課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 今後の経済情勢につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の終息時期に不透明感が残るなか、更にロシア・ウクライナ情勢の深刻化に伴う世界経済への影響やエネルギー価格・原材料価格の高騰によるインフレの長期化が懸念され、景気は依然として厳しい状況が続くと予想されますが、一方でエッセンシャルビジネスとしての物流需要は、今後ますます増加していくものと予想されます。

 この様な状況下において、当社は2023年3月期から2025年3月期を最終年度とした新中期経営計画を策定いたしました。新中期経営計画においては、コアとなるEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流の各ドメインにおける物量の増大への対応と、深刻化する人材及び稼働車両不足に対応し、事業拡大を支えるための人材の確保・育成、DXの推進・適用による生産性向上に注力し、持続的な成長を実現してまいります。

 また、経営資源の適正配分による成長事業への集中投資と低収益事業の再生・再編による経営の効率化に取り組み経済的価値の最大化を図るとともに、ESG経営を実践し社会的価値の創出に努めてまいります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「お客様第一義を基本に、サードパーティ・ロジスティクス(3PL)業界のNo.1企業を目指し、同志の幸福と豊かな社会づくりに貢献する。」という経営理念のもと、主として物流センター業務をコアとする3PL業務を行っており、その中でも小売業を中心としたEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流に特化して事業展開を図っております。また、人材育成、最先端の知識や技術の修得、独創的なロジスティクスデザインの構築(物流の最適化)と研究開発にも取り組むことにより、お客様の経営を全面的にサポートできるロジスティクスのプロ集団として、「地域社会の発展」「豊かな社会づくり」に貢献してまいります。

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、経営の基盤となる財務力・収益力の継続的な改善と、利益向上に見合った利益還元を行うための指標として、以下の指標を安定的に維持していくことを目標としています。

① 自己資本比率:45%以上

② 売上高経常利益率:8%以上

③ ROE:15%以上

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループが持続的な成長を実現するためには、当社のコアとなるEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流の各事業ドメインにおける物量の増大への対応、深刻化する人材及び稼働車両不足の状況下における事業拡大に資する人材の確保と育成、DX化の推進と適用による省人化・省力化、生産性向上が必要不可欠であると捉えております。また、更なる事業拡大のため、限られた経営資源を適正に配分し、成長事業への集中投資と低収益事業の再生・再編による経営の効率化を図るとともに、ESG経営にも積極的に取り組み、経済的価値の最大化と社会的価値の創出の両立を目指してまいります。中期重点施策は、以下のとおりです。

① 成長市場の物流需要増大に適合したコア事業の拡大と開拓

≪EC物流事業≫

未だ成長著しいEC市場において、既存・新規顧客に係る高品質・高効率なサプライチェーン(センター運営・幹線輸送・ラストワンマイル)一貫物流プロセスの構築により、顧客ニーズを充足するとともに更なる事業の拡大を図ります。

≪低温食品物流事業≫

スーパーマーケット向けの物流ノウハウを集約したサービスメニュー「AZ-COM7PL」(アズコム セブン・パフォーマンス・ロジスティクス/7つの経営支援機能を付加した3PL)を発展させた調達ネットワークの構築、多様な輸送モードに対応した産直プラットフォームの構築、HACCP(食品の衛生管理手法)に適合した物流品質の向上により、新たな事業の開拓に努めます。

≪医薬・医療物流事業≫

顧客企業の経営統合に合致した全国の物流ネットワークの最適化と最先端技術を駆使した物流センターの再構築に取り組み、顧客企業の事業規模の拡大と新型コロナウイルス感染症終息後の需要回復に適応します。

② 事業規模の拡大に連動した要員確保の多様化と最適配置・人材育成

 将来の事業拡大に必要な人材の確保と優秀な人材の育成を充たすために、従来の積極的新卒採用に加え、即戦力となる中途採用等を含む採用チャネルの多角化、事業拡大に必要なスキルと要員数に基づいた戦略的人材育成、人的資源を最大限に活用するためのタレントマネジメントによる適正配置・離職防止に取り組みます。

③ DXの積極導入による各事業ドメインとバックオフィスの業務生産性革新

 前中期経営計画から継続してきた概念実証に基づき、輸配送業務のAI自動配車・求貨求車、ECプラットフォームの構築、バックオフィスのシステム統合による最適化、センター業務のロボティクス導入、SIPスマート物流(内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム)によるサプライチェーンの最適化等、積極的なDXの導入による業務生産性革新に取り組みます。

④ 成長性と資本効率を両立する事業への経営資源の集中と事業の再生・再編

 事業を通じて獲得した経営資源を最適に再投資するため、事業の成長性と投資効率を測定し、コア事業に集中的に経営資源を配分することで、事業成長の加速を図ります。また、ROICツリー展開により各事業の改善ドライバーを特定することで、低収益事業の再生と不採算事業の再編を図ります。

