文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)当期の経営成績の概況
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、緊急事態宣言の発出並びにまん延防止等重点措置の適用等に伴い社会活動が制約を受けるなど、厳しい状況で推移しました。2021年9月末に緊急事態宣言が解除されて以降、ワクチン接種の普及拡大や外出自粛等の行動制限の緩和と相まって人流も回復基調にありましたが、2022年1月以降は、より感染力の強いオミクロン株による感染急拡大により再び行動自粛を強いられたことに加えて、世界的なエネルギー供給不足から物価の上昇が少しずつ広がる中、個人消費や消費マインドへの影響の長期化が懸念され、依然として先行きは不透明な経営環境にあります。より機動的な意思決定を行うためのグループ再編を実施するなど、当社グループ構造の最適化を進めております。
このような経済情勢のもと、社会における永続的な当社グループの存在意義として“五感の健康寿命を100年に”を掲げ、五感の健康寿命延伸による社会貢献と持続的な成長に向けた取り組みを進めております。中核の小売事業においては、眼鏡・コンタクトを販売するにとどまらず、眼の健康寿命を延ばすために必要なあらゆる解決策(=商品・サービスやアドバイス)を提供するため、アイケアに注力した商品・サービス展開とその深耕を図るほか、補聴器やリラクゼーションといった五感領域への事業拡大及び深化を図るとともに、他業種との事業提携などを通じて、当社グループの更なる成長機会の創出に注力しております。また、営業時間の短縮を継続するとともに、ご来店予約の推進等、より機動的なお客様サービスの体制整備を強化したほか、超高精緻な検査精度による世界最先端の検査機器の導入を継続・拡大しており、視環境に合わせた付加価値の高いレンズの提案等により、他社サービスとの差別化を追求するとともに、顧客1人ひとりに合わせた付加価値の高いメガネづくりの実現に尽力いたしました。当連結会計年度における経営成績について、売上高につきましては、2022年4月期において、20店舗を退店(うち移転12店舗)する一方、25店舗の新規出店を進め、2022年4月末時点の店舗数は327店舗(前期比5店舗増)となりましたが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、政府や自治体による行動自粛の要請が長期に亘り継続的に実施されたことから、人流の抑制に伴いメガネの来店客数が落ち込むこととなり、第2四半期連結累計期間までは地方圏を中心に売上が伸び悩み、厳しい状況が続きました。緊急事態宣言解除後の2021年10月以降は徐々にメガネの客足が戻り、売上高は回復基調にあったものの、1月以降、3月中旬までオミクロン株による感染急拡大に対するまん延防止等重点措置とそれに伴う行動自粛等の影響から来店客数が再び低調に推移する事態となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は 26,068百万円(前期比0.0%増)となりました。また、売上総利益率は、主に価格施策やプロダクト別売上構成比の変化と各種キャンペーンの影響で低下しました。経費面では、職域接種をはじめ新型コロナウイルス感染症の対策費用の増加や当社グループが提供する高付加価値サービスをより多くの生活者からの認知が得られるよう、テレビCM、動画広告やSNSなど幅広いメディアを活用した複合的な情報発信を含むマーケティング費用の増加等により販売費及び一般管理費は16,112百万円(前期比1.0%増)となりました。
この結果、営業損失は120百万円(前期は営業利益353百万円)となりました。また、雇用調整助成金378百万円を計上したこと等により、経常利益は240百万円(前期比74.0%減)となる一方で、特別損失として当連結会計年度及び翌期において移転もしくは退店を予定する店舗の損失額、システム要件等の見直しに伴う損失額、及び収益性の低下が見られる店舗、保有不動産及び連結子会社ののれんについて減損損失1,176百万円を計上し、また、子会社において繰延税金資産を368百万円取り崩したこと、子会社における送金詐欺損失95百万円等を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は1,612百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益67百万円)となりました。
なお、当社グループが経営指標(KPI)として重視するEBITDA(注)は812百万円(前期比36.4%減)となりました。
(注) EBITDA=営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)+長期前払費用償却費+除去債務償却費用+のれん償却費+株式報酬費用
当連結会計年度における事業の種類別セグメント業績の状況は次のとおりです。
