文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
京阪グループでは、21世紀にも輝き、繁栄を続ける企業グループを目指して、「京阪グループ経営理念」を掲げ、経営理念実現のための基本的な取り組み姿勢を具体的に示した「経営方針」のもと、運輸業、不動産業、流通業、レジャー・サービス業などの分野で積極的な事業展開を図っております。「京阪グループ経営理念」及び「経営方針」は以下のとおりです。
<京阪グループ経営理念> 京阪グループは、人の暮らしに夢と希望と信頼のネットワークを築いて、快適な生活環境を創造し、社会に貢献します。
<経営方針> ○経営姿勢 ・地域社会、顧客、株主、社員を大切にします。 ・法令および社会規範を遵守し、企業の社会的責任を果たします。 ・自然環境にやさしい企業運営を目指し、環境の保全や資源の保護に配慮します。 ・常に新しいことに取り組み、自己改革を実現します。 ・顧客第一主義のもと、鉄道事業を基幹としたライフステージネットワークを展開し、快適な生活環境を創造します。
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(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当社グループでは、激変する将来の経営環境においても、当社グループが持続的な成長を続けるために、「価値創造」と「グローバル展開」に挑戦する、2050年を見据えた経営ビジョン「美しい京阪沿線、世界とつながる京阪グループへ」を策定しております。
当社グループは、この経営ビジョンのもと、京阪沿線が、もっと多くの人から「住みたい、訪れたい沿線」として選ばれるよう、まちや観光の価値を創造し世界へ発信するとともに、持続可能な社会の実現に寄与するライフスタイルを創造し世界に共感の輪を拡げ、沿線を基盤にアジア・ワイドで事業を展開することに挑戦いたします。
また、経営ビジョン実現に向け、2026年度を目標年次とした長期経営戦略を定め、持続的に成長する企業グループとしての基盤を築くことをめざしております。
しかしながら、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、人の移動を根幹とする当社グループの事業活動に幅広い影響が生じているほか、お客さまの価値観やライフスタイルも大きく変化するなど、当社グループを取り巻く経営環境は非常に厳しい状況にあります。
このような情勢のもと、当社グループは、withコロナ・afterコロナの社会においても当社グループが持続的に成長するため、事業環境の変化に応じた見直しを図りながら、長期経営戦略に掲げる主軸戦略を推進するとともに、当面の間を「激変する事業環境の見極め期間」とし、「安全安心」「構造改革」「BIOSTYLE」を今後の事業の方向性と定め、主軸戦略と合わせこれらに基づく施策を推進してまいります。
長期経営戦略及び今後の事業の方向性の概略は、次のとおりであります。
①基本方針
主軸戦略として、「沿線再耕」「観光共創」「共感コンテンツ創造」の3つの取組みを進めます。また、経営ビジョンに向けた布石として、エリアポートフォリオの構築と次世代を見据えたイノベーションの推進にも取り組みます。
②主軸戦略
a.「沿線再耕」 駅を拠点とする都市再生で美しい京阪沿線へ
駅を拠点として地域の歴史・文化・産業などの特色を活かした都市開発を推進し、これらを交通ネットワークで結ぶことで、魅力あふれる美しい沿線を再生し、沿線の居住・来訪者の拡大を図ります。「大阪東西軸復権とえきから始まるまちづくり」を重点施策に掲げ、淀屋橋、京橋、中之島といった大阪市内東西軸や枚方市の拠点開発を推進いたします。また、大阪東西軸に連なるエリアをはじめ、駅と周辺部を地域特性に応じて再生し、都心部のまちづくりと相乗効果をめざします。
b.「観光共創」 地域と当社グループで観光を共創、グローバル交流を促進
当社グループの総合力を発揮して地域と観光を共創し、京都を中心に魅力ある観光体験を提供・発信して、国内外からの来訪者増加を図ります。「京都を中心とした観光・インバウンド事業強化」を重点施策に掲げ、中長期的な観光マーケットの回復を見極めながら、三条の拠点開発等を推進してまいります。また、京都駅前・四条河原町・三条を拠点として、洛北~東山~伏見・宇治エリアを中心に観光ルート拡大に向けた取組みを推進いたします。あわせて比叡山・びわ湖から京都を経て大阪につながる「水の路(みち)」とも連動させながら、京都観光の魅力を高める観光ルートや観光コンテンツを創造してまいります。
