業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度の世界経済は、中国で新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制され、欧州の一部では厳しい状況が残るものの、同感染症による影響が緩和される中で、全体として景気は持ち直しました。また、わが国経済は、同感染症による厳しい状況が緩和される中で、個人消費や設備投資、生産を中心に持ち直しの動きがみられました。

こうした経済情勢にあって、当社グループを取り巻く事業環境は、物流業界においては、貨物量の回復の動きが鈍化したほか、国内で競争の激化や人手不足等を背景とした、グローバルで輸送の需給逼迫によるコストの増加により、また不動産業界においては、緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の実施により商業施設の一部で集客が低迷したほか、需給の緩みにより賃貸オフィスビルの空室率が上昇していることもあり、いずれも厳しい状況のうちに推移しました。

このような状況の下、当社グループは、IT等新手法を活用しつつ営業活動を推進し、物流事業では、医薬品等の配送センター業務の拡大、国際輸送貨物の取扱拡大に努め、不動産事業では、テナントの確保及び賃料水準の維持・向上に努めました。他方、コスト管理の徹底と業務の効率化を一層推し進め、業績の向上に努めました。

この結果、営業収益は、物流事業で、倉庫、陸上運送、港湾運送及び国際運送取扱の各事業において貨物取扱量が回復したほか、国際運送取扱事業において海上・航空運賃単価上昇の寄与もあり収入が増加し、不動産事業で、不動産賃貸事業における大阪の新規取得施設の寄与やマンション販売事業における販売物件の増加等に伴い収入が増加したため、全体として前期比435億1百万円(20.4%)増2,572億3千万円となりました。他方営業原価は、物流事業で、貨物取扱量の回復等に伴い作業運送委託費が増加したほか、不動産事業で、大阪の新規取得施設に係る不動産取得税等の一時費用の計上やマンション販売に係る不動産販売原価等の増加もあり、全体として前期比367億2千2百万円(19.1%)増2,285億9千8百万円となり、販売費及び一般管理費は、人件費、経費の増加等により、同3億6千8百万円(3.6%)増104億8千7百万円となりました。

このため、営業利益は、物流及び不動産の両事業で増益となったので、全体として前期比64億9百万円(54.6%)増181億4千4百万円となり、経常利益は、持分法による投資利益が減少したものの受取配当金の増加や為替差損益の改善もあり、同71億3千7百万円(44.6%)増231億5千1百万円となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益で、前期に名古屋駅近辺の当社不動産事業用地の一部譲渡等による固定資産処分益及び受取補償金(合計約366億円)等を計上した関係で、前期比212億6千7百万円(54.3%)減178億9千2百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

① 物流事業

倉庫、陸上運送、港湾運送及び国際運送取扱の各事業において貨物取扱量が回復しており、倉庫、陸上運送の両事業は、医薬品の取扱増加、自動車部品の取扱回復等により、営業収益は倉庫事業で 前期比4.7%増585億6千2百万円、陸上運送事業で同7.9%増520億1千7百万円となりました。また港湾運送事業は、コンテナ貨物の取扱回復等により、営業収益は前期比7.6%増229億5千万円となり、国際運送取扱事業は、輸出入貨物の取扱回復のほか海上・航空運賃単価上昇の寄与もあり、営業収益は同58.2%増735億9千3百万円となりました。

 

この結果、物流事業全体の営業収益は、前期比359億8千4百万円(20.1%)増2,152億4千万円となりました。また営業費用は、貨物取扱量の回復等に伴い作業運送委託費が増加したため、前期比295億1千2百万円(17.2%)増2,015億3千6百万円となりました。このためセグメント利益(営業利益)は、業務の効率化の取組み成果もあり、前期比64億7千1百万円(89.5%)増137億3百万円となりました。

 

② 不動産事業

主力の不動産賃貸事業は、大阪の新規取得施設の寄与等に伴い、営業収益は前期比4.5%増297億3千5百万円となりました。その他の営業収益は、マンション販売事業における販売物件の増加等に伴い、前期比80.7%増139億2千6百万円となりました。

この結果、不動産事業全体の営業収益は、前期比75億9百万円(20.8%)増436億6千2百万円となりました。また営業費用は、大阪の新規取得施設に係る不動産取得税等の一時費用の計上やマンション販売に係る不動産販売原価等の増加により、前期比72億3千万円(27.7%)増333億4千5百万円となりました。このためセグメント利益(営業利益)は、前期比2億7千8百万円(2.8%)増103億1千6百万円となりました。

 

なお、当社グループは中期経営計画[2019-2021]における最終年度業績目標として、営業収益2,400億円、営業利益145億円、経常利益171億円、EBITDA(=営業利益+減価償却費)301億円を掲げており、同計画最終年度に当たる当連結会計年度の経営成績については、営業収益2,572億3千万円営業利益181億4千4百万円経常利益231億5千1百万円、EBITDA336億1千万円となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

当社グループの主たる事業は、倉庫事業を中核とする物流事業及びビル賃貸を中心とする不動産事業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産、受注及び販売の実績を区分して把握することは困難であります。

これに代えて、当連結会計年度におけるセグメント毎の主要業務の営業収益及び取扱高等を示すと、次のとおりであります。

① セグメント毎の主要業務の営業収益

 

