当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって持ち直しの動きが見られる状況となりました。一方で、世界的な金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れや物価上昇等による影響に十分注意する必要があります。
当社を取り巻くBSデジタル放送業界は、デジタル放送受信機の普及に伴い、視聴可能世帯数の割合は全世帯の77.1%(「BS世帯普及率調査」㈱ビデオリサーチ調べ)で推移しております。衛星放送メディア関連の広告費は、1,209億円(前年比103.1%)となり、そのうち70%強は当社を含むBSデジタル放送事業が占めております。(「2021年 日本の広告費」㈱電通調べ)
このような状況下、当社は「質の高い情報を提供することで 人々に感動を与え 幸せな社会づくりに貢献します」を経営理念として中長期的な成長を実現するため、「コンテンツの強化と配信ビジネスの拡大」をテーマとして自社制作コンテンツの強化、良質なコンテンツへの出資、配信ビジネス等の新規事業開発に取り組むとともに、効果的な広告宣伝、広報施策を実施いたしました。
当連結会計年度では、新型コロナウイルス感染拡大の長期化に伴い、WEB会議等を活用したリモート収録や視聴者参加型のオンラインイベントの実施等、デジタル技術の積極的な活用により、視聴者需要の充足に邁進してまいりました。
[レギュラー番組]
2021年10月の番組改編では、3番組のレギュラー放送を開始いたしました。歴史教養番組『偉人・素顔の履歴書』は放送開始直後からテレビ放送、配信ともに多くの視聴者にご覧いただき、YouTube限定コンテンツの『偉人・こぼれ噺』も配信いたしました。このほか、ローカル鉄道沿線地域の振興を目的に始まった「鉄印」を集める紀行番組『私たち鉄印帳はじめます。』、㈱京都放送、東京メトロポリタンテレビジョン㈱との3社共同制作番組『京都画報』もご好評をいただきました。更に1月には、製作委員会参加の『ラランド「有象無象SHOW」』の放送・配信を行い、7月には、2.5次元俳優の植田圭輔さんと鳥越裕貴さんが繰り広げるトークバラエティ『植田鳥越 口は○○のもとTV』を放送開始するなど、コンテンツの拡充に努めました。
報道番組では、『報道ライブ インサイドOUT』を大幅にリニューアルいたしました。2021年10月から『報道ライブ インサイドOUT』の新サブキャスターを、4月からは金曜日に新キャスターをそれぞれ迎えました。また、鮮やかな緑色の番組セットとタイトルロゴに変更するとともに『速報ニュース インサイドOUT』との連動を深め、『報道ライブ インサイドOUT 鈴木哲夫の永田町ショータイム』を4月より放送開始する等、内容のより一層の強化に努めました。
そのほか、放送100回を超えた紀行・教養番組『京都浪漫 悠久の物語』や、「東京モーターサイクルショー」でトークステージを行いライブ配信も実施した『大人のバイク時間MOTORISE』、豪華ゲストを迎えコンサート形式でお届けする『八代亜紀いい歌いい話』等も引き続き、内容をより一層充実させて放送いたしました。
『ディスカバリー傑作選』では、『名車再生!』、『解明・宇宙の仕組み』等、様々なジャンルのコンテンツを厳選し放送しているほか、ドラマジャンルの拡充にも努め、製作委員会参加作品の『パティシエさんとお嬢さん』や『ねこ物件』、人気の高い国内ドラマ『牡丹と薔薇』、日本初放送の中国時代劇『双花伝~運命を分かつ姉妹~』、同じくヨーロッパミステリー『RIG45 絶海に潜む闇シーズン2』等を放送いたしました。
[特別番組]
経営ビジョンである“豊かで 癒される 教養・娯楽番組”として、初心者から美術ファンまで楽しめる内容でお届けした東京メトロポリタンテレビジョン㈱との共同制作番組『東京藝大で教わる西洋美術の見かた』や、国文学者の中西進さんと奈良を訪ねる東京メトロポリタンテレビジョン㈱、奈良テレビ放送㈱との3社共同制作の紀行・教養番組『万葉びとと令和の物語〜中西進とめぐる奈良・世界遺産の旅〜』、飛騨高山の魅力とウォーキングのポイントをお届けした『楽しく1万歩!小京都日和』等、BS放送視聴者に人気の、歴史や紀行をテーマとした特別番組を多数放送いたしました。このほか、女性誌発行部数No.1の雑誌「ハルメク」とタイアップして女性たちの心豊かな生き方をご紹介した『にっぽん!推し活ライフ~トキメキ熱中女性たち~』、着物で散歩し日本の魅力を再発見する『和モダン時間(タイムス)~着物でニッポンをさんぽしよう!~』等をお届けいたしました。
スポーツ番組では、今年新たに設立された女子ソフトボール「JD.LEAGUE」の開幕戦をお届けしたほか、長崎文化放送㈱との共同制作番組『長崎離島ゴルフ旅 ~五島列島 宇久・小値賀~』を放送いたしました。
更に、毎年恒例の㈱京都放送との共同制作番組『京都紅葉生中継2021~古都を照らす希望の「光」~』、『京都夜桜生中継2022~その名が知られる桜物語~』に加え、『生中継 祇園祭山鉾巡行前祭・後祭2022』等を放送。このほか、過去最多15放送局とのコラボレーションを実現した『桜前線2022 全国キャスターリレー! ~知っておきたい桜スポット~』、三重テレビ放送㈱との共同制作番組『日本一やかましい祭り 石取祭 ~鉦や太鼓がふたたび鳴り響く、桑名の夏~』等、ローカル局とのコラボレーション施策も積極的に実施いたしました。