⑤ 事業活動を通じた社会との共有価値の創造とコーポレートガバナンス改革

 プライム市場上場企業としての責務を果たすべく、物流企業としてGHG(温室効果ガス)排出量削減は勿論、事業活動を通じた環境・社会的価値の向上に努めるとともに、当社が推進する「AZ-COM丸和・支援ネットワーク」によるパートナー企業間の相互扶助に基づく連携や「AZ-COM BCPネットワーク」による発災時における安全・安心・安定した物流の提供、強靭な物流網の構築等に努め、社会の公器たる姿勢を示してまいります。

 また、当社の永続的発展を実現するために、次世代を見据えたコーポレートガバナンス改革に取り組んでまいります。

(4) 対処すべき課題

 当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、国内外における政治・経済情勢への懸念が払拭されておらず、今後も先行き不透明な状況が続くものと思われます。また、少子高齢化による労働人口の減少も大きな課題となってきております。

 このような状況のもと、当社といたしましては、経営資源の集中による効率化と更なるコスト削減を図り、顧客のあらゆるご要望にお応えできるよう、業務改革や社員一人ひとりの意識・行動変革に取り組んでまいります。また、人材及び稼働車両不足等の問題の解決に努めるとともに、当社グループの採用活動の強化を継続し、業容拡大に対処できる人材の確保を図ってまいります。主な施策としましては、以下のとおりとなります。

① 営業体制の強化

 新規顧客を獲得するため、営業ターゲットを絞り込み、引き続き顧客に密着した集中営業活動を展開し、いち早く顧客のニーズを収集し、ニーズに見合う物流改善提案を行うことで、新規顧客の開拓及び既存顧客の業務シェア拡大に努めてまいります。

② 業務体制の強化

 日々変動する顧客の物量動向を注視し、人員配置や効率的な配車などきめ細かな経費コントロールと業務効率の改善を目的とした「日次決算マネジメント」を全社で完全実施することで、あらゆる環境変化に即座に対応が出来る安定した収益基盤の構築に努めてまいります。

 また、顕在化している人材及び稼働車両不足等の諸問題を解決すべく、「AZ-COM丸和・支援ネットワーク」の会員規模拡大に努め、パートナー企業との連携強化による安定した輸配送体制の構築と人材の確保に引き続き取り組んでまいります。

③ 採用活動の強化

 労働人口の減少が進行する中、今後の事業拡大のためには、各事業領域における人材の確保が必要不可欠となります。このため、全社オールリクルート体制の推進を図り、全国の大学、高校における就職窓口とのコミュニケーション強化と採用担当社員の増員を図り、優秀な人材を確保できるよう取り組んでまいります。

④ 管理体制の強化

 社会から信用・信頼される企業づくりのため、法令遵守はもとより、内部管理体制やリスク管理体制の強化に努め、企業倫理に則った行動の徹底に努めることで、健全な企業経営を推進してまいります。

 また、政府が推進する「働き方改革」を背景に「働き方改革推進委員会」を組織し、長時間労働の抑制、雇用格差の是正、労働生産性の向上などの労働環境の改善に取り組むことで、全ての従業員がやりがいを持って活き活きと活躍できる職場づくりに取り組んでまいります。社会から信用・信頼される企業づくりのため、法令遵守はもとより、内部管理体制やリスク管理体制の強化に努め、企業倫理に則った行動の徹底に努めることで、健全な企業経営を推進してまいります。

⑤ 安全対策の強化

 物流会社としての社会的責任を果たすため、デジタル・タコグラフ、ドライブレコーダーをはじめとする最先端の輸配送管理システム(TMS)を導入するとともに、作業の安全確保や交通事故の防止などの更なる安全強化対策に取り組んでまいります。また、エコドライブの推進や車両・施設における環境負荷軽減など、環境保全に対しても積極的に取り組んでまいります。

⑥ より実効性の高いガバナンス体制構築

 より実効性の高いガバナンス体制構築に向け、独立社外取締役を構成員に含む「指名・報酬委員会」を設置し、取締役候補者の選任プロセス及び取締役の報酬決定プロセスに係る諮問・答申を行うとともに、取締役会の機能の向上を目的とした取締役会実効性評価を実施することで、経営の透明性・客観性の確保とコーポレート・ガバナンスの一層の強化に取り組んでまいります。

⑦ DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進

 激変する経営環境に適応し、競合他社との厳しい競争に勝ち抜いていくため、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する専門部署を設置し、集中オペレーションによる業務の自動化やAI配車・物量予測の研究・導入など、先端技術による業務の効率化と物流品質の向上を実現すべく、社会インフラとしての物流事業の変革を更に加速してまいります。

⑧ サステナビリティの推進

 当社の経営理念である「地域社会の発展と豊かな社会づくりへの貢献」に基づき、事業活動を通じた環境課題・社会課題の解決を図るべく、持続可能な社会の実現に向け、社会インフラとしての物流ネットワークの構築とライフラインの確保に取り組んでまいります。

 

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