業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

① 経営成績の状況

当社グループの主力事業はコンテンツ事業であり、エンドユーザーから得る月額利用料を主な収入源とするBtoCサービスを展開しています。この事業から得られる知見とノウハウを活かし次なる主力事業とするために成長ポテンシャルが高いヘルスケア事業の立ち上げに注力しています。

当社グループの当期において、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により日本経済に大きな影響を及ぼしている状況にありますが、同感染症拡大の当社グループの連結業績への影響は軽微なものとなりました。

コンテンツ事業では、携帯ショップ経由の新規入会者数が低調に推移する中、需要の高いセキュリティ関連アプリ『AdGuard』の新規入会者数を拡大させるとともに、コミック配信事業者向けへのオリジナルコミック作品の月間提供数を拡大させました。

ヘルスケア事業では、調剤薬局での導入意欲が高まっている「クラウド薬歴」の導入店舗数の拡大を図るべく、また自治体向けに母子手帳アプリ等の子育て関連ソリューションの積極拡販を行うべく、協業先の株式会社メディパルホールディングスとの連携を行いました。

他方では、ポイント付与型月額コンテンツサービスにおける失効ポイントに関する消費税の取り扱いを整理し、失効ポイントに対応する売上高を不課税取引とした結果、従来に比べて売上高が717百万円加算されることとなりました。

これらのことにより、売上高は26,479百万円(前年同期比2.9%増)となりました。

売上総利益は、売上高が微増収であるものの、売上原価率の高いその他事業の増収により構成比が拡大したこと、また同事業において低採算案件が増えたことに伴い売上原価が増加したことにより、18,691百万円(同0.3%減)となりました。

営業利益および経常利益については、テレワーク体制への移行に伴う家賃の減少がありましたが、当社子会社のモチベーションワークス株式会社にて積極展開する学校DX事業を含む開発強化のための人件費、外注費および減価償却費が増加したことを主因として、販売費及び一般管理費が増加し、それぞれ870百万円(同54.9%減)、485百万円(同64.5%減)となりました。

親会社株主に帰属する当期純損失については、経常利益が減益となり、また減損損失(特別損失)の増加もありましたが、法人税、住民税及び事業税の計上額が大幅に減少したことにより△930百万円(前年同期は1,164百万円の損失)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、以下のとおりです。

 

(コンテンツ事業)

コンテンツ事業の有料会員数は320万人(2021年9月末比32万人減)となりました。携帯キャリアのフィーチャーフォンサービスの終了に伴い一時的に純減幅は大きくなりましたが、この要因を除けばセキュリティ関連アプリ『AdGuard』の有料会員数拡大が続いていることにより、同事業の有料会員数の純減幅は縮小傾向にあります。

売上高は、前年同期比で有料会員が減少した一方、ポイント付与型月額コンテンツサービスにおける失効ポイントに関する消費税の取り扱いを整理し、失効ポイントに対応する売上高を不課税取引とした結果、従来に比べて売上高が717百万円加算されること等により、18,518百万円(前年同期比1.8%減)となりました。営業利益については、上記の売上高増加効果等により、6,200百万円(同4.4%増)と増益となりました。

 

 

(ヘルスケア事業)

ヘルスケア事業の有料会員数は59万人(2021年9月末比5万人減)となりました。また、調剤薬局での導入意欲が高まっている「クラウド薬歴」の導入店舗数の拡大に最注力した結果、2022年9月末の同店舗数は1,264(2021年9月末比499増)となり、直近の第4四半期では過去最高の導入となりました。

売上高は、前年同期比で有料会員数が減少しましたが、「クラウド薬歴」の導入店舗数拡大による初期導入売上高が拡大したことにより4,030百万円(前年同期比6.3%増)となりました。営業損失については、先行投資費用負担が続いていることから1,108百万円の損失(前年同期は1,267百万円の損失)となりました。

 

(その他事業)

当社の大手法人向けDX支援事業およびモチベーションワークス株式会社の学校DX事業の売上高が拡大したことにより、売上高は5,262百万円(前年同期比21.0%増)となりました。営業損失については、大手法人向けDX支援事業で低採算案件が増えたことに伴い売上原価が増加したこと、学校DX事業における体制強化のための人件費の増加、開発強化による外注費および減価償却費の増加等により1,667百万円の損失(前年同期は105百万円の損失)となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産合計は29,265百万円となり、2021年9月末対比2,643百万円の減少となりました。

資産の部については、流動資産では現金及び預金の減少を主因に2,484百万円減少し、固定資産ではソフトウエアが増加した一方、投資有価証券が減少したことを主因に158百万円減少しました。

負債の部については、流動負債では「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い契約負債が増加しましたが、未払法人税等が減少したことを主因に269百万円減少し、固定負債では主に長期借入金が増加したことにより992百万円増加しました。

純資産の部については、親会社株主に帰属する当期純損失として930百万円を計上し、配当金の支払いおよび「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴う影響もあり3,365百万円減少しました。

 

以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は48.1%(前年同期比6.5ポイント減)、ROE(自己資本当期純利益率は△5.9%(同0.5ポイント増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は12,097百万円となり、2021年9月末対比3,442百万円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況および要因は次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費や減損損失等がありましたが、主に法人税等の支払いにより1,393百万円の資金流出(前年同期は3,516百万円の資金流入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産(主にソフトウエア)の取得による支出等により2,460百万円の資金流出(前年同期は1,996百万円の資金流出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等がありましたが、主に長期借入れによる収入により343百万円の資金流入(前年同期は649百万円の資金流入)となりました。