[アニメ関連事業]
「ANIME+」枠では、製作委員会出資作品である『その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする』、『リコリス・リコイル』等、毎クール40タイトル以上のアニメ関連番組を放送しております。「アニメプラス」枠では『境界戦機』、「キッズアニメ∞(むげんだい)」枠では、『スーパーウィングス ミッションチーム』等を放送。年末年始には、主催の『Animelo Summer Live 2021 powered by Anison Days』をテレビ独占放送する等、人気作品の特別編成を行いました。加えて、エンターテインメント情報番組『アニゲー☆イレブン!』、アニメソング番組『Anison Days』等、幅広い年齢層のファンのニーズにお応えできるよう、様々な切り口でアニメ関連番組を放送いたしました。また、「AnimeJapan2022」や「とちてれ☆アニメフェスタ!2022」等のアニメイベントへの出展や協賛等の幅広い展開も実施いたしました。
このほか、読み聞かせ番組『今日のえほん』は、グループ会社である㈱理論社、㈱国土社の児童書を映像化し放送しており、BS11+、BS11公式YouTubeチャンネルでの配信も行っております。
[配信ビジネス等]
当期の重点施策である「配信ビジネス、新規事業開発と収益化」を目的とし、自社制作番組及び関連コンテンツのネット配信の強化、オンラインイベントや関連グッズのネット販売を行いました。
7月には、当社独自の動画配信サイトをリニューアルし、人気番組のアーカイブをはじめ、オリジナルコンテンツやライブ配信等を視聴できる会員登録制視聴サイト「BS11+」をオープン。一部コンテンツの有料配信も開始いたしました。また、BS11公式YouTubeでの広告付き見逃し配信や、Paravi、FOD、U-NEXTでの定額見放題配信も行い、コンテンツの拡充および配信プラットフォームの拡大に努めました。
配信オリジナルコンテンツでは、グループ会社である㈱国土社の児童書を映像化した『わくわく自由研究』や『歌で聴く絵本「ようかいむら」シリーズ』、㈱文化放送のインターネットラジオ「超!A&G+」とのコラボ企画『転生したらスライムだった件~転スラジオ~』や『ラジオでもはたらく魔王さま!!』をBS11+、BS11公式YouTubeで配信いたしました。また、『転生したらスライムだった件~転スラジオ~』は、特別番組『テレビ 転スラジオ BS11出張特番』を放送し、アーカイブの配信も行っております。
更に、番組関連グッズ等が購入できるBS11公式通販サイト「BS11SHOP」を開設。『太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選』より「太田和彦監修酒器」、『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』より「アニサマ×アニソンデイズ コラボグッズ」等を販売し、第1弾の太田和彦監修酒器は初回入荷分が即完売する等、ご好評をいただきました。
このほか新たな試みとして、自社制作番組関連のオンラインイベント「全国の酒蔵応援!居酒屋探訪家 太田和彦さんとおうちで乾杯!」や「報道ライブインサイド OUT Presents ジャーナリスト養成オンライン講座」を開催いたしました。
今後も放送に加え、配信事業等を通してより多くの視聴者ニーズに応えることができるよう、努めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は 12,250,430千円(前期比 2.0%増加)となりました。営業利益は 2,394,465千円(前期比 10.3%減少)、経常利益は 2,395,357千円(前期比 12.6%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は 1,599,508千円(前期比 14.3%減少)となりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ 1,435,290千円増加し、当連結会計年度末には 14,456,611千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,843,212千円(前期は 2,199,725千円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額 1,044,877千円があったものの、税金等調整前当期純利益 2,395,357千円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、50,960千円(前期は 217,779千円の使用)となりました。これは主に、 有形固定資産の取得による支出 21,598千円、無形固定資産の取得による支出 18,568千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、356,961千円(前期は 359,944千円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額 356,013千円等によるものであります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は、次のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により算定しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式を除く)により算出しております。
