(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、感染対策を万全に期し、経済活動の正常化が進んでおりますが、原材料価格の高騰やアメリカなどの世界的な金融引締めによる影響などにより景気の下振れリスクも念頭にあることから、先行きが不透明な状況が続く見込みです。
一方、海外においても景気は持ち直しの動きが進んでいるものの、欧州やアメリカにおいては金融引締めの動きが見られることやウクライナ情勢などが要因となり景気が下振れする可能性も考えられ、依然として予断を許さない状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループのデジタルトランスフォーメーション事業は、クライアントのデジタルプラットフォーム構築のハブとなるDXパートナーとして、高い技術知見によってクラウド、AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)など先端技術を活用し、クライアントのビジネスモデル変革や新たなサービス開発に最適なシステム像を描き、クライアントの企業価値の最大化に貢献してまいりました。
その結果、当連結会計年度における経営成績については、売上高は2,131,849千円(前期比19.1%増)、営業利益は352,816千円(前期比27.0%増)、経常利益は359,472千円(前期比34.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は241,173千円(前期比30.7%増)となりました。
当社グループは、デジタルトランスフォーメーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
事業部門別の販売実績を示すと次のとおりです。なお、当該事業部門別の数値は、当社グループが提供するデジタルマイグレーション、データストラテジー及びインテリジェントオートメーションの3つのサービス及びソリューション別の販売実績とは異なるものですので、この点にご留意ください。
販売高(千円)
事業部門等の名称 |
前連結会計年度 (自 2020年8月1日 至 2021年7月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年8月1日 至 2022年7月31日) |
デジタルマイグレーション事業部 |
1,066,327 |
1,239,773 |
データストラテジー事業部 |
366,471 |
506,681 |
インテリジェントオートメーション事業部 |
245,198 |
267,390 |
Delivery International Thai Co., Ltd.(子会社) |
112,176 |
118,004 |
合計 |
1,790,175 |
2,131,849 |
② 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1,380,927千円となり、前連結会計年度末に比べ249,946千円増加いたしました。流動資産は1,246,590千円となり、前連結会計年度末に比べ181,564千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が170,091千円、前払費用が7,016千円及び商品が5,085千円増加したことによるものであります。固定資産は134,336千円となり、前連結会計年度末に比べ68,382千円増加いたしました。これは主に、翌連結会計年度に計画している本社移転に際し、現オフィスの内装設備に係る資産について減損処理を行ったため建物が16,237千円減少したものの、移転先のオフィスの敷金が71,720千円、内部造作の前払である建設仮勘定が6,271千円増加したものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は477,629千円となり、前連結会計年度末に比べ93,526千円減少いたしました。流動負債は398,170千円となり、前連結会計年度末に比べ34,369千円減少いたしました。これは主に、納税額の増加により未払法人税等が15,133千円増加したものの、借入返済により1年内返済予定の長期借入金が19,990千円、買掛金が17,243千円及び契約負債が14,763千円減少したことによるものであります。固定負債は79,459千円となり、前連結会計年度末に比べ59,157千円減少いたしました。これは主に、借入返済により長期借入金が47,339千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は903,298千円となり、前連結会計年度末に比べ343,472千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を241,173千円計上、新株の発行により100,160千円、新株予約権の行使により2,057千円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ170,091千円増加し、1,005,880千円となりました。
また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、230,861千円の収入となりました。これは主に、法人税等の支払による103,905千円の支出及びその他の負債の20,769千円の減少があったものの、税金等調整前当期純利益を343,182千円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、91,851千円の支出となりました。これは主に、来期に移転を計画している本社新オフィスの敷金として71,720千円及びパソコンなどの有形固定資産の取得により15,195千円支出したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、29,813千円の収入となりました。これは主に、長期借入金の返済により67,329千円及び株式の公開費用など新株発行費用として4,966千円を支出したものの、オーバーアロットメント及び新株予約権の行使による新株の発行により102,217千円の収入があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、デジタルトランスフォーメーション事業の単一セグメントであるため、受注及び販売の実績については、セグメント情報に代えて事業部門ごとに記載しております。
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門等の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年8月1日 至 2022年7月31日) |
|||
受注高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
受注残高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
|
デジタルマイグレーション事業部 |
1,202,305 |
110.8 |
137,944 |
78.6 |
データストラテジー事業部 |
493,103 |
127.9 |
54,826 |
80.1 |
インテリジェントオートメーション事業部 |
276,452 |
97.9 |
66,800 |
115.7 |
Delivery International Thai Co., Ltd.(子会社) |
133,856 |
132.8 |
38,198 |
170.9 |
合計 |
2,105,716 |
113.6 |
297,769 |
91.9 |
(注)1.事業部門間取引については、相殺消去しております。
