建設等があったことによるものであります。
当連結会計年度(自2021年4月1日 至2022年3月31日)
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、前連結会計年度の建設事業におきまして倉庫建設等の受注があったことによるものであります。
当連結会計年度(自2021年4月1日 至2022年3月31日)
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注)なお、ビー・エム・ダブリュー株式会社の前連結会計年度における販売高につきましては、総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
①繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可
能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将
来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資
産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
②退職給付債務の算定
従業員の退職給付費用については、各連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき引当計
上しております。これらは割引率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等の重要な見積りを加味して計上してお
ります。
③減損会計における将来キャッシュ・フロー
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・
フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上
しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市
場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能
能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1
連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
お知らせ