3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」を利用しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。
a.生産実績及び受注実績
当社グループは一部において受注生産を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当社グループは、セグメント情報を記載していないため、当連結会計年度における販売実績を収入区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
なお、連結損益計算書の主要項目ごとの主な状況は、次のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は、スポット収入及びその他収入の増加により 12,250,430千円(前期比 2.0%増加)となりました。また、売上原価は、自社制作コンテンツの強化、良質なコンテンツへの出資、配信ビジネス等の新規事業開発に取り組んだ結果、5,937,481千円(前期比 6.9%増加)となり、売上総利益は 6,312,949千円(前期比 2.1%減少)となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、番組宣伝や局認知向上施策等の実施による広告宣伝費の増加等に伴い、 3,918,483千円(前期比 3.6%増加)となった結果、営業利益は 2,394,465千円(前期比 10.3%減少)となりました。
営業外収益は、4,839千円(前期比 93.7%減少)、営業外費用は、3,948千円(前期比 0.4%減少)となり、この結果、経常利益は 2,395,357千円(前期比 12.6%減少)、税金等調整前当期純利益は 2,395,357千円(前期比 12.6%減少)となりました。
当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税は 794,091千円、法人税等調整額1,757千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は 1,599,508千円(前期比 14.3%減少)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ 1,268,278千円増加し、24,241,184千円(前連結会計年度末比 5.5%増加)となりました。主な要因は、現金及び預金が 1,435,290千円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ 15,195千円増加し、2,671,929千円(前連結会計年度末比 0.6%増加)となりました。主な要因は未払法人税等が 257,162千円、返品調整引当金が 60,585千円減少したものの、流動負債のその他に含めて表示している返金負債が 168,422千円、買掛金が125,221千円、賞与引当金が 15,000千円、退職給付に係る負債が 9,898千円、未払費用が 7,099千円 、固定負債のその他に含めて表示しているリース債務が 6,097千円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ 1,253,083千円増加し、21,569,255千円(前連結会計年度末比 6.2%増加)となりました。主な要因は、利益剰余金が、前連結会計年度の期末配当 356,077千円により減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益 1,599,508千円の計上に伴い 1,243,430千円増加したこと等によるものであります。
当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおける主な資金需要は、番組制作費、代理店手数料及び広告宣伝費等の運転資金並びに放送設備更設等の設備資金等でありますが、これらの資金需要につきましては、主に営業キャッシュ・フローを原資としております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の数値並びに当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定を用いております。
連結財務諸表を作成するにあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 」に記載のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
なお、これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行いますので、実績値に基づく結果が、それらの見積りとは異なる可能性があります。
お知らせ