c.「共感コンテンツ創造」 お客さまに共感いただける商品・サービス・事業を創造
お客さまのくらしの価値を高めると同時に、環境をはじめとする社会課題の解決にも寄与する商品・サービス・事業の創造に取り組み、共感され、選ばれる当社グループをめざします。「BIOSTYLE―選ばれる京阪をめざして―」を重点施策に掲げ、四条河原町に開業したフラッグシップ施設「GOOD NATURE STATION」をはじめ、順次コンテンツを拡大展開し、当社グループの新たなブランドを確立いたします。また、グループ各事業の商品・サービスにも「BIOSTYLE」を取り入れ、お客さまに共感いただける商品・サービスを展開してまいります。
③経営ビジョンに向けた布石
a.エリアポートフォリオの構築
観光事業にとどまらず、京都での事業展開を重視し、当社グループの事業機会の拡大を図ります。また、主軸戦略を最優先に取り組みつつ、沿線で培ったノウハウを活用し、沿線外や海外成長市場への事業展開を進めることで、当社グループの事業エリアを拡大します。
b.次世代を見据えたイノベーションの推進
ICT技術の革新をはじめとする環境変化を見据え、商品・サービス・事業のイノベーションを進め、生産性が高く創造性豊かな企業グループへ進化することをめざします。
④今後の事業の方向性
a.安全安心
感染症や災害等により不安にさらされる状況においても、安心してご利用いただける商品・サービスを提供してまいります。主な施策として、運輸業における安全・防災・衛生対策を強化し、不動産業においては、安全・安心・エコ対策を重点に顧客ニーズの変化に対応する住宅及び施設の開発・展開を、また、レジャー・サービス業においては三密回避など安全に配慮したサービスを展開してまいります。
b.構造改革
既存事業の需要の変化に対応した体制を確立するとともに、新しい生活様式に対応する商品・サービスを展開してまいります。主な施策として、運輸業においては、お客さまの志向の変化や需要の平準化に対応したダイヤ改定やデジタル技術を活用した業務の効率化を行ってまいります。また、流通業においてeコマースプラットフォームの構築によるグループ横断での独自の商品・サービスの展開を図るとともに、レジャー・サービス業では立地の優位性を活かした資産活用を推進してまいります。
c.BIOSTYLE
人々のくらしの価値を高めると同時に社会課題の解決に資する商品・サービスを展開してまいります。主な施策として、不動産業においては、安全・安心・エコ対策を重点に顧客ニーズの変化に対応する住宅及び施設の開発・展開を図るとともに、空き家対策への取組み等、持続可能な沿線まちづくりを推進してまいります。また、レジャー・サービス業においては「BIOSTYLE」(「エシカル」「ウェルビーイング」「エンターテインメント」)による差別化・競争力の強化を図ってまいります。さらに、グループ各社が積極的に取り組めるようガイドラインを制定し、「BIOSTYLE PROJECT」としてグループ全体で推進・確立をめざしてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2027年3月期を目標年次とする長期経営戦略において「EBITDA」、「ネット有利子負債/EBITDA倍率」、「ROE」及び「営業利益」を重要な指標として位置付けております。
翌連結会計年度予想(2023年3月期)及び長期経営戦略数値目標(2027年3月期)は、以下のとおりです。
経営指標 |
翌連結会計年度予想 (2023年3月期) |
長期経営戦略数値目標 (2027年3月期) |
EBITDA ※ |
37,000百万円 |
72,000百万円以上 |
ネット有利子負債/EBITDA倍率 |
9.38倍 |
6倍台 |
ROE |
- |
8%以上 |
営業利益 |
16,500百万円 |
43,000百万円以上 |
※営業利益+減価償却費
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