当社グループの中核事業である小売事業につきましては、眼の健康寿命の延伸をテーマに、従来の25倍、0.01ステップでの度数決定を可能とする精密測定機器の導入を進めているほか、視力だけでなく生活環境や眼の調節力も考慮した「トータルアイ検査」や、いつでも最適な状態のメガネに調整する「スーパーフィッティング」、購入後の充実したサポートを提供する「HYPER保証システム」、いつでも特別価格でフレーム、レンズを交換いただける「こども安心プラン」、特別価格でレンズやフレームを何度でも交換できるメガネのサブスクリプションプラン「メガスク」、「メガネと補聴器の出張訪問サービス」、頻繁に使うコンタクトレンズ用品をまとめて定期的にご自宅にお届けする「コンタクト定期便」等、多様かつ画期的なサービスを提供しております。これら当社グループが提供する高付加価値サービスをより多くの生活者からの認知が得られるよう、テレビCM、動画広告やSNSなど幅広いメディアを活用した複合的な情報発信を含むマーケティング施策の強化とともに、高付加価値サービスを継続的に開発・提供できる体制の構築に取り組んでおります。
店舗については、1店舗あたりの収益力増強に資する店舗の出退店を進め、25店舗の新規出店(うち移転13店舗)、20店舗を退店(近隣店舗への統合8店舗、移転12店舗)し、当連結会計年度末時点の店舗数は327店舗(前期比5店舗増)となりました。また、新たな試みとして相互送客のシナジーが見込める異業種連携店舗の出店(AOKI東川口店、AOKIつくば学園店)を行ったほか、店舗営業時間の短縮継続、来店予約の推奨・強化により、店舗人員の機動的な最適配置を志向する等、店舗の採算性を重視した運営により、より筋肉質な事業体質への転換を進めております。
売上高につきましては、緊急事態宣言の発出、並びにまん延防止等重点措置の適用等による外出自粛の影響を受け、メガネ客を中心に来店客数の落ち込みが見られる一方で、コンタクト定期便等のストック型サービスの継続的な強化策が下支えになるなど、売上構成比が変化し、減収増益となりました。
この結果、小売事業における売上高は24,192百万円(前期比1.1%減)、セグメント利益は1,457百万円(前期比14.7%増)となりました。
卸売事業につきましては、世界トップブランドのアイウェアを手掛けるマルコリン社(イタリア)の日本総代理店である株式会社VISIONIZEを中心に市場のアイケア・アイウェアに対する多様なニーズへの対応に取り組んでおります。
この結果、売上高は1,010百万円(前期比18.1%増)、セグメント利益145百万円(前期比214.0%増)となりました。
EC事業につきましては、当社グループECサイト「メガネスーパー公式通販サイト」をはじめ、Amazon・楽天・Yahoo!・ロハコ等のモールECにおいて、お客様の利便性を追求した質の高いサービスを継続的に強化しております。
当連結会計年度においては、自社ECサイトにおいてはクーポン施策・コーポレートサイトからの誘導などが功を奏しECサイトへの流入数が増加、コンタクト定期便の新規も大幅増、モールECにおいてはAmazonが引き続き好調に推移しております。
また、過去に購入したコンタクトレンズ用品を1タップで注文・配送することができるスマートフォンアプリ「コンタクトかんたん注文アプリ」、「コンタクトレンズ在庫検索&取り置き」、コーポレートサイト及びLINEを利用した来店予約など、実店舗とECサイトを包括するデジタルチャネル、店舗とデジタルそれぞれのチャネル特徴を活かしたオムニチャネル戦略を実現するための基盤構築を推進しております。
この結果、EC事業における売上高は861百万円(前期比16.9%増)、セグメント利益は263百万円(前期比109.5%増)となりました。またオムニチャネル戦略による実店舗等への送客等による小売事業における売上貢献額とEC事業売上高を合算したEC関与売上高は989百万円(前期比14.5%増)となりました。
その他事業におきましては、株式会社Enhanlaboにおいてメガネ型ウェアラブル端末「b.g.」の研究開発・量産化を行っておりましたが、2022年4月30日付にて、同社のウェアラブル端末事業を会社分割により譲渡するとともに、同社の解散・清算並びに当社子会社が保有する同社債権の放棄を決定しております。
この結果、その他事業における売上高は4百万円(前期比51.6%減)に留まり、営業関連諸費用等、費用先行が続いていることからセグメント利益は1百万円(前期セグメント損失14百万円)となりました。
当連結会計年度末の資産につきましては、17,122百万円(前期比2,751百万円減)となりました。
流動資産は10,401百万円(前期比1,799百万円減)となりました。流動資産の主な内訳は、現金及び預金が4,073百万円、商品が3,370百万円、売掛金が2,236百万円であります。
固定資産は6,720百万円(前期比952百万円減)となりました。固定資産の主な内訳は、敷金及び保証金が2,496百万円、建物が1,956百万円、のれんが694百万円であります。
当連結会計年度末の負債につきましては、12,674百万円(前期比1,315百万円減)となりました。
流動負債は7,878百万円(前期比771百万円減)となりました。流動負債の主な内訳は、短期借入金が2,000百万円、支払手形及び買掛金が1,565百万円であります。
固定負債は4,795百万円(前期比544百万円減)となりました。固定負債の主な内訳は、長期借入金が2,265百万円、退職給付に係る負債が1,415百万円であります。
