業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の浸透に伴い、経済活動に持ち直しの動きがみられたものの、厳しい状況となりました。高い感染力を有する変異株の急速な感染拡大や、世界情勢では戦争や資源の高騰による物価高もあり、依然として先行きが不透明な状況となっております。

当社が事業展開する広告業界におきましては、2021年の日本の総広告費は新型コロナウイルス感染症の影響で大幅に落ち込んだ2020年比で110.4%の6兆7,998億円と、広告市場全体が大きく回復しました。中でもインターネット広告費の市場規模は2兆7,052億円と前年比121.4%となり、マスコミ四媒体広告費を上回る規模に成長を続けております(出典:株式会社電通「2021年 日本の広告費」)。

また、ふるさと納税市場においては、2021年度のふるさと納税受入額は前年比23.5%増の8,302億円となり、受け入れ件数も前年比27.5%増の約4,447万件と過去最高となりました。新型コロナウイルス感染症拡大の中で巣ごもり需要を背景に返礼品を求める動きが目立ち、今後もさらなる市場規模の拡大が予想されております(出典:総務省自治税務局市町村税課「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和4年度実施)」)。

このような環境下、当社は地域情報プラットフォーム「まいぷれ」の運営を通じ、広告主である地域の中小事業者・店舗の情報発信・マーケティング支援を通じた経営支援を推進し、運営パートナーとの協働によるふるさと納税事業や地域ポイント事業の実行を通じて地方自治体の課題解決を推進してまいりました。

当事業年度においては、東証マザーズ上場後初の事業年度を迎え、公募調達した資金をもとに、地域情報プラットフォームの価値向上のための積極的な開発投資や、他社との資本業務提携を行ってまいりました。この結果、地域の中小事業者のWEBマーケティングを支援する新たなサービス「まいぷれアナライザー」のリリースや経営支援に向けて補助金・助成金サービス活用、事業承継の支援を行うサービスを開始し、今後の地域情報流通事業の成長基盤を構築しました。公共ソリューション事業においては、ふるさと納税BPO業務を受託する自治体エリアにおいてBPO業務を行ってまいりました。

しかしながら、初期加盟金の伸び悩み、まいぷれアナライザーの販売の伸び悩みなどがあり、売上高が当初予想を下回る見込みとなり、当事業年度における売上高は1,254,514千円(前年同期比7.0%減)、営業損失は54,808千円(前年同期は営業利益100,782千円)、経常損失は56,603千円(前年期は経常利益94,684千円)、当期純損失は71,608千円(前年同期は当期純利益79,652千円)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首より適用しており、この結果、当事業年度の売上高が2,000千円減少し、営業損失、経常損失及び税引前当期純損失がそれぞれ2,000千円増加しております。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

(地域情報流通事業)

地域情報流通事業におきましては、ユーザーが「魅力ある地域情報を認知し、興味を持ち、行動し、リピートし、ファンになる」という体験ができるよう、地域情報サイト「まいぷれ」のデザインの刷新やファン機能の追加等のリニューアルを実施いたしました。また、Googleビジネスプロフィールを分析し、効果的に運用するためのサポートツール「まいぷれアナライザー」をリリースし、ローカルWebマーケティング支援にも注力するとともに、新たに補助金や助成金の活用や事業承継など、地域店舗・中小企業の経営支援に向けたサービスを広げてまいりました。

まいぷれ店舗広告は、広告掲載だけではない付加価値を高め、顧客満足度を高めるサポートを行い、地域に根付いた営業活動を行ったため、まいぷれ店舗の掲載料が順調に増加し、当事業年度における直営地域のまいぷれ関連売上高は106,464千円(前年同期比8.1%増)となりました。

また、パートナー運営地域におきましては、当事業年度に、地域情報サイトが802エリアとなり、「まいぷれ」の展開エリアは着実に増加しております。この結果、直営を含む全国のまいぷれプラットフォーム利用店舗数は1,560店舗増加の18,127店舗となりました。

運営パートナーの新規開拓におきましては、広告配信プラットフォームの仕様変更による影響が一時的にあったことに加え、新型コロナウイルス感染症が急拡大する中で新規事業参入への意志決定に躊躇されるケースもあったため、事業年度における新規契約件数は12件に留まり、当初計画を下回る結果となりました。これにより、当事業年度の既存・新規契約をあわせたパートナー関連売上高は320,686千円(前年同期比14.6%減)となりました。問い合わせ数の減少については、回復の兆しをみせており、その他にも、外部アライアンス先の追加や営業体制の強化による案件獲得の増加にも注力してまいります。

この結果、当事業年度に属するセグメント売上高は427,150千円(前年同期比9.9%減)となりました。また、セグメント利益は166,597千円(前年同期比31.0%減)となりました。なお、当事業年度の期首より収益認識会計基準等を適用しており、この結果、当事業年度のセグメント売上高及びセグメント利益がそれぞれ2,000千円減少しております。

 

(公共ソリューション事業)