セグメント

営業収益(百万円)

前連結会計年度比増減

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

(%)

物流事業

 

 

 

 

(倉庫事業)

55,954

58,562

2,607

4.7

(陸上運送事業)

48,214

52,017

3,802

7.9

(港湾運送事業)

21,332

22,950

1,618

7.6

(国際運送取扱事業)

46,514

73,593

27,078

58.2

(その他)

7,239

8,116

877

12.1

179,255

215,240

35,984

20.1

不動産事業

 

 

 

 

(不動産賃貸事業)

28,446

29,735

1,289

4.5

(その他)

7,706

13,926

6,220

80.7

36,153

43,662

7,509

20.8

セグメント間取引消去

△1,679

△1,672

7

 

合計

213,729

257,230

43,501

20.4

 

 

② セグメント毎の主要業務の取扱高等

 

セグメント

業務の種類

取扱高等

前連結会計年度

当連結会計年度

前連結会計年度
比増減

物流事業

 

 

 

 

 

(倉庫事業)

倉庫保管

保管残高
(数量・月末平均)

944千トン

935千トン

△9千トン

 

 

貨物回転率
(数量・月間平均)

37.9%

44.0%

6.1

 

倉庫荷役

入庫高

4,269千トン

4,957千トン

688千トン

 

 

出庫高

4,312千トン

4,910千トン

597千トン

(陸上運送事業)

陸上運送

陸上運送高

17,937千トン

18,908千トン

971千トン

(港湾運送事業)

沿岸荷役

沿岸荷役高

64,307千トン

67,240千トン

2,933千トン

 

船内荷役

船内荷役高

51,423千トン

54,464千トン

3,041千トン

(国際運送取扱事業)

国際運送取扱

国際運送取扱高

10,002千トン

10,595千トン

593千トン

不動産事業

不動産賃貸

不動産賃貸面積
(延床面積・月末平均)

 

 

 

 

 

オフィス用

404千㎡

404千㎡

△0千㎡

 

 

商業用

477千㎡

491千㎡

14千㎡

 

 

住宅用

88千㎡

83千㎡

△5千㎡

 

 

(注) 貨物回転率(月間平均)の算出方式………

(入庫高+出庫高) ÷2÷12ヵ月

×100

月末平均保管残高

 

 

(2) 財政状態

① 総資産

当連結会計年度末の総資産は、設備投資等に伴い「現金及び預金」が減少し、マンション販売に伴い「販売用不動産」が減少したものの、設備投資に伴い「土地」や「建物及び構築物」等の有形固定資産が増加したほか、保有株式の時価増加に伴い「投資有価証券」が増加したため、前期末比264億2千5百万円増5,621億8千7百万円となりました。

② 負債合計

当連結会計年度末の負債合計は、償還に伴い「社債」が減少したものの、保有株式の時価増加に伴い「繰延税金負債」が増加したため、前期末比54億9千5百万円増2,144億2千7百万円となりました。

③ 純資産

当連結会計年度末の純資産は、「自己株式」の取得による減少があったものの、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上に伴う「利益剰余金」の増加のほか、保有株式の時価増加に伴う「その他有価証券評価差額金」の増加等があったため、前期末比209億3千万円増3,477億5千9百万円となりました。

④ 自己資本比率

この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前期末を0.8ポイント上回る61.2%となりました。

⑤ 有利子負債

当連結会計年度末の有利子負債は、「社債」の償還等により前期末に比べ43億8千2百万円減少し、1,047億7千3百万円となりました。

 

 

(3) キャッシュ・フロー 

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローの増加、投資活動によるキャッシュ・フローの減少、財務活動によるキャッシュ・フローの減少に現金及び現金同等物に係る換算差額(6億6千2百万円の増加)を加えた全体で88億6千1百万円の減少となり、現金及び現金同等物の期末残高は525億5百万円となりました。

なお、当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー(88億6千1百万円の減少)は、前期(208億2千5百万円の増加)に比べ、296億8千7百万円下回りました

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却による資金留保等により、362億1千6百万円の増加となりました。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前期(401億7千6百万円の増加)に比べ、39億6千万円下回りました

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入等があったものの、固定資産の取得による支出等により、292億2千1百万円の減少となりました。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前期(140億2百万円の減少)に比べ、152億1千9百万円下回りました

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払等により、165億1千8百万円の減少となりました。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前期(52億7千万円の減少)に比べ、112億4千8百万円下回りました

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、財務健全性の維持を原則としつつ、運転資金並びに当社グループの成長、拡大を図るための設備投資資金については、主に事業活動から生じる自己資金で賄うほか、必要に応じて金融機関からの借入及び社債の発行により資金調達を行っております。なお、次期のキャッシュ・フローについては、次期の利益及び減価償却による資金の留保や投資有価証券の売却による収入等を見込む一方、大阪における茨木5号配送センター建設工事及び神戸における須磨海浜水族園・海浜公園再整備事業等の設備投資(固定資産の取得)による支出のほか、配当金の支払い、自己株式の取得等が予定されるため、現金及び現金同等物の期末残高は、概ね当期末並みの水準になるものと予想しております

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得