当連結会計年度末の純資産につきましては、4,448百万円(前期比1,436百万円減)となりました。主な内訳は資本金が142百万円、資本剰余金が6,053百万円、利益剰余金が△2,667百万円であります。
連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,041百万円と前期と比べ2,120百万円(34.4%)の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動の結果支出した資金は、13百万円(前年同期は2,726百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純損失1,040百万円、減価償却費531百万円、減損損失1,176百万円の計上、棚卸資産の減少499百万円、売上債権の増加773百万円及び仕入債務の減少額286百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、1,404百万円(前期比793百万円増)となりました。これは、次世代型店舗のリニューアルオープンに伴う有形固定資産の取得により961百万円、基幹システムの開発に伴う無形固定資産の取得により161百万円、新規出店による敷金及び保証金の差し入れにより230百万円、資産除去債務の履行による78百万円支出した一方、敷金及び保証金の回収による50百万円の収入があったこと等によるものであります。
財務活動の結果支出した資金は、701百万円(前期比640百万円減)となりました。これは、主に短期借入金の返済による支出100百万円、長期借入金の返済による支出458百万円およびファイナンス・リース債務の返済による支出102百万円があったこと等によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。
(注) 小売事業のその他には、サングラス、眼鏡備品、補聴器、補聴器付属品、健康食品等が含まれております。
(注) 小売事業のその他売上高には、本社の売上高が含まれております。
(注) 1 売上高は小売店舗(小売事業)の売上高のみを表示しております。
2 売場面積は稼動月数により算出しております。
3 従業員数は店舗における人員であり、パート社員(1日8時間換算)、準社員及び嘱託社員を含んでおります。
(注) 1 上記の金額は、仕入価格によっております。
2 小売事業のその他には、サングラス、眼鏡備品、補聴器、補聴器付属品、健康食品等が含まれております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、棚卸資産の推定される将来需要および市場状況に基づく時価の見積額と原価との差異に相当する陳腐化の見積額について、評価減の計上が必要となる可能性があります。実際の将来需要または市場状況が当社グループ経営陣の見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
固定資産については、資産または資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しております。回収可能価額は、資産または資産グループの時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、固定資産の使用方法を変更した場合もしくは不動産取引相場やその他経営環境が変動した場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。将来の課税所得の見通しを含め慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整により費用が減少します。また税制改正により税率の変更等が生じた場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。したがって、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。
「(1)当期の経営成績の概況」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
c. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、新規出店及びM&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、多額な資金需要が発生した場合にはエクイティファイナンス等による調達手段を検討し対応することを基本としております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高4,041百万円、未使用の当座貸越極度限度額及び貸出コミットメント残高4,100百万円であり、充分な流動性を確保しているものと考えております。
達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載しております。
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