ふるさと納税BPOでは、当事業年度に新たに8自治体で受託が開始し、5自治体が契約終了となり、サービス提供自治体数は37となりました。受託自治体数の増加と寄付額の増加につながるBPO支援に取り組み、ふるさと納税関連売上高は458,236千円(前年同期比6.2%増)となりました。

公共ソリューション領域では、千葉県白井市の「白井市情報集約・発信支援業務委託」の新規受託や、消防庁の新技術を活用した災害情報伝達手段の実証実験を長野県須坂市、長野市、軽井沢町の3自治体で実施するなど、事業を推進してまいりました。その結果、公共案件売上高は111,794千円(前年同期比5.5%減)となりました。

地域共通ポイントサービス「まいぷれポイント」は、2エリアでサービスがスタートし、2自治体との契約が終了となり、全国で11エリア、3自治体と運営をしております。当社が事務局運営を務める自治体の委託費やポイント制度の周知に伴う活動及びポイントシステムのアプリ化リプレイスに伴う移行作業など、展開エリアでの着実な活動を行ってまいりました。この結果、まいぷれポイント関連売上高は40,583千円(前年同期比49.2%減)となりました。

この結果、当事業年度に属するセグメント売上高は610,613千円(前年同期比3.0%減)となりました。また、外注原価の増加と人件費が増加したためセグメント利益は82,975千円(前年同期比46.8%減)となりました。

 

マーケティング支援事業)

マーケティング支援事業におきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響による大手小売チェーンの新店・改装計画の延期や、訪日外国人向けの広告キャンペーン等の需要低迷を見越した計画を推進している中で、地域店舗への販促支援が微増となり、この結果、当事業年度に属するセグメント売上高は216,750千円(前年同期比11.8%減)、セグメント利益は15,343千円(前年同期比58.9%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における総資産は713,878千円であり、前事業年度末に比べ131,060千円減少いたしました。これは主に投資有価証券が53,018千円、契約資産が25,709千円、未収入金が10,503千円増加し、現金及び預金が161,631千円、売掛金が45,076千円、繰延税金資産が17,216千円減少したことによるものです。

 

(負債)

当事業年度末における負債は430,952千円であり、前事業年度末に比べ60,881千円減少いたしました。これは主に預り金が35,166千円増加し、買掛金が17,780千円、未払法人税等が16,916千円、未払消費税が25,876千円、長期借入金が28,776千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は282,926千円であり、前事業年度末に比べ70,178千円減少いたしました。これは主に当期純損失計上により利益剰余金が71,608千円減少したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動、投資活動及び財務活動によりそれぞれ56,480千円74,363千円30,787千円円減少したため、前事業年度末に比べ161,631千円減少し、408,300千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果使用した資金は、56,480千円となりました。主な要因といたしましては、税引前当期純損失52,692千円、減価償却費14,913千円、売上債権の減少額26,777千円、仕入債務の減少額17,780千円、未払消費税の減少額25,876千円、預り金の増加額35,166千円、法人税等の支払額23,694千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、74,363千円となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出53,018千円、無形形固定資産の取得による支出17,457千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、30,787千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出28,776千円があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載はしておりません。

 

b.仕入実績

当社ではマーケティング支援事業の一部で仕入実績がありますが、重要性が低いため、記載を省略しております。

 

c.外注実績

当事業年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

地域情報流通事業

5,383

238.6

公共ソリューション事業

254,112

109.2

マーケティング支援事業

138,808

88.8

合計

398,303

101.8

 

(注) 金額は、外注価格によっております。

 

d.受注実績

当社では一部個別の受注案件がありますが、受注実績の重要性がないため、記載を省略しております。

 

e.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

地域情報流通事業

427,150

90.1

公共ソリューション事業

610,613

97.0

マーケティング支援事業

216,750

88.2

合計

1,254,514

93.0

 

(注) セグメント間取引については相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財務状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実績の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度において、当社は、地域情報プラットフォーム「まいぷれ」の全国のエリア展開は802市区町村と推移し、事業基盤である運営パートナーとエリア展開を着実に実現してきました。また、公共ソリューション事業のふるさと納税BPOでは受託自治体が37自治体となり、新規受託自治体は一部自治体の契約終了があったものの、計画の範囲で推移しました。既存自治体の寄付額を引き続き増加していくBPO支援に取り組んでおります。当社では、持続的成長を重視し、下記の数値を主要な目標指標として取り組んでまいりました。

 

 

2022年8月期目標

2022年8月期実績

運営パートナー数

158

153

契約済み展開エリア

797

802

ふるさと納税BPO受託自治体

38

37

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資金需要の主なものは、今後の地域情報プラットフォーム「まいぷれ」の価値向上のためのシステム開発及び運営にあたる社員の採用費、人件費及び業務委託費、まいぷれ運営パートナーの獲得を安定的に行うための戦略として必要となる広告宣伝費等であります。当社は、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入による資金調達を基本とし、必要に応じてエクイティファイナンス等による資金調達を検討する予定であります。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は408,300千円となっており、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しております。

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得