2.当該事業部門別の数値は、当社グループが提供するデジタルマイグレーション、データストラテジー及びインテリジェントオートメーションの3つのサービス及びソリューション別の受注実績とは異なるものですので、この点にご留意ください。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門等の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年8月1日 至 2022年7月31日) |
|
販売高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
|
デジタルマイグレーション事業部 |
1,239,773 |
116.3 |
データストラテジー事業部 |
506,681 |
138.3 |
インテリジェントオートメーション事業部 |
267,390 |
109.1 |
Delivery International Thai Co., Ltd.(子会社) |
118,004 |
105.2 |
合計 |
2,131,849 |
119.1 |
(注)1.事業部門間取引については、相殺消去しております。
2.当該事業部門別の数値は、当社グループが提供するデジタルマイグレーション、データストラテジー及びインテリジェントオートメーションの3つのサービス及びソリューション別の販売実績とは異なるものですので、この点にご留意ください。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年8月1日 至 2021年7月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年8月1日 至 2022年7月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
トランス・コスモス株式会社 |
313,460 |
17.5 |
370,379 |
17.4 |
株式会社Joblab |
11,524 |
0.6 |
251,087 |
11.8 |
株式会社セゾン情報システムズ |
175,898 |
9.8 |
229,752 |
10.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
(売上高)
当社グループでは、持続的な成長を通じた企業価値向上を目指しており、事業拡大の観点から売上高を重要な経営指標と位置づけ、収益力の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度は、既存顧客からのリピート受注に加え、新規顧客からの大型案件の受注が売上高の増大につながりました。また、事業面ではデータ活用の市場需要を受け、データストラテジー事業部が順調に売上を伸ばし、前年比38.3%増となりました。これらの結果から、当連結会計年度における売上高は2,131,849千円(前期比19.1%増)となりました。当該売上高は、当連結会計年度における売上高目標である2,088,685千円を上回り、達成率102.1%での着地となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、売上高の増加に加え、コンサルティング事業拡大のための人財採用・育成に注力したこと及び外部リソース調達による外注委託費等の増加により、1,436,719千円(前期比14.7%増)となったものの、高付加価値案件の受注が増加したことから、売上総利益率が32.6%(前期は30.0%)に改善しました。
この結果、売上総利益は695,130千円(前期比29.3%増)となりました。
(営業利益)
当社グループは、強固な経営基盤及び高利益率体質を構築すべく、営業利益及び営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、経営の効率化に努めております。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、役員報酬、給料等の人件費の計上があったこと、人事制度改善に注力すべく採用教育関連費が増加したことに加え、資本金の増加により新たに事業税の計上が発生し、租税公課が大幅に増加いたしました。これら要因により342,314千円(前期比31.8%増)となりました。
この結果、営業利益は352,816千円(前期比27.0%増)となり、営業利益率は16.5%(前期は15.5%)となりました。また、当該営業利益は、当連結会計年度における利益目標である351,862千円に対し、達成率100.3%での着地となりました。
(経常利益)
当連結会計年度において、営業外収益は助成金収入や為替差益等の計上により8,403千円(前期比19.4%増)となりました。一方、前連結会計年度に計上した株式公開費用が大幅に減額したことが主要因となり、営業外費用は1,746千円(前期比90.3%減)となりました。
この結果、経常利益は359,472千円(前期比34.7%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、特別利益の計上はありませんでした。一方、本社移転に際し現オフィスの内装設備に係る資産について減損損失を計上したことにより、特別損失は16,289千円(前期比853.6%増)となりました。また、法人税、住民税及び事業税を106,718千円、法人税等調整額を△4,709千円計上しております。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は241,173千円(前期比30.7%増)となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループでは、事業規模の拡大を進めるために、最先端IT技術の発掘や各種IT技術を活用した製品開発及びサービスの向上に取り組んでおります。これらの資金需要は、主として人件費や外注費であり、昨年の当社上場時の公募調達資金、手元資金及び営業キャッシュ・フローで補っておりますが、必要に応じて銀行借入れ等の有利子負債による調達を実施します。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、その作成過程においては経営者による会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定を含んでおります。これらの見積り及び仮定は、過去の実績及び決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいておりますが、その性質上、将来においてこれらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減少又は増加し、この結果、税金費用が増減する可能性があります。
なお、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
④ 経営戦略の現状と見通し
当社はサービス提供及びアプリケーション提供の双方向からクライアント企業のデジタルトランスフォーメーションを支援することを経営方針として事業を展開しております。
引き続き、クラウド、IoTデバイスまで、幅広いシステムアーキテクチャにおけるシステム開発・実装経験を有するコンサルティングサービスを提供するほか、AIや自動言語処理、アナリティクスなどの各種IT技術をマイクロサービスと組み合わせた独自のアプリケーションの企画・開発に取り組んでまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、さまざまな課題に対処することが必要であると認識しております。
それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最先端IT技術の発掘及び次世代商品開発による競合との差別化を推進し、さらなる事業拡大を図ってまいります。
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