 

④ 生産、受注および販売の状況
a) 生産実績

該当事項はありません。

 

b) 受注実績

該当事項はありません。

 

 

c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

コンテンツ事業

18,284,602

△2.1

ヘルスケア事業

4,014,379

10.9

その他事業

4,180,327

21.3

合計

26,479,310

2.9

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

相手先

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社
NTTドコモ

11,715,419

45.5

株式会社
NTTドコモ

10,437,096

39.4

KDDI株式会社

5,291,576

20.6

KDDI株式会社

4,600,743

17.4

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4 会計方針に関する事項」に記載のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に関する会計上の見積りへの反映については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績等は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況、および②財政状態の状況」に記載のとおりです。

 

 

なお、当社グループの2022年9月期計画の達成状況については、以下のとおりです。

ポイント付与型月額コンテンツサービスにおける失効ポイントに関する消費税の取り扱いを整理し、失効ポイントに対応する売上高を不課税取引とした結果、従来に比べて売上高が717百万円加算されることを主因に、計画比において売上高は2.6%増、営業利益は190.2%増、経常利益は585百万円の増加(計画値は190百万円の経常損失)となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、上記のとおり経常利益のプラス要因がありましたが、事業用固定資産(主にソフトウエア)等の減損損失(特別損失)として897百万円を計上したことを主因に、計画比740百万円の減少となりました。

 

2022年9月期の連結業績(計画)との比較

 (単位:百万円)

 

2021年9月

(実績)

2022年9月期(実績)

2022年9月期

(計画)

前年同期比

計画比

売上高

25,743

26,479

25,800

+736

+2.9%

+679

+2.6%

営業利益

1,929

870

300

△1,059

△54.9%

+570

190.2%

経常利益

1,370

485

△100

△884

△64.5%

+585

親会社株主に帰属する当期純利益(△は損失)

△1,164

△930

△190

+233

△740

 

※2022年9月期の計画は、2022年8月5日に修正した計画を記載しています。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

④ 経営戦略の現状と見通し

経営戦略の現状と今後の見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

当社グループが重要な経営指標として位置付けている「売上高の成長率」については、前年同期比で2.9%の増加となりました。コンテンツ事業における有料会員数が前年同期比では減少となりましたが、ポイント付与型月額コンテンツサービスにおける失効ポイントに対応する売上高を不課税取引とした結果、従来に比べて売上高が717百万円加算したことや大手法人向けDX支援事業の売上高拡大によるものです。

「営業利益率の改善度」については、前年同期比で4.2ポイント減少の3.3%となりました。売上原価率の高いその他事業の増収により構成比が拡大したこと、また同事業において低採算案件が増えたことに伴い売上原価が増加したこと、および学校DX事業を含む開発強化のための人件費、外注費および減価償却費が増加したことを主因として販売費及び一般管理費が増加したことによるものです。

また、株主還元策については、当連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純損失を計上しましたが、安定配当を継続する観点から前年と同水準である1株当たり年間配当金を16円としました。

 

 

なお、当社グループの2023年9月期の計画は以下のとおりです。

今後の業績拡大の牽引役として期待できるヘルスケア事業の売上拡大および赤字縮小に注力するとともに、コンテンツ事業ではセキュリティ関連アプリ『AdGuard』の有料会員数のさらなる拡大およびオリジナルコミック事業の拡大に取り組んでいきます。

また、当社子会社のモチベーションワークス株式会社にて積極展開する学校DX事業の拡大にも注力していきます。同社が提供するクラウド型校務支援システム『BLEND』に対する受注の引き合いが強いことから、体制強化のための人員増強や導入拡大に対応した外注先の活用、導入コストに寄与する『BLEND』のバージョンアップに向けた開発等で先行投資は当面続きますが、さらなる売上成長に繋げていきます。

中長期的に取り組んでいるヘルスケア事業は、将来の成長ポテンシャルが大きく、BtoC型に比べてお客様と長期間にわたり取引関係を構築することにより安定的なストック型ビジネスになり得るため、売上成長を実現できるよう様々な展開を実施していきます。

特に調剤薬局での導入意欲が高まっている「クラウド薬歴」については、ヘルスケア事業の持続的な売上成長に寄与できることから、協業先である株式会社メディパルホールディングスとの連携強化を行うとともに、調剤薬局向け大手システム会社との販売協業を進め、導入店舗数をさらに拡大させていきます。

また、母子手帳アプリ『母子モ』が導入されている自治体を中心に子育て関連サービスを拡充することにより、そして自治体、病院、住民のデジタル連携の実現を通じた子育てDX『母子モ』プラットフォーム戦略の推進を行うことにより、中期的に利益貢献できるように取り組んでいきます。

 

2022年9月期連結業績(実績)との比較

 (単位:百万円)

 

2023年9月期

(計画)

2022年9月期

(実績)

前年同期比

売上高

26,000

26,479

△479

△1.8%

営業利益

800

870

△70

△8.1%

経常利益

400

485

△85

△17.7%

親会社株主に帰属する

当期純利益(△は損失)

△600

△930

+330

 

 

⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、コンテンツの調達のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的にした資金需要は主にM&Aによるものです。これらの資金需要については、手元現金で賄うことを基本としていますが、必要に応じて銀行からの借入金調達により対応する予定です。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は12,097百万円となりました。当社グループでは、この資金を有効活用することにより、新たな事業展開に備えるための新規投資や出資等による支出案件に対して、機動的に対